注目選手
2年前のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ。 まだ、「スカイ/イネオス時代」が続いていると思われていたあのとき、チーム・イネオスはクリス・フルーム、ゲラント・トーマス、エガン・ベルナルというツール覇者3名を引き連れての豪華な布陣で乗り込んできてい…
2/20(日)〜2/26(土)の日程で開催された、アラブ首長国連邦を舞台とした7日間のステージレース、UAEツアー。 今年最初のワールドツアーレースとして、グランツール級のトップスプリンターたちやクライマーたちが集まる豪華な顔ぶれの中、アシストとして注目を…
ワウト・ファンアールトが「春のクラシック開幕戦」オンループ・ヘットニュースブラッドを初めて制した。 最後は13㎞、「ボスベルグ」前の不意を突くアタック一発で、ライバルたちの虚を突いてそのまま独走に持ち込んだ。 Embed from Getty Images window.gi…
南フランスで開催中の「ツール・ド・ラ・プロヴァンス」。 その第2ステージ、アルルからマノスクに至る183㎞の丘陵アップダウンステージで、そのラスト2㎞の登りスプリントを制し、コフィディスのブライアン・コカールが今期2勝目を遂げた。 Embed from Gett…
今シーズンもいよいよ本格的に開幕を迎え、すでにチャレンジ・マヨルカ、サウジ・ツアー、ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナなど、ワールドツアーの選手たちも活躍するヨーロッパの各種レースが開催され始めている。 そんな中、いくつかのレースで、若…
ヨーロッパロードレースシーズンの開幕を告げるスペイン・地中海に浮かぶマヨルカ島でのワンデーレース5連戦「チャレンジ・マヨルカ」。 その2日目にあたる「トロフェオ・アルクディア」にて、アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオに所属する21歳のエ…
昨年に続き、新型コロナウイルス(Covid-19)流行により中止となってしまったツアー・ダウンアンダーの代替レース「サントス・フェスティバル・オブ・サイクリング」。 その男子レース初日となった今日、元EFエデュケーション・NIPPO、今年からチーム・ブリ…
決して、彼と、彼のチームは、今大会における優勝候補筆頭ではなかった。 石畳の激坂が用意された「フランドリアンサーキット」ならまだしも、最後の戦いの舞台となる「ルーヴェンサーキット」には200〜300m程度の短い登りしかなく、そこでのアタックで後続…
それは、決して彼が本来望んだものではなかったかもしれない。 本来であれば彼は、ツール・ド・フランスの頂点を2度、掴み取ってもおかしくないだけの実力と実績を兼ね備えていた。 しかし一方で、彼はその栄光を目の前で奪い取られるという悔しい思いを経験…
残り150m。背後のジュリアン・アラフィリップがスプリントを開始したのを悟った彼は、自らもほぼ同時にペダルを強く踏み出した。 ただちに横一線に並ぶ。相手は元世界王者の「フランスの英雄」。登りだけでなく、ときにスプリントですらピュアスプリンターた…
タデイ・ポガチャルが圧勝した。2位以下に5分20秒もの大差をつけて。 これは、2014年にヴィンツェンツォ・ニバリが2位に7分37秒差をつけて大勝したとき以来の記録である。 ニバリのときにクリス・フルームやアルベルト・コンタドールらが相次いでリタイアし…
2021年のツール・ド・フランスにおける一つの目玉となった、第11ステージの「モン・ヴァントゥ2回登坂」ステージ。 しかし、今年のツールは第1週終盤のアルプス2連戦ですでに前回覇者タデイ・ポガチャルが圧倒的な力を発揮しており、対抗馬と考えられていた…
「言葉が出てこない。僕はここにいるだけでもう十分なはずだった。このレースに戻ってこれるなんて思ってもいなかったから」 「ドゥクーニンク・クイックステップにきたとき、そこには世界最高のライダーたちが揃っていて、その中で僕がツールのメンバーに選…
モンタルチーノ、ゾンコラン、そしてコルティナ・ダンペッツォ・・・第2週最終日に至るまでの2週間で、エガン・ベルナルは彼が最強であることを証明した。 そうして得た総合タイム差は、総合2位ダミアーノ・カルーゾに対して2分24秒。あとは、これをいかにし…
残り300mで上体を上げ、レインジャケットのファスナーを下ろす。 残り200mで両手を離し、完全にジャケットを脱ぎ捨てた。 その下にはマリア・ローザ。イネオスのロゴが大きく表示された、栄光のピンクジャージ。 残り25mで彼は両手を広げ、高く空に突き上げ…
私にとって、マーク・カヴェンディッシュという男は、決して「リアルタイムに追い続けていた存在」ではない。 私がロードレースを見始めたのは2015年からだし、そのときにはすでに彼はいわゆる「落ち目」になりつつあった。 同年に台頭しつつあったトム・デ…
「やるしかないと分かっていた。 スプリントに挑んで5位や10位で終わるよりも、すべてを失うほうがまだマシだって分かっていた。 そうやって何も得られないことの方が多かった。けれど時折、とてつもなく大きなものを手に入れるんだ。 今日はその日だった。 …
その男が強いことは誰もが知っていた。 それでも、彼はグランツールライダーたちと同じように走ることは難しく、3,000mを超える獲得標高をもつこのストラーデビアンケで結果を出すことは簡単ではないだろうと予想されていた。 しかし彼は、最終盤まで残り続…
グランドスラムといえばテニスにおける四大大会制覇を意味する言葉であるが、シクロクロスの世界においてもこの言葉が使われる。 それは3大シリーズ戦(UCIワールドカップ、スーパープレスティージュ、X2Oバドカマー・トロフェー)と世界選手権の全てを同年…
バイクエクスチェンジ、昨年まではミッチェルトン・スコットと呼ばれていたこのチームは、新型コロナウイルスの影響を大きく受けて昨年、スポンサー危機に瀕する。 この状況を打破しようと動いたのが当時のGM、シェーン・バナン。チーム立ち上げにも大きく関…
「1周目を走り終えたとき、僕はこのレースを勝てるかもしれないということに気がついた。それは本当に手の届くところにまでやってきていて、すべては最終周回での走りにかかっていた」 「(ゴールしてからの)数分間は、とても緊張していた。正確な時間はわ…
自転車ロードレース界には今なお語り継がれるライバル関係というものがいくつも存在する。 ジャック・アンクティルとレイモン・プリドール、ベルナール・イノーとグレッグ・レモン、ファビアン・カンチェラーラとトム・ボーネン――そして今、最もこの「ライバ…
トム・デュムランが無期限の活動休止を発表した。 今年のツール・ド・フランスもプリモシュ・ログリッチと共に出場することが発表された翌日の、あまりにも急で衝撃的すぎる発表であった。 www.cyclingnews.com 「昨日、これを決心した。チームも僕を理解し…
Embed from Getty Images // 難攻不落の「怪物」を、わずか21歳の「小さな天才」が打ち破った。 それも、真正面から、純粋な力で。 スリッピーな重い泥を軽快に駆け抜けていく新時代の英雄に、全世界を震撼させ続けた25歳の男がなす術もなく突き放されていく…
自転車ロードレースというのは、非情なものである。 8時間に及ぶ戦いを最後のわずかコンマ1秒の差で天国と地獄とを分けることもあれば、21日間、84時間にわたって積み上げてきた確信を、わずか15分の間に打ち砕いてしまうものでもある。 だからこそそれは美…
ミラノ〜サンレモは毎年、ドラマを生み続ける。 2017年はポッジョでのサガンのアタックにクフィアトコフスキとアラフィリップが食らいつき、3人によるギリギリのスプリントバトルが展開された。 2018年はヴィンツェンツォ・ニバリがポッジョで単独で抜け出し…
新型コロナウイルス蔓延による自転車ロードレースの「中断」後、初のUCIプロシリーズのレースとなったのが、7/28(火)から8/1(土)にかけて開催されたブエルタ・ア・ブルゴス。 スペイン北部、ブルゴス県(カスティーリャ・イ・レオン州)を舞台に行われた5日…
Embed from Getty Images // 「2週間の入院のあと家に帰ってから、ちょうど1年が経った。もし今日のことをあのときの僕に伝えても、決して信じてはくれなかっただろう。だけど一方で、僕はどんなに困難なときでも自分の復活を信じ続けてもいた。そうして苦し…
「太陽へと向かうレース」が意味するところは、太陽とは真逆の過酷な環境からスタートするということ。 昨年もプロトンを大混乱に陥れた強風が、今年も数多くの総合勢に致命的な打撃を与えると共に、この日の優勝候補と思われていたトップスプリンターたちを…
ついに、このときが来た。 日本のトラック競技・・・いや、日本の自転車界における最高の逸材である梶原悠未(22=筑波大学)が、ベルリンで開催されていた世界選手権オムニアム種目で頂点を掴み取った。 日本人としては実に33年ぶりのマイヨ・アルカンシェル…