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ジロ・デ・イタリア2023 コースプレビュー第2週

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比較的おとなしめな第1週を終え、今年最初のグランツールはいよいよ2週目に。北イタリアの地を主に北西方面を中心に攻略していくこの6日間は、第13ステージでフランスとスイスに侵入し、総獲得標高5,100m&チマ・コッピ越えの「本格山岳」ステージへと突入していく。

明確にエースとして参戦するジロ・デ・イタリアとしては初となるレムコ・エヴェネプールは、ブエルタ・ア・エスパーニャとはまた異なった「ジロの洗礼」を前にして、どれだけの走りを見せられるのか。あるいはログリッチもまた、なかなか手が届かないジロ制覇に向けての大きな一歩を得ることはできるのか。

その他のステージも総合勢が勝つのか、逃げが勝つのか、はたまた一瞬の隙を突いたアタッカーが勝つのか予想しづらいステージも含まれており、スペクタルなレース展開を楽しめそうな1週間だ。

 

目次

 

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第10ステージ スカンディアノ〜ビアレッジョ 196㎞(平坦)

総獲得標高2,600m

獲得標高はそれなりにあるが、登りの大半は前半で消化され、基本的には終盤ですべて吸収しての集団スプリントとなるだろう。

ビアレッジョがジロのフィニッシュ地点に選ばれるのは実に40年ぶりだという。1982年の第1ステージでこれを制したのはジュゼッペ・サローニ。現UAEチーム・エミレーツのスタッフの1人でもある。

パスカル・アッカーマンはその後継を務めることはできるのか。

 

 

第11ステージ カマイオーレ〜トルトナ 219㎞(平坦)

総獲得標高2,100m

今大会最長ステージとなるこの日は、前日に続き登りはあるものの基本的には大集団スプリント出の決着が予想される1日だ。

前回のトルトナフィニッシュは2017年。フェルナンド・ガビリアが衝撃のステージ4勝を記録した彼の絶頂期である。今も決して弱くなっているわけではない。常に上位には入り込む力はあるものの・・・どうしても勝ちきれない。

同世代のライバルたるカレブ・ユアンは、ガビリアの絶頂期に暗闇の中に沈み込んでいて、そこからまた復活を遂げている。

ガビリアもきっとトンネルを抜ける時があるに違いないと信じている。そして、モビスター・チームにも悲願のグランツールでのスプリント勝利をプレゼントしてあげて欲しい。

 

 

第12ステージ ブラ〜リヴォリ 179㎞(丘陵)

総獲得標高2,300m

北西イタリア、ピエモンテ州のブラを出発し北上。最後はトリノ近郊をぐるりと回ってリヴォリの街でフィニッシュ。その途上は広大なポー平原を突き進むピュアフラットだが、最初と最後に登りが待ち構えているという、エスケーパー向きのステージだ。

特に残り27.9㎞で頂上を迎える2級山岳コッレ・ブラディアはラスト5㎞の平均勾配が8.1%、残り4㎞地点に最大勾配12%区間を含むなかなかに厳しい登り。

そしてフィニッシュ地点では残り1㎞を切ってから下りからの直角カーブ、そして8%の急勾配というややテクニカルなレイアウトが用意されている。

逃げ、集団スプリント、フィニッシュ直前のアタッカー、あるいは総合系すら・・展開によっていかようにも勝利のパターンが変わりそうな面白いステージだ。

 

 

第13ステージ ボルゴフランコ・ディヴァーレア〜クラン=モンタナ 207㎞(山岳)

総獲得標高5,100m

いよいよジロが始まる。第13ステージ、不吉な数字のこの日は合計5,100mもの標高を獲得する。1つ目の登りはチマ・コッピ(今大会最標高地点)。ツール・ド・フランスでもよく使われているグラン・サン・ベルナール峠である。標高500mから標高2,469mまで一気に駆け上がる。

そこから再び標高700mまで凶悪なダウンヒルを経て、続く1級山岳クロワ・ド・クールは標高2,174mに達する。しかもラスト4㎞からは平均勾配10.3%、ラスト1㎞から500mまでは最大勾配13%地点を含む激坂となっている。

クロワ・ド・クールの頂上からフィニッシュまではまだ60㎞近く残ってはいるが、この時点でまず確実に総合優勝候補たちが絞り込まれることだろう。果たしてレムコ・エヴェネプールはこの「ジロの洗礼」を超えて、真のグランツールライダーとして認められる存在になりうるか。

 

クロワ・ド・クールの後スイスに入国したプロトンは最後にスキーリゾートのクラン=モンタナに挑むが、ここはそこまでの登りと比べるとそこまで難易度はない。

しかしあまりにも過酷なここまでの道程で傷ついた体が、この最後の長い登りの途中でどんな反応を見せるのか。それこそエヴェネプールにとっては、ある意味未知の領域となるかもしれない。

 

 

第14ステージ シエル〜カッサーノ・マニャーゴ 193㎞(平坦)

総獲得標高1,600m

スタート直後の56㎞地点にスイス-イタリア国境を越えるための1級山岳(標高2,004m)が待ち構えているもののそこからフィニッシュまでは98㎞も残されているため、ほとんどの場合において集団スプリントを妨げるものはないだろう。あとはマリア・アッズーラを狙う者と一か八かの逃げ切り勝利を狙う者とが幸運の籤を引けるかどうか。

一応ラスト1㎞は緩やかな登り基調。本当に緩やかで、基本は意味はないだろうが。

 

 

第15ステージ セレーニョ〜ベルガモ 195㎞(山岳)

総獲得標高3,600m

フィニッシュ地点のベルガモはイル・ロンバルディアのスタートもしくはフィニッシュ地点として有名で、最近で言えば2014年(ダニエル・マーティン)や2016年(エステバン・チャベス)、2021年(タデイ・ポガチャル)でフィニッシュ地点としては使用された。

しかし終盤のレイアウトが完全に一緒というわけではない。2021年にはフィニッシュまで130㎞以上残した「最初の試練」として登場した2級山岳ロンコラ・アルタ(登坂距離10㎞、平均勾配6.7%)が残り30.6㎞地点で登場する。総合優勝候補たちに激しいバトルを繰り広げる類のものではないだろう。

ただしフィニッシュ地点のベルガモ旧市街へと至る直前(残り3.3㎞地点)に待ち受ける石畳の急坂ラルゴ・コッレ・アペルト(ベルガモ・アルタとも呼ばれている)は、最大勾配12%のイル・ロンバルディア・コモ〜ベルガモルート定番の勝負所だ。

2016年大会ではここでチャベスがペースを上げ、リゴベルト・ウランは食らいつくもロマン・バルデは脱落してしまった。ディエゴ・ローザもここで遅れるが致命的なほどには遅れず、のちに追いついて最後は3名のスプリントフィニッシュとなった。

今回も、逃げ残りによる最後の勝負になる可能性が高くなりそうなこの日。

このコッレ・アペルトでの「最終決戦」は間違いなく白熱する楽しみなシーンとなるだろう。

 

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