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読み:トタルエナジーズ
国籍:フランス
略号:TEN
創設年:2000年
GM:ジャン=ルネ・ベルノードー(フランス)
使用機材:ウィリエール(イタリア)
2021年UCIチームランキング:22位(昨年24位)
(以下記事における年齢はすべて2022年12月31日時点のものとなります)
【参考:過去のシーズンチームガイド】
Direct Energie 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Direct Energie 2019年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Team Total Direct Energie 2020年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Team Total Direct Energie 2021年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
目次
※各グラフのポイントは独自に集計した2021シーズンの実績に基づきます。
同じポイントに基づいた各脚質ランキングは以下の記事を参照のこと。
各チームのプレビューをPodcast&Youtubeでもやっています。
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2022年ロースター
※2021年獲得UCIポイント順
ピエール・ラトゥール、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン、アレクシー・ヴュイエルモなど大量のワールドツアー級選手たちの獲得を通して注目集めた昨年のトタル・ディレクトエネルジー。
しかし蓋を開けてみれば、全くといっていいほど結果が出ず。思えば、かつてロンド・ファン・フラーンデレン制覇直後のニキ・テルプストラを獲得したときも、まったく期待外れに終わって今に至っている。
そう考えると、今年の「サガン軍団」獲得もまた、正直なところ、現時点では期待はしていない。
とはいえ、このチームにはそういった大物獲得の波の中でも揺るがず自らの力を研ぎ澄ませ続けているフランス籍プロチーム一筋の男、アントニー・テュルジスがいる。
サガン軍団の獲得はそれ自体はもちろん、この至宝テュルジスとの化学反応によって、チームに大きな成果をもたらしてくれるかもしれない。
その他、同じく、華々しい外部戦力とは裏腹に、チームの在野戦力がどう活躍していくかがカギになる。ニッコロ・ボニファツィオ、クリスティアン・ロドリゲス、ロレンツォ・マンザンなど、実力ある既存戦力たちの今年の頑張りに注目だ。
(その意味で、テュルジスと同じくワールドツアー未経験ながらそれに食らいつく強さを見せていたアドリアン・プティの放出は残念ではある)
注目選手
ペテル・サガン(スロバキア、32歳)
脚質:スプリンター
2017年のボーラ・ハンスグローエ発足時の目玉選手の1人として移籍し、以来5年間に渡り、チームの顔となり続けてきた。
2017年の世界選手権3連覇目、2018年のパリ~ルーベ制覇、2019年の7枚目のマイヨ・ヴェール・・・次第にチームは「サガンだけ」のチームではなくなり、サガン自身も年齢と共にかつてのような活躍は見込めなくなりつつあった。
そして、予定されていた通り、2021シーズンいっぱいでの契約終了と共に、チームを離れることが確定。ただしその移籍先は正直意外な、フランス籍のプロチーム、トタルエナジーズであった。
2021シーズンはその前年と比較しても悪くないシーズンだった。ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ、ツール・ド・ロマンディ、そしてジロ・デ・イタリアでも、2年ぶりとなる「純粋スプリントによる勝利」を達成。前年には逃していたジロ・デ・イタリアでのポイント賞ジャージも獲得した。
地元のオコロ・スロベンスカ(ツアー・オブ・スロバキア)にも初めて出場し、勝利こそなかったものの2位を連発。見事総合優勝を果たし、故郷に錦を飾った。
世界の、そしてスロバキアの英雄であり続ける男、ペテル・サガン。
新たなる舞台での、キャリア最終章に向けた戦いは、一体どんなドラマを生み出してくれるのか。
アントニー・テュルジス(フランス、28歳)
脚質:ルーラー
2021シーズンはヘント~ウェヴェルヘム9位、ドワースドール・フラーンデレン8位、ロンド・ファン・フラーンデレン8位。2020年もワウト・ファンアールトとマチュー・ファンデルプール、ジュリアン・アラフィリップがロンド・ファン・フラーンデレンの終盤で飛び出したとき、唯一食らいつこうとしていた存在でもあり、昨年の世界選手権ロードレースでもフランスチームの波状攻撃の先鋒を買って出た。
未だにプロチームにいることが信じられないくらいのポテンシャルを持つ男であり、おそらくはチームとしても最大のエース待遇くらいのつもりで必死につなぎとめている存在であろう。テュルジス自身も、他チームでアシストに回るよりも、このチームでエースとしてチャンスを狙い続けることを願っているのだと思う。
だからこそ、そろそろ頂点が欲しい。今年28歳。ロードレーサーとして、最も脂が乗る2年間が始まる。
もちろん、新たなチームの「エース」たるペテル・サガンの存在はその成功にとってある意味では「脅威」となる。
ただ、他チームの視線が確実に彼に向く中、彼の親衛隊の強力な力も借りて、チャンスを掴み取りうる機会も増えるはずだ。
今年こそが正念場。奇跡を起こせるか。
その他注目選手
ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、29歳)
脚質:スプリンター
元バーレーン・メリダのエーススプリンターにして、ソンニ・コルブレッリにその座を奪われながら今年でトタル4年目となる。
2019年ツール・ド・フランスのシャンゼリゼで3位、2020年にはパリ~ニースで1勝するなど頑張ってはいるが、2021年のツールには出場できず。今年もおそらく、サガンが優先されてしまうだろう。
だからこそ、やるべきは、それ以外のレースでしっかりと勝利を重ねること。今や珍しいくらいのその純朴なスプリントで、やるべきことをやっていこう。何しろ今年が契約最終年。場合によっては、ということも十分に考えられるので・・・。
ピエール・ラトゥール(フランス、29歳)
脚質:オールラウンダー
2016年のブエルタ・ア・エスパーニャでの衝撃の勝利、そして2018年ツール・ド・フランスでのマイヨ・ブラン獲得。AG2Rのロマン・バルデに次ぐエースとしてフランスの期待を背負い続けたが、昨年、そのバルデと共にまさかの移籍。
そしてその1年目は、決して褒められたものではなかった。ツールでは全くと言っていいほど見せ場はなく、1クラスでの1勝と、プロシリーズの総合5位くらいなものか。
とはいえ、今更グランツールの総合争いでの活躍はあまり期待していない。2019年ブエルタ・ア・エスパーニャのロス・マチュコスで見せたような(そして2016年ブエルタでの勝利のような)、グランツール山岳ステージでの粘りの走りにこそ、彼の魅力が詰まっている。
未だ届かないツールでの勝利。今年の最大の目標をそこに当て、見事その座を掴み取ってほしい。
クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、27歳)
脚質:クライマー
元カハルラルで昨年トタル入り。ツール・ド・ルワンダで総合優勝し、ルート・ドクシタニーではジュリオ・チッコーネらを下し総合4位。モンヴァントゥー・デニヴレ・チャレンジでも5位とキャリア最高の成績を収めており、密かに現在急成長中の隠れ期待株である。ツール・ド・フランスでも、総合46位という結果ではあるが、チームで最もUCIポイントを稼いだ男でもある。
華々しい移籍獲得の陰で、こういった男がいかに頑張っていけるかが、このチームの未来の鍵を握ることになるだろう。
各チームへのリンク
チーム・アルケア・サムシック
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