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Intermarché - Wanty - Gobert Matériaux 2022年シーズンチームガイド

以下の記事もチェック!

note.com

 

読み:アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ

国籍:ベルギー

略号:IWG

創設年:2009年

GM:ジャン=フランソワ・ブラール(ベルギー)

使用機材:キューブ(ドイツ)

2021年UCIチームランキング:14位

(以下記事における年齢はすべて2022年12月31日時点のものとなります) 

 

【参考:過去のシーズンチームガイド】 

Wanty - Groupe Gobert 2019年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

Intermarché Wanty Gobert 2021年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

 

目次

 

※各グラフのポイントは独自に集計した2021シーズンの実績に基づきます。

同じポイントに基づいた各脚質ランキングは以下の記事を参照のこと。

note.com

 

各チームのプレビューをPodcast&Youtubeでもやっています。

 

 

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2022年ロースター

※2021年獲得UCIポイント順

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※2月4日にドメニコ・ポッツォヴィーヴォが加入!

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あまりにもバタバタと急に決まってしまったワールドツアー化の1年目は、うまくいかなくて当たり前だと思っていた。実際、シーズン前半は全く勝利にかすりもせず、このままではワールドツアー制度導入以来最も遅い初勝利になりそうであった。

事実、その記録を塗り替えずに済むにはジロ・デ・イタリアで勝利を稼ぐしかない、という状況にまで追い込まれていた。そんなの無理だろう――と思っていた中で、まさかのタコ・ファンデルホールンの勝利。

そこから、ファンデルホールン自身もさらに勝利を重ねるなど、段々と好調さを取り戻していく中で、ブエルタ・ア・エスパーニャにおける2人のマイヨ・ロホとメインチェス、エイキング両名の活躍。

これぞロードレース、という思いをたっぷりと味合わせてくれたチームであった。

 

そんなチームの立役者の一人でもあったエイキングは残念ながら離脱。地味ながらポイントを結構稼いでいたダニー・ファンポッペルも。昨年も重要な選手だったはずのクサンドロ・ムーリッセを失うなど、割と重要選手を放出しがちなアンテルマルシェ。代わりにクリストフを手に入れるが、さすがにキャリアも終盤に近づいてきているクリストフにどこまで頼れるか。

その意味ではロット・スーダルで強さを見せていたヘルベン・タイッセンやコービー・ホーセンスなどの若手に注目したいかも。

元々プロコンチネンタルチームとしても上位の成績を保持し続けていた地力のあるチーム。泥くさく勝利を掴む魅力的な活躍を期待している。

 

 

注目選手

アレクサンデル・クリストフ(ノルウェー、35歳)

脚質:スプリンター

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2021年の主な戦績

  • エシュボルン・フランクフルト3位
  • ドイツ・ツアー総合3位
  • ドワースドール・フラーンデレン6位
  • パリ~ルーベ14位
  • UCI世界ランキング69位

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2014年ミラノ~サンレモ覇者にして2015年ロンド・ファン・フラーンデレン覇者。多少の起伏や荒地・悪天候をものともしないタフさが売りのクラシカルスプリンターの代表格。とはいえそんな彼ももうキャリア終盤。2021シーズンはドイツ・ツアーでの2勝のみ。地元ノルウェーでの重要なプロシリーズ2連戦でも、マーティン・ラースやマッズ・ピーダスンに競り負けて勝利なしと苦しい結果だったことは間違いない。

とはいえ、安定して毎年一定の成績を挙げる彼の存在は、今のアンテルマルシェにとっては貴重な存在であることは間違いない。相棒のスヴェンエリック・ビストラムも引き連れて、チームを去ったダニー・ファンポッペルの穴を埋めて余りある結果を叩き出せるのか。

とりあえずの1年契約。クリストフにとっても、シーズン序盤からしっかりと成績を残していきたい、重要なシーズンとなりそうだ。

 

 

タコ・ファンデルホールン(オランダ、29歳)

脚質:ルーラー

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2021年の主な戦績

  • ジロ・デ・イタリア区間1勝
  • ベネルクス・ツアー区間1勝
  • オンループ・ファン・ハウトラント優勝
  • アントワープ・ポートエピック2位
  • UCI世界ランキング151位

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ある意味チームを救った男。彼の鮮烈なるジロ・デ・イタリアでの勝利が、その後のチームの方向性を一気に変えた。

しかも、「一発屋」ではなかった。その後もベネルクス・ツアーで逃げ切り勝利を果たし、アントワープ・ポートエピックではマチュー・ファンデルポールと最後の最後まで競って敗北したとはいえ食らいついた。さらにオンループ・ファン・ハウトラントでも勝利を挙げて3勝。キャリアのプロ勝利数を一気に2倍にした。

 

彼自身にとっても飛躍の年となったと言えるだろう。自分を放出したユンボ・ヴィスマにも一矢報いたか?

もちろんここで終わるわけにはいかない。引き続きチームの柱として、活躍を期待している。

 

 

ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、22歳)

脚質:パンチャー

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2021年の主な戦績

  • U23世界選手権ロードレース2位
  • グラン・ピエモンテ5位
  • ロイヤル・ベルナール・ドローメ・クラシック7位
  • トロフェオ・ライグエーリア9位
  • UCI世界ランキング76位

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2020年にNIPPOデルコ・ワンプロヴァンスでプロデビュー。その緒戦となるラ・トロピカーレ・アミッサ・ボンゴで区間2勝とポイント賞、さらにはトップライダーたちも集まるトロフェオ・ライグエーリアでもジュリオ・チッコーネに次ぐ2位と、才能を見せつけた若きエリトリア人ライダー。

しかしその後、所属チームがゴタゴタしていく中で、危うくその才能の目が潰されそうになっていた。

そんな彼をしっかりと掬い取ったのがアンテルマルシェ。昨年の8月。デルコが解散を見据えて所属ライダーに契約自由権を与えると、早速シーズン途中での移籍を実現させた。そして直後に参加したツール・ド・ポローニュの第1ステージでいきなりの区間8位。期待に十分応える走りを見せてくれた。

その後はフランスの1クラスレースで優勝や2位を叩き出し、U23世界選手権ロードレースでも集団先頭を獲って銀メダル。あのオラフ・クーイをスプリントで打ち破った。

さらにはマシュー・ウォルスが勝利し、ジャコモ・ニッツォーロやマッテオ・トレンティンなどの実力者たちが集ったグラン・ピエモンテでも5位。

トップスプリンターたちにも負けない足と丘陵への適性から、今年もチームの「勝ち星稼ぎ屋」として第一線で活躍しうる存在だ。

 

 

その他注目選手

ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、25歳)

脚質:クライマー

2019年ツール・ド・ラヴニール総合5位。とくにアッティラ・ヴァルテルの勝ったティニュ山頂フィニッシュの時には、総合優勝を果たしたトビアス・フォスに食らいついての区間3位フィニッシュしている、実力派若手クライマー。CCCチーム入りした2020年にはブエルタ・ア・エスパーニャ総合21位、そしてアンテルマルシェ入りした昨年は、ツール・ド・ランで区間1勝&総合7位、ツール・ド・フランスでも第19ステージで逃げに乗って区間8位に入るなど、着実に実力を示しつつある。

とはいえ今年が一旦の契約最終年。同じく才能のありそうだったアレクサンダー・エヴァンスも放出しているアンテルマルシェだけに、目に見える結果を残すことが必要なシーズンだ。場合によっては別のチーム、それこそ母国ドイツのボーラなどに招かれる可能性もあるため、結果を出したい。

 

ルイス・メインチェス(南アフリカ、30歳)

脚質:クライマー

2016年・2017年にツール・ド・フランスで総合8位。アフリカ勢で初めて、シャンゼリゼの表彰台に特別賞ジャージを着て立つことになる男は彼だ、と信じ続けてきた。

しかし、ディメンションデータ加入後に一気に失速。苦しい時代が続いた中で、昨年、アンテルマルシェ入り。

もう、彼に望みを託すのは難しいのか・・・と諦めかけていたら、昨年は少し復調し始めた?

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは終盤で果敢にアタックする姿を見せ、久々に先頭集団で姿を見たと思えば、ツール・ド・フランスでは総合14位。さらにはブエルタ・ア・エスパーニャでは、名アシストのヤン・ヒルトの助けを借りながら、一時総合10位にまで浮上した。

その後落車でリタイアを喫してしまったが、ここ数年の中で最も好調なシーズンを過ごしたのは間違いない。

まだまだ、諦めない。もうシャンゼリゼでの・・・は望めないけれど、再び彼がどこかのレースの表彰台を射止めることを楽しみに待ちたい。

 

ヘルベン・タイッセン(ベルギー、24歳)

脚質:スプリンター

2019年のロット・スーダルでのプロデビュー時から注目していた元トラックレーサー。デビュー直後はそこまででもなかったが、2020年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、区間5位や区間2位に入るなど、実力の高さを見せつけていた。

このままロット・スーダルの若き才能あるスプリンターとして育てられていくのだろうな・・・と思っていたら、まさかの放出。

実力はある。けど、そこからの一歩が難しいのはよくあること。彼が本物になれるかどうか、このアンテルマルシェでの2年にかかっている。

 

クエンティン・ヘルマンス(ベルギー、27歳)

脚質:パンチャー

マチュー・ファンデルプール、ワウト・ファンアールト、トム・ピドコックといった、シクロクロス出身選手たちのロードレースでの活躍がここ数年のトレンドとなっているが、そのファンアールトが出始めた頃に同じように衝撃を与えた選手の1人がこのヘルマンスだった。すなわち、2018年のツール・ド・ワロニーでの区間1勝・総合2位・ポイント賞&新人賞獲得などである。

その力は健在で、2021年もフレーシュ・ワロンヌで14位、ジロ・デ・イタリアでヴィクトール・カンペナールツが勝ったステージで区間5位、その他ツール・ド・ポローニュやイツリア・バスクカントリーでもステージ上位に名前を連ねていたりもする。

今シーズンのシクロクロスでもヘルマンスは好調で、ワールドカップでも1勝している。その他のレースでも常に上位で勝負をしており、今年のロードでもさらなる活躍を期待したい。

 

 

各チームへのリンク

AG2Rシトロエン・チーム

アスタナ・カザフスタンチーム

バーレーン・ヴィクトリアス

コフィディス

EFエデュケーション・イージーポスト

グルパマFDJ

イネオス・グレナディアーズ

アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ

イスラエル・プレミアテック

ロット・スーダル

モビスター・チーム

クイックステップ・アルファヴィニル

チーム・バイクエクスチェンジ・ジャイコ

チームDSM

チーム・ユンボ・ヴィスマ

トレック・セガフレード

UAEチーム・エミレーツ

 

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