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読み:チーム・バイクエクスチェンジ・ジャイコ
国籍:オーストラリア
略号:BEX
創設年:2011年
GM:ブレント・コープランド(南アフリカ)
使用機材:ジャイアント(台湾)
2021年UCIチームランキング:18位
(以下記事における年齢はすべて2022年12月31日時点のものとなります)
【参考:過去のシーズンチームガイド】
Mitchelton-Scott 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Mitchelton-Scott 2019年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Mitchelton-Scott 2020年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Team BikeExchange 2021年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
目次
※各グラフのポイントは独自に集計した2021シーズンの実績に基づきます。
同じポイントに基づいた各脚質ランキングは以下の記事を参照のこと。
各チームのプレビューをPodcast&Youtubeでもやっています。
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2022年ロースター
※2021年獲得UCIポイント順
引き続きスポンサー問題に苦しむチーム。チーム名に追加はされたが、バイクエクスチェンジ同様に結局はチームの所有者であるライアンオーナーの事業であることに変わりはなく、不安な財政状況から結局今年もドラスティックな補強はできず。チャベス、ツェイツ、スタナード、ニエベなど重要な選手を多く手放すこととなってしまった。2021獲得UCIポイントでいえばWT全18チーム中16位である(17位はロット・スーダル、最下位はDSM)。
あとは、振るわなかった現有戦力と、若手に期待していくしかない。チームのスピリットや選手一人ひとりのキャラクターはとても魅力的だけに、この状況からの活躍に期待している!
注目選手
サイモン・イェーツ(イギリス、30歳)
脚質:クライマー
2021年の主な戦績
- ジロ・デ・イタリア区間1勝&総合3位
- ツアー・オブ・ジ・アルプス総合優勝
- ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ総合9位
- ティレーノ~アドリアティコ総合10位
- UCI世界ランキング36位
2018年のジロ・デ・イタリアでの大ブレイクと大失速の後、繰り返しジロ・デ・イタリアに挑み続ける。昨年は前哨戦ツアー・オブ・ジ・アルプスも総合優勝し、ライバルの状態も未知数なところがあったために大きな可能性を感じていたが、1週目はあまり良い走りを見せられず、早くも失望ムードが広がっていた。
が、第2週の第14ステージ、ゾンコラン山頂へと至るステージにて、最後の登坂で強烈なアタック。30秒間にわたり一度も振り返ることなくダンシングで突き抜けていくその姿は、最盛期のナイロ・キンタナを彷彿とさせるような、非常にピュアで、強烈な印象を残す純粋な「クライマー」そのものであった。
結局このときは最後にベルナルに追い抜かれて勝利を逃すが、第3週に入りさらに幾度となく強烈なアタックでベルナルを突き放す場面を見せ、第19ステージではついに3年ぶりのステージ勝利。
冷たい雨の日にどうしてもタイムを失うなど、グランツールで勝つだけの安定感にはやや欠ける部分があるかもしれないが、とにかく見ていてとても気持ちの良い走りをする男であった。
チーム事情により出場レースも多く、昨シーズンは終盤で疲労が溜まっていたのか本来の力を出せない場面もしばしば。
今シーズンはルーカス・ハミルトンやニック・シュルツなど、周囲がうまくサポートし、彼の代わりのエースを十分に任せられるほど成長してくれることが望ましい。
もちろん、今年もサイモンはジロを狙う。ここ数年の中では最もTTの重要度が低くなることが予想される今年のジロ。「ピュアクライマー」サイモンにとって、大きなチャンスとなるか。
マイケル・マシューズ(オーストラリア、32歳)
脚質:スプリンター
2021年の主な戦績
- ミラノ~サンレモ6位
- アムステルゴールドレース4位
- ヘント~ウェヴェルヘム5位
- エシュボルン・フランクフルト9位
- UCI世界ランキング44位
昨年、5年ぶりのチーム復帰となったマシューズ。そのシーズン1年目は、彼にとって決して満足のいくシーズンではなかっただろう。
ツール・ド・フランスでは初日ブレストでの登りフィニッシュで、抜け出したジュリアン・アラフィリップに続き、集団先頭を獲って区間2位。幸先の良いスタートではあったが、それが昨シーズンのキャリアハイだったかもしれない。その後もツールでは逃げを何度も打つが勝利には届かず、逆に同じような走りをしてみせたソンニ・コルブレッリに負ける場面もしばしばあった。
得意のブエルタ・ア・エスパーニャでも区間3位がベストリザルト。ファビオ・ヤコブセンとジャスパー・フィリプセンの2強には届くことがなかった。
そんなシーズンを過ごした彼のこのチームに、今年はディラン・フルーネウェーヘンが加入。ツール・ド・フランスで走るための移籍であることを明言しているだけに、マシューズはツールを諦めてジロやブエルタに集中するのか?と思っていた。
が、現時点で発表されている情報によると、マシューズもフルーネウェーヘンもツールに出場するのだとか。しかも、パリ~ニースも二人揃って。
ピュアスプリントはフルーネウェーヘンに任せ、マシューズはまた積極的に逃げに乗る戦略を取るのか? 今シーズンが一旦の契約最終年だけに、その動向には注目していきたい。
ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、29歳)
脚質:スプリンター
2021年の主な戦績
- ツール・ド・ワロニー区間2勝
- ツアー・オブ・デンマーク区間1勝
- カンピウンスハップ・ファン・フラーンデレン2位
- ロンド・ファン・ドレンテ3位
- UCI世界ランキング208位
「元」最強スプリンター。マーク・カヴェンディッシュ、マルセル・キッテルと続いてきた「最強スプリンター」の存在は、2018年以降「同一ツールで4勝する選手」が昨年のカヴェンディッシュ以外では登場していないという戦国時代の様相を呈している。
そんな中に風穴を開けうる選手がこの男であると信じていた時期もあった。
そんな彼が、2020年ツール・ド・ポローニュ第1ステージで、進路妨害によってファビオ・ヤコブセンに重大な怪我を負わせ、そして彼自身も昨年5月までの出場停止処分を受けることとなった。
その復帰を巡り再びヤコブセンとの間でいざこざもあったりと、まだまだすべてが解決したわけではない雰囲気もあるが、そんな中、ユンボ・ヴィスマを去り、バイクエクスチェンジへと移籍することを決断。ユンボ・ヴィスマとも円満の契約終了であり、彼自身のツールをエースとして走りたいという思いと、再びスプリンター中心の勝利数を稼ぐチームへと後退したいというバイクエクスチェンジの狙いとも合致し、この移籍は確定することとなった。
復帰後はツール・ド・ワロニーとツアー・オブ・デンマークで合計3勝するなど、悪くない走りは見せているものの、まだまだツールで区間勝利を狙えるような最盛期の頃の強さを取り戻せるかは不透明。
マシューズとの「ダブルエース」体制も、チームとしての保険の可能性はある。
あとはもう、結果を出すだけだ。
一生ついて回りかねない十字架を背負いながらも、一人の選手として再び多くのファンを感動させる存在となるためにも。
その他注目選手
ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、26歳)
脚質:クライマー
アダム・イェーツもジャック・ヘイグもチームを去る中、本来であればサイモン・イェーツに続くチームのセカンドエースとなる資格が彼にはある。
もちろん、それだけの実力もあるはずだった。2020年のジロ・デ・イタリアの第1週目には、それこそその年のテイオ・ゲイガンハートのように、覚醒する兆しすら感じさせる瞬間はあった。
が、2021シーズンはパリ~ニース総合4位を最初に獲ったきり、以後は奮わない結果が続き、正直なところ期待外れな状況が続いている。
個人的にはずっと注目していた選手だけに、ここからの進化をずっと期待しているぞ。
マッテオ・ソブレロ(イタリア、25歳)
脚質:TTスペシャリスト
ディメンションデータ育成チームから昇格し、2020-2021シーズンのNTTプロサイクリングチーム解散騒動でアスタナに1年契約で移籍。
それまでの実績はTT能力がそこそこ高い、といったところで、そこまで期待されていた存在ではなかっただろう。
が、6月のツアー・オブ・スロベニアでは、圧倒的な力を見せつけたUAEチーム・エミレーツの表彰台独占を阻み、総合3位に割って入った。第4ステージのノヴァ・ゴリカ山頂フィニッシュでは、ウリッシとポガチャルと同じパックでの3位フィニッシュで、登れる力を見せつけた格好となった。
もちろん、TT能力も引き続き高く、ジロ・デ・イタリアでは最終日TTで区間4位。欧州選手権ではチームTTのメンバーとして活躍し、イタリアをヨーロッパチームTT王者に輝かせた(世界選手権では3位)。
シーズン終盤のイタリア秋のクラシックではのきなみDNFとやや不調の様子だったが、まだまだポテンシャルを持ってそうな男だけに今年の活躍には期待だ。
ローソン・クラドック(アメリカ、30歳)
脚質:TTスペシャリスト
2018年のツール・ド・フランス第1ステージで落車し、肩甲骨を骨折しながらも走り続け、総合最下位(ランタン・ルージュ)でシャンゼリゼにフィニッシュしたことが話題になっていた男。
その後も堅調な実力を見せ続け、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでは第19ステージにおけるマグナス・コルトの逃げ切り勝利を強力にサポート。絶対に捕まると思っていた5名の逃げ集団の中にコルトと共に入り込んでいた彼は、エースのための献身的な牽引を敢行。結果としてメイン集団から18秒差をつけて逃げ切った集団の中で、コルトはしっかりと勝利を掴み取った。
プロ勝利は1度だけ。それも国内選手権TTの勝利のみ。だが、勝ち星の数にとらわれない魅力がこの男にはある。
ブエルタでこのEFのアシストたちに辛酸を舐めさせられているマシューズにとっても、心強い存在ではあるだろう。
キャンベル・スチュアート(ニュージーランド、24歳)
脚質:スプリンター
昨年の東京オリンピック男子オムニアム銀メダリスト。2019年には世界選手権オムニアムでも優勝している元世界王者。この種目は過去にもフェルナンド・ガビリアやエリア・ヴィヴィアーニなど、世界のトップスプリンターたちが活躍している競技だけに、この男もその活躍の可能性が十分にある。
プロ3年目として、まだまだ成長途上の若手カーデン・グローブスとも同年代であり、共に苦境に立たされているチームに希望を灯す存在となってほしい。
ケランド・オブライエン(オーストラリア、24歳)
脚質:ルーラー
昨年活躍した注目の若手選手の一人ルーク・プラップと共にアマチュアチーム、インフォームTMXメイクに所属し、オーストラリア国内選手権ロードレースではエリートカテゴリで2位につけるなど実力を示していた男。
東京オリンピックではチームパーシュートのオーストラリア代表メンバーの一人として参加し、銅メダルを獲得。
スプリントはもちろん、平坦アシストも期待できる存在で、ルーク・ダーブリッジやクリストファー・ユールイェンセンと共に、このチームを支えている重要なオージールーラーとして欠かせない存在になりそうだ。
各チームへのリンク
チームDSM
チーム・ユンボ・ヴィスマ
トレック・セガフレード
UAEチーム・エミレーツ
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