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読み：チーム・ディーエスエム
国籍：ドイツ
略号：DSM
創設年：2005年
GM：イワン・スペケンブリンク（オランダ）
使用機材：スコット（スイス）
2021年UCIチームランキング：21位
(以下記事における年齢はすべて2022年12月31日時点のものとなります)
【参考：過去のシーズンチームガイド】
Team Sunweb 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Team Sunweb 2019年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Team Sunweb 2020年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Team DSM 2021年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
目次
※各グラフのポイントは独自に集計した2021シーズンの実績に基づきます。
同じポイントに基づいた各脚質ランキングは以下の記事を参照のこと。
各チームのプレビューをPodcast＆Youtubeでもやっています。
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2022年ロースター
※2021年獲得UCIポイント順
2020シーズンはマルク・ヒルシやセーアン・クラーウアナスンなどの大活躍で盛り上がっていたこのチーム。だが、昨年はチームと選手との間のいざこざが続き、数多くの選手が契約半ばでのチーム脱退を選ぶなど、チームとしてかなりガタガタな状況となってしまっている。
実際、昨年のUCIチームランキングもワールドツアーチーム中最下位。そして今年のメンバーのUCIポイント合計も当然最下位で、TOPのイネオス・グレナディアーズの5分の1しか獲得できていない。
そして状況を変えるための新規獲得も、育成チームからの昇格が中心で、補強とは言えない。
ただ、そんな中でも、昨年獲得したロマン・バルデは予想に反して3年ぶりの勝利を飾るなど活躍を見せた。今年はジョン・デゲンコルプも出戻りするなど、可能性を感じさせている。
また、昨年はそこまで活躍できなかったが、セーアン・クラーウアナスンやケース・ボル、ニルス・エークホフなど、実力ある選手はまだまだ残ってはいる。
もう一度、2020年のような奇跡を見せることができるだろうか。
注目選手
ロマン・バルデ（フランス、32歳）
脚質：クライマー
2021年の主な戦績
- ジロ・デ・イタリア総合7位
- ティレーノ～アドリアティコ総合8位
- ブエルタ・ア・エスパーニャ区間1勝
- イル・ロンバルディア8位
- ブエルタ・ア・ブルゴス区間1勝＆総合6位
- UCI世界ランキング54位
誰もが驚いた昨年のDSM移籍。だが、その初年度は、決して悪くないシーズンを過ごしたと言えそうだ。
元々は「もう総合は諦めたほうがいいんじゃないか」とも言われていたバルデだが、初挑戦となったジロ・デ・イタリアで総合7位。さらにはブエルタ・ア・エスパーニャ前哨戦のブエルタ・ア・ブルゴスでは3年ぶりの勝利を達成したうえで、続くブエルタ・ア・エスパーニャ本戦では4年ぶりとなるグランツールでの区間勝利。
2013年以降初となるツール・ド・フランス不参加となったシーズンではあったが、いずれも結果を出すことができ、今年に向けても良い滑り出しとなったと言えるだろう。
苦しい戦いを強いられているDSMの救世主となれるか。
ジョン・デゲンコルプ（ドイツ、33歳）
脚質：スプリンター
2021年の主な戦績
- エシュボルン・フランクフルト2位
- ロンド・ファン・リンブルフ3位
- グランプリ・デュ・フォルミエ6位
- トロ・ブロ・レオン6位
- ル・サミン7位
- UCI世界ランキング104位
2012年のアルゴス・シマノ時代から2016年のジャイアント・アルペシン時代までの実に5年間所属してきた「古巣」へと、6年ぶりの復帰を果たす。
この6年の間に彼は、ブエルタ・ア・エスパーニャ区間4勝やヘント～ウェヴェルヘムの優勝、パリ～ルーベ＆ミラノ～サンレモ同年制覇、さいたま王など、キャリアハイと言うべき成績を出し続けていた。
しかしその最終年である2016年の初頭に、ひどい交通事故に巻き込まれてしまう。練習中に逆走してきた自動車に撥ねられてしまい、左手の人差し指は切断しかけたという、大惨事であった。
その後、5月にはレース復帰し、同シーズン内に2勝もしてみせる。すばらしい不死鳥ぶりを見せたものの、2014年～2015年の最盛期の勢いはついに取り戻すことは叶わぬまま、今に至る。
そんな彼の「復活」は成し遂げられるのか？ ロマン・バルデが3年ぶりの勝利をしてみせたように、このデゲンコルプも、もしかしたらDMSで2年ぶりの勝利を掴み取ってくれるかもしれない。
同じドイツの先輩スプリンター、アンドレ・グライペルも、最終年となった昨年、見事に2勝を飾ってみせた。
デゲンコルプもまだまだ老け込むには早い。あの最高の笑顔を再び、ガッツポーズと共に見せてほしい。
アルベルト・ダイネーゼ（イタリア、24歳）
脚質：スプリンター
2021年の主な戦績
- ブエルタ・ア・エスパーニャ区間2位
- クラシック・パリ～ショニー2位
- プランプリ・ディスベルグ3位
- ジロ・デル・ヴェネト3位
- UCI世界ランキング153位
元SEGレーシングアカデミー。2020年にこのチームにてデビュー。現在に至るまでプロ勝利は1クラスで2回だけだが、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでは2位が1回、3位が2回と、トップスプリンターたちに張り合うだけの実力を示して見せた。
実際、マッテオ・トレンティンを超えて、このブエルタではファビオ・ヤコブセン、ジャスパー・フィリプセンに次ぐ3番手の実力者だったと言っても良いかもしれない。
チームDSMには彼のほかにもケース・ボルやニルス・エークホフなど、有望な若手スプリンターたちが多数おり、昨年はボルやエークホフがより強さを見せていたのに対し、今年はこのダイネーゼが頭一つ抜ける形に。
DSMはまずはかつてのようにスプリンターチームとして復活することが期待され、そのうえで彼ら若手スプリンターたちの切磋琢磨は重要な鍵となるだろう。
その他注目選手
ニキアス・アルント（ドイツ、31歳）
脚質：スプリンター
2013年から現在に至るまで、このチームに居続けている珍しい選手。かつてはアンドレ・グライペルやマルセル・キッテル、ジョン・デゲンコルプに続くドイツ人スプリンターの若手有望株として期待され、2016年のジロ・デ・イタリア最終日ではジャコモ・ニッツォーロの降格を受けて繰り上がり優勝を果たす。
だが、その後はチームにやってきたマイケル・マシューズの発射台として働く場面もあったが、段々とスプリンターとしてはそこまで一線級に活躍できる機会を失い・・・代わりに、稀代の逃げ巧者としての才能を発揮していった。
2017年のツール・ド・フランスでは、第19ステージの終盤でラウンドアバウトを利用して抜け出したエドヴァルド・ボアッソンハーゲンに唯一食らいつき、最後はボアッソンハーゲンに勝利を奪われたものの、2位は確保した。
そして2019年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、ついに逃げ集団の中での小集団スプリントを制するという理想的な勝ち方を果たす。
昨年もジロ・デ・イタリアで3回に渡り逃げに乗り3位・3位・4位と上位に入り込み続けたアルント。
今後もその積極的な逃げで、今度こそツールでの勝利を狙っていってほしいところ。
ケース・ボル（オランダ、27歳）
脚質：スプリンター
2019年にツアー・オブ・カリフォルニアの最終ステージで、レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ、ミケル・モルコフ、マキシミリアーノ・リケーゼ、ペテル・サガンが連なりトレイン体制を組んでいたライバルたちに対し、たった一人でその4人分の遮るもののない空間を突き抜けて勝利するという強烈な勝ち方をして見せた男。
こいつは化ける、と思っていたが、翌年のツール・ド・フランスではチームメートにも助けられ、勝利まであと一歩という走りを見せていた。
そして昨年はパリ～ニースにて勝利。その実力は本物で、年々磨きをかけている印象だ。
ただ、昨年はそのパリ～ニース以外ではイマイチ。オコロ・スロベンスカでも、ペテル・サガンに勝てないのはまだしも、イタマル・アインホルンにも負けているくらいなので、不調と言っても良い状態だった。
本来であればチーム最強のスプリンターと言ってもいいような存在。今年、「復活」することを期待している。
テイメン・アレンスマン（オランダ、23歳）
脚質：オールラウンダー
2018年ツール・ド・ラヴニール総合2位。あのタデイ・ポガチャルに次ぐ2位ということで、そのポテンシャルは間違いのない存在であった。
その後はしばらくSEGレーシングアカデミーで過ごしながら、2020年のシーズン途中からサンウェブ（DSM）へ移籍。早速出場したブエルタ・ア・エスパーニャではティム・ウェレンスが逃げ切ったステージで区間3位、昨年のツール・ド・ロマンディでは総合11位と新人賞獲得など、1.5年のプロキャリアにおいては悪くない走りを見せている。2回目の出場となるブエルタ・ア・エスパーニャでは最終日TTでログリッチ、マグナス・コルトに次ぐ区間3位と、オールラウンダーとしての才能も遺憾なく発揮された。
何しろヒンドレーもストーラーもファンヴィルダーすらいなくなったチームにとっては、ロマン・バルデに次ぐ総合セカンドエースと言っても良いような存在。掛けられた期待は大きい。
サム・ウェルスフォード（オーストラリア、26歳）
脚質：スプリンター
元オーストラリア国内選手権クリテリウム王者であり、昨年はツアー・ダウンアンダー代替レースであるサントス・フェスティバル・オブ・サイクリングの最終日にカーデン・グローブスを打ち倒して優勝。東京オリンピックのチームパーシュート代表メンバーの一人にも選ばれ、銅メダルも獲得している。
ピュアスプリントにおいては国内最高峰の実力の持ち主で、スプリンター強化を図るチームにとっては重要な選択肢の1つとなるだろう。コンチネンタル以下のチームしか経験していない燻り続けていた才能が、ワールドツアーの舞台で輝くことはできるか。
各チームへのリンク
トレック・セガフレード
UAEチーム・エミレーツ
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