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読み:ロット・スーダル
国籍:ベルギー
略号:LTS
創設年:1985年
GM:ジョン・ルランゲ(ベルギー)
使用機材:リドレー(ベルギー)
2021年UCIチームランキング:19位
(以下記事における年齢はすべて2022年12月31日時点のものとなります)
【参考:過去のシーズンチームガイド】
Lotto Soudal 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Lotto Soudal 2019年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Lotto Soudal 2020年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Lotto Soudal 2021年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
目次
※各グラフのポイントは独自に集計した2021シーズンの実績に基づきます。
同じポイントに基づいた各脚質ランキングは以下の記事を参照のこと。
各チームのプレビューをPodcast&Youtubeでもやっています。
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2022年ロースター
※2021年獲得UCIポイント順
2021シーズンはチームとしてもかなり不満の残る結果となった。
元々グランツールどころかステージレース総合すら狙えない体制の中、ほぼカレブ・ユアン一強体制のところでそのユアンが落車によって失速。ティム・ウェレンスも満足のいかないシーズンを過ごしたことによって、全体的にかなり低迷してしまった。
では今年の向けて弱点を補強する新規獲得ができたかと言うと、そんなことはない。結局のところ現有戦力にしっかりと結果を出させることが必要になってくる。
と、いうことで、以下の「注目選手」の項は、他チームであれば基本的には獲得UCIポイントの高い選手たちを対象にしていくことが多いのだが、このチームに関しては若い可能性に期待する選出の仕方を行っている。
なおその意味でオルダーニやタイッセンの放出は結構痛い・・・スプリントはもう、ユアン一本で戦っていくという意思の表れか? あとはまあ、昨年好調だったクロンもいるけれど・・。
注目選手
カレブ・ユアン(オーストラリア、28歳)
脚質:スプリンター
2021年の主な戦績
- ジロ・デ・イタリア区間2勝
- バロワーズ・ベルギー・ツアー区間2勝&ポイント賞
- ミラノ~サンレモ2位
- シーズン通算6勝
- UCI世界ランキング72位
同じ年に全グランツールで勝利するという大きな目標を立てて開始した昨シーズン。その第一陣となるジロ・デ・イタリアで快調に2勝を遂げ、体力を残したままリタイア。前哨戦ベルギー・ツアーでもしっかりと2勝し、万全の体制で挑んだツール・ド・フランス、そこでまさかの、初日スプリントステージでの大落車・・・この勢いならば十分に目標達成も見えていただけに、非常に残念であった。
復帰後もベネルクスツアーで1勝するなど、悪くない形で無理せずシーズンを締め括る。
今年、諦めず再度野望達成に挑んで欲しい。それは彼ならば十分にできることだし、最も乗りに乗っている今を逃せば、それは難しくなるだろうから。
ただし今年はもう1つの大きな目標がある。すなわち、母国オーストラリアで開催される世界選手権。おそらくはスプリンター向けになるであろうこの世界選手権で、栄光を掴み取れるか。
フロリアン・フェルメールシュ(ベルギー、23歳)
脚質:ルーラー
2021年の主な戦績
- パリ~ルーベ2位
- 世界選手権U23個人タイムトライアル3位
- シルキュイ・ドゥ・ワロニー8位
- UCI世界ランキング110位
2020年の6月に下部育成チームから昇格し、直後のブリュッセル・サイクリング・クラシックでトップライダーたちに混じっていきなり4位に入り、さらには同年のヘント〜ウェヴェルヘムで13位。
その年のヘントはいつものスプリンターズクラシックではなくかなり荒れた展開であり、上位にも錚々たる顔ぶれが並ぶ実力が試されるレースだっただけに、ネオプロ半年の彼のこの成績は驚きであると同時に将来の成功が約束されたものであるとして、個人的にもかなり注目をしていた。
だが、まさかパリ〜ルーベで2位に入るなんて、さすがに想像すらしていなかった。しかも、あの大雨の大混乱の中、形成された逃げの中にいて最後まで生き残る形で・・・パリ〜ルーベというレースは、しばしばそういったドラマを生み出すから面白い。
もちろん、これまでも「2位」になりながらも、そのあと次のビッグリザルトをなかなか引き寄せられない選手もいる。
フェルメールシュにとっても大事なのはこれから。この後、チームのクラシックエースとしての地位を確実なものとするために、今年もコンスタントに成績を出せるか。
ブレント・ファンムール(ベルギー、24歳)
脚質:ルーラー
2021年の主な戦績
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ区間1勝
ティレーノ~アドリアティコ区間2位
UCI世界ランキング594位
昨年5月のロンド・ファン・リンブルフ。それまで勝利経験のなかった23歳の若者は、このレースの終盤で独走に持ち込み、もはや、プロ初勝利間違いなしという局面にまで持ち込んでいた。
しかし、最後の最後でまさかの誘導ミス。彼自身の実力とは離れた部分でその最大のチャンスを失うこととなってしまった。
あまりにも悔しい結果。
だが、それはその後の大いなる成功への布石でしかなかった。
すなわち、直後のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第1ステージ。
逃げに乗ったファンムールはこの日の山岳賞ポイントの先頭をすべて掴み取り、山岳賞ジャージを確定させる。
それどころか、残り17.8㎞を切って最後の3級山岳に突入したところで独走を開始。
そのままプロトンとのタイム差を保ったままフィニッシュへ。最後はソンニ・コルブレッリを先頭にした集団とのタイム差25秒で見事逃げ切りを果たすこととなった。
1週間前に失った1クラスでのプロ初勝利は、まさかのワールドツアーに姿を変えてあっという間に手元に戻ってきた。しかも初日勝利ということで、マイヨ・ジョーヌすらその手中に収めたのだ!
そして、彼のその強さは、この一瞬で終わらなかった。
すなわち、ツール・ド・フランス第4ステージ。
ピエール=リュック・ペリションとの2人逃げを敢行していたファンムールは、残り13.5㎞から独走を開始。
そのまま残り7㎞で1分、残り3㎞で30秒・・・まさかの、ドーフィネでのプロ初勝利に続き、いきなりのツール・ド・フランス勝利・・・!?
だが、さすがにツールのプロトンはそこまで甘くはなかった。
あらゆるチームがアシストを失うほどの混戦状態になりながらも、一気にタイム差を詰められ、ついに残り200mーーギリギリのところで飲み込まれてしまった。
その日はマーク・カヴェンディッシュによるまさかの5年ぶりの勝利という歴史的な結末により、ファンムールの活躍はやや薄れてしまった感はあった。
しかし、フィニッシュ後、「逃げ王」トーマス・デヘントに慰められる姿はばっちりとカメラに収められていた。
これは新たなる逃げ王の誕生か。
ブレント・ファンムール。さらなる活躍に注目だ。
その他注目選手
ティム・ウェレンス(ベルギー、31歳)
脚質:パンチャー
昨年は正直、振るわなかった。シーズン最序盤のエトワール・ド・ベセージュこそ、得意の丘陵ステージでの逃げ切りとTTでの好成績により、総合優勝を果たしていたものの、ツール・ド・フランス直前で謎の不調により欠場。
血液検査の結果も、コロナ検査の結果も異常なし。原因不明のまま、ブエルタ・ア・エスパーニャにも出られず、その後の続報も見当たらず、今のところ原因は不明なままだ。
これまで似たような経緯で多くの有力選手がキャリアの下降線を辿っていったこともあり、不安である。
そしてそんなウェレンスが今年のロット・スーダルのロースターの中で、昨年最もUCIポイントを獲得した選手になるのだから、それだけ今年のこのチームがやばいことを表してもいる。
とりあえず、ウェレンスの状況は改善したのだろうか。それが一番の心配だ。成績はともかく秋のクラシックにも出場していたので、走れない状況ではないことは幸いだ。
2022シーズンは復活できるか。全グランツール制覇まであとはツールでの勝利のみ。頑張れ、ティム。
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、31歳)
脚質:TTスペシャリスト
元々ロット・スーダルに所属し、TTスペシャリストとして常に高いレベルで活躍。アワーレコードも記録更新するなど、有力な選手であった。
しかし、ベルギーという国は、あまりにも高い壁がそびえ立つ魔境であった。すなわち、ワウト・ファンアールト、レムコ・エヴェネプール・・・グランツールでのTT勝利も果たせず、オリンピックのベルギー代表メンバーにも選ばれず、段々と得意のTTでもその存在感を失いつつあった。
しかし、代わりに彼が活路を見出したのは逃げであった。元々高い独走力と、ベルギー人らしい多少の起伏や荒地に対する適性から、2020年の北のクラシックやジロ・デ・イタリアでの果敢なアタック。
そして、2020年ジロで惜しくも2位になった悔しさを晴らすかのように、今年のジロでついに成し遂げた逃げ切り勝利。
世界トップクラスのTTスペシャリストは、エスケープスペシャリストへと進化して、古巣ロット・スーダルへと舞い戻ってきた。
グランツールでの総合争いが狙えない以上、チームとしてもスプリントと逃げで稼ぐしかない。
トーマス・デヘントもいよいよキャリア晩年が近づく中、ファンムールやウェレンスと共に、チームの逃げ勝利役の中心の1人として結果を残していけるか。クラシックでのフェルメールシュへのアシストにも期待。
ルディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、33歳)
脚質:スプリンター
元はパスカル・アッカーマンの右腕とも言うべき存在のイメージが強かったこの男。しかし2020年から、何となく彼との連携がちぐはぐになる場面が多々。どちらが悪いのかは分からないが、タイミング合わずアッカーマンが勝ちきれない場面が目立つようになっていった。
今回の「行き先の違う移籍」は、その結果なのだろうか。ともかくも、彼にとっての新たな主人はカレブ・ユアンということか。しかしユアンの発射台役も強力なメンバーが揃っているだけに、この男にはどんな役割が与えられるのかは気になるところである。
実は北のクラシック適性も非常に高い男。過去にもパリ〜ルーベ中盤で抜け出してしばらく逃げ続けていた場面もあった。
その意味では、なかなかアシストも揃っていないフェルメールシュのサポートに期待したいところである。
2021年はあまり目立たなかった男だが、今年は密かに注目に値する存在だと思っている。
各チームへのリンク
トレック・セガフレード
UAEチーム・エミレーツ
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