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Trek - Segafredo 2022年シーズンチームガイド

以下の記事もチェック!

note.com

 

読み:トレック・セガフレード

国籍:アメリカ

略号:TFS

創設年:2011年

GM:ルーカ・グエルチエーナ(イタリア)

使用機材:トレック(アメリカ)

2021年UCIチームランキング:11位

(以下記事における年齢はすべて2022年12月31日時点のものとなります) 

 

【参考:過去のシーズンチームガイド】 

Trek - Segafredo 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

Trek - Segafredo 2019年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

Trek - Segafredo 2020年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

Trek - Segafredo 2021年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

 

目次

 

※各グラフのポイントは独自に集計した2021シーズンの実績に基づきます。

同じポイントに基づいた各脚質ランキングは以下の記事を参照のこと。

note.com

 

各チームのプレビューをPodcast&Youtubeでもやっています。

youtu.be

 

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2022年ロースター

※2021年獲得UCIポイント順

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2010年代後半からファビアン・カンチェラーラ、リッチー・ポート、ヴィンツェンツォ・ニバリなど、ベテランが多く集まる印象のあったトレック・セガフレードだったが、一方でジュリオ・チッコーネやクイン・シモンズなど、才能ある若手を積極的に獲得していく「育成チーム」としての側面も持つ。今年も昨年のU23世界王者フィリッポ・バロンチーニを獲得した。

ただ、昨年のポートに続き今年も「顔」であったヴィンツェンツォ・ニバリを失うなど、大きな変化も迎えつつある。今や、その中心はこのチームで育ってきたジュリオ・チッコーネであるとすら言える。まだまだ安定してエースを張れるとは言い切れない部分もあるが、このチームが「育成できるチーム」であることを証明するためにも、今年は成果がほしい。

 

その他、モスケッティやフアン・ロペスやゲブレイグザブハイアーなど、地味だが個人的には好きで活躍をずっと期待している選手たちも多いので、頑張ってほしい。昨年のストゥイヴェンのミラノ~サンレモ勝利は本当に感動したので・・・。

 

 

注目選手

ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、30歳)

脚質:パンチャー

Embed from Getty Images

2021年の主な戦績

  • ミラノ~サンレモ優勝
  • 世界選手権ロードレース4位
  • ロンド・ファン・フラーンデレン4位
  • ベネルクス・ツアー総合7位
  • UCI世界ランキング17位

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2016年のクールネ~ブリュッセル~クールネ勝利以来、惜しいところまではいくがなかなかビッグレースの勝利に恵まれずにいたクラシックスペシャリスト、ジャスパー・ストゥイヴェン(ヤスペル・スタイフェンとも)。

そんな彼が、「かつての僕であれば、きっと負けるのを恐れて動けなかっただろう。僕はもう敗北を恐れていない」と告げて勝利を掴んだのが2020年のオンループ・ヘットニュースブラッド。

www.ringsride.work

 

そしてこのときのマインドを元に、昨年、さらなるビッグレース――何しろ、世界最高峰のモニュメントの一角――を制したのが、ミラノ~サンレモであった。

www.ringsride.work

 

まさに、これぞロードレースといったドラマ。彼は決して「最強」ではなかったと思うが、しかし勝つべくして勝つ男であった。

 

ある意味、頂点を掴み取ったストゥイヴェン。彼の次なる目標は?

一つは、ツール・ド・フランスの勝利であろう。2016年、第2ステージでギリギリまで逃げ続け、残り450mであえなく飲み込まれてしまったあのときの無念を晴らすべきときがついにきた。

 

また、ワウト・ファンアールトとのダブルエースで臨みながら、最後はファンアールト脱落後も粘り、なんとか4位にまで食い込むことができた世界選手権の勢いを継承し、今年のウロンゴン世界選手権でもチャンスを掴むことができるか。

盤石のベルギーチームのエースゆえ自由には動けなかったことが彼の良さを潰していた部分もあり、今年の世界選手権でより自由に走ることができれば、可能性は十分にあるだろう。

 

 

バウケ・モレマ(オランダ、36歳)

脚質:クライマー

Embed from Getty Images

2021年の主な戦績

  • ツール・ド・フランス第14ステージ優勝
  • 東京オリンピックロードレース4位
  • トロフェオ・ライグエーリア優勝
  • リエージュ~バストーニュ~リエージュ8位
  • UCI世界ランキング20位

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ジロ・デ・イタリアで常に積極的に逃げ続け、それでも掴めなかった勝利。それでも、諦めず挑戦し続けた結果、ツール・ド・フランスではついに、第14ステージで勝利を掴んだ。

残り46.2㎞地点で逃げ集団からするりと抜け出して掴み取った勝利。

2017年に初めてツールで逃げ切り勝利をしたときも、残り29㎞地点の下りを利用して独走を開始し、2019年のイル・ロンバルディアでも、残り18㎞地点で牽制し合うプリモシュ・ログリッチとアレハンドロ・バルベルデの隙を突いたアタックから独走が始まった。

絶妙なタイミングからの抜け出しとソロエスケープという、彼の必勝パターン。それが綺麗に決まったのが、今回のツール・ド・フランスでの、2度目の勝利であった。

 

これからも、グランツールの総合を狙うのは難しいかもしれないが、その勝負勘を活かした逃げ切り勝利やワンデーレースでの勝利を重ねていってほしい。

 

 

マッス・ピーダスン(デンマーク、27歳)

脚質:スプリンター

Embed from Getty Images

2021年の主な戦績

  • クールネ~ブリュッセル~クールネ優勝
  • ツアー・オブ・デンマーク総合2位
  • ブレーデネ・コクサイデ・クラシック2位
  • ユーロメトロポール・ツアー3位
  • UCI世界ランキング76位

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2019年世界選手権での驚きの勝利。しかしその直後から彼は覚醒したかのように強くなり、2020年のツール・ド・フランスではシャンゼリゼで2位に入り込むほどの強さを発揮。今年もトレック・セガフレードのエースの一角として活躍してくれるだろう。

そんな彼の一つの目標はクラシックでの勝利。2020年のヘント~ウェヴェルヘムや昨年のクールネ~ブリュッセル~クールネでは勝ちきったものの、昨年はヘント~ウェヴェルヘムもロンド・ファン・フラーンデレンもパリ~ルーベもリタイアしてしまっている。

今年も一通りのクラシックにチャレンジするということで、ジャスパー・ストゥイヴェンや新加入のマルクス・フールゴールと共に結果を残したいところ。

 

また、地元デンマーク開催のツール・ド・フランスでもエースの一人として参加できるのは確実で、デンマーク内でのスプリントステージは全身全霊を懸けて戦うことになるだろう。

 

 

その他注目選手

ジュリオ・チッコーネ(イタリア、28歳)

脚質:クライマー

2016年、ネオプロ1年目のバルディアーニCSF時代にまさかのジロ・デ・イタリア逃げ切り勝利。そんな彼がその後じっくりと育てられながら2019年に満を持してトレック入りし、そして早速の山岳賞ジャージ獲得&2度目のステージ勝利。

イタリアの若き天才は昨年、ついに総合エースとして戦うことを始め――総合6位という、素晴らしい成績を見せていた中で、悔しい落車リタイアを喫してしまった。

その後参戦したブエルタ・ア・エスパーニャでも3週目の冒頭にリタイアするなど、2021年はチャレンジの年であり、悔しい年でもあった。

ヴィンツェンツォ・ニバリが去った今、チームにおいては最も期待されうる総合エースであることは間違いない。ファビオ・アルも果たせなかった「ニバリの後継者」として、今年こそ大いなる飛躍を見せてくれることを強く強く期待したい。

 

アントワン・トールク(オランダ、28歳)

脚質:クライマー

ユンボ・ヴィスマで5年間を過ごしてきた若き才能。2018年のクラシカ・サンセバスティアンでは、最後の勝負所ムルギル・トントーラのラスト1.1㎞から単独で飛び出し、強烈な走りを見せつけた。このときはジュリアン・アラフィリップやバウケ・モレマに追い付かれ、最終的には10位で終わるが、その足が本物であることを見せつけた。

今年、ワールドツアーチーム入りしてからは初めての移籍。この変化が、彼にとって大きな利益をもたらしてくれるかどうか。

また、ジャパンカップでも2017年に4位、2018年に2位に入るなど、適性の高さを見せつけており、ここ2年中止になってしまっているのは残念だが、今年はぜひとも開催し、そしてこのトールクにまた来てほしい。

そのときは全力で応援してみせるから。

 

マルクス・フールゴール(ノルウェー、28歳)

脚質:ルーラー

チーム・ジョーカー、Uno-Xプロサイクリングチームと、ノルウェーのコンチネンタル~プロチームを長年歩んできた男。その彼が昨年、E3サクソバンク・クラシック8位、アークティックレース・オブ・ノルウェーでのレイトアタックによる勝利など、実績を携えてついにワールドツアーデビューを果たす。

ジャスパー・ストゥイヴェン、マッス・ピーダスンなどのクラシック班の重要な一角として、チームの強化における大事な存在となることだろう。

 

フィリッポ・バロンチーニ(イタリア、22歳)

脚質:パンチャー

昨年のU23世界選手権で、30名弱の集団スプリントで決着するかと思われていた展開の中で、残り5㎞からの奇襲アタックを成功させて勝利を掴んだネオプロ。ヨーロッパ選手権でもサバイバルなレース展開で生き残った6名の小集団の中で2位。

U23版ジロ・デ・イタリアの25㎞平坦個人TTでも優勝し、U23版イル・ロンバルディアでも10位に入るなど、様々な局面で強さを発揮する、オールマイティな才能を持つ将来有望な男だ。

だが、若い才能はよく獲得するが、その「育成」において果たしてどこまで実績があるか・・・?と言われるとあまり思い当たる節が多くないこのチームで、果たしてどんな成長を見せられるか。

 

クイン・シモンズ(アメリカ、21歳)

脚質:ルーラー

2020年に18歳でプロデビュー。「レムコ・エヴェネプール2世」と騒がれた男は、エヴェネプール同様のスピードで活躍するわけにはさすがにいかなかった。

2020年末にはSNSでやや「炎上」してしまうなど、ポジティブとは言い切れない1年目を過ごした彼ではあったが、昨年はツール・ド・ワロニーで逃げ切り勝利(最後はスタン・デウルフとの一騎打ちを制する)ののちに総合優勝。

さらにブエルタ・ア・エスパーニャでもマグナス・コルトが3回目の勝利を果たした第19ステージでの、6名の逃げきり集団の一人でもあった。

 

まだまだ、どんなタイプとも言い切れない未知数なところはあるが、こういう選手は割と個人的に好きだったりするので、その活躍に期待したい。

 

 

各チームへのリンク

AG2Rシトロエン・チーム

アスタナ・カザフスタンチーム

バーレーン・ヴィクトリアス

ボーラ・ハンスグローエ

コフィディス

EFエデュケーション・イージーポスト

グルパマFDJ

イネオス・グレナディアーズ

アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ

イスラエル・プレミアテック

ロット・スーダル

モビスター・チーム

クイックステップ・アルファヴィニル

チーム・バイクエクスチェンジ・ジャイコ

チームDSM

チーム・ユンボ・ヴィスマ

UAEチーム・エミレーツ

 

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