りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

スポンサーリンク

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2019年シーズン(前編)

毎年恒例! ガッツポーズ選手権を今年も開催します。

まずは前編と後編とに分けて、合計20個の「ノミネートガッツポーズ」を独断と偏見のもと選ばせていただきました。

 

その中から、これが最も印象に残った!記憶に残った!美しい!といったを1位~3位で選んでください。なお、ノミネート以外のガッツポーズを選ガッツポーズんでいただくことも可能です。

 

投票は以下のGoogleフォームから。

docs.google.com

 

☆ルール☆

  • 1位~3位にそれぞれ3ポイント~1ポイントを加え、最終的に獲得ポイントを合計して順位を決めます。
  • 2位・3位については「空欄」も可ですが、1位を空欄で2位・3位を回答したり、1位と3位を回答して 2位を空欄にした場合は、それぞれ順位繰り上げを行います。
  • 1位~3位で2つ以上、同じ回答を行った場合は無効票とします。
  • あなたのおススメのガッツポーズを選んで書いていただいてもかまいません。その場合は選手名とレース名(ステージレースの場合はステージ数)を必ず添えてください。

 

締め切りは11/8(金)終日を予定!

お早目の回答をよろしくお願いいたします。

 

【参考:過去のガッツポーズ選手権とその結果】

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2017年シーズン - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権2017 結果発表 - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2018年シーズン(前編) - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2018年シーズン(後編) - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権2018 結果発表 - りんぐすらいど

 

後編はコチラ

www.ringsride.work

 

スポンサーリンク

 

 

1.ウィネル・アナコナ(ブエルタ・ア・サンフアン第5ステージ)

Embed from Getty Images

ツアー・ダウンアンダーと並び、シーズンの開幕を告げる南米のレース、ブエルタ・ア・サンフアン。そのクイーンステージとなるアルト・コロラド山頂フィニッシュを制したのは、ナイロ・キンタナの盟友ウィネル・アナコナ。 2014年、当時ランプレ・メリダ所属だったときのブエルタ・ア・エスパーニャ区間優勝以来、5年ぶりの勝利。しかも、これがプロ入り後2度目の勝利だったという。

 

ブエルタ・ア・サンフアンはこの日まで、ジュリアン・アラフィリップが第2ステージと第3ステージの個人TTとで優勝しており、総合争いにおいて大きなリードを保っていた。とくに、最大のライバルと思われていたナイロ・キンタナとのタイム差は40秒。このまま、アラフィリップが総合優勝するだろう、という見方が優勢であった。

しかし、やはりモビスターはこのサンフアンに、南米系の選手を中心にかなりの実力者を揃えてきていた(のちにジロ・デ・イタリアを制するアナコナの姿もあった)。2,600mを超える標高のアルト・コロラドでは、彼ら南米選手たちが最も力を発揮しやすい舞台でもあり、ここで彼らが、ドゥクーニンク・クイックステップに対して牙を剥く。

 

まずは、残り14㎞からのアナコナのアタック。TT能力もそれなりに高く、アラフィリップからは27秒しか遅れていなかった彼の存在は思わぬ伏兵であり、ドゥクーニンク・クイックステップとしても逃がすわけにはいかなかった。

だがこのサンフアンにはスプリンターのホッジのためのアシストも連れてきているドゥクーニンクにとって、この局面で動かせる駒はそう多くはなかった。最終山岳アシストの予定だったペトル・ヴァコッチも残り9㎞で失い、いよいよアラフィリップは丸裸になった。

いや、まだこの男がいた。レムコ・エヴェネプール。わずか19歳の、このサンフアンがプロ初レースとなる男が、この最終局面で、3.5㎞にわたって集団の先頭を牽き続けた。

残り2.5㎞でついに力尽きたエヴェネプールを踏み台にして、アラフィリップがアタック。アナコナに対する反撃を開始するはずだった。

 

しかし、ここで動いたのがキンタナだった。持ち前の加速力で、すぐさまアラフィリップを抑え込む。そして、追いついたあとはまたその後輪にじっとしがみつき、アラフィリップの前には決して出ない。

いつもはアシストされる側であるキンタナが、アナコナのステージ勝利、そして総合逆転優勝に向けて、見事なアシストを演じて見せた。

 

 

結局は、写真の通りの結末である。キング・オブ・アシストのアナコナが、ツキイチを保っていたコンチネンタルチームの2人をスプリントで突き放し、完璧な勝利を飾った。

これにて彼にとって初となるステージレースでの総合優勝も果たすこととなった。

 

来期は、キンタナとともにアルケア・サムシックへと移籍することがきまっているアナコナ。

キンタナは辛いシーズンを重ね続けてはいるものの、この2人が、この信頼関係を保って戦い続ける先に、きっとまた栄光が待っていることを願っている。

 

↓ブエルタ・ア・サンフアン全体についてはこちら↓

www.ringsride.work

 

 

2.アレクセイ・ルツェンコ(ティレーノ~アドリアティコ第4ステージ)

Embed from Getty Images

元U23世界王者で稀代のエスケープスペシャリストの1人として、ツール・ド・スイスやパリ〜ニース、ブエルタ・ア・エスパーニャなどで逃げ切り勝ちを積み重ねてきた男。今回のティレーノ〜アドリアティコもまた、終盤のアタックから独走に持ち込み、そのままの逃げ切りが固い、と思われていた。

 

しかし、事はそう簡単には進まなかった。

最終盤の下りのカーブで、1度目の落車。このときは、巧みなブレーキングでほぼダメージもタイムロスもなく復帰できたが、残り1.5㎞地点で2度目の落車。

これもあって、残り500mでついに、ヤコブ・フルサング、アダム・イェーツ、プリモシュ・ログリッチェの3名に捕まえられてしまう。

 

もはや、ルツェンコの勝利はないはずだった。むしろ、フルサングのアシストに徹するべきタイミングだった。実際に、それを意図したのかもしれない。フルサングはライバルたちの動きを窺う姿勢を見せ、ルツェンコは誰よりも早くスプリントを開始した。

それは破れかぶれだったかもしれない。しかし、彼の勝利への執念が奇跡を起こした。追いすがったアダムもログリッチェも退けて、ルツェンコが最初にラインを割ったのだ。

 

2度の落車からの、まさかのスプリント勝利。

「本当に美しい勝利」とルツェンコ自身も形容するこの勝利を、フルサングもまた笑顔で見送った。

 

↓ティレーノ~アドリアティコ全体についてはこちら↓

www.ringsride.work

 

 

3.ジュリアン・アラフィリップ(ミラノ~サンレモ)

Embed from Getty Images

昨年も驚異的な成果を出し続けていたアラフィリップが、今年もまた躍進の連続であった。

3月の上旬にストラーデ・ビアンケで鮮烈な勝利を果たしたかと思えば、ミラノ〜サンレモでもまた。今年、彼の劇的な瞬間は多く、どれをノミネートするか迷ったが、その中でもこの「立て続けのビッグレース勝利」のインパクトとモニュメントであること、そしてこの「両手をピンと天に突き上げたポーズの美しさ」から、この写真を候補に選んだ。

 

アラフィリップがなぜこの「スプリンターズクラシック」で勝利を掴むことができたのか、については以下の記事で詳述している。

www.ringsride.work

 

こうしてみると、やはりクイックステップの層の厚さ、チーム力が飛び抜けていることがよくわかる。

そして、そんな銀河系軍団が皆、自分の勝機を犠牲にしてでも尽くそうと思わせるほどの信頼感が、アラフィリップにはあることも。

 

今年、アラフィリップはツール・ド・フランスで神話を生み出した。一方でその代償は大きく、もう1つの大きな目標であったはずの世界選手権は、残念ながら逃すこととなった。

来年は何を目指していくのか。これからのこの神童の行方からまだまだ目を離せない。

 

 

4.アレクサンドル・クリストフ(ヘント~ウェヴェルヘム)

Embed from Getty Images

今年の北のクラシック最強選手ランキングで見事1位を掴み取ったクリストフ。その大きな要因となったのがこのヘント〜ウェヴェルヘムでの勝利だ。

小さくガッツポーズを作るクリストフの表情には、爆発するような歓喜というよりは、どこか安心のようなものが浮かんでいる。その脇で、全身の力を使い果たしたかのように自転車に崩れ落ちるデゲンコルプの姿と、両肩を落とすナーセンの姿。

この3人の主役を引き立てるようにして、マチュー・ファンデルポールを含む強豪選手たちが背景で群れをなしている。

 

激しい集団スプリントを想像させる絵でありながら、完全なる「静」を感じさせる瞬間を切り取ったこの1枚は、まるで奇跡のような写真である。

これを撮ったLuc Claessens氏は本当凄い。

 

さて、このレースは、決してこの瞬間だけが美しいわけではない。むしろ、このフィニッシュの瞬間に至るまでの間に、いくつものドラマが待っていた。

まずは、ペテル・サガンの挑戦である。

 

今年のヘント〜ウェヴェルヘムは、例年以上に横風がドラマを生んだ。国際映像の中継が始まったときには、すでにサガン、ファンアールト、ファンデルポール、デゲンコルプ、ガビリア、テルプストラといった強力な18枚の逃げ集団が形成されていた。

さすがにこの超危険集団はやがて引き戻されるが、そこからさらにサガン、マッテオ・トレンティン、マイク・テウニッセン、ルーク・ロウというこれまた強力な4名が抜け出すこととなる。

集団は全力で4名を追うが、そのタイム差はなかなか縮まらない。このまま逃げ切りか、と思ったところでーードゥクーニンク・クイックステップが、エリア・ヴィヴィアーニに去年の雪辱を晴らさせるために、またもチームとしての完璧な走りを見せることとなった。

イヴ・ランパールトが、ゼネク・スティバルが、フィリップ・ジルベールが・・・先のミラノ〜サンレモでアラフィリップのために尽くしたメンバーが、今度はヴィヴィアーニのために死力を尽くし、オールアウトする勢いで牽引し続けた。

かくして、サガンの挑戦は終焉を迎える。本来、サガンの動きは間違いなく勝利に一番近いものであった。相手がクイックステップでさえなければ、逃げ切ることは十分にできていただろう。そのときの悔しさは、以下のインタビューでも語られている。

www.ringsride.work

 

だが、この勝負はクイックステップが勝利した。ただし、彼らはレースには勝てなかった。アシストをすべて使い果たしたドゥクーニンクは、ヴィヴィアーニによる最後のスプリントに賭けたが、これを打ち破ったのは、UAEチーム・エミレーツの「ダブルエース」だった。

すなわち、フェルナンド・ガビリアとクリストフとのコンビネーション。2月のUAEツアーでは、クリストフがガビリアを助ける形で勝利を重ねていった二人だったが、このヘント〜ウェヴェルヘムでは、ガビリアが先行し、これに釣られる形でヴィヴィアーニが出て、その後ろから完璧なタイミングでクリストフがスプリントを開始する、という離れ業をやってのけた。

まさに、無敵のコンビネーション。シーズン前はどうなることか不安しかなかった2人が見せた、見事な連携であった。

これが今年のツールでも見ることができれば無敵だ、と多く人が思ったに違いない。

 

だが、それはジロでのガビリアの落車などにより歯車が狂い始める。結果として、ハイ・シーズン期はガビリアもクリストフも振るわないまま埋没していってしまうこととなった。

だが、一時は移籍の噂もあったクリストフは来年も残留。また、立て直した2人によるコンビネーションが見られるかもしれない。

来年もUAEのスプリンター陣に期待していきたい。

 

 

5.アルベルト・ベッティオル(ロンド・ファン・フラーンデレン)

Embed from Getty Images

ベストレースでも取り上げた感動のロンド・ファン・フラーンデレン。ガッツポーズもサングラス取って目頭を押さえてからのこのドーンというなかなか独特なものだったため、ここでもノミネート。

両腕を大きく広げたり、絶叫したり、ではなかった。ただ、その腕を下に突き出したときの力強さは半端無かったし、左手を目頭に2度当てる仕草、そして最後にサングラスを思いっきり投げつける仕草、その1つ1つに静かな感情の昂りが込められており、「見たか!見たか!見たか!」という彼の心の叫びが聞こえてくるかのようだった。

このガッツポーズはぜひ、映像で見て欲しい。You Tubeで検索すればいっぱい出てくるので。

 

そして、この勝利へと至る「ピンクのウルフパック」の素晴らしき走りについてもぜひ見てほしい。以下の記事で(宣伝)。

www.ringsride.work

 

 

6.フィリップ・ジルベール(パリ~ルーベ)

Embed from Getty Images

2年前にロンド・ファン・フラーンデレンを制したときも信じられない思いだった。だが、彼なりに、チームメートとの競合のために北のクラシックをエースで走れないことに不満を持っての、勇気あるチーム離脱だった。その初年度で、しっかりと夢を叶えた。

そんな男が、さらに今年、もう1つの夢を叶えた。パリ〜ルーベ。それでもまだ急坂の多いロンドならわからなくもないが、まさかロンバルディアすら制する「アルデンヌの皇帝」が、この純粋なる石畳クラシックまで制してしまうとは。

だからこそその瞬間の歓喜は、これほどの男であっても格別なものであった。その二の腕には強さの象徴、アルカンシェル。だが表情はまるで、これが初めての勝利であるかのように無邪気であった。

飽くなき勝利への渇望。それこそが強さの原点なのだと思い知らされる。

 

ルーベはいつだって感動の勝利を生み出す。来年もまた、地獄を乗り越えた最強の選手に歓喜が訪れる瞬間を目の当たりにしたい。

 

なお、ジルベールは来期、クイックステップを去り、ロット・スーダルへと移籍する。理由は、クイックステップが1年間の契約延長を申し出たのに対し、ロット・スーダルが3年間の契約延長を提示したからだという。

「もっとレースを走りたい」とジルベールは言う。引退はまだまだ先のことのようだ。

 

 

7.マチュー・ファンデルポール(アムステルゴールドレース)

Embed from Getty Images

こちらもベストレースでも取り上げたレースだが、やはりこの歴史を変えた瞬間については、ガッツポーズ選手権でも選ばないわけにはいかない。

ロードレースの常識を覆した「ありえない」結末に、誰よりも驚いていたのは彼自身だったのかもしれない。我武者羅にゴールに突っ込んできたあと、頭を抑え、信じられないといったような表情で通過していくファンデルポール。そのあと彼は大地に倒れこみ、全てを出し切った戦いであったことが証明された。

 

詳細についてはベストレースの記事を参照していただけると幸い。

 

なお、どうしても1人1つの原則を自分に課しているため、苦しむほどに悩んだ末にこれに決めたが、ツアー・オブ・ブリテン第7ステージのガッツポーズも芸術点高いので見て・・・。あんなんマチューにしかできん。。

 

 

8.エマヌエル・ブッフマン(イツリア・バスクカントリー第5ステージ)

Embed from Getty Images

今年のイツリア・バスクカントリーの主役の一人は、間違いなくボーラ・ハンスグローエのマキシミリアン・シャフマンだった。第4ステージまでの間にステージ3勝を記録し、総合2位はチームメートのコンラッド、ライバルとなる総合3位ヨン・イサギレとの間には52秒ものタイム差をつけていた。

しかし、タイムトライアル能力とパンチャー的な能力に優れるシャフマンにとっても、この日の本格的な山岳には対応しきれるか不安だった。それを当然わかっているアスタナ・プロチームは、ルイスレオン・サンチェスを中心にレース中盤から早くも激しく攻勢を仕掛けていった。

そして、残り40㎞。ゴルカ・イサギレが先頭に立って牽引するメイン集団から、シャフマンが遅れかける。だが、彼はそこであきらめることなく、得意のペース走法でじっくりと、着実にタイムギャップを詰めていく。

そして残り30㎞を前にして、なんとか集団復帰を果たした。

 

エマヌエル・ブッフマンがアタックしたのはこのタイミングだった。ルイスレオン・サンチェスがこれに食らいつく。ヨン・イサギレはメイン集団でシャフマンを警戒する役割を担った。

しかし、これこそがボーラ・ハンスグローエの狙いだったのだ。

サンチェスはすでに7分も遅れていて総合優勝を狙うには厳しい立場。対してブッフマンは、この時点でまだ1分10秒遅れの総合6位だったのだ。ヨン・イサギレとのタイム差は18秒。

このことに気がついたアスタナはサンチェスを集団に戻すことに。2分近くに開いた先頭ブッフマンとメイン集団とのギャップを埋めるべく、集団に戻ったサンチェスはなおも牽引を続ける。

そしてシャフマンは、このメイン集団を撹乱し、妨害する役目を担う。自らの総合リーダーの座を惜しげもなく犠牲にし、チームメートの逆転を大きくサポートしたのである。

 

その末の、ブッフマンのガッツポーズ。ここには、自らの勝利を祝う気持ちとともに、チームメートへの誇りも込められているように感じる。

今年、ボーラ・ハンスグローエはさらなる成長を遂げつつある。もはや、かつてこのチームがワールドツアーに昇格した際に感じた、「サガン頼みのチーム」という面影は一切ない。

彼らは本当に、強いチームになった。

 

↓イツリア・バスクカントリーの詳細と結末は以下から↓

www.ringsride.work

 

 

9.カレブ・ユアン(ジロ・デ・イタリア第8ステージ)

Embed from Getty Images

2015年にブエルタ・ア・エスパーニャでサガンとマイケル・マシューズを打ち破って衝撃の勝利。2016年と2017年のツアー・ダウンアンダーでは、まさに誰をも寄せ付けない最強のスプリント力を見せつけていた。

次の時代を作るのはこの男だ、と確信していた。

 

しかし、同年代のフェルナンド・ガビリアが1年遅れでグランツールデビューを果たすと、あっという間にジロ・デ・イタリアで4勝&マリア・チクラミーノ。同じジロに出場していたユアンは1勝。その後も、躍進するガビリアに対し、ユアンは常に遅れをとり続けていた。

2018年は得意のダウンアンダーでも1勝しかできず、ガビリアがマイヨ・ジョーヌを着たツール・ド・フランスには出場するすらできず。

早すぎる暗黒の時代に突入していたユアンは、その中で掴み取ったツアー・オブ・ブリテンでの勝利で、渾身のガッツポーズを見せてい(昨年のガッツポーズ選手権を参照のこと)。

元々ユアンは好きな選手だったが、このときの彼の表情を見てなおさら好きになった。そして、盟友ロジャー・クルーゲを連れてのロット・スーダルへの移籍。シーズン冒頭のダウンアンダー・クラシックで幸先の良い勝利を得つつ 、そのあとの勝利は「降格」扱い。しかしドバイ・ツアーではまさかの激坂スプリントでリベンジ達成。

そうやって、少しずつ自分を進化させながら、新たなチームでの実績を積み上げていった先に、彼は今年、誰よりも成功したスプリンターの1人になった。

すなわち、ジロで2勝、ツールでは・・・シャンゼリゼを含む3勝。

彼は、苦しい時代をいくつも乗り越えてきて、ようやく、ようやくこの場所に辿り着いたのだ。

 

今回選んだガッツポーズは、その「復活」の端緒ともいうべき「ジロ2勝」の1勝目。信じられないという思いと、歓喜と、これまで積み重なってきていた思いをすべて吐き出すかのような表情。

お疲れ様、カレブ。そしてこれからだ。これからまた、あなたの物語はスタートする。

 

↓ジロ・デ・イタリア第1週の概要は以下のリンク参照↓

www.ringsride.work

 

 

10.ジュリオ・チッコーネ(ジロ・デ・イタリア第16ステージ)

Embed from Getty Images

2016年のジロ・デ・イタリア、当時はプロコンチネンタルチームのバルディアーニCSFに所属していたジュリオ・チッコーネ(当時21歳)は、チームメートのステファノ・ピラッツィとNIPPOヴィーニファンティーニのダミアーノ・クネゴと共に3人で逃げていた。そして、テクニカルな下りでピラッツィがクネゴを巻き添えにしながらコーナーリングミスで失速すると、そのままチッコーネは単独で抜け出し、逃げ切り勝利を果たした。
その彼が、3年後、ワールドツアーチーム入りを果たした上で、再びジロ・デ・イタリアの地で活躍を見せることになる。第1ステージから積極的に逃げ、山岳賞ジャージを着続けたうえで、この第16ステージで、さらなる栄光を求めて名峰モルティローロの登りを駆け上がっていった。

 

残り27km。モルティローロの山頂で先頭に残っているのはチッコーネとアスタナ・プロチームのヤン・ヒルトだけだった。

 

ヒルトもまた、かつてプロコンチネンタルチーム(CCCスプランディ・ポルコウィチェ)所属時代にジロ・デ・イタリアで活躍をしてみせた男である。

実力がありながらもまだ勝利の少ない彼も、このジロ・デ・イタリアでの逃げ切り勝利のチャンスは逃したくなかったはずだ。

だが、彼には果たすべき役割があった。それは、後方から迫ってくる、総合を狙うエースの存在。

それゆえに彼は、2人旅になった残り27㎞を、ほとんど前を牽かないということを選択した。

当然、チッコーネは怒り、何度も前を牽け、というジェスチャーをヒルトに向けて繰り出していた。

 

ただ結局は、チッコーネのほぼ単独牽きながら、追走集団は彼らに追いつくことができなかった。

最後は、ヒルトが自分を出し抜くに違いないと警戒し続け、いつまでもスパートをかけようとしないチッコーネに対し、ヒルトが先に一瞬だけ、腰を上げた。

その瞬間にチッコーネがスプリントを開始。直後、ヒルトは早めに腰を下ろしたように見えた。

真実は分からない。ただ、仕事人ヒルトが自らの役割を全うした末に、最後の最後は若者に敬意を表したようにも見えた。

 

そして、ジュリオ・チッコーネ。人生2度目の勝利。しかし、前回はやや、悪運に助けられての勝利。しかし今回は、山岳賞ジャージを着て、自らの足でライバルたちを引きちぎり、ほぼ一人で彼らを追いつかせることなく逃げ切った。

強さを見せつけた勝ち方だった。それがゆえに彼は、前回以上の興奮でもってこの瞬間を迎えた。

 

極寒と豪雨の中、着ようと思ってなかなか着れずにいた上着も怒りのままに捨て去った。最後は着けていたサングラスすら投げ捨てて、感情を爆発させる咆哮を轟かせた。

ムチャクチャ熱い男だった。その熱さは、この写真からも伝わってくるはずだ。

 

そしてそんな彼は、シーズン終盤でも強さを見せつけた。

直近のジャパンカップ・サイクルロードレースで見せた彼の強さについては以下の記事を参照のこと。

www.ringsride.work

 

   

後編はコチラ

www.ringsride.work

  

投票は以下のGoogleフォームから。

docs.google.com

 

スポンサーリンク

 

 

スポンサーリンク