りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2020年シーズン  各チームのグランツール出場予定選手概覧

 

なんだかんだで例年当ブログ内でもPV数を稼いでいるこの「グランツール出場予定選手概覧」。

毎年シーズン序盤で更新が止まるのにジロやツールの直前に見に来てくれる方が多く恐縮だが、今年もまあとりあえずは現時点での噂を集めた情報ということでまずは勘弁願いたい。

気力があれば、最新情報が出次第更新していくこととする。

 

とりあえず今年は昨年同様新型コロナウイルスの影響でスケジュールが大きく混乱する恐れがあるため、より一層、暫定的なものであることに注意願いたい。

ただ、この時点で曖昧な情報を掴みつつあれやこれやと妄想するのもこの時期の楽しみなので、一緒に楽しむための素材となってくれれば幸い。

こちらに載っていない情報があればぜひコメントなどで教えてもらえると幸いです!(通知が来ないのでコメントに気づくの遅れがちなのでご了承ください) 

※表中および記事中の年齢はすべて、2021/12/31時点のものとなります。

 

目次

 

出場予定一覧(暫定版)

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AG2Rシトロエン・チーム

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ボブ・ユンゲルスはツールに出場するがステージ勝利がメインの目標

驚きをもって迎えられた、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、29歳)のAG2R入り。そんな彼の今年最大の目標は1週間程度のステージレースとアルデンヌ・クラシックだという。

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ステージレースとアルデンヌという組み合わせはそこに北のクラシックを絡めるよりはずっと論理的で良い組み合わせだと思っている。かつて僕はクラシックに全力を尽くしたあとにジロ・デ・イタリアに出場するという失敗を犯しているからね。ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ~ルーベはそのうちまた出場したいレースではあるけれども・・・まあ、もしチームが僕を必要とするならば、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャのあとに北のクラシックに出場する選択肢がないわけではない

 

ということで、「ウルフパック」時代に見出した彼の北のクラシックへの才能は、もしかしたら今年は一旦、封印することになるかもしれない。もし出場したとしてもそれはグレッグ・ファンアーヴェルマートやオリバー・ナーセンのアシストとしてだろうし、それよりは、彼がこのチームに来た最大の目的、すなわちエースとして走ることを主軸に考えたとき、その目標はアルデンヌ・クラシックと、そして1週間程度のステージレースということになる。

だから、アルデンヌと、そして3月のパリ~ニースが彼の一つの大きな目標である。ツール・ド・フランスにも出場するが、そこでの総合成績は狙っておらず、ステージ勝利を目指すくらい。ツールの前には、ツール・ド・スイスもしくはクリテリウム・ドゥ・ドーフィネに出場する予定だという。

かつて、総合系ライダーの次の可能性として見出され、実際に2年連続でジロ・デ・イタリアの新人賞を獲得した若き才能は、少なくとも総合系ライダーとしては近年、苦しい時期を過ごしていた。

2021年はそこからの復活と、自信を取り戻すべき時期に来ている。まずはパリ~ニース、そしてアルデンヌ・クラシック。

 

 

アスタナ・プレミアテック

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ウラソフはジロ総合を狙い、フルサンはツールのステージとオリンピックの金メダルを狙う 

2020年に飛躍を遂げた若者の1人、アスタナ・プレミアテックのアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、25歳)は、2021年にジロ・デ・イタリアを総合エースとして走り、表彰台を目指す。イネオス・グレナディアーズがその食指を伸ばしていると噂されるが、アスタナとしては早期に彼を総合エースとして待遇することで対抗するつもりのようだ。

彼はジュニア時代をイタリアで過ごし、イタリア語も流暢に話す。そのイタリアを舞台にしたイル・ロンバルディアではヤコブ・フルサンの優勝を強力にサポートし、自らも3位に。直後のジロ・デッレミリアでは優勝し、ティレーノ~アドリアティコもかなり調子よく過ごした中で臨んだジロ・デ・イタリアだったが、第2ステージで体調不良を理由にリタイアしてしまった。

再び挑むジロ。そこで彼は早速、その総合優勝候補として注目されるような走りを見せることができるのか。

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もう1人のエース、ヤコブ・フルサン(デンマーク、36歳)はツール・ド・フランスに出場するが、総合ではなくステージを狙う予定とのこと。

すでにリエージュ~バストーニュ~リエージュ、イル・ロンバルディアとクライマー向けのモニュメントを制している彼にとって、グランツールの総合を狙うよりもワンデーレースの最高峰を目指す方が性に合っているようだ。

その意味で、東京オリンピックは彼の大いなる目標の1つとなる。何しろ、同じようにクライマー向けのコースが用意された5年前のリオデジャネイロ・オリンピックでは、グレッグ・ファンアーヴェルマートに惜しくも敗れての2位だったのだから。

もしも、オリンピック出場のために2週間の検疫が必要とされ、ツール・ド・フランスを途中離脱しなければならなくなったとしたら、彼はきっと迷いなくそちらを選択することだろう。だからこそツールは総合ではなく、あくまでもステージを狙うつもりでいるようだ。

また、記事の中ではモニュメントを集めるために2021年は「ツール・ド・フランドルに挑戦する」と書いてあるのだが・・・本当に?

もちろん、ジュリアン・アラフィリップも挑戦し、見事な走りをしてみせたのが昨年だ。アラフィリップにできるなら自分にも・・・という思いなのかもしれないが、ロンド・ファン・フラーンデレンを走るフルサン・・・本当に実現するのであれば、ぜひ見てみたい。

 

 

バーレーン・ヴィクトリアス

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ランダはジロとツールを狙う

ミケル・ランダ(スペイン、32歳)と彼を新たなチームのエースに据えたこのバーレーンチームにとって、人生2度目の総合4位に終わった昨年のツール・ド・フランスは「成功」だったのだろうか?

私個人的にはそれは「Yes」であると思っている。確かに総合表彰台を手に入れることは叶わなかったが、しかしツールの激しい山岳地帯で見せた彼とペリョ・ビルバオとダミアーノ・カルーゾの山岳アシストたちとのコンビネーション、そして闘志を失わないランダのアグレッシブさは、彼が素晴らしいエースであり、チームをこれからも引っ張っていくに値する存在であると感じさせた。

だからこそ、2021年にまずはジロ・デ・イタリアを狙うという目標に関しても、肯定的な思いを抱く。その後ツールも狙うということだが、ダブルツールだとか、ツールをメインターゲットに置くとか、そういうことは思っていて欲しくないし、実際そんな複雑には考えていないはずだ。その情熱をもって、まずは目の前の出場するレースに全力を出してほしい。

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思えばジロは、私が彼の走りにほれ込んだ最初のレースだった。それは2015年。当時はイタリア人のファビオ・アルのエースとして出場していた。しかし第1週目の重要なステージで、アルと、リッチー・ポートと、アルベルト・コンタドールが勝負を仕掛けたときに、アシストとして唯一彼らに食らいついていったのがこのランダだった。

そしてこのジロ・デ・イタリアでは総合争いの最後のステージで先頭を独走。ステージ優勝も狙える走りを見せていたが、最後にはアルのために集団復帰し、彼の総合2位を守り自らは総合3位の座に収まったのもまた、印象的であった。

その後はエースの座を求めてチーム・スカイに移籍するも、そこで出場したジロ・デ・イタリアでは大落車に巻き込まれ、ステージ優勝と山岳賞を手にするにとどまる。ツール・ド・フランスではクリス・フルームのための最高のアシストをして見せるが、それが彼の求めていた姿ではなかったはずだ。

ジロ・デ・イタリアでもトリプルエースの一角を担い、ときにバルベルデやキンタナ以上のポテンシャルを見せつけるときもあったが、成し遂げたのはリチャル・カラパスをジロの表彰台の頂点に乗せたという、その事実だけ。

そんな彼が、エースとして伸び伸びとして走った結果が昨年のツールであり、そのことに私は満足している。

今年、彼にとって6度目のジロ・デ・イタリアを走る。それが彼にとって唯一のエースとして最後まで万全で走ることのできるジロ・デ・イタリアであってほしいと強く願う。まあ、ビルバオやプールス、ヘイグもいるので、唯一のエース、というのは、ちょっと難しいかもしれないけれど・・・。

 

 

ボーラ・ハンスグローエ

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ケルデルマンがエースとしてツール・ド・フランスに出場? しかし交通事故に遭い・・・

2019年ツール・ド・フランス総合4位のエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、29歳)が今年はジロ・デ・イタリアに焦点を絞るかもしれない、という噂と共に、昨年のジロ・デ・イタリア総合3位のチームにおける「新人」ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、30歳)がツール・ド・フランスでエースとして走れる可能性が高まってきている。実際に彼自身もまた、「より多くの個人タイムトライアルの存在が、私に相応しいツールであることを示している」と意気込みを語っている。

2017年のブエルタ・ア・エスパーニャで目の前にまで迫ってきていた表彰台を逃してから、なかなかうまくいかない時期が続いていたこの男にとって、勢いに乗ったまま迎える今シーズンは大きなチャンスとなることだろう。

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だが、そんな野望をもったまま迎えた新シーズンで――。

年始のトレーニングキャンプ最終日に巻き起こった悲劇。

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交差点を突っ切ってきたSUVに突っ込まれたボーラのトレーニンググループ。実に7名もの選手がこれに巻き込まれ、その中のリュディガー・ゼーリッヒ、アンドレアス・シリンガー、そしてケルデルマンの3名が病院に運び込まれた。

ゼーリッヒは幸いにも骨折はなかったが、シリンガーは頸椎と胸椎の椎骨の骨折、そしてケルデルマンは脳震盪と脊椎の骨折に見舞われてしまった。

ツール・ド・フランスまでに復帰できないということはないかもしれないが、それでもシーズンの前半の重要なレースを棒に振る可能性が高く、飛躍を信じられるシーズンの幕開けに早くも暗雲が立ち込める結果となってしまった・・・。

 

サガンは春のクラシック、ジロ、ツール、東京オリンピック、世界選手権・・・どれに出る?

2020年はジロ・デ・イタリアへの初挑戦を高らかに宣言し、それを実現させたペテル・サガン(スロバキア、31歳)。その代償として手放した「春のクラシック」を、2021年は再び取り戻すつもりであることを明確にした。

一方、ジロ・デ・イタリアはどうするのか? 当初は噂としては今年もジロ・ツールダブル出場という話もあったが、現実問題として春のクラシック・ジロ・ツールすべてを走ることはあまりにも現実的ではない。

また、今年はパスカル・アッカーマン(ドイツ、27歳)にツールを明け渡すという噂もあったが、新型コロナウイルスによって今年のカレンダーがどうなるかまだまだ不明確な状態である今、その未来像については明言を避けた。

しかしはっきりと述べたこともある。それは彼が「再びマイヨ・ヴェールを獲りにいく」ということと、オリンピックとツールが2週間検疫ルールのために両立不可能になった暁には、おそらくはツールを優先するだろう、ということ。

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そして彼の今シーズンの最終的かつ最大の目標の1つが、秋のフランドルで開催される世界選手権。

そこで彼は、史上初の4度目の世界王者の座を手に入れることができるだろうか。

 

 

ドゥクーニンク・クイックステップ

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マスナダはジロとブエルタを走り、エヴェネプールの総合を支える予定

2020年にアンドローニジョカトリ・シデルメクからCCCチームに移籍し、ワールドツアーデビューを果たしたファウスト・マスナダ(イタリア、28歳)。しかしCCCチームはその2020年シーズン中に財政危機を迎え、彼はシーズン途中でドゥクーニンク・クイックステップに迎え入れられた。

そしてそれは、彼にとって非常に大きな成果を生み、チームもまた、マスナダという才能から最大限の利益を得ることとなった。

すなわち、ジロ・デ・イタリアにおけるホアン・アルメイダの総合4位の最大の立役者であり、そして自らも総合9位を手に入れるという、快挙。

そんな彼は2021年においても同様にグランツールでの活躍を狙い、ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャを走る。ツール・ド・フランスは、もう少し先の目標となるようだ。

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そして彼はそのグランツールの中で、明確に「レムコ・エヴェネプールの総合を助けたい」と宣言。

現在、エヴェネプールがどのグランツールを目指すのかは不明。ジロ・デ・イタリアという噂もある。

しかし彼はイル・ロンバルディアで負った骨盤の骨折の後遺症からは完全に脱しておらず、つい最近も、予定のトレーニングに復帰することはできないままさらに3週間のバイクに乗ることすら許されない休養を延長することが決定されたばかりである。

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まだ若く、未来のためにも決して無理はするわけにはいかない。

現時点で、エヴェネプールの今年のスケジュールは完全なる白紙であると言わざるを得ないであろう。

 

 

グルパマFDJ

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ピノはツールを回避し、ジロを狙う

やはり、というか・・・今年のティボー・ピノ(フランス、31歳)は、3年ぶりにツール・ド・フランスを回避し、3年前に惜しいところまでいったジロ・デ・イタリアに再び戻って総合優勝を狙うのだという。

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個人的にはこれは喜ばしい選択であるように思う。たしかに彼は2019年、最もツール総合優勝に近い位置にいた。しかし、それはあと一歩のところで失われ、その代償に彼は深く傷つき、シーズンを犠牲にした。2020年にはそれを再び繰り返した。

彼にツールを勝つ力がないとは思わない。しかし、ツールだけが彼の目指すべきレースではないとも思っている。この発表にフランス人ファンが悲痛な叫びをTwitterなどでも上げているものの、私は個人的には、彼がジロ・デ・イタリアやブエルタ・ア・エスパーニャにおいて、彼に相応しい栄光を掴み取ってほしいと思っている。

 

ピノの最大の応援者であり、彼の成長をそのスタートから常に愛情をもって見守り続けてきたであろうマルク・マディオは語る。

 

彼は数多くのライダーが持っていないものを確かに持っている。彼はそれを決して言葉にしたり、表現したりしようとはしないけれども、彼は確かに誰も持っていないようなものを持っているんだ。

 彼が将来においてツール・ド・フランスを勝つことができるのかどうか、それは私にはわからない。だが、確信をもって言えるのは、彼がそれを決して諦めることなく、挑戦し続けるであろうということだ。彼がその背中にゼッケンをつけている限り、彼は彼のもつすべてを、その目標に向けて費やすことだろう*1

 

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ピノがツールを回避するということはすなわち、もう1人のこのチームのエースであるアルノー・デマール(フランス、30歳)が、こちらも3年ぶりに母国最大のレースに出場することを意味する。

2017年・2018年にはそれぞれツールで1勝ずつを稼いでおり、間違いなく「成功」しているこの男。しかしもちろん、彼が目指すのは、昨年のジロ・デ・イタリアで成し遂げた「成功」をツールでも実現すること。

2020年「最強」の称号に相応しいリザルトを残していたアルノー・デマール。しかし、やはりツールでその成績を残さない限りは、真の意味で最強であるとは認められない。

年々戦国時代の様相を呈し続けているツール・ド・フランス。果たして今年のツールでは、誰が最も強いスプリンターとしてツールにて君臨するのだろうか。

 

なお、ピノに次ぐチームのエースとして、昨年はブエルタ・ア・エスパーニャ区間2勝および総合8位を成し遂げて見せたダヴィ・ゴデュ(フランス、25歳)もまた、ピノ不在のツール・ド・フランスに出場する予定だという。

しかし、おそらくはデマールのための体制が作られるだろうツール・ド・フランスにおいて、ゴデュはほとんどアシストを用意されないのではないかと予想される。そこでは総合というよりは、ステージを狙いそれを実現するのが最大の目標になるだろうし、そうあるべきだと思われる。

2019年のピノの素晴らしい走りを強力に支え続けたゴデュ。たとえアシストがいなかったとしても、彼が自由な走りを許され、結果としてツールの舞台で勝利し、昨年のブエルタのときのような熱いガッツポーズを見せてくれることもまた、楽しみである。

 

 

イネオス・グレナディアーズ

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ピドコックは予定より1か月前倒しでロードデビューを果たし、ブエルタ・ア・エスパーニャを目標の1つに据える

2020年のU23版ジロ・デ・イタリア(ベイビー・ジロ)覇者にして、マウンテンバイクU23世界王者、そしてシクロクロスではマチュー・ファンデルポールを打ち破り世界王者候補の1人ともなっているトム・ピドコック(イギリス、22歳)は、当初3/1の予定であったイネオス・グレナディアーズへの移籍を1か月前倒しにし、シクロクロス世界選手権の翌日である2/1からロードレースデビューを果たす予定であると発表した。

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本来の目的の1つであったヴォルタ・アン・アルガルヴェは残念ながら中止(延期?)になってしまったが、2/27開催予定のオンループ・ヘットニュースブラッドには出場する予定があるようで、その後はストラーデ・ビアンケやアルデンヌ・クラシックなどを視野に入れている。

そしてそんな彼が注目すべきグランツールデビューは、ブエルタ・ア・エスパーニャ。過去にも数多くの若手の注目選手たちが台頭する舞台となっているこのブエルタで、ピドコックはグランツール初挑戦に挑む。

果たしてそのまなざしが見据える先はステージ優勝なのか、それとも・・・総合なのか。

彼もまた、常に想像を超え続ける男の一人。

今は何も余計なことは言わず、見守ることにしよう。

↓今年のシクロクロスにおける彼の活躍はこちらの記事で↓

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エガン・ベルナルはジロ・デ・イタリアへの初挑戦も選択肢の1つではあるが・・・

2019年のツール・ド・フランス総合優勝者エガン・ベルナル(コロンビア、24歳)は、2020年の失敗にも関わらずなお今年のツール総合優勝候補であることは間違いないが、一方でかつてイタリアのチームに所属していた彼にとって、ジロ・デ・イタリアもまた、「No.1の選択肢である」と明言した。

実際、2019年も当初はジロをスケジュールに加えていた。しかしそれは直前のトレーニングでの事故によって回避され、結果として出場したツール・ド・フランスで頂点を掴み取ることとなった。

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一方で、ジロ・デ・イタリアに出場できるかどうかの指標の1つは、ツール・ド・フランスを途中で去ることになった背中の痛みの具合である。

12月末にはすでに痛みがなくなりつつあると述べていた彼。しかし、そこはもちろん慎重に見ていく必要があるだろう。

彼の出場レースの選択はまた、このチームが誰をエースにしてグランツールに臨むかということにも関わってきている。昨年はジロ・デ・イタリアを早期リタイアした2018年ツール覇者ゲラント・トーマスはもちろんなおもエースとしての素質があり、2019年ジロ・デ・イタリア覇者であり2020年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位のリチャル・カラパス、2020年ジロ・デ・イタリア覇者のテイオ・ゲイガンハートも抱えており、ツール・ド・フランス総合3位リッチー・ポートやアダム・イェーツ、あるいはダニエル・マルティネスといった新加入選手たちもただのアシストに回しておくには惜しい人材たちである。

さらなる強化でなおも「最強」たらんとするイネオスとブレイルスフォードGMが果たしてどんな計画を立ててくるのだろうか。

 

ベルナルはジロ、ツールはトーマス・カラパス・ゲイガンハートの「トリプルエース」体制。アダム・イェーツはブエルタに?

2月3日にチームマネージャーのデイブ・ブレイルスフォードによりメディアに発表されたイネオスの2021年シーズングランツール計画は、なかなか驚くべきものであった。

すなわち、2019年ツール覇者エガン・ベルナル(コロンビア、24歳)をジロ・デ・イタリアに集中させ、目下ツール・ド・フランスのエースとして、2018年ツール覇者ゲラント・トーマス(イギリス、35歳)と2019年ジロ・デ・イタリア覇者リチャル・カラパス(エクアドル、28歳)、そして2020年ジロ・デ・イタリア覇者テイオ・ゲイガンハート(イギリス、26歳)をトリプルエースとして送り込むことを発表したのだ。

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昨日発表されたツール・ド・フランスのロングリストの中にはまだベルナルの名前はあり、 彼のツール出場がなくなったわけではないが、それはジロ・デ・イタリアでの走り次第でもあるという。たとえばジロで全力を使い果たし総合優勝を成し遂げた際には、ツールはスキップしてブエルタ・ア・エスパーニャでアダム・イェーツとダブルエース体制になるなど・・・。

問題は上の記事でも触れているように背中の痛みがどうなっているのか。一応最近の練習では痛みがなくなったとは言っているようだが、直前の時期のコンディション次第ではどうなるかまだ先行きは不透明だろう。

 

2020年のツール・ド・フランスではまさかのベルナルの途中脱落。ジロ・デ・イタリアでもエースのトーマスが序盤で不運の落車により離脱した後、驚きのゲイガンハート総合優勝というドラマが描かれていた。

2010年代において、ツール一極集中とも言える体制の中、安定した走りで着実に勝利を積み重ねてきたこのチームだが、2021年の彼らのグランツール体制はツール以外にも手広く広げようとする視線と、不確実性というテーマに彩られているようにも見える。今のところではあるもの、ツールにおける絶対的なエースという焦点がぼやけるような体制は、今後のこのチームの方向性を示しているような気がする。

 

また、発表されたツール・ド・フランスのロングリストに名前の載っているその他の選手は以下の通り。

  • リッチー・ポート
  • ローハン・デニス
  • ローレンス・デプルス
  • ルーク・ロウ
  • ミハウ・クフィアトコフスキ
  • ディラン・ファンバーレ
  • ジョナサン・カストロビエホ
  • ダニエル・マルティネス

 

いずれによせ強力なメンバーであることは間違いない。楽しみである。

 

 

モビスター・チーム

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ジロをマルク・ソレルが、ツールをミゲルアンヘル・ロペスとエンリク・マスが、バルベルデはオリンピックをターゲットにし、ブエルタは・・・クアドラプルエース?

2020年も最初はトリプルエース解消の予定だった。しかし新型コロナウイルスの影響によりスケジュールが崩壊した・・・ことが本当に理由なのかどうかわからないが、結局ツールとブエルタを「また」トリプルエースで挑戦し、ジロ・デ・イタリアはエース不在というやり方をしてみせたモビスター。

今年こそ「トリプルエース」解消。ジロをマルク・ソレル(スペイン、28歳)の単独エースで狙い、ツールは新加入のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、27歳)と昨年加入のエンリク・マス(スペイン、26歳)がダブルツールで出場。今シーズン末の引退を宣言したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、41歳)は5度目のリエージュ~バストーニュ~リエージュ制覇と東京オリンピックを最大の目標に据えるという。

そしてブエルタ・ア・エスパーニャでは・・・トリプルエースを超えた、「クアドラプルエース」、すなわちソレル、ロペス、マス、バルベルデの全員を出場させる予定だという。

・・・なるほど。

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ただ、一昨日の記事を見ても分かるように、なんだかんだでこのトリプルエース政策が、モビスターのグランツールにおける好成績の秘訣にはなっている様子ではある。実際、過去にもエースが突如コンディションを崩す場面の多かったモビスターにとっては、その時調子のいい選手がエースとして走るというこの戦略は、割と理に叶っているのかもしれない。

あとは、唯一のスペイン籍ワールドツアーチームとして、母国最大のステージレースを最優先してすべてのエースを揃えるというのは、スペインのファンに対する最大限の愛の表現でもある。

勝つだけがロードレースというエンターテインメントではないというのも確か。

でもまあ、さすがに2勝はないと思うので、そこは頑張ってね。ウンスエGM、「プレッシャーはない」ってコメントしてるけど、いや、本当・・・。

 

 

チーム・ユンボ・ヴィズマ

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ログリッチ、デュムラン、クライスヴァイク、ファンアールト(そしておそらくテウニッセン)がツール・ド・フランスに出場する予定

最強の布陣を用意し、見事最大のライバルであったイネオス・グレナディアーズを打ち倒した2020年のユンボ・ヴィズマ。

最後の最後は残念ながらタデイ・ポガチャルという伏兵にしてやられたものの、その強さは間違いのないものであり、2021年もまた引き続き力を発揮し続けることだろう。

ゆえに、彼らは戦略を変えない。2021年のツール・ド・フランスも、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、32歳)トム・デュムラン(オランダ、31歳)、そして2020年も当初の予定では出場するはずだったが、直前のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでの落車によって意図せず欠場となってしまったステフェン・クライスヴァイク(オランダ、34歳)の「トリプルエース」体制で臨む。

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さらに2019年のツール・ド・フランスで1勝、2020年のツール・ド・フランスでは2勝し、山岳アシストとしても貢献したワウト・ファンアールト(ベルギー、27歳)ももちろん出場。彼自身のステージ勝利と山岳アシストと、オールマイティに活躍してくれそうだ。

そんなファンアールトのアシストとして、あるいは総合勢のための平坦アシストとして、2019年のツール・ド・フランスの初日に勝利しマイヨ・ジョーヌも着用したマイク・テウニッセン(オランダ、29歳)も、2年ぶりに出場する可能性がある。代わりに、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、31歳)の名前は予定にはなく、もしかしたら彼はジロ・デ・イタリアをエースとして出場することになるかもしれない。

 

ツールのロースター8名を発表。ベネットはジロ、クスはクライスヴァイクと共にブエルタでエースを担えるかも?

1/22にスペインのトレーニングキャンプで、昨年同様早々にツールのラインナップ8名を選出した。

  • プリモシュ・ログリッチ
  • トム・デュムラン
  • ステフェン・クライスヴァイク
  • ワウト・ファンアールト
  • セップ・クス
  • ロベルト・ヘーシンク
  • トニー・マルティン
  • マイク・テウニッセン

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ジョージ・ベネットはジロに行きエースを担うが、それでも考えられる限り最高の体制といったところ。

もちろん昨年も新型コロナウイルスの影響や怪我の影響でこの時期の計画からは大きく変化することになったため、今年もどうなるかはまだわからない。

また、ステフェン・クライスヴァイクとセップ・クスはブエルタ・ア・エスパーニャにも出場予定。基本はクライスヴァイクがエースを担うことになるだろうが、状況によってはクスがそこでエース格を任じられる可能性もありそう。

 

 

トレック・セガフレード

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ニバリとモレマがダブルツール、チッコーネはジロを走り、ブエルタをエースで走る

クリス・フルームと並ぶ現役3大グランツール制覇者たるヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア、37歳)は、またジロ・デ・イタリアの総合優勝を2回経験した男であり、昨年若者たちにその座を奪われ7位に終わるまでは、ジロ・デ・イタリア6回連続総合表彰台記録を続けていた偉大なる男である。

しかし彼はまた欲深き男でもある。最高のグランツールライダーでありながら、貪欲にツールのステージ優勝も奪い、イル・ロンバルディアを2回、ミラノ~サンレモを1回制してもいる。

そんな彼は今シーズンもまた、ジロとツールの両方に出場し、かつ東京オリンピックでの金メダルも狙うつもりであるという。今年で37歳になるというのに、本当に欲深き鮫である。そしてそれを実現してしまいかねない男でもあるのだ。

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そしてまた、ニバリと並ぶイル・ロンバルディア覇者でもあるバウケ・モレマ(オランダ、35歳)も、ニバリと共にジロ・ツール連戦を計画している。

彼はもっと総合成績に対して自由な気持ちを持っているだろうが、それでも過去ジロ・デ・イタリア総合5位やツール・ド・フランス総合6位を経験しており、2017年にはツール・ド・フランスでステージ優勝も果たしている。決して油断できない男だ。

 

そして今年はまた、この男の成長が最大限に注目すべき事項である。

すなわち、イタリアの若き、ニバリの後継者たらん存在、ジュリオ・チッコーネ(イタリア、27歳)である。

バルディアーニCSFでのプロデビュー初年度となった2016年のジロ・デ・イタリアでいきなりの区間優勝。

そしてトレック・セガフレードでのワールドツアーデビュー初年度となった2019年には再びステージ優勝し、山岳賞も射止めた。

その年のツール・ド・フランスでは一時期マイヨ・ジョーヌを着用したこともあるこの才能しかない男は、今年ジロ・デ・イタリアでニバリとモレマをアシストしつつ、ブエルタ・ア・エスパーニャでは単独でエースとして走る権利を得た。

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いきなりの総合優勝も「あり」だと思っている。今年の彼の爆発力には、それだけ期待している。

 

 

UAEチーム・エミレーツ

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タデイ・ポガチャルはツールとブエルタを狙う

誰もが予想しない形でツール覇者となったタデイ・ポガチャル(スロベニア、23歳)。当然、ディフェンディングチャンピオンとして今年もツールに出場する。例年以上にTTが多い今年のツール・ド・フランスに向けて、以前はそこまで時間を使っていなかったTTの練習の時間も増やしているという。

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一方で彼は、2年前、プロデビュー初年度にその飛躍のきっかけとなったブエルタ・ア・エスパーニャへの出場も検討しているという。

プロ1年目でブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位。プロ2年目でツール・ド・フランス制覇。そしてもしかしたら、プロ3年目での「ダブルツール」なんていう奇跡も?

記事中に書かれている2021年のポガチャルのツール前のスケジュールは以下の通りである(もちろん、新型コロナウイルスの影響がないと仮定した場合だが)。

  • UAEツアー(2/21~2/27)
  • ストラーデ・ビアンケ(3/6)
  • ティレーノ~アドリアティコ(3/10~3/16)
  • イツリア・バスクカントリー(4/5~4/10)
  • アルデンヌ・クラシック(4/18~4/25)
  • クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(5/30~6/6)

 

マルク・ヒルシはツールに出場するが、最大の目標はアルデンヌとオリンピック

2020年のツール・ド・フランスで劇的な勝利を収めたうえに、ラ・フレーシュ・ワロンヌで優勝。世界選手権ロードレースとリエージュ~バストーニュ~リエージュでも表彰台に登った若き稀代のワンデーレーサー、マルク・ヒルシ(スイス、23歳)

彼は2021年もツール・ド・フランスに出場する。ただしそれはタデイ・ポガチャルのアシストがメインであり、彼の主な狙いは春のアルデンヌ・クラシックと東京オリンピックにあるという。

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まずは2月のUAEツアーにポガチャルと共に出場し、その後はミラノ~サンレモの前哨戦としてパリ~ニースに出場するかティレーノ~アドリアティコに出場するか、それはまだ決まっていないという。

そしてアルデンヌ・クラシックに向けての最終調整として、これもまた彼と相性の良いイツリア・バスクカントリーに出場する予定。

ポガチャルと同じ時間を過ごすことも多くなりそうなヒルシは、ツールにおいても、重要な役割を果たすことになりそうだ。

 

ジロ・デ・イタリアはダヴィデ・フォルモロとブランドン・マクナルティのダブルエース体制で臨む

2018年のドバイ・ツアー、そしてツール・ド・ラヴニールで目覚ましい活躍を見せたアメリカ人期待の次期総合エース候補、ブランドン・マクナルティ(アメリカ、23歳)。昨年ついにこのUAEチーム・エミレーツでワールドツアーデビューを果たした彼は、早速ジロ・デ・イタリアに挑戦し、総合15位と2つのステージでの表彰台を獲得した。

そんな彼が今年再びジロにエースとして臨むことについては、何ら疑問を持つ必要はないだろう。チームのエースの一人でイタリア人、過去に同じジロで2度の総合TOP10入りを果たしているダヴィデ・フォルモロ(イタリア、29歳)とのダブルエース体制で、マクナルティ自身もまずは総合TOP10入りを目指す。

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もちろん、才能があるとはいえまだまだワールドツアー2年目。いきなり結果を出すことに強く期待しすぎるのは酷だと思われる。

昨年のジロではペテル・サガンが逃げ切った第10ステージで、終盤にプロトンからアグレッシブにアタックして区間2位。それから第3ステージの丘陵タイムトライアルでフィリッポ・ガンナ、ローハン・デニスに次ぐ区間3位を記録している。

いずれも彼の得意な独走力を生かした好成績。今年もその力をベースに、まずは区間優勝を成し遂げてほしい。

 

レースカレンダーとしては元々ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナやヴォルタ・アン・アルガルヴェを計画していたがこれはレース中止。

今後はボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャとツアー・オブ・アルプスで徐々に仕上げていき、ジロ・デ・イタリアに臨む予定のようだ。

 

 

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