りんぐすらいど

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Trek - Segafredo 2021年シーズンチームガイド

 

読み:トレック・セガフレード

国籍:アメリカ

略号:TFS

創設年:2011年

GM:ルーカ・グエルチエーナ(イタリア)

使用機材:トレック(アメリカ)

2020年UCIチームランキング:8位(昨年11位)

(以下記事における年齢はすべて2021年12月31日時点のものとなります) 

 

【参考:過去のシーズンチームガイド】 

Trek - Segafredo 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

Trek - Segafredo 2019年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

Trek - Segafredo 2020年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

 

目次

 

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2021年ロースター

※2020年獲得UCIポイント順

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2020年ツール・ド・フランス総合3位のエース、リッチー・ポートが離脱した中で、新規獲得は若手系の選手が中心でエース級の選手の獲得はなし。ただその若手も有望な選手を含んでおり、昨年も有望な若手が加入していることを考えると、ここ数年の「とりあえず旬を過ぎたベテラン選手を獲得」という方針からの転換が起きつつあるように感じる。そして、それはプラスの方針転換であるとも。

とはいえ今年は基盤固めの年になりそう。昨年もそこまで期待されていなかった中で、特にシーズン序盤はモスケッティ、ピーダスン、ベルナール、そしてストゥイヴェンなど、若手中心に意外な活躍が見られて強さを感じたシーズンでもあった。

一方で2019年はイル・ロンバルディア制覇など大きな成果を出していたバウケ・モレマや、未来の総合エース、ジュリオ・チッコーネなど、ここ数年目覚ましい活躍を見せていた選手たちが奮わないシーズンでもあった。とくにイル・ロンバルディアは最終盤に残った6名の選手の中にニバリ、モレマ、チッコーネが入っていたにも関わらず、リザルトはそれぞれ4位〜6位という「大失敗」。意外な活躍と勝つべきレースでの失敗で、プラマイゼロなシーズンだったのかもしれない。

今年はプラスの多いシーズンになれるか。

 

 

注目選手

ヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア、37歳)

脚質:オールラウンダー

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2020年の主な戦績  

  • ジロ・デ・イタリア総合7位
  • パリ〜ニース総合4位
  • イル・ロンバルディア6位
  • UCI世界ランキング25位

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クリス・フルームと並ぶ、現役で2人しかいない「3大グランツール覇者」。もう随分いい年だが、その割に安定した成績を保っていられるのは、さすがベテラン。彼もまた、2010年代を代表するレジェンドの1人だ。

しかしやはり、上位には来るものの勝ちきれない。イル・ロンバルディアでは前年覇者バウケ・モレマと未来の総合エース、ジュリオ・チッコーネと共に最終盤の先頭集団に入り込むが、その時点ですでに体力的には限界が来ており、3名の中では最初に脱落。むしろチッコーネたちのための牽引を行う姿すら見せた。

その後のジロ・デッレミリア、そしてジロ・デ・イタリアでも、それぞれ7位、総合7位と上位には入ってはいるのだが、いずれも勝敗を争ったのはアレクサンダー・ウラソフやホアン・アルメイダ、テイオ・ゲイガンハートといった若手選手たち。同じような順位でのフィニッシュとなったヤコブ・フルサンと共に、まるで「保護者」でもあるかのように、若手の活躍をその少し後方で見守る「過去の偉人」的振る舞いで終わってしまった。

おそらく、今年も同様の走りになることだろう。強く、上位に来たり、2019年のツールのような大きなステージ勝利はあるかもしれない。

しかしビッグワンデーでの勝利、あるいはステージレースでの総合優勝といったリザルトまで望むのは難しいだろうし、いつまでも彼に頼るようではチームとしても健全ではない。

そのあたりは、チッコーネらに期待しなくてはいけないはずだ。

 

 

マッズ・ピーダスン(デンマーク、26歳)

脚質:スプリンター

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2020年の主な戦績  

  • ヘント〜ウェヴェルヘム優勝
  • ビンクバンクツアー区間1勝、総合5位
  • ツール・ド・ポローニュ区間1勝
  • ツール・ド・フランス区間2位
  • UCI世界ランキング31位

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2019年のヨークシャー世界選手権ロードレース。冷たい雨が降りしきり、数多くのリタイア者を生み出した過酷なサバイバルレースで、最後の最後、体力を残してマッテオ・トレンティンとのマッチアップを「まさか」制したのがこの男だった。誰もが予想していなかったその結末に至るストーリーは、以下の記事を参照していただきたい。

www.ringsride.work

 

だから正直言って、このアルカンシェルは、「まぐれ」のようなものである、と思われていた可能性は十分にある。

しかし、2020年のマッズ・ピーダスンは、結果として誰もがそのアルカンシェルが相応しいと認めざるを得ないような走りをしてみせた。

 

まずは1月のツアー・ダウンアンダー。実質的な「アルカンシェルお披露目式」となったこのレースで、彼はそこまで重要な役割は期待されていなかったように思う。

しかし蓋を開けてみれば、チームの総合エース、リッチー・ポートの総合優勝を支える非常に重要な役割を果たした。

ボーナスタイムを巡る中間スプリントポイントの熾烈な争いでは、スプリント力に劣るポートの代わりにダリル・インピーからチャンスを奪う役割を見事果たした。

平坦路では常に集団を牽き、一度は力を使い果たして後方に下がるような場面を見せながら、再び先頭に戻ってまた牽き始める、といった場面なんかも見せていた。

アルカンシェルを着た世界王者による「アシスト」としての完璧な走りは非常に印象的であった。

www.ringsride.work

 

だが、そのままアシストで終わるだけの男でもなかった。

新型コロナウイルスの影響による長期中断が明けたシーズン後半戦。その序盤戦となるツール・ド・ポローニュにて、彼は現役トップクラスのスプリンター、パスカル・アッカーマンを下す勝利を掴み取る。

とはいえそのときのアッカーマンは絶不調。シーズン序盤にもマッテオ・モスケッティに2度負けており、直後のドイツ国内選手権でもシクロクロッサーのマルセル・マイセンに敗北している。なぜか勝てないアッカーマンの状態がこのポローニュでも同様に反映されただけ、そう見る向きもあった。

しかしツール・ド・フランスでさらにその才覚を見せつけるピーダスン。まずは第1ステージ。ほとんど雨の降らないニースの街に突如降り注いだ雨がコースをつるつるの氷のような路面に変え、落車が頻発。混乱する集団が飛び込んできた大会最初の集団スプリントは、カレブ・ユアンやサム・ベネットら最有力優勝候補が軒並み崩れていく中、アレクサンダー・クリストフに次ぐ区間2位でフィニッシュに入り込んだ。

とはいえこれも、純粋なスプリントというよりは、北のクラシックの延長戦上のようなフィニッシュでの2位であった、ということができるかもしれない。ヨークシャーのときのようなタフな環境でピーダスンの特性が活かされた結果であると。

しかしその後も、ピュアスプリントステージとなった第10・第11ステージでもそれぞれ5位・6位となかなか良い成績。

そして迎えた「スプリンターたちの世界選手権」パリ・シャンゼリゼフィニッシュ。

勝ったのはマイヨ・ヴェールに身を包んだサム・ベネット。これは非常に順当な結果だったが、その次に2位でフィニッシュに飛び込んできたのが、まさかのピーダスンであった。

たしかに、シャンゼリゼはなんだかんだで石畳の緩やかな登りスプリントという点では完全なピュアスプリントではないし、過去にも意外な選手の2位というリザルトは残っている。

しかしそれでも、やはり最強スプリンターの証明たるこのシャンゼリゼでの2位というリザルトは、ピーダスンがただのタフネスライダーというだけでなく、世界トップクラスに匹敵するスプリント力を持つ「スプリンター」であることを示す結果であった。

 

だが、やはりクラシックライダーとしての強さも見せたのがヘント〜ウェヴェルヘムであった。普段はそれでもまだスプリンター向きなレースになることの多いこのレースだが、昨年に関しては例年以上に強い横風や混沌としたシーズンの最終盤ということもあり、プロトンの3分の1がリタイアするサバイバル展開となった。

そんなときに強いのがやはりこの男。ピーダスンは最終盤の9名の中に入り込み、しかもマチュー・ファンデルポールとワウト・ファンアールトまで含まれた強豪揃いのこの集団の中で、ほとんど前を牽くこともなく息を潜めることができていた。

そして残り1.8㎞。最高のタイミングでマッテオ・トレンティンがアタックし、そこにアルベルト・ベッティオルとフロリアン・セネシャルも飛びついたのだが、ピーダスンもまたこのタイミングを逃すことなく反応した。

トレンティンにとっては、1年前のヨークシャーの悪夢の再来であった。そしてアルカンシェルを脱いだ元世界王者は、キャリア最高の成績となった2020シーズン締めくくりの勝利を掴み取ることとなった。

 

なお、その直後のロンド・ファン・フラーンデレンでは59位と失速。実際、ビンクバンクツアーも総合リーダージャージを着て挑んだ最終日、カペルミュール3連戦ステージで、集団から遅れ逆転敗北を喫している。

ロンドやルーベのへの適性はそこまで高くはない。その意味で決して「北のクラシックスペシャリスト」ではなく、クラシックタイプのレースに強いスプリンター、という位置付けが最も相応しいかもしれない。

 

 

ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、29歳)

脚質:ルーラー

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2020年の主な戦績  

  • オンループ・ヘットニュースブラッド優勝
  • ヨーロッパ選手権ロードレース5位
  • クールネ〜ブリュッセル〜クールネ5位
  • シルキュイ・ド・ゲチョ5位
  • UCI世界ランキング55位

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ジュニア時代にパリ〜ルーベを制し、2016年にはセミ・クラシックのクールネ〜ブリュッセル〜クールネを制するなど、若くしてクラシック界のビッグスターになると期待されていた男。

しかしその後はクラシックでのビッグタイトルをなかなか取れず。上位に食い込むことは何度もあり、常に優勝候補にその名を並べられていたものの、結果を出すことができずにいた。

しかし2020年にはついに、オンループ・ヘットニュースブラッドを制する。

しかも、スプリントでの決着を嫌うイヴ・ランパールトがカペルミュール、ボスベルグと勝負所で常に加速していった中で、ストゥイヴェンはこれに常に食らいつき、むしろカペルミュールでは先行すらしてみせた。

完膚なきまでに、ストゥイヴェンが強すぎた。最後のスプリントではランパールトがストゥイヴェンを前に出させ少しでも優位に立とうとしたが、集団スプリントでも上位に来ることが多々あるストゥイヴェンにとってそれはハンデにすらならなかった。

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これで一皮剥けた印象のあるストゥイヴェン。

今年はいよいよ更なる成績ーーロンド前哨戦と言われるE3サクソバンク・クラシックやヘント〜ウェヴェルヘム、あるいはロンド/ルーベといったモニュメントでの勝利も、決して期待できないわけではないだろう。

 

もう1つ、狙いたいのがツール・ド・フランスでの勝利である。

そもそも私が彼の存在を強く意識するきっかけになったのは、2016年ツールの第2ステージであった。

当時逃げに乗っていたストゥイヴェンは、メイン集団が2分差にまで迫ってきていた残り8㎞で逃げ集団からアタック。

そのまま独走を開始し、残り3.4㎞の時点でタイム差はまだ1分20秒!

これはいけるか?と興奮したが、トップスプリンター・パンチャーたちを抱える各チームは猛烈な勢いでストゥイヴェンとのタイム差をみるみるうちに縮めていく。

そしてついに、残り450mという段になって、ストゥイヴェンはあえなく集団に吸収されてしまう。

 

そんな悔しい敗北を経験しているストゥイヴェン。

だが、その後は「レイトアタック巧者」として、ステージ終盤でのアタックからの逃げ切りで勝利を掴んだりステージレースでの総合優勝を実現していたりもしている。

あれから間違いなく成長し続けているこの男が、今年こそ。

 

 

ジュリオ・チッコーネ(イタリア、27歳)

脚質:クライマー

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2020年の主な戦績  

  • トロフェオ・ライグエーリア優勝
  • イル・ロンバルディア5位
  • ジロ・デッレミリア8位
  • グラン・ピエモンテ9位
  • UCI世界ランキング70位

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おそらくこの男が日本人にも広く知れ渡るきっかけになったのは、2016年のジロ・デ・イタリア第10ステージ。

当時まだバルディアーニに所属していた21歳のネオプロは、チームの先輩ステファノ・ピラッツィ、そしてイタリアの英雄ダミアーノ・クネゴと共に逃げに乗っていた。

そしてピラッツィが下りでクネゴと接触しそうになり、クネゴに隙が出たその瞬間。

チッコーネは一気に抜け出して、そのままプロ初年度、グランツール初挑戦にして、その表彰台の頂点を掴み取った。

前年のツール・ド・ラヴニール総合6位。才能の塊がその覚醒を予見させる瞬間であった。

 

だが、意外にもそんな彼にワールドツアーから声がかかるのは2019年になってからだった。

イタリア人GMルカ・グエルチレーナに招かれたチッコーネは当然ジロにも出場するのだが、そのワールドツアー初年度で再び多くの観衆を驚かせた。

 

初日の個人タイムトライアル。ジロ・デッレミリアでも使用される「サンルーカ教会へと至る激坂」を使用したTTでは、その登りの部分でのタイム上位者に山岳ポイントが与えられるルールで行われていた。

そしてチッコーネはこの日、この登りだけに焦点を合わせ、ステージ成績自体は64位であったものの、登りでは最速。見事山岳ポイント9ポイントを獲得し、山岳賞ジャージを着用することになった。

このときはまだ、これが単純に、ワールドツアー初年度でチームのために特別賞ジャージを手に入れて何かしらの成果を持ち帰ろうという意図によるものだと思っていた。

だがまさか、そのあとも積極的に逃げ続け、ひたすら山岳ポイントを収集し、最後までこのマリア・アッズーラを着続けることになるなんて。

しかも、冷たい大雨が降り頻る中の第16ステージでは逃げ切りステージ優勝すら果たしてしまう。

そのときの彼のサングラスを投げ捨てての絶叫は、彼の熱さを象徴する非常に印象的なシーンとなっている。

 

そしてその年のツール・ド・フランスにも出場した彼はラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ山頂フィニッシュのステージでも区間2位。

2020年にはヴィンツェンツォ・ニバリ、バウケ・モレマといったベテランたちと共に最終盤の先頭集団に入り込み、5位でのフィニッシュ。

疑いようなく、トレック・セガフレードの次期エース候補であると共に、もしかしたら(本来はファビオ・アルが受け継ぐはずであった)ヴィンツェンツォ・ニバリの「次」を担うべき存在となるのかもしれない。

 

そんな彼は今年、ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャへの出場を予定している。いずれも、総合エースとしての出場となる可能性もある。とくにブエルタに関しては。

彼もいよいよ「最盛期」を迎える時期になりつつある。この2〜3年が彼にとっては正念場となるだろう。

真にニバリを次ぐイタリアの英雄になれるか。

 

 

その他注目選手

クイン・シモンズ(アメリカ、20歳)

脚質:オールラウンダー

ジュニア最終年となる2019年に11勝。ヨークシャー世界選手権男子ジュニアロードレースでは、33㎞に及ぶ独走の末にアルカンシェルを獲得。そしてU23カテゴリをすっ飛ばしての19歳でワールドツアーデビュー。

まさに「エヴェネプール2世」ともいうべき大きな注目を集めた中での2020年シーズンとなった。

実際、ブルターニュ・クラシックで6位。ツール・ド・ハンガリーでも山頂フィニッシュとなる最終ステージで区間2位に入り、総合でも2位となった。さらにツール・ド・ルクセンブルクの第3ステージでは、最終盤に不意打ち気味のアタックを繰り出して抜け出し、残り150mまであわや逃げ切りと思わせるような独走を見せたりもした。

独走力も思い切りの良さも、登坂力も丘陵適性もある、あらゆる可能性を持った才能豊かな選手であることは間違いなかった。

しかし彼が昨年最も話題にされたのは、レース外での出来事であった。9月30日。オランダのジャーナリストがTwitter上で行った「トランプを支持するものは私の元から去ってくれて構わない」という発言に対し、シモンズは「バイバイ」とコメントしたのだが、そのとき使われた絵文字が黒人差別を想起させる「ブラックハンド」であったことが問題視されたのか、トレック公式が「分断を助長する言動を行なった」として無期限のレース出場停止処分を決定したのである。

実際にはシーズンもすでに終盤。シモンズはこれでシーズンを終えることになったが、年内にはこの処分が解除され、チームのトレーニングに参加する姿も公表されている。

若いことは色々とリスクがつきものではあるが、だからこそチームがうまくマネジメントする必要があるわけで、今回は結論から言えば適切な対応を取ったと言えるのではないか。

気持ちを新たに、今シーズン引き続きより一層の活躍を期待したい。今回の件で(レースとは関係なく)ネガティブな評価を彼に与えることになった人も多そうなので、そう言った人々からの評価をひっくり返せるような活躍が求められている。

 

マッテオ・モスケッティ(イタリア、25歳)

脚質:スプリンター

元はアルベルト・コンタドールが創設しイヴァン・バッソが監督を務める「ポーラテック・コメタ(現EOLOコメタ)に所属。そこで年間9勝を叩き出し、そのうちの1つはブエルタ・ア・ブルゴスでジョン・アベラストゥリとダヴィデ・バッレリーニを打ち破っての勝利であった。

翌年の2019年にトレックでプロデビュー。早速出場したジロ・デ・イタリアではトップスプリンターたちと互角に渡り合い区間4位や5位を記録。残念ながら第11ステージで落車しリタイアになるも、2020年にはシーズン冒頭のマヨルカ・チャレンジにて2度、パスカル・アッカーマンを下して勝利している。

シーズン再開後はリタイアが多くイマイチ調子が上がり切らなかった部分はあるが、今年はグランツール初勝利なども目指し、さらに躍進してもらいたいところ。

 

ニクラス・エイ(デンマーク、26歳)

脚質:クライマー

2017年にはU23版ジロ・デ・イタリア(ベイビー・ジロ)で総合4位、ツール・ド・ラヴニール総合3位と十分な実績を持ちながら2018年にトレックでプロデビュー。

2019年にはクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで積極的に逃げる姿を見せ、セップ・クスも躍進のきっかけとしたアメリカのステージレース「ツアー・オブ・ユタ」では総合5位。

次に来るのはこの男・・・そう期待していたが、2020年はまったくもってイマイチな結果に終わった。

このままずるずると消えてしまうのか? いや、そんなことはない、今年こそ・・・と、あまり根拠は多くないが期待しておきたい選手である。

 

アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、27歳)

脚質:クライマー

2019年のジロ・デ・イタリアの山岳ステージでの積極的な逃げと、何て読むの?という印象的な名前で記憶に残っている選手。

その後、同年のブエルタ・ア・ブルゴスでも総合6位に入っており、実力は申し分ない。基本的なフィジカルでも優秀なエリトリア人ということで、まだまだこれから伸びる可能性はある・・・と信じている。

とくにNTTプロサイクリング(ディメンションデータ)は正直、育成がうまいとは言えないチームという印象なので、そこから飛び出したことでより可能性は広がる・・・かも?

 

アントニオ・ティベッリ(イタリア、20歳)

脚質:ルーラー

2019年のヨークシャー世界選手権ジュニア部門個人タイムトライアルで優勝。今年がU23カテゴリ2年目となるはずだが、そのタイミングでプロデビューを果たすことに。近年のトレンドである超若手からのトップチーム昇格である。

当然、TTが武器ではあるだろうし、実際リザルトを見てみても逃げ切りで勝利しているパターンが多い。

一方で、昨年のベイビー・ジロでは、第1ステージのウルビーノ丘陵レイアウトで、最終的に総合2位となるアンリ・ヴァンデナベールと共に小集団でフィニッシュしていたりするため、ある程度の登りや起伏もこなしてしまいそうなポテンシャルも持っている。

とりあえず、まだまだその実力のほどは未知数。彼を伸ばす前にまずはシモンズを伸ばす方が先決ということもできるが、このチームが若手育成においてどれだけの実績を残すのかという点で、注目しておきたい選手である。

 

 

総評

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ニバリ、モレマ、チッコーネと才能は揃っているが、ではグランツール表彰台はいけるか?というと、可能性はあるかもしれないが決して高くはないと言わざるをえない部分はあるだろう。

むしろ、アルデンヌ系クラシックにこそ強い選手たちが揃っているとは言える。2020年はイル・ロンバルディア4位~6位という強かったけど散々な結果であったので、そのあたりを今年はリベンジしたい。

北のクラシックもピーダスンの急成長によってジャスパー・ストゥイヴェンとのダブルエースでさらなる成績を積み重ねてほしい。そこに、かつてはストゥイヴェンとセットで期待されることも多かったエドワード・トゥーンスの復活などが重なればさらに嬉しいのだけれど。

スプリントではピーダスン、ストゥイヴェン、トゥーンスを筆頭に、モスケッティがジロ・デ・イタリアで勝利する領域にまで成長してほしいところ。

グランツール総合を狙えない分、山岳エスケープではぜひ勝利を。ニバリ、モレマ、チッコーネはもちろん、そこにブランビッラ、ニクラス・エイ、そしてアマヌエル・ゲブレイグザブハイアーなどが、最有力候補として注目されることだろう。

 

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