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サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2020年シーズン(前編)

 

今年もやります、ガッツポーズ選手権。

新型コロナウイルスの影響によりレース数も減り、今年は短縮版かな・・・と思ってツイートしたところ、多くの方からお勧めのガッツポーズを頂き、結局昨年と同じ20枚のガッツポーズを選出することとなった。

というかむしろ、また選びきれないほどに・・・なんかツール・ド・フランスに偏ってしまった部分もあったが、それはまあ、ビッグレース以外が本当に少なくなってしまった分、ご愛敬ということで。

 

その中から、これが最も印象に残った! 記憶に残った! 美しい!といったあなたが選ぶベスト・ガッツポーズ写真を1位~3位で選んでください。

なお、ノミネート以外のガッツポーズを選んでいただくことも可能です。

ここには挙がっていないけれどおススメの1枚!というのがあればぜひ、投稿してみてください。

 

投票は以下のGoogleフォームから。

docs.google.com

 

☆ルール☆

  • 1位~3位にそれぞれ3ポイント~1ポイントを加え、最終的に獲得ポイントを合計して順位を決めます。
  • 2位・3位については「空欄」も可ですが、1位を空欄で2位・3位を回答したり、1位と3位を回答して 2位を空欄にした場合は、それぞれ順位繰り上げを行います。
  • 1位~3位で2つ以上、同じ回答を行った場合は無効票とします。
  • あなたのおススメのガッツポーズを選んで書いていただいてもかまいません。その場合は選手名とレース名(ステージレースの場合はステージ数)を必ず添えてください。

 

締め切りは12/18(金)終日を予定!

お早目の回答をよろしくお願いいたします。

 

 

後編はコチラ

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【参考:過去のガッツポーズ選手権とその結果】

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2017年シーズン - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権2017 結果発表 - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2018年シーズン(前編) - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2018年シーズン(後編) - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権2018 結果発表 - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2019年シーズン(前編) - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2019年シーズン(後編) - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権2019 結果発表 - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権2019 その他アンケート結果まとめ - りんぐすらいど

ガッツポーズ選手権2018 その他アンケート結果まとめ - りんぐすらいど

 

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1.キャメロン・マイヤー(オーストラリア国内選手権ロードレース)

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シーズン開幕早々惚れ込んでいきなりのノミネート入りを決めた1枚。とにかくこういう、「信じられない」感を出したガッツポーズが好きなのだ。別パターンも捨てがたいが、最終的にこっちのポーズの方を選んだ。

キャメロン・マイヤーは2009年から12年連続でこのオーストラリア国内選手権ロードレースに挑み続けていた。2016年には2位。それ以外にも4位が2回、6位が1回。

そして昨年は、クリス・ハーパーと共に抜け出して一騎討ちというところまで持ち込んでいたにも関わらず、牽制合戦の末に後続から追いついてきたマイケル・フライバーグに抜かれて優勝を奪われるというあまりにも悔しい結果に。

だからこそ、今回の勝利は歓喜の瞬間であった。そしてそれは、12年間の思いの詰まった、かけがえのないものであった。

 

そしてこの勝利はチームの力の賜物でもあった。

逃げにニック・シュルツを乗せ、カラム・スコットソンとルーク・ダーブリッジが積極的に牽引し、最後はマイヤーの単独アタック後にルーカス・ハミルトンが重し役を引き受ける。

それぞれがそれぞれの仕事を果たした末に、マイヤーはこの栄光を掴み取ったのである。

 

 

2.ジャコモ・ニッツォーロ(ツアー・ダウンアンダー 第5ステージ)

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ツアー・ダウンアンダー定番のヴィクター・ハーバーステージ。

来年であれば問題なく集団スプリントとなることの多いこのステージだが、今年はここも総合争いの舞台となった。

すなわち、ゴール前20㎞地点に用意されたカービーヒル。普通に走ればピュアスプリンターたちでも払い落とされることのない登りではあるが、ここでリッチー・ポートから(このステージでの中間スプリントポイントによるボーナスタイムも合わせて)2秒差で総合リードを得ているダリル・インピー率いるミッチェルトン・スコットが集団破壊を試みる。

ルーカス・ハミルトン、サイモン・イェーツといったエース級のクライマーたちを総動員してペースアップした結果、カレブ・ユアンやサム・ベネット、ジャスパー・フィリプセンといったスプリンターたちは軒並み脱落し、メイン集団には総合上位勢数名しか残らないような事態となった。

とはいえ、やはりこの登りのレベルでは、完全なセレクションというのは難しかった。カレブ・ユアンの集団復帰のためにトーマス・デヘントも追走集団を強力に牽引し、やがて残り6㎞地点で再び集団は1つになった。

‪ただ、この激しい攻防戦によって、ピュアスプリンターたちは確かに疲弊していた。ロジャー・クルーゲ、シモーネ・コンソーニといったアシスト要員は残っていたものの、ヴィヴィアーニは早い段階で脱落。ユアンも、クルーゲについていくことはできなかった。‬

‪そして、クルーゲの番手から飛び出したのは、NTTプロサイクリングのジャコモ・ニッツォーロ。コンソーニがなんとか追いすがろうとするも、ニッツォーロの勢いは緩まることなく、耐え抜いて先頭でゴールラインを切った。サム・ベネットも猛烈な追い上げを見せていたが、わずかに届かなかった。‬

 

ニッツォーロは今年、パリ〜ニースでも勝って、イタリア選手権でも勝って、ヨーロッパ選手権でも勝つなど、絶好調。

ただ、肝心のツール・ド・フランスでは序盤でリタイア。1勝はしてくれそうだっただけに、とても残念である。

それでも成功のシーズンなのは間違いない。それを象徴するかのような憎たらしさすら感じさせるこの表情を、来年もたくさん見てみたいものだ。

 

なお存続が不安視されていたNTTプロサイクリングだが、来年は「チームクベカ・アソス」として継続されることが決まった。

ただし、主力メンバーの多くがすでに移籍しており、予算規模も含め、ワールドツアーとして続けられるかどうかは不明・・・続報を待ちたい。

そしてニッツォーロも一応NTTとの契約は今年まで。

クベカ・アソスで延長となるのか、別チームへの移籍となるのか、11月21日現在ではまだ不透明である。

まだまだ不安が絶えないシーズンオフ期間である。

 

↓今年のツアー・ダウンアンダーの詳細はこちらから↓

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3.マチュー・ファンデルポール(シクロクロス世界選手権)

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ロードレースではなく、厳密にはガッツポーズではないため、これを選ぶのはやや微妙かもしれないが、ただあまりにも美しい1枚のため、選ばせてもらった。

 

昨年のアムステルゴールドレースで衝撃の勝利を飾り、昨年のガッツポーズ選手権でも見事1位に輝いたマチューだが、今年は正直、前半戦は大きすぎる期待に応えるほどではなかった。

イル・ロンバルディアも10位というのは冷静に考えれば凄いことだが、彼ならもっと、という欲があった。ティレーノ〜アドリアティコも区間1勝はするも、ピュアスプリントは完全にティム・メルリエのアシストに回り、総合を狙う意思もなかった。

同時期にワウト・ファンアールトがあり得ないような活躍をしていたことが、彼への強すぎる期待感をより一層高めてしまったのかもしれない。

ビンクバンクツアーでは最終日に実に彼らしい走りを見せてステージ優勝と逆転総合優勝。

たしかに強かったが、それでもこの最終日終盤はオリバー・ナーセンらにタイム差をかなり縮められてギリギリの勝利と言えなくもない結果だった。

今年のマチューは昨年ほどの圧倒さはないかもしれない。

そんな風に思っていた中での、ロンド・ファン・フラーンデレンでの勝利。

これも「圧倒」というには少し違うが、それでも永遠のライバルのファンアールトとの静かな激しい一騎討ちと、それを制した後の彼の喜び方は感動だった。

 

そんな、2020年シーズンのマチューの、その開幕を示すシクロクロス世界選手権での勝利。

昨年は苦しい時期を乗り越えたあとの久々の世界選手権制覇だったために、ジルベールポーズによる「激しい歓喜」といった1枚だったが、連覇となる今年は落ち着いて、静かな、威厳さえ感じさせるような姿でフィニッシュ地点にやってきた。

それは、このスポーツに対する敬意と、そして昨年の秋に亡くなった敬愛する祖父レイモン・プリドールへの敬意の表れだったのかもしれない。

 

着実に一段一段ステップを登りつつあるマチュー・ファンデルポール。

来年はおそらく、グランツールへの初出場を叶えることになる。それはツール・ド・フランスすら、可能性がある。

この「自転車の天才」は2021年に一体どんな走りを見せてくれるのだろうか。

 

 

4.ディラン・フルーネウェーヘン(UAEツアー 第4ステージ)

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例年豪華な面子が揃う中東・アラブ首長国連邦のUAEツアー。

今年も、とくにスプリンター勢の中ではカレブ・ユアン、サム・ベネット、パスカル・アッカーマン、フェルナンド・ガビリアといった、今年最強格のスプリンターのほとんどが集う中、最高速度72.5km/hでラインを先頭で突き抜けたのが、この男、フルーネウェーヘンであった。

感情を爆発させるようなガッツポーズを見せるスプリンターが多い中、このフルーネウェーヘンはいつもクールだ。

この日も、無表情のままハンドルから手を離し、そして胸元のスポンサーロゴを誇示しながら走り抜けていった。

彼の走り、そしてガッツポーズは、私としてもとても好きなものであった。

 

もちろん、今年、彼の名はネガティブな意味合いと共に語られるようになってしまった。

言わずもがな、ツール・ド・ポローニュでの悲劇である。

それは言い訳のしようのないものであった。

レース追放処分が即座に言い渡され、チームも本人も何一つ抗弁することなくこれを受け入れた。

 

フルーネウェーヘンの行為は明確に許されることではない。

一方でそれは、ある意味であらゆるスプリンターにとって、いつ起こってもおかしくないできごとでもあった。

それは今年、この事件をきっかけにしてなのか解らないが、より厳しくなった斜行判定によって、それこそドゥクーニンク・クイックステップの選手も含む数多くの選手が降格処分を受けたことからもわかる。

いつ誰がフルーネウェーヘンの立場になってもおかしくない。

だからこそ、それは少しずつ、この厳格なルールのもとで変わっていくべきことなのだろうと思う。

一筋縄ではいかない問題だとは思うが、今サイクルロードレース界が進んでいる方向は間違いではないと思いたい。

 

先日、フルーネウェーヘンの処分が確定し、5/7までの出場停止が決まった。

この決定に対し、さまざまな意見が飛び交っている。

コース設定の問題なども含め、まだまだ議論されるべきことは多いだろう。

 

まずは、一つの結論が出たことを素直に受け入れたい。

変わっていくロードレースシーンの中で、再び強い男が純粋にその強さを発揮していく場面を見たい。

私の思いはそれだけである。

 

 

5.ユーゴ・オフステテール(ル・サミン)

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3月の上旬、ベルギー南部のワロン地方を舞台に、石畳クラシックの最序盤を構成するレースの1つとして、1969年から開催され続けているセミクラシックレースである。

1クラスということもありワールドツアーチームの出場も限定的で、かつ不安定な気候と石畳、シーズン序盤戦であることなどの要素が重なり、意外なチームや選手の勝利も珍しくない、そんな隠れた名レースである。

 

それでも最後に形成された10名の先頭集団の中には前年覇者フロリアン・セネシャル、今年絶好調のジャコモ・ニッツォーロ、シクロクロスフランス王者のクレマン・ヴェントゥリーニなど、強豪がひしめき合う形に。

これらワールドツアーチームの選手たちのいずれかが、勝利を掴み取るのではないか。そんな風に思っていた。

 

実際、勝ったのはワールドツアーの選手だった。

とはいえそれは、今年初めてワールドツアーに昇格したイスラエル・スタートアップネーションであり、しかも勝ったオフステテールは昨年までずっとプロコンチネンタルチームのコフィディスに所属していた選手だった。

2年前のツール・ド・ランでの1勝以来、上位に入ることこそ多かったものの、なかなか2勝目を手に入れられずにいた彼が掴んだ、ようやくの勝利。

感極まってフィニッシュ後に何度も何度も雄叫びを繰り返し号泣。

このル・サミンというレースの持つ魅力が十分に詰まったシーンであった。

 

過去には現CCCチームのギヨーム・ファンケイルスブルクの「泥まみれの勝利」など、本当に印象的な勝利の多いこのレース。

来年も無事開催されることを願う。

 

 

6.アンドレア・バジョーリ(ツール・ド・ラン 第1ステージ)

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これも個人的に好きな「信じられないポーズ」。いや、そりゃ信じられないよ。何しろ、ユンボ・ヴィズマとチーム・イネオスが本気の体勢で挑んだこのツール・ド・ランの初日、トム・デュムランに発射されるプリモシュ・ログリッチという超豪華なスプリントを押しのけて、今年21歳のネオプロ、アンドレア・バジョーリが、まさかのプロ初勝利を成し遂げてしまったのだから!

レムコ・エヴェネプール、ホアン・アルメイダと並ぶ、クイックステップの超若手有望人材3人衆の1人。直後のジロ・デッレミリアではエヴェネプール不在の中アルメイダと共に終盤のサンルーカの激坂を先頭で突き抜けて、最終的には5位。

そしてブエルタ・ア・エスパーニャでは総合勢の戦いがいきなり勃発した第1ステージで10位など、クライマーとしての活躍も十分に期待できる走りを見せてくれた。

今後どのような進化を見せてくれるのかまだまだ未知数な若手だが、間違いなく2020年代を代表する選手の1人にはなるだろう。

 

 

7.ワウト・ファンアールト(ミラノ~サンレモ)

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今年、異様なほどの活躍を見せたワウト・ファンアールト。昨年の大怪我からの復帰直後とは思えないシーズンだった。

その活躍の端緒とも言える勝利が、8月のストラーデビアンケと、その1週間後のこのミラノ〜サンレモであった。

 

レースの詳細は以下のリンクを参照していただきたい。

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すでに「前哨戦」ミラノ〜トリノでも3位に入るなど間違いなく絶好調ではあったワウト・ファンアールトだが、対するジュリアン・アラフィリップはツールと世界選手権のためにやや登り向きに調整をしてきていた。

その状態を遺憾なく発揮したのが最後の勝負所ポッジョ・ディ・サンレモでのアタック。

一緒に反応したミハウ・クフィアトコフスキもただちに引き千切られる勢いでアタックしたアラフィリップだったが、ワウト・ファンアールトはなんとか食らい続けていく。

2分間にも及ぶアラフィリップのアタックの連続に、やがてワウトもつきぎれしてしまうものの、ポッジョの山頂においては5秒のビハインドで抑え込んだ。

そして下りでアラフィリップが小さなミスをしたこともあり何とかワウトは追いつくことに成功し、最後のマッチスプリントでアラフィリップを完膚なきまでに打ち倒した。

 

そのときのこの、ガッツポーズ。

後方から集団が迫る中、歓喜を爆発させるワウトと、項垂れるアラフィリップ。

色彩のコントラストと合わせ、ロードレースのワンシーンを象徴する完璧な構図である。

 

「これだけ調子がいいシーズンはもうないかもしれない」といった内容のことを、世界選手権制覇を逃した際に悔やみながらも告げたワウト・ファンアールト。

自分でもコントロールできないくらいのハイコンディションだったのは間違いないが、このあと、いかにこの調子を維持していけるかも、一流の選手として重要なポイントである。

また、直近に迫るシクロクロスシーズンもまた、楽しみだ。ロードでのこの好調をもし維持できているのであれば、今年はマチュー・ファンデルポールに真正面から勝利するワウトの姿も見られるかもしれない。

 

来年は一体どんな奇跡を起こしてくれるのか。楽しみである。

 

 

8.アレクサンダー・クリストフ(ツール・ド・フランス 第1ステージ)

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開幕前から波乱が約束されていた今年のツール・ド・フランス。

だがまさか、第1ステージからこんなカオスが待っているなんて。

8月末のニースに久々に降り注いだ大雨が、路面をスケートリンクのようにしてしまったのか。

相次ぐ落車。総合有力勢も、トップスプリンターたちも、その中に巻き込まれていった。

結果、それはさながら北のクラシックのようなサバイバルレースに。

よってそれは、昨年の「最強北のクラシックライダー」たるアレクサンダー・クリストフにとって、最も得意とするシチュエーションだった。

昨年のヘント〜ウェヴェルヘムもそうだが、とにかくこの男のガッツポーズは力強く無骨で魅力的だ。

あらゆる選手があまりにも過酷すぎる1日を終えて生気を失った表情をしている中、この男だけがみなぎる生命力を解き放っているようにすら見える。

 

なお、元々今年のクリストフはツール・ド・フランスに出場する予定はなかった。代わりにフェルナンド・ガビリアがツールに出場し、クリストフは「久々に家族との夏を過ごせるね」と複雑な思いを吐露していたように記憶している。

そんな中の、このコロナ禍の混乱。結果としてガビリアはジロに行き、クリストフが一転してツールに。

しかし、アシストはほぼいなかった。あくまでもエースのタデイ・ポガチャルのためのチームであり、正直、勝てなくてもおかしくはないと思っていた。

そんな中の、この初日のカオスな展開と勝利。そして、マイヨ・ジョーヌ。

きっと彼自身も想像していなかっただろう。だがこれは、このツールにおける、UAEの大いなる成功に向けての序章となったのである。

 

 

9.ジュリアン・アラフィリップ(ツール・ド・フランス 第2ステージ)

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昨年14日間に及ぶマイヨ・ジョーヌ着用を果たし、全フランスを興奮に包んだ「英雄」アラフィリップ。今年はついに世界王者にも輝いたわけだが、彼にとって今年は決して歓喜だけの年ではなかった。

すなわち、6月に迎えた父の死。

「父のためのステージ優勝がこのツールの最大の目標だった」と語るアラフィリップ。

ボブ・ユンゲルスの強力な牽引によって最後のキャトル・シュマン峠の登りで飛び出したアラフィリップは、マルク・ヒルシ、そしてアダム・イェーツによって追いつかれるものの、最後のスプリントで2人を抑え込んだ。

 

そして右手を天に突き上げるアラフィリップ。

それは、空にいる父へ捧げた勝利であった。

 

そしてこの年、アラフィリップは念願のアルカンシェルも手に入れる。

父への贈り物が増えたとも言えるし、父からの贈り物だったとも言えるかもしれない。

 

「世界王者」アラフィリップが、2021年はどんなドラマを創り上げるのか。 

  

 

10.パスカル・アッカーマン(ティレーノ~アドリアティコ 第1ステージ)

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今年のアッカーマンはとにかく苦しい時期を過ごしていた。

マヨルカ島での開幕2連戦はいずれもイタリアの新星マッテオ・モスケッティに敗れての2位。

パリ〜ニースでも2位、ツール・ド・ポローニュでもマッズ・ピーダスンにも敗れて2位が2回。

ドイツ国内選手権ではシクロクロッサーのマルセル・マイセンに敗れての2位。

そしてヨーロッパ選手権では2位すら取れずの3位であった。

 

とにかく、勝てない。

2位や3位を取り続けること自体はもちろん強さの証なのだが、常にあと一歩が足りない。

そんな中、「復活」の兆しとなったのがこのティレーノ〜アドリアティコでの開幕勝利だった。

しかも、フアン・モラノのリードアウトから放たれたガビリアの勢いは凄まじく、並ぶものもいない中で圧倒的な勝利を果たすはずだったところに、右側の僅かな隙間から上がってきて差し切るという、かなり強い勝ち方だった。

思わず両手を上げて、歓喜に震えるガッツポーズ。

ここまでの苦悩をすべて吹き飛ばすかのような瞬間だった。

 

翌日連勝を決めたアッカーマン。

その後のビンクバンクツアーでは再び勝ちきれない場面が続いたものの、最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャではマドリード含む2勝。

苦しんだ2020シーズンも最後にはなんとか悪くない終わり方をすることはできたと言えそうだ。

 

なお、このティレーノ〜アドリアティコ初日は、先行していたガビリアも、アッカーマンの動きが見えてなかっただけかもしれないが、自分の進路を一切ずらすことなく、アッカーマンとの正々堂々たる一騎討ちをやってのけた。

斜行判定が明らかに厳しくなりつつある今、あるべきスプリントの形といえそうなものはもしかしたらこの日のようなものなのかもしれない。

 

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後編はコチラ

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