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ワウト・ファンアールトの苦境、そしてマチュー・ファンデルポールがついに参戦。その行方は? シクロクロス2020-2021シーズン12月前半戦レビュー

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前回の記事でお伝えした通り、11月末の2連戦でいよいよワウト・ファンアールトが今年のシクロクロスに参戦し始めた。

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しかし、さすがにいきなり勝利というわけにはいかず、連日表彰台には入ったもののその頂点は得られず。

今季3戦目となる12/6(日)「ボーム」の結果はどうだったのか?

 

そして、12/12(土)「アントウェルペン」からは今年のロンド覇者マチュー・ファンデルポールが今季初参戦。

昨年も25戦中24勝という圧倒的過ぎる記録を残したマチュー・ファンデルポールが、今年は果たしてどうなるのか。

その他、今年のベイビー・ジロ覇者で来期イネオス入りが決まっているトム・ピドコックの活躍など、ロードレースファンも決して見逃すことのできない2020-2021シクロクロスシーズン12月前半戦の2レースを振り返っていく。

 

目次

 

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スーパープレステージ第5戦ボーム

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ベルギー・アントウェルペン州の街ボームを舞台に開催されたスーパープレステージ第5戦。

運動公園内のアップダウンの激しい地形を利用した、体力の差がモノを言うステージで、女子レースでは今季絶好調のルシンダ・ブラントテレネット・バロワーズライオン)が圧勝。

3大シリーズ戦では5連勝となり、スーパープレステージ総合でも世界王者セイリン・アルバラードアルペシン・フェニックス)と同点での首位に立った。

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男子レースでは序盤にワウト・ファンアールトを含む5名の精鋭集団が形成され、しばらくはこの5名先頭のまま推移する。

パワーを必要とする登り区間ではしばしば抜け出そうとファンアールトがペースを上げるも、決まりきらない。

それどころか終盤になってくるとミスが目立ち始め、致命的になったのが第7周目。

泥の激坂の頂上付近でグリップを失い、バイクを降りる必要に迫られたため失速。

一方、彼の前を走っていて最後まで乗車したままこの登りを登り切ったヨーロッパ王者エリ・イゼルビットパウェルズ・サウゼンビンゴール)がここで独走を開始。

 

さらには最後から2周目にあたる第8周目にはファンアールトが単独落車に見舞われたために、イゼルビットの逃げ切りは決定的なものとなってしまった。

今季スーパープレステージとX2Oトロフェーの2つの3大シリーズ戦で総合首位をひた走り、もう1つのUCIワールドカップでも総合2位につける絶好調のイゼルビットが、ライバルたちの自滅を尻目に自らはミスのない完璧な走りを披露して今季6勝目を成し遂げた。

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スーパープレステージ第5戦ボーム 男子リザルト

 

ミスを繰り返したファンアールトは最後、完全に体力を失ってしまったかのような様子で、元ベルギー王者のトーン・アールツテレネット・バロワーズライオン)にすら突き放されてしまい、4位。

今季3戦目にして、初の表彰台からの転落。

絶好調すぎたロードレースシーズンの後、休息を挟んだとはいえ、やはりシクロクロスシーズンに挑むには厳しい状態であったのか。

 

一方、同様にロードシーズンを終えて休息を挟んでの参戦となるマチュー・ファンデルポールの方は一体どうか。

続いて、ファンデルポール今季初参戦となるX2Oトロフェー第3戦アントウェルペンを見ていく。

 

 

X2Oバドカマー・トロフェー第3戦アントウェルペン

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ベルギー第2の都市アントウェルペン

その郊外、スヘルデ川沿いのエリアを利用した「スヘルデクロス」は、河川沿いの長いサンドセクションや激坂を利用したテクニカルコースである。

 

女子レースではその激坂でチェーンを落とし、後輪がロックされ全く動かない状態となってしまったセイリン・アルバラードが早々に脱落。

さらにその混乱の中から抜け出したデニーセ・ベツェマ(パウェルズ・サウゼンビンゴール)がルシンダ・ブラントの猛攻を振り切り逃げ切り勝利。

実に2年ぶりの3大シリーズ戦勝利を果たすこととなった。

 

さて、男子レースではいよいよ、マチュー・ファンデルポールの参戦である。

さすがのマチューも、かなり久しぶりのシクロクロス。同様に復帰したワウト・ファンアールトも苦戦する中、いきなり勝つということは難しいのではないか――そんな風に見られてもいた。

 

だが、全部で8周回あるうちの2周目で早くも先頭に躍り出たファンデルポールはそのまま加速。

ヨーロッパ王者エリ・イゼルビットがかろうじて食らいついていくものの、スヘルデ川沿いのサンドセクションでこのギャップが開いていき、むしろ序盤からファンデルポールのハイ・ペースに無理して食らいついていったイゼルビットは失速。

早くも独走状態に入ったファンデルポールに、30秒以上突き放されてクエンティン・ヘルマンストルマンス・シクロクロスチーム)とイゼルビットが追走を仕掛ける、という状態になってしまった。

 

やはり、ファンデルポールは今年も変わらず「怪物」で居続けるのか。

 

 

しかし、4周目に入ると状況が少しずつ変わってくる。

一度は遅れかけていたイゼルビットも徐々に調子を取り戻し、再びヘルマンスを抜いて単独2位に。

そしてファンデルポールもまた、久々のレースでペースメイクを見誤ったか、少しそのペースを落としているようにも見えた。

結果、5周目にはファンデルポール、イゼルビット、ヘルマンス以外にもイゼルビットのチームメートであるマイケル・ファントールノート(パウェルズ・サウゼンビンゴール)とローレンス・スウィーク(パウェルズ・サウゼンビンゴール)も加わり、先頭は5名に。

ファントールノートによるアシストを受けながらイゼルビットが先頭で抜け出す場面が見られるなど、「怪物」への反撃を果敢に試みていった。

 

しかし、抜け出したイゼルビットにもすぐさまファンデルポールが食らいつき、そこに追いすがろうとしたファントールノートをあっという間に突き放した。

そして6周目には再びイゼルビットの前を奪い取り、再度、ファンデルポールの独走が開始される。

イゼルビットも最後まで食らいついていった。しかし、結局は5秒、届かなかった。

すでに激戦を繰り広げ調子を最高潮に挙げているはずのトップシクロクロッサーたちをねじ伏せて、マチュー・ファンデルポールは復帰初戦から勝利を掴み取った。

「Veni, vidi, vici(来た、見た、勝った)」。

かの英雄ユリウス・カエサルの言葉がこれほど相応しい男もあるまい。「皇帝」マチュー・ファンデルポールが今年もシクロクロス界を完全征服してしまうのか。

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一方、序盤こそ第3集団に埋もれる形となっていたトム・ピドコック(トリニティ・レーシング)が、終盤で精鋭たちを次々と抜き去り、単独3番手でフィニッシュに辿り着く結果となった。

昨年のエリート世界選手権2位。今年はU23版ジロ・デ・イタリアことベイビー・ジロ(ジロ・チクリスティコ・ディタリア)で総合優勝し、来季はイネオス・グレナディアーズで走ることが決定しているなど、ロードレース界でも大注目のこの21歳が、今季3戦目でようやく本来の力を取り戻しつつある。

 

 

さて、結局はやはり強かった「怪物」マチュー・ファンデルポール。

このまま、昨年と同様に、このあとのレースを次々と平らげてしまうのか。

一方、思い通りになかなか走れずにいるワウト・ファンアールトは、このまま勝ち星のないまま沈んでしまうのか。

今季最強のエリ・イゼルビット、そして躍動し始めた若き才能トム・ピドコックが彼らの間にどう絡んでいくことができるか。

 

いよいよシクロクロス2020-2021シーズンも後半戦に突入。

これからもまだまだ目が離せない。引き続き「りんぐすらいど・のーつ」でレースレポートを、「りんぐすらいど」でまとめを行っていくので、チェックしていってほしい。

 

 

今後の3大シリーズ戦スケジュール

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注目の「ワウト・マチュー直接対決」は12/23(水)の「ヘーレンタラス」で。

とはいえ、今の状況では完全にマチューが一歩上手。

むしろ、イゼルビットやピドコックがどう彼に食らいついていくかが楽しみになるところと言えそうだ。

 

また世界選手権1/31(日)にベルギーのオーステンデで開催される。

例年であればここでもまたマチューとワウトの直接対決を楽しみにすることができ、それもチーム力で勝るベルギーチームがいかにマチュー・ファンデルポールを包囲し、その動きを封じ込めるかが重要であった。

しかし、今年ここまでの走りを見ていると、今年もワウト・ファンアールトがエースとして世界選手権を走れるかというと微妙なところがある。

その意味で、注目すべきはやはりヨーロッパ王者エリ・イゼルビット。

いずれにせよ、その主導権争いはこの後のレースと、そして1/9(土)に控えているベルギー国内選手権での結果次第というところはある。

このあたりのレースにもしっかりと注目していこう。

 

 

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