りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2020-2021注目移籍情報まとめ

 

新型コロナウイルス問題での混乱もまだ続く中ではあるが、いよいよ8月1日から移籍市場が解禁。

例年のような展開にはならないかも、と予想していた中で、まったくいつもと変わらぬ・・・どころか見方によってはより一層激しい動きが巻き起こりつつある今年の移籍市場。

クリス・フルームを筆頭にロマン・バルデ、ファンアーヴェルマート、ウッズ、ラトゥールなど・・・

注目の移籍最新情報をここで要チェック!

※年齢はすべて2020/12/31時点のものとなります。

 

 

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AG2Rシトロエン・チーム(フランス)

ファンアーヴェルマート、シェアー、ファンフッケを獲得 

2年前のBMCレーシング解散危機の際に、最後の最後まで他チームとの契約を留まり続け、ジム・オショウィッツを信じ続けていたグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、35歳)。今回の危機に際しては、さすがにチームを去ることを決めた。

そんな彼を受け入れたのが、バルデとラトゥールを放出し、ナーセンと3年間の契約更新を果たした「クラシック専門チーム化」を目指すAG2Rラモンディアル改めAG2Rシトロエン。

その本気度は、ファンアーヴェルマートだけでなく、彼のアシストとして同じくCCCチームからミヒャエル・シェアー(スイス、34歳)ハイス・ファンフッケ(ベルギー、29歳)を受け入れていることからもわかる。

もちろん、その体制でなかなかうまくいかなかったのが2019年のCCCチームなのだが、2021年のAG2Rにはナーセンもおり、下記にも記すように他チームからも強力なクラシックライダーを集め中。

ナーセンとファンアーヴェルマート。共に実力はありながらもイマイチ勝ちきれなかったこの2人が、新生AG2Rで光り輝くことはできるのか。くれぐれも、喧嘩しないことを期待したいが・・・。

その前に今年のこれから来るであろう「秋のクラシック」にて、トレンティン&ファンアーヴェルマートがチームに成果を残していってくれるかどうか・・・。

 

スタン・デウルフを獲得

「ロット・スーダルU23」出身でジュニア欧州選手権銀メダリスト、U23版リエージュ~バストーニュ~リエージュ6位、U23版パリ~ルーベ優勝など輝かしい戦績を重ね個人的に超・超・超期待していた若手スタン・デウルフ(ベルギー、23歳)がまさかのロット・スーダル離脱。ジルベールのもとで育ててもらってほしかったのだが・・・。

逆に、今まさにクラシックに向けた体制構築に本気で取り掛かっているAG2Rであれば、このデウルフがより重要なポジションに置かれる可能性も増してくるかもしれない。いずれにせよ、確実に芽を出してほしい。頑張れ、スタン!

 

マルク・サローを獲得

グルパマFDJにおける、アルノー・デマールに続くセカンドエーススプリンターだったマルク・サロー(フランス、27歳)がAG2Rシトロエンに。2022年までの2年契約。

かつてのサミュエル・デュムラン以来、スプリンターらしいスプリンターの(それこそオリバー・ナーセンくらいしか)いなかったAG2Rにとって、純粋に勝てるスプリンターとしての補強、という見方もできる。

一方で、サロー自身は北のクラシックへの適性も非常に高い選手。やはりここまでの移籍情報と同じく、クラシック班の大強化の一環と見ることもできるだろう。

いずれにせよ明確なワンデー強化。その狙いの真意は一体?

 

リリアン・カルメジャーヌを獲得

トタル・ディレクトエネルジーに移籍したピエール・ラトゥールと入れ替わるようにして、ディレクトエネルジー生え抜きの「ヴォクレールの後継者」リリアン・カルメジャーヌ(フランス、28歳)が電撃移籍。

2016年のブエルタ・ア・エスパーニャ、2017年のツール・ド・フランスと、立て続けに衝撃的な逃げ切り勝利を果たして見せたこの男。しかし近年はいまいち振るわない姿が目立っていた中で、今回の移籍。

AG2Rは今、急激に「ワンデー・ステージ優勝重視」に切り替えつつあるため、今回のこのカルメジャーヌの獲得も、山岳逃げでのステージ勝利を求められてのものだとは思われる。

本人にとっても、ワールドツアーのチーム体制の中でツール・ド・フランスをエースで走ることのできるチャンス。なんとか復活の2021年シーズンを迎えたいところ。

 

ボブ・ユンゲルスを獲得

2016年から5年間、クイックステップ・チームの一員としてジロ・デ・イタリアにおける2年連続の新人賞、ルクセンブルクロード・TT王者の連続獲得、各種ステージレースにおけるエーススプリンターのトレイン要員、そして昨年は北のクラシックにおける覚醒とも言うべき才能の発露――様々な活躍を見せ続けてきてくれた男、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、28歳)が、ついにチームを去るときが来た。

たしかに、かつての「総合エース」という立ち位置は、着実に失われつつあった。その役割はやがて同年代のジュリアン・アラフィリップや、遥か下の世代であるレムコ・エヴェネプールらに奪われつつあった。

一方で、北のクラシックスペシャリストとしての才能が突如として目を瞠るものになったのだが――そこに目を付けたのが、驚異的な速度でクラシック強化に舵を切りつつあるAG2Rである。

これで、AG2Rはナーセン、ファンアーヴェルマート、サローときてユンゲルスも加わり、北のクラシックにおける戦力が一気に全チームトップクラスになってしまったようにも思える。

ユンゲルスにとっても、ドゥクーニンクにいるよりはチャンスを掴みやすいと判断したのか。そして、バルデ、ラトゥールの抜けたAG2Rは、彼にとって、もしかしたらもう一度、総合への夢を目指す可能性のある舞台となるかもしれない。

まだまだこれからが最も脂ののる時期に入るユンゲルスの行く末を見守っていきたい。

 

 

バーレーン・マクラーレン(バーレーン)

ジャック・ヘイグを獲得

オーストラリアの若手育成プロジェクトであるJayco-AIS World Tour Academy出身のオージークライマー、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、27歳)

もちろんその未来はミッチェルトンの未来にも繋がっていると考えられていて、新型コロナウイルス流行前の本来の計画では、今年のブエルタ・ア・エスパーニャをもう1人のオージー若手有望クライマー、ルーカス・ハミルトンとダブルエースで臨む予定だった。

しかし、新スケジュールではジロとブエルタを共に出ることはできず、彼に与えられたのは、サイモン・イェーツのジロ制覇を支えるためのアシストという役割だった。

そんな中、このバーレーンへの移籍を決めた彼の心情はいかに。

なお、サイモンのアシストとしての活躍の印象が強く、ピュアクライマーという評価が一般的だろう。新チームでもミケル・ランダのアシストが期待されている様子ではある。

だが、昨年のブルターニュ・クラシックやカナダ2連戦での活躍を見てると、パンチャー気質というか、ワンデーレーサーとしての素質も高そうな選手ではある。

それはそれで、ワウト・プールスと被ってしまいそうだけど・・・。

 

 

ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)

ニルス・ポリッツを獲得

昨年パリ~ルーベ2位、ロンド・ファン・フラーンデレン5位、E3ビンクバンク・クラシック6位などの実績を残した期待の若手クラシックスペシャリストニルス・ポリッツ(ドイツ、26歳)がボーラ・ハンスグローエへ。2023年までの3年契約。

母国籍チームへの移籍という意味では納得だが、やはり気になるのはクラシックにおけるペテル・サガンとの棲み分け。

ただし、そのサガンの現契約が2021年までであり、引退も囁かれている不確定な「その後」に向けて、マクシミリアン・シャフマンの契約4年延長と合わせたこのチームの狙いが透けて見えるかも?

なお、上記ツイートのリンク先である公式ホームページにおいてはポリッツのことを「オールラウンダー」と形容。

実際、彼はクラシックだけでなく、登りを含んだステージでのスプリントにも強く、TT能力も非常に高い。山岳ステージでの逃げ切りにも期待ができる男だ。

 

マシュー・ウォルスを獲得

2018年のトラックワールドカップ・ロンドンでオムニアム金メダルを獲得。そして今年のトラック世界選手権でオムニアムで銅メダルを獲得しているマシュー・ウォルス(イギリス、22歳)が2021年からボーラ・ハンスグローエ入り。

オムニアム金メダリストから活躍している選手といえばまず思い浮かぶのがフェルナンド・ガビリア。この人物も、十分に期待してよい選手だろう。

実際、2019年はU23ジロ・デ・イタリアで1勝。すでにワールドツアーチームで活躍しているイーサン・ヘイターやカデン・グローブスらを退けての勝利である。

また同じ2019年のツアー・オブ・ブリテンではナショナルチームの一員として参戦して第5ステージで2位。勝ったのはディラン・フルーネウェーヘンだが・・・このウォルスの後ろでゴールしたのがトレンティンやボル、チモライといった錚々たる顔ぶれなのだから驚きしかない。

あれ、そういえばガビリアも、その頭角を現したのは2015年のツアー・オブ・ブリテンでの勝利だったような・・・

とにかく、2021年大注目の若手の1人だ。

 

ウィルコ・ケルデルマンを獲得

ラボバンクの育成チーム出身で2012年にトップチーム昇格によりデビュー。2017年に現在のチーム・サンウェブに移籍し、その年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合4位。

トム・デュムランの最高のアシストの1人として、そしてオランダの次を担う期待のオールラウンダーとして、注目を集めていたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、29歳)がデュムランに続きサンウェブを去る。

近年は怪我で思うように走れないことが続き、チームのカラーも変化しつつあることを受け、進化し続けるボーラ・ハンスグローエへの移籍を決めた。

ボーラは昨年ツール総合4位のエマヌエル・ブッフマンが総合エースを務める。しかし現在のツール・ド・フランスではやや苦しんでいる彼に代わって、チームの総合エースの座を手に入れることも不可能ではない。

2020シーズンのここまでの成績は決して悪くない。UAEツアーで総合6位、ツール・ド・ポローニュで総合7位。先日のティレーノ~アドリアティコでも総合4位。

あとはこのあとのジロ・デ・イタリアでどんな成績を残せるか。そのキャリアにおいて最も重要な時期にいよいよ突入していく。

 

 

ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)

ファウスト・マスナダを獲得

今年、アンドローニジョカトリからのワールドツアーチーム昇格を果たしたばかりであったファウスト・マスナダ(イタリア、27歳)。 CCCチームが来期存続が危うくなる中、移籍自由権を手に入れた彼はシーズン途中でのドゥクーニンク・クイックステップ入りを、両チーム同意のもとで実現させた。

実力申し分ないこのクライマーの存在は、アラフィリップ・エヴェネプールのためのクイックステップ「総合強化プロジェクト」の一環となるはずで、今年のジロ・デ・イタリアへの出場の可能性も高いとされている選手だ。

今年のジロは元々予定していた「エヴェネプール・ヤコブセン」体制がどちらも危うくなる中、アルバロホセ・ホッジをジロに持っていかない限りは、ジョアン・アルメイダなどを中心とした総合系狙いの態勢で臨むことになりそうだ。

その際にはこのマスナダは重要な山岳アシスト(もしくは逃げ切り勝利)要員となりそうだ。チームとしても、まずはお手並み拝見といったところか。

 

 

イスラエル・スタートアップネーション(イスラエル)

クリス・フルームを獲得

israelcyclingacademy.com

今年からワールドツアーに昇格したばかりのイスラエル・スタートアップネーション。これまでもダニエル・マーティンやアンドレ・グライペルなどの注目選手たちを獲得してきた同チームだが、2021年、衝撃的なニュースが巻き起こった。

すなわち、ツール・ド・フランス4勝、ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャを1勝ずつ。近年においてアルベルト・コンタドールと並ぶ世界最強のグランツールライダーとして常に注目を集め続けてきた男、クリス・フルーム(イギリス、35歳)の獲得である。

2018年ジロの歴史的な大逆転勝利もまだ記憶に新しいフルームだが、その代償かその年のツール・ド・フランスは総合3位。翌年は前哨戦クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで生命の危機すら危ぶまれるほどの大事故を起こし、2017年以来のツール勝利はなし。

チーム内でもエガン・ベルナルの台頭もあり、確実と思われていた「5勝クラブ入り」も暗雲立ち込めつつある今年35歳のイギリス人は、2010年以来所属し彼を育て上げてきてくれた英国チームを去ることを決意した。

もちろん、この選択が本当に彼の目標達成のための適切な選択であったかどうかは現時点ではまったく不透明だ。

それでも、この動きは間違いなくファンを「わくわく」させてくれる。2021年ツールにおける、フルームとベルナル、あるいはトーマスとの対決が今から楽しみだ。

 

カールフレドリク・ハーゲンを獲得

28歳の「ネオプロ」として出場した昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでいきなりの総合8位。数少ないロット・スーダルの総合系要員だったカールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、29歳)が、イスラエル・スタートアップネーションにクリス・フルームのアシスト要員として移籍確定。2022年までの2年契約。

フルームにとっては心強い補強となるも、ティシュ・ベノートも移籍し、期待のランブレヒトも悲しみの中で喪ってしまったロット・スーダルにとっては、かなり手痛い流出ではないだろうか。

まあ、クラシックとスプリントでは十分すぎる戦力がいるし、ロットにとってはそれでいいのかもしれないし、総合系として輝くのであればハーゲンにとってもチーム移籍は必須だったのかもしれないが・・・。

 

ダリル・インピーを獲得

スプリントも山岳逃げもできてTT能力も高いまさに「スーパードメスティーク」なダリル・インピー(南アフリカ、36歳)がフルームのアシスト役としてイスラエル・スタートアップネーションと契約。2022年までの2年契約。昨年もさいたまクリテリウムのあと一緒にラグビーの南アフリカ戦を観に行った仲であり、元々「バルロワールド」でもチームメートだったという縁から、フルームより熱いラブコールを受けていたようだ。

 しかし、カレブ・ユアン、マッテオ・トレンティンに続き、ダリル・インピーまで失うとなると、本格的にミッチェルトン・スコットのこの後が不安になってくる・・・。まあまだ、ルカ・メスゲッツとカデン・グローヴスがいるんだけど・・・。

 

ベヴィンとバーウィックを獲得

世界選手権でも上位に入り込めるほどのTT能力をもつCCCチームのエースの1人パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、29歳)。 イスラエル・スタートアップネーションと2年間の契約を締結。

意外と山岳ステージでの逃げにも積極的で、彼もまた、フルームのアシスト役としても活躍する可能性も。スプリント力も高く、インピーと共に登りスプリント系ではエース格になりうる存在。ツアー・ダウンアンダーではインピーと共にダブルエースになるか?

そして、同じく南半球からは、今年のヘラルドサン・ツアーで衝撃的な走りを見せて総合2位に食い込んだセバスティアン・バーウィック(オーストラリア、21歳)が新加入。しかも2023年までの3年契約とのことで、イスラエルが本気で彼を育成しようとしている様子が見受けられる。

www.ringsride.work

 

とにかく多彩かつマニアックで有望な選手たちを集め続ける来年のイスラエル。若干、統一感がないような気もするが、チームとしては本当に面白くなりつつある。

 

マイケル・ウッズを獲得

唐突に驚きの移籍が! 「遅れてきた新人」の1人でありながら、元マラソンランナーとしての基礎能力の高さを遺憾なく発揮し、めきめきと戦績を積み重ねてきているマイケル・ウッズ(カナダ、34歳)がまさかのイスラエル・スタートアップネーション入りへ。 

フルームとしては、ここまでの移籍情報の選手たちと比べてもより信頼感の高いクライマーであり歓迎すべき事態。また、ウッズにとっても、実力ある若手が台頭しつつあるEFにいるよりは、自らの夢に近づける可能性が高いと言えるかもしれない。

とはいえ、ダニエル・マーティンもいて、何よりもフルームもいるこのイスラエルで、ツールを夢見るウッズはどう立ち回っていくか。ジロのエースあたりは任せてもらえるだろうが・・・。

一応、イスラエル・スタートアップネーションのオーナーはカナダ系ユダヤ人。その意味では、チャンスもあるかも?

 

 

ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)

マイケル・マシューズを獲得

カレブ・ユアン、マッテオ・トレンティン、ダリル・インピーと、チームの顔となる主力スプリンターたちを次々と放出していったミッチェルトン・スコット。

それはすべてこの伏線だったのか。4年前までこのチームにいたオージースプリンター、マイケル・マシューズ(オーストラリア、30歳)が古巣復帰を果たすことに。

もちろん、チームの状況は当時とは違う。同じオージースプリンターとしてのユアンも、パンチャー的な脚質で被っていたサイモン・ゲランスもいない。

そしてマシューズもこの4年間で、着実に成長してきた。ツール・ド・フランスでは計3勝とマイヨ・ヴェール、かつてゲランスも得意としていたカナダ2連戦でも計3勝。今年はさらに絶好調で、ミラノ〜サンレモでは集団先頭となる3位に、先日のブルターニュ・クラシックでも優勝。

ただ絶好調でありながら、今年のツールには出られなかった。先に移籍の予定があったからなのか、それがあったから移籍が決まったのか。チームのスポンサー国であるオランダのケース・ボルが優先される中、マシューズは実績を提げて母国チームへと舞い戻る。

ちょうど、契約期間中の2022年にはオーストラリアでの世界選手権も待ち構えている。まだまだ30歳。ここからさらなる伝説を創り上げてくれることを願っている。

 

アムンドグレンダール・ヤンセンを獲得

直前のクライスヴァイク負傷により急遽今年のツールメンバー入りを果たした元ノルウェーチャンピオンのアムンドグレンダール・ヤンセン(ノルウェー、26歳)。 結果的に山岳アシストは余り気味になったし、ワウト・ファンアールトが予想以上に山岳アシストとして機能してしまったことで平坦でのトニー・マルティンの仕事量が増えかねなかった中で、ヤンセンの存在は絶妙に功を奏したような気がする。

そんな平坦ルーラーとして活躍したヤンセンだが、元々はスプリンター、あるいはその発射台としての走りを得意とする選手。ミッチェルトン・スコットでは新エースのマイケル・マシューズにとってのアシストとして十分に機能するだろう。インピーもいなくなる中、スプリンター枠の補強として期待できる存在だ。

また、昨年のトレンティン離脱なども踏まえ少し手薄になりつつあるクラシック班の強化という意味でも期待できるかも。2019年のZLMツアーおよびダンケルク6日間レースでは、ともにマイク・テウニッセンに次ぐ総合2位を記録している。

 

 

モビスター・チーム(スペイン)

イバン・ガルシアを獲得

かつてツアー・オブ・ジャパンにも出場した経験があり、その年のブエルタ・ア・エスパーニャでグランツール初出場ながら終盤に逃げに乗るなど才能を見せつけていたイバン・ガルシア(スペイン、25歳)。 最近はツアー・オブ・カリフォルニアでの勝利など、起伏のあるステージでのスプリントでの強さも見せており、その意味で、スプリンターには常に不足しているモビスターにとってはのどから手が出るほど欲しかった移籍獲得の1つだろう。

もう1個、彼とチームの目標がある。それは1980年の創設以来このチームが達成していない数少ない栄光の1つであるパリ~ルーベでの勝利である。確かに未舗装路でも強さを見せている彼であればその可能性は確かにあり、このチームにとって、イマノル・エルビティ以来の可能性を見せてくれる存在となるだろう。

ではそのアシストは? 期待したいのは昨年新加入の23歳デンマーク人TTスペシャリストのマティアス・ノルスガード(イェルゲンセン)と、21歳アメリカ人マッテオ・ヨルゲンセン。共に昨年のツール・ド・ラヴニールで活躍しており、前者は第1ステージでの逃げ切り勝利、後者はポイント賞を獲得している。

同じく昨年新加入で2016年にネイションズカップのヘント~ウェヴェルヘム3位の24歳イギリス人ガブリエル・クレイなんかもその候補の1人。

昨年から変貌しつつあるこの新生モビスターは、果たして未来に希望を架けられるのか。

 

 

チーム・イネオス(イギリス)

アダム・イェーツを獲得

驚きの移籍。ミッチェルトン・スコットのイェーツ兄弟の1人、アダム・イェーツ(イギリス、28歳)が、母国イギリスのチームへの移籍を決めた。以前から噂はあったものの、まさか実現するとは。また、双子の兄弟サイモン・イェーツがミッチェルトン・スコットへの残留を決めた直後の発表だっただけに、驚きは2倍である。 

ただ、この2人は決してセットの存在ではない。話によると、あえて代理人も別々の人物を選んでいたようでもある。これまではたまたま一緒だったけれど、いつかこの時が来ることは互いにわかっていたようだ。

ミッチェルトン・スコットのエースとしてこれからもグランツールを狙っていくサイモンに対して、アダムはまた別の目標を持っているようにも思う。今年のツール・ド・フランスも、ステージ優勝狙いで走るという彼は、どちらかというと、3週間のグランツールよりも、長くても今年総合優勝したUAEツアーのような1週間のステージレース、そしてあるいは、昨年4位のリエージュ~バストーニュ~リエージュのようなワンデーレースにこそ、関心があるのかもしれない。

彼を獲得したイネオスの狙いの1つも、本来であればクウィアトコウスキーで狙いたいところだったアルデンヌ・クラシックを、より専門的に狙わせる要員としてのものかもしれない。

そしてもう1つ。彼のように、「3週間を闘い抜くほどの安定性はないながらも、一発の破壊力が大きい」タイプのクライマーは、過去のワウト・プールス、そして現在のミハウ・クウィアトコウスキのような存在になれる可能性がある。

すなわち、グランツールにおける最強格の山岳アシストの存在である。もちろんそれは、ネガティブな意味ではない。イネオスという、グランツール最強であることが求められ続けるチームにとって、欠かせないキーとしての価値を、アダムは見出されたのである。

もちろん、期待されてイネオスに来てすぐ出ていく選手も少なくない。アダムがここでどんな経験をして、今後の彼の未来にどんな影響を与えてくれるのか。

それが喜ばしいものになることを願っている。

 

 

チーム・ユンボ・ヴィズマ(オランダ)

ダヴィド・デッカーを獲得

現役最高の「才能の発掘場」であるSEGレーシングアカデミーから、今年のル・サミン3位でかつ現オランダU23ロード王者という才能しか感じさせない男ダヴィド・デッカー(オランダ、22歳)がユンボ・ヴィズマ入りを決定。2022年までの2年契約。

てんげるまんさん、あきさねゆうさんの情報により、2004年のパリ~ツールで227㎞を逃げて最後0秒差という最高の逃げ切り勝ちをしてみせたエリック・デッカーの息子さんであることも判明。彼は元ラボバンクであり、かつ元ロットNLユンボ監督でもあるということで、今回のユンボ・ヴィズマ入りにも全く疑問の余地なし。

次々と才能ある若手を獲得していくユンボ。今でなお最強クラスのこのチームは、今後もさらに強くなり続けるのか・・・。 

 

エドゥアルド・アッフィーニを獲得

2018年ヨーロッパ選手権U23個人TT部門の覇者エドゥアルド・アッフィーニ(イタリア、24歳)をユンボ・ヴィズマが獲得。2023年までの3年契約。

現在のワウト・ファンアールトやトニー・マルティンと同様の働きを期待できる男で、ドゥクーニンク・クイックステップで言えばカスパー・アスグリーンやイヴ・ランパールトの同等の強みを持っていると言えるだろう。

正直な話、旧チームであるミッチェルトン・スコットでは、その才能を持て余しているように感じていただけに、この移籍は個人的には嬉しい。カチューシャ・アルペシンで燻っていたトニー・マルティンに再び日の目を浴びさせたのもこのチームだと感じているだけに。

マルティンももう今年で35歳。8月13日現在では2021年以降の契約も不確定だけに、その代替という意味合いももしかしたらあるかもしれない。

 

サム・オーメンを獲得

オランダの若き才能溢れるクライマーの1人、サム・オーメン(オランダ、25歳)がユンボ・ヴィズマへと移籍を決めた。元々ラボバンク(ユンボ・ヴィズマの前身)・ディヴェロップメントチーム出身でもあり、母国籍のチームへの移籍という点でも不思議ではないという見方もあるが、サンウェブもメインスポンサー含め実質的なオランダチームでもあり、トム・デュムランが去ったこのチームにとっては、次期エース候補として最も注目されるべき存在のはずだった。

しかし昨年も長期的な怪我の影響で6月以来のレースに出場できずにいたりと、その存在感はやや薄れてきた中で、今シーズン冒頭にこの移籍話がまずは噂として持ち上がっており、今回はそれが実現した形だ。

ユンボ・ヴィズマにおける彼の役割はまずはプリモシュ・ログリッチ、もしくは同国の偉大なる先輩たるトム・デュムランのアシストだろう。ユンボからは強力な山岳アシストたるローレンス・デプルスが離脱するなどの噂もあり、その穴を埋める存在となることは間違いないだろう。

 

オラフ・クーイを獲得

現在ユンボ・ヴィズマ・ディヴェロップメントチームに所属するジュニア上がりのスプリンター、オラフ・クーイ(オランダ、19歳)が2021年の7月からユンボ・ヴィズマ昇格が決定。すでに今年、2クラスのレースで3勝しており・・・しかも、9/1のセッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ(1クラス)でついに(早くも)プロ初勝利を実現!

3位にはフィル・バウハウス、4位にはジャンニ・フェルメールシュといったトップチームの選手たちがしっかりと入っているレースでの19歳のこの勝利はあまりにも偉大。上記デッカーと共に期待しかない選手だ。

なお、2位は2日前のメモリアル・マルコ・パンターニでも2位になったイーサン・ヘイター。彼もまた今年からチーム・イネオス入りを果たしたばかりの若手期待のライダー。いずれも、2020年代のニューヒーローたちである。

 

 

チーム・サンウェブ(オランダ)

ロマン・バルデを獲得

今年の目玉移籍情報の1つ。プロデビュー以来9年間を過ごしてきたAG2Rを抜け出して、元ツール・ド・フランス総合2位のロマン・バルデ(フランス、30歳) がチーム・サンウェブの総合エースとして移籍が確定。

ここ数年、チームとしては彼のための万全の体制を用意しながらも、肝心の本人がなかなかうまい具合に走れずにいたバルデだが、ここで心機一転か。とはいえ、少なくとも8/13段階でのサンウェブは、いろんな選手が活躍しうる魅力的なチームであるのは間違いないものの、一人のエースを確実に勝たせる軍隊のようなチームとしては機能しづらいというのが正直な感想である(それがゆえにトム・デュムランが離脱した経緯もある)。

果たして、チームはバルデをどう生かすつもりなのか。そしてバルデはこのチームに何を求めているのか。

今後の動向が見逃せない。

 

ケヴィン・ヴェルマーケを獲得 

才能の発掘場ハーゲンスバーマン・アクセオンからまた2000年生まれ――エヴェネプールと同世代――の才能がワールドツアーにやってくる。

彼の名はケヴィン・ヴェルマーケ(アメリカ、20歳)。先日のツール・ド・ランにも出場し、チーム最高位となる総合38位でフィニッシュしている男だ。

特筆すべき成績は、2019年のU23版リエージュ~バストーニュ~リエージュでの優勝(U23初年度で、である)。かつて、このレースを優勝し、その後、ワールドツアーで素晴らしい走りを見せてくれていたのがビョルグ・ランブレヒトである。彼は非常に残念なことにはなかったが・・・この若きアメリカ人には、同じように期待していきたいところ。

まだ若く脚質を決めるのは決して正しい方法ではないが、LBLのようなレースやステージレースに強いのであれば、新加入のロマン・バルデにとっても重要な存在となるだろう。

8/1からサンウェブとトレーニー契約も結んでいるため、今期、サンウェブのジャージを着て走る姿を見ることもできるかもしれない。

 

 

UAEチーム・エミレーツ(アラブ首長国連邦)

マッテオ・トレンティンを獲得

共に単独エースで苦しんでいたグレッグ・ファンアーヴェルマートと合流し、いよいよクラシックでの大暴れを・・・と勢い勇んだ移籍直後のまさかのチーム消滅。

そんなマッテオ・トレンティン(イタリア、31歳)が新たに移籍先として選んだのは、同じくクラシックエースのアレクサンデル・クリストフがいるUAEチーム・エミレーツ。クリストフもまた同等のチームメートがいない中でクラシックで苦しんでいる感もあったので、これはこれでよい移籍。問題は、ファンアーヴェールマート以上に脚質が被ることだが・・・まあ、なんとかなるだろう。

近年は山でもかなり登れるようになってきたトレンティン。場合によってはポガチャルに対する万能アシストとして活躍する可能性もあるだろう。

そろそろベテランの域に達しつつあるトレンティン。名スプリンターかクラシックハンター、そしていぶし銀のアシストへと、その走り方に変化が訪れていく頃だろう。 

 

 

アルペシン・フェニックス(ベルギー)

ジャスパー・フィリプセンを獲得

www.cyclingnews.com

元ハーゲンスバーマン・アクセオン。2018年のツアー・オブ・カリフォルニアではフェルナンド・ガビリアと肩をぶつけ合う恐れを知らない若手スプリンターとして注目を集めたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、23歳)

2019年のUAEチーム・エミレーツでのプロデビュー直後からその才能を発揮し、緒戦のツアー・ダウンアンダーではカレブ・ユアンのヘッドバットによってポジションを落としながらも冷静にその後輪を捉え、2位に入ったことでユアンの降格後「初勝利」を飾った。

以後は1クラスのツール・ド・リムザンでの勝利くらいで大きな勝利には巡り合えていないが、常にトップレースでの上位には食い込む才能を発揮し続けている彼が、形上はセカンドティアーながらその存在感はワールドツアー級のアルペシン・フェニックスへの移籍を決めた。

このチームは当然マチュー・ファンデルポールがエースではあるものの、彼はピュアスプリントにはあまり参加しない印象で、そのポジションでは現在、ティム・メルリエがチームの2人目のエースというような強さを発揮している。そこにフィリプセンが加われば、今以上にワールドツアーレースでも活躍が期待されるチームとなるだろう。

チームとしても「ベルギーチーム」としての存在感をもっともっと出していきたいという思いもあるだろう。このチームの将来的なワールドツアー化の可能性すら感じさせる、意欲的な獲得だ。

 

 

チーム・トタル・ディレクトエネルジー(フランス)

ピエール・ラトゥールを獲得

これは驚きの移籍だった。AG2Rラモンディアルの「バルデの次」と目されていたオールラウンダー、ピエール・ラトゥール(フランス、27歳)がまさかのUCIプロチーム、トタル・ディレクトエネルジーへの移籍を決めた。2022年までの2年契約。

リリアン・カルメジャーヌが総合争いにおいてはやや不安がある中、トタルはピエール・ローラン以来の明確な総合エースを手に入れたことになる。

ただ、可能性としては、トタルの雰囲気に飲み込まれ、ラトゥールもまたカルメジャーヌのような「逃げ屋」になる可能性も・・・。

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャなどを見ていると結局は彼はそういう走りの方が向いているし彼自身も楽しいのかもしれず・・・果たして。

 

アレクサンドル・ジェニエスを獲得

FDJ、AG2Rといったフランスのトップチームを渡り歩き、ツール・ド・ラン総合優勝やブエルタ・ア・エスパーニャ区間3勝など輝かしい戦績を残し続けてきた古き良きクライマーといった感じのアレクサンドル・ジェニエス(フランス、30歳)。彼もまた、急速なクラシックチーム化を進めるAG2Rを抜け出し、似たタイプのラトゥールと共にディレクトエネルジーへ。たしかに、ディレクトエネルジーはかつてのAG2Rっぽさを残したチームではあり、ラトゥールもジェニエスも幸せになれる道かもしれない。

もちろん、ただ単に山岳で逃げてステージ勝利するだけでなく、ぜひラトゥールのグランツール総合を支えてあげてほしい。

 

 

(以後、随時更新予定・・・)

 

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