りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2021-2022注目移籍情報まとめ

 

毎年恒例の注目移籍情報まとめ。

今年もペテル・サガンやサム・ベネット、ジョアン・アルメイダなど、最初期段階の情報でもビッグネームが並ぶ。

今後さらに更新されていく最新情報は都度更新予定。

2022シーズンに向け、早速イメージをしていく手助けになれば幸い。

(最終更新:9/23)

 

※すべて公式Twitter・公式サイトで発表された情報のみを掲載にしております。

※年齢はすべて2021/12/31時点のものとなります。

 

目次

 

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ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)

サム・ベネット、アーチボルド、ファンポッペル、ミューレンを獲得

2014年のネットアップ・エンデューラ時代から「ボーラ」に6年間所属していた生え抜きのスプリンター、サム・ベネット(アイルランド、31歳)。チームのワールドツアー化後もペテル・サガンと双璧をなす世界最高峰のスプリンターとして活躍していたが、2020年にドゥクーニンク・クイックステップに移籍。その際にこのボーラとは色々揉めていたはずだったのだが・・・この度、チームへの復帰を決めた。

クイックステップを離れたスプリンターは調子を落とすとはよく言われる話。ただ、ベネットの場合は「元のチーム」であることはその点安心か? ボーラ時代からの盟友シェーン・アーチボルド(ニュージーランド、32歳)も同行。サガンもアッカーマンも同じタイミングでボーラを離れるため、ツールをエースで出場できる可能性がかなり高いことも、ベネットにとっては幸いな話だ。

また、ダニー・ファンポッペル(オランダ、28歳)も同時に獲得を発表。上記リンクの公式発表によると、どうやらこれは明確にサム・ベネットのアシストとしての獲得のようだ。

ファンポッペルはトレック所属時代の2015年のブエルタ・ア・エスパーニャで、22歳の若さで衝撃的なグランツール初勝利を果たし期待され続けてきたが、その後はなかなか大きな勝利を重ねられず。スカイ→ユンボ→現アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオと、ほぼ迷走に近い形でチームを移り変わってきた。

これまでエースとしてそれぞれのチームで活躍を期待され続け(そしてなかなかその期待に応えられなかった)彼が、いよいよその座を捨て、アシストとして生きることを決心したか。しかしその実力は間違いなく、彼のその才能が、最強スプリンターの勝利の重要なピースになってくれるのであれば幸いだ。

もう1人、ライアン・ミューレン(アイルランド、27歳)は優れたTTスペシャリスト。とはいえ、ビッグレースでのTT勝利を期待できるほどではない彼の次の役割は、このベネットトレインをさらに強化する重要な1ピース。

強いスプリントトレインとは、ただ単に加速力の優れた発射台がいればいいわけではない。超高速化するラスト10㎞から1㎞において、エーススプリンターを常に集団の先頭に維持し、そもそもの勝負権を失わせないための、強力なルーラーの存在が必要不可欠である。ロット・スーダルでいえばデヘントやクルーゲ、グルパマFDJでいえばコノヴァロヴァスやスコットソン、クイックステップでいえばアラフィリップ、ランパールト、アスグリーンといった選手たちだ。

マレン→アーチボルド→ファンポッペル→ベネットの新生ボーラ・トレインは、その実力を100%出すことができれば、それはものすごく強力なものになることが期待できる。

オフシーズンのチーム合宿でどれだけその結束を高めシーズンを迎えられるか、実に楽しみだ。

 

ヒンドレー、イギータ、ハラーを獲得

2021年のウィルコ・ケルデルマンに続き、2020年ジロ・デ・イタリア総合2位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、25歳)もボーラ入り。ボーラの総合系強化への強い意志を感じると共に、2021年もマルク・ヒルシやマイケル・マシューズを取られたチームDSMの未来に不安を感じる・・・。

さらにこちらも総合系、2019年ツアー・オブ・カリフォルニア総合2位や2020年パリ~ニース総合3位のセルジオ・イギータ(コロンビア、24歳)もEFエデュケーション・NIPPOから獲得。ここ最近伸び悩んでいるイギータだが、ボーラの走りとは割と合致するイメージなので、躍進に期待したい。

そしてそんな若手2人に混じって、プロ11年目になるマルコ・ハラー(オーストリア、30歳)も獲得。2021年にE3サクソバンク・クラシックで10位に入ったその適性は、ニルス・ポリッツを支えるクラシック班の一員であると共に、自ら2019年にエシュボルン・フランクフルトで9位に入ったり2020年にカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレースで8位に入るスプリント力で発射台の一部にもなりうる脚質をもつ。彼自身も公式サイトでのコメントで語っている。「僕はとてもオールマイティで、リードアウターにもなれるしグランツールでアシストすることもできる。僕は自分の経験をあらゆる地形のチームの助けになれることを望んでいる」。

積極的なメンバー入替を進めるボーラ。大きな変化が、このチームの新たな可能性を開くきっかけになることを期待している。

 

アレクサンドル・ウラソフを獲得

2018年ベイビー・ジロ(U23版ジロ・デ・イタリア)覇者にして、2020年イル・ロンバルディア3位。グランツール表彰台も狙える男アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、25歳)が、ボーラ・ハンスグローエの新たなエース候補として移籍する。

これでボーラは2019年ツール総合4位のエマヌエル・ブッフマンに2020年ジロ・デ・イタリア総合2位・3位の ジェイ・ヒンドレー&ウィルコ・ケルデルマン、そして2020・2021パリ~ニース覇者マキシミリアン・シャフマンと、総合勢が渋滞を起こす状況に。さらにジョヴァンニ・アレオッティなどの若手の台頭も期待できる中で、ウラソフもうかうかはしていられない。

イネオス、ユンボ、UAEで繰り広げられるグランツール総合争いの頂上決戦の舞台に、ボーラも食い込むことができるか?

 

コッホと18歳のルュースを獲得

CCCスプランディ・ポルコウィチェからCCCチームへと在籍し続け、2021年はアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオで走っていた ヨナス・コッホ(ドイツ、28歳)がチームの新たなスプリントトレイン要員として加入。2019年のブエルタ・ア・エスパーニャでは区間5位に入るなどしていた実力者。エースは難しいかもしれないが、出戻りするサム・ベネット、あるいはジョルディ・メーウスなどの若手スプリンターたちのためのアシストに精を出してほしい。

また、合わせてボーラの育成ジュニアチームである「Team Auto Eder」に所属していたルイス=ジョー・ルュース(ドイツ、18歳)も新たに加入。

近年進む「ジュニアからU23を飛ばしてのワールドツアー入り」がまた1人。果たしてどんな才能を見せてくれるのか。今のところは未知数だ。

 

 

コフィディス・ソルシオンクレディ(フランス)

ブライアン・コカールを獲得

エリア・ヴィヴィアーニを獲得し意気揚々とワールドツアー化したにも関わらず、そのヴィヴィアーニが不発で窮地に陥っているコフィディス。何としてでも悲願のツール・ド・フランス勝利を・・・との思いで次に手を付けたのがブライアン・コカール(フランス、29歳)

しかし、ブアニでもラポルトでもヴィヴィアーニですら届かなかった勝利を、コカールで果たして手に入れられるかというと・・・。

コカールは2015年のツール・ド・フランス・シャンゼリゼで2位に食い込み、翌年2016年もマルセル・キッテルにギリギリで敗れ涙していた。その意味で、ツール勝利まで本当にあと一歩・・・というところまで来ているのだが、以降、チーム移籍問題などのゴタゴタでしばらくツール・ド・フランスに出られない期間があって以来、正直全盛期の力からは衰えているように感じる。

もちろん、復活は望みたいが、果たしてどうなるか・・・。

 

ダヴィデ・チモライを獲得

コカールに続き、さらに有力スプリンターを獲得。元はFDJでジャコポ・グアルニエーリと共にアルノー・デマールの発射台として活躍し、現在はイスラエル・スタートアップネーションのエースとしてたとえば今年のジロ・デ・イタリアではとくに登りや横風によるカオスな展開となった第3ステージや第7ステージでは区間2位、第10ステージでは区間3位など上位に何度も食い込み続けたダヴィデ・チモライ(イタリア、32歳)

 プロ12年目ながらまだまだ衰えを見せないトップスプリンターの彼がコフィディス入り。いきなりコカール、立場が危うくなってないか?

これでラポルト、ヴィヴィアーニ、コカール、チモライとエーススプリンターが乱立・・・ヴィヴィアーニはさすがに去るかもしれないが。

これが吉と出るか。それとも、迷走という名の凶に出てしまうか・・・まあ、イスラエルも、随分と混沌としたスプリンター陣容の中でチモライが結果を出しているので、彼ならばなんとかなる、かも?

 

バンジャマン・トマを獲得

先日の東京オリンピックでも中距離種目で活躍し、男子マディソンでは現アルケア・サムシック所属のドナヴァン・グロンダンとペアを組んで銅メダルを獲得したバンジャマン・トマ(フランス、26歳)。昨年はオムニアムで世界王者にもなっている実力者中の実力者だ。

ロードレースではフランス陸軍チーム(エキップ・シクリスト・アルメ・ドゥ・テール)所属時代の2017年にダンケルク4日間レースやツール・ド・ワロニーなどで区間優勝。同年限りでチームが解散したのに伴い、その実績を買われグルパマFDJにてプロデビュー。以来、とくに個人タイムトライアルではトラックレースで培われた独走力でもって上位に食い込み続け、今年は2019年以来2回目となるフランス国内TT王者となった。また、ツール・ド・スイスでもあわよくば逃げ切りというところまでいったが、最後はシュテファン・ビッセガーにスプリントで負けて惜しくも2位。

まだまだ活躍が見込める中堅どころのルーラーライダーとして、とくにスプリントトレインの中継ぎ役など、重要な役回りを期待されてコフィディスに。同様の能力値が高い選手の多いFDJではどうしても2軍扱いだった彼も、1軍待遇で活躍するチャンスがもたらされるかも。

ぜひワールドツアー級のレースでの逃げ切りなども見てみたい。

コフィディスはほかにも同時期に現イスラエル・スタートアップネーションの逃げ屋アレクシー・ルナール(フランス、22歳)やAG2R一筋6年間勤めあげてきたフランソワ・ビダール(フランス、29歳)などを新規獲得し、増強を図っている。

 

 

EFエデュケーション・NIPPO(アメリカ)

エステバン・チャベスを獲得

2015年ブエルタ・ア・エスパーニャで突如現れた才能、エステバン・チャベス(コロンビア、31歳)。もちろん、2011年ツール・ド・ラブニール総合優勝という伏線はあった中ではあったが。

その後、2016年にジロ・デ・イタリア総合2位とブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位。当時はまだオリカという名を残していたこのチームが、総合へと舵を切っていく、まさにそのきっかけを作った男であった。

しかし、その主役がイェーツ兄弟へと移り変わっていくと同時に、彼は苦難の歴史を歩み始めていく。その中でも、彼は何度も、少しずつ、復活へのチャレンジを続けてきた。

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今回のEFエデュケーション・NIPPOへの移籍は、そんな彼の復活を支え続けてきた旧チームとの決別を意味するわけではないと信じている。事実、2021年は、このチャベスの復活がいよいよ結果に結びつき始める兆候を見せていた。

そんな中でのチャベスの離脱は、もっと、経済的なものを含む仕方のない理由なんだろうと思う。

そして彼のデビューから彼を陽に陰に支え続けてきたチームの意思を受け継ぎ、新たな舞台で、彼はもう一度新たな歴史を刻み始めることだろう。

 

オドクリスティアン・エイキングを獲得

FDJに2年所属したが芽を出せず、流れつくようにしてワンティへと辿り着き、そこでまさかのマイヨ・ロホ7日間着用と総合11位という素晴らしい成績を残した「パンチャー」オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、27歳)がEFエデュケーション・NIPPOに移籍! アンテルマルシェに残ってチームの中心として活躍し続ける姿も見てみたかったが、EFもなかなか戦力流出が続く中で、残ったメンバーでめきめきと結果を出していくすごいチーム。もうだめだと思っていたミケル・ヴァルグレンが直近で2連勝したり、ユンボで芽を出せなかったニールソン・ポーレスがクラシカ・サンセバスティアンを制したりと、本当に凄い。エイキングがクラシカ・サンセバスティアン勝ったりなんかも夢じゃないかも?

あとはヒュー・カーシーやサイモン・カーが作り出していく山岳チームの一員として、彼らのアシストをする姿なんかも見られるかもしれない。最初の2年契約でさっさと手放したFDJを見返してやろう!

 

メルハウィ・クドゥスを獲得

同じく山岳トレインの強力な補強として、現アスタナ・プレミアテックのメルハウィ・クドゥス(エリトリア、27歳)がEFに新加入。

こちらも2014年からMTNクベカ(現キュベカ・ネクストハッシュ)に所属し2019年からはアスタナ入りするも、その実力・潜在能力の高さに比してイマイチ活躍しきれていないように見える。実績としては2017年のツアー・オブ・オマーン総合4位や2019年のツアー・オブ・ターキー総合3位、そして2017年ブエルタ・ア・エスパーニャでルツェンコが勝った山岳ステージでの2位くらいなものか。

こういう選手を活躍させるのがEFの真骨頂のはず。アシストもいいけど、自由に走らせて結果を持って帰らせてほしい。

 

 

グルパマFDJ(フランス)

パシェ、ストーラーを獲得

2016年のプロデビュー以来フランス籍のプロコンチネンタルチームを転々としてきたパシェだが、初出場となった2020年のツール・ド・フランスで積極的な逃げと共に区間4位・7位など上位入賞を繰り返し、2021年のツール・ド・フランスでも区間8位が最高位ながらも総合では35位と非常に魅力的な走りを見せたカンタン・パシェ(フランス、29歳)。ついにワールドツアーチームの座を手に入れた。

もちろん目的の1つは、チームの新エース、ダヴィド・ゴデュの頼れるアシスト。ただ個人的には、ぜひ今度こそ、ツールでの区間勝利を、狙ってほしい。

総合系ではより期待度の高いマイケル・ストーラー(オーストラリア、24歳)。UniSA出身の有望オージーの一角。もちろん、そういう才能はなかなか花開くのも難しいのだが、2021年はついにプロ初勝利。1クラスではあるが、ツール・ド・ランの最終日ステージ勝利と共に逆転総合優勝を果たした。

基本はパシェ同様ゴデュのアシストになりそうだが、ピノがこのまま復活しきれないままキャリア終盤を迎えるのであれば、ゴデュの次のエース候補として、マデュアス、アッティラ・ヴァルテルあたりと並ぶ可能性になりうるので、頑張ってほしい。

 

ブラム・ウェルテンを獲得

プロ勝利こそないが、今年はブレーデネ・コクサイデ・クラシックやトロ・ブロ・レオンなどで8位を取っているルーラー/スプリンターのブラム・ウェルテン(オランダ、24歳)をグルパマFDJが獲得。デマールのトレイン要員、およびシュテファン・キュングのクラシック班要員としての活躍が期待される。

2017年はBMCレーシングのトレーニーで実は同年のジャパンカップでも走っている。そのまま昇格とはいかず、翌年にフォルテュネオ・サムシック(現アルケア・サムシック)でプロデビュー。今年まで在籍していた。

近年の傾向から言えば遅咲きのワールドツアーデビュー。さて、どんな活躍を見せてくれるのか。

 

 

イネオス・グレナディアーズ(イギリス)

ルーク・プラップを獲得

2021年の1月に開催されたツアー・ダウンアンダー代替レース「サントス・フェスティバル・オブ・サイクリング」で活躍した今最も注目すべき若きオージーライダー、ルーク・プラップ(オーストラリア、21歳)が、イネオス・グレナディアーズへ移籍することが決まった。

性格には8/1からまずはトレーニー(スタジエール、研修生)として加入。2021シーズンからイネオスの一員としてレースを走ることが期待される。

2021年は上記のサントス・フェスティバル・オブ・サイクリング以外でもオーストラリア国内選手権個人タイムトライアルでも優勝している。もちろん、U23ではなく、エリートカテゴリで。 ローハン・デニスやリッチー・ポートなどはいなかったとはいえ、2019年・2020年とそのデニスを打ち破って王者に輝いていたルーク・ダーブリッジを43秒も上回っての優勝だから半端ない。登れてTTでも強い選手は今の若手のトレンドだし、そこでイネオスに育てられるのだから、この男も怪物となることはもはや保証されたも同様。

そしてリッチー・ポートとの先輩・後輩コンビは実に楽しみである。2022年にツアー・ダウンアンダーが復活するかどうかはまだ分からないが、実際に開催されたらぜひ2人で出てほしい。

プラップの走りやサントス・フェスティバル後のインタビューなどを以下の記事でまとめているのでぜひ。

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ベン・トゥレットを獲得

2018年&2019年シクロクロスジュニア世界王者に輝いている、まさにトム・ピドコック2世とも言える逸材ベン・トゥレット(イギリス、20歳)をイネオスが獲得。ロードレースでも2021年、アルペシン・フェニックスの一員として、フレッシュ・ワロンヌ12位やツール・ド・ポローニュ総合9位(&ビョルグ・ランブレヒト賞獲得)など、注目に値する成績を叩き出している男。

彼自身も将来の夢は総合系ライダーになることと語る。まずはイネオスとの3年契約の中で、どこまでその才能を伸ばしていけるか。

目下、ツアー・オブ・ブリテンに出場予定。得意のタイプのレースだけに、活躍に期待だ。

 

 

アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ(ベルギー)

クリストフとビストラムを獲得

エーススプリンターのダニー・ファンポッペルがボーラ・ハンスグローエに行くことが決まったアンテルマルシェ。代わりのエーススプリンターを探す必要があったが、その白羽の矢が立ったのが、ミラノ〜サンレモとロンド・ファン・フラーンデレン覇者、ツール・ド・フランス通算4勝のアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、34歳)

クリストフも2020年もツールで勝っているにも関わらず、2021年はどのグランツールにも出場させてもらえないような待遇。チームを出る理由は十分にありそうだ。

同じノルウェー人の平坦アシスト、スヴェンエーリク・ビストラム(ノルウェー、29歳)も、同じタイミングでアンテルマルシェに。クリストフと同じチームだったことも多い気心の知れた間柄だ。

これまでのプロ勝利は国内選手権ロードだけという地味な選手ではあるが、2021年のブエルタ・ア・アンダルシアで割合登れる姿も見せるなど、新たな活躍の可能性も感じさせている。

2021年は8月までの間で結局3勝しかできていないアンテルマルシェ。2022年はこのクリストフで勝ち星を稼ぐことはできるのか?

 

ビニヤム・ギルマイを獲得

2020年に石上・岡と共に「NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス」の一員としてプロデビューし、いきなりシーズン開幕戦のラ・トロピカーレ・アミッサ・ボンゴで2勝+ポイント賞。さらには2月のトロフェオ・ライグエーリアでジュリオ・チッコーネにつぐ2位と、圧倒的な才能を感じさせたビニヤム・ギルマイ(エリトリア、21歳)がこの8月6日からアンテルマルシェ入り。

所属していた「デルコ」が諸々の事情で消滅しかかっており、所属選手に移籍自由権を与えた結果である。

 

実際、これほどの才能がこのまま埋もれてしまうにはあまりにも勿体ない思いでいっぱいであった。なんとかワールドツアーチームで居場所を見つけられたことは幸い。あとは、しっかりと結果を出すだけ。

エリトリア人はこれまでも有力選手を数多く輩出してきたが、テクレハイマノにせよ、クドゥスにせよ、ベルハネ、ゲブレイグザブハイアーにせよ、「強い」と感じさせてもそこからさらに突き抜けられている選手がまだいない。

ギルマイがその可能性を花開かせてくれるか。まだまだ若いことは大きな武器である。

 

ホーセンス、タイッセン、ハイスを獲得

ロット・スーダルから若手を2名。アグレッシブな逃げを得意とし、今年のジロ・デ・イタリア山岳ステージで区間6位、ツール・ド・ロマンディでは山岳賞獲得、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでは総合24位と強さを見せているコービー・ホーセンス(ベルギー、25歳)と、元トラックレーサーで昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでは区間2位に入るなど、本物であることを証明している有望スプリンター、ヘルベン・タイッセン(ベルギー、23歳)

さらにベルギーのUCIプロチーム、ビンゴール・パウェルス・ソーセスWBからローレンス・ハイス(ベルギー、23歳)も獲得した。こちらはまだ大きな実績はないが、今年のツール・ド・ハンガリーで総合6位、若手の登竜門アルプ・イゼール・ツアーで総合5位など、クライマーとしての進化の可能性を感じさせる走りを見せている。

アンテルマルシェにとっては順当に良い強化。とくにベルギー若手をしっかりと育てていこうという意志を感じる。

一方、有望な若手を獲られていくロット・スーダルには不安を覚える・・・。大丈夫だろうか。せっかく今年ずいぶん沢山集めたのに。

 

 

ロット・スーダル(ベルギー)

ルディガー・ゼーリッヒを獲得

ロット・スーダルはいまやチームの顔となった世界最強スプリンターの一角、カレブ・ユアン(オーストラリア、27歳)の契約をさらに2年更新、2024年末までとすると共に、ボーラ・ハンスグローエから一流リードアウターのルディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、32歳)を獲得した。

すでにロット・スーダルトレインは、トーマス・デヘント→ロジャー・クルーゲ→ジャスパー・デブイストとかなり完成されているように思うし、とくにデブイストは今年のジロを見てもかなり強力な発射台として機能している。

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また、若手でもステファノ・オルダーニなどが期待の存在として経験を積みつつある中で、ゼーリッヒの獲得はどこまで意味を持つのかは今の段階では未知数。ここ最近のゼーリッヒは盟友であったはずのパスカル・アッカーマンとの連携があまりうまくいってなかったように見受けられるのも気になるところ。

一方、ゼーリッヒの北のクラシックでの適性の高さにも注目したい。問題はその彼のアシストを受けるべきエースの存在。いつまでもジルベールやデゲンコルプに頼るわけにはいかないだろうし、若手で最も有望株なフロリアン・フェルメールシュ(昨年のヘント〜ウェヴェルヘム13位)の成長に期待したいところ。

 

 

チームDSM(ドイツ)

ジョン・デゲンコルプを獲得

ミラノ~サンレモとパリ~ルーベの覇者であり、ブエルタ・ア・エスパーニャで通算10勝しているジョン・デゲンコルプ(ドイツ、32歳)が、アルゴス・シマノ時代からの2012年~2016年の計5年間所属していたチームへと「出戻り」することに。

上記サンレモ&ルーベ&ブエルタ10勝という栄光はいずれもこのチームの時代に獲得したもの。しかし2016年初頭のトレーニング中に事故に巻き込まれて指を切断しかける大怪我。以降、全盛期の力を取り戻すことができないまま、トレック、ロット・スーダルと放浪してきていた。

新たな栄光を求めるための戦いというよりは、2021年から所属するロマン・バルデと共に、このチームの特徴である(そしてかつての自分でもある)若手たちの成長を手助けすることが大きな目標となるか。

しかしそのバルデがブエルタ・ア・ブルゴスで3年ぶりの感動的勝利を成し遂げるなど、DSMも少し変化の時を迎えている印象もある。デゲンコルプももしかしたら、3年以上遠ざかっているワールドツアー勝利を再び手にする可能性もある、かもしれない。

 

 

チーム・ユンボ・ヴィズマ(オランダ)

ファンデルサンドとラポルトを獲得

比較的起伏のあるスプリントを得意とし、今年のポストノルド・デンマークルントやツアー・オブ・ノルウェーでも繰り返し上位に入り込み続けていたトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、31歳)と、起伏はもちろん石畳も激坂TTもいける割と万能タイプのスプリンター、クリストフ・ラポルト(フランス、29歳)を新たに獲得。

ファンデルサンドは今年のドワースドール・フラーンデレンで5位、ラポルトは2位と実績も残しており、ワウト・ファンアールトによる北のクラシック制覇に向けての重要なアシストを担うことになるだろう。

これまでナセル・ブアニに代わるツール・ド・フランスのエーススプリンターとしてのチャンスを与えられていたラポルトも、一旦再びアシスト業への専念が増えてしまうかもしれない。ただ、彼の万能さはその立場でもひときわ輝くものになるはずなので、活躍を楽しみにしている。

 

ローハン・デニスを獲得

兼ねてからの噂通り、元TT世界王者ローハン・デニス(オーストラリア、31歳)を獲得。これでユンボ・ヴィスマは、2020東京オリンピックTT金メダリストのプリモシュ・ログリッチ、銀メダリストのトム・デュムラン、そして銅メダリストのローハン・デニスの全員を擁することに。一度このメンバーで走るチームTTを見てみたい(そこにさらにトニー・マルティンやワウト・ファンアールト、ヨナス・ヴィンゲゴーにトビアス・フォスあるいはヨス・ファンエムデンなんかが加わりうるのだから恐ろしい)。

もちろん、デニスの強みはTTだけではない。かつてはグランツールの総合エースすら視野に入れていたオールラウンダーの素質を持つ男。2020年のジロ・デ・イタリアにおける、テイオ・ゲイガンハートの総合優勝の最大の立役者は間違いなく彼であった。

もちろん、すでにユンボにはワウト・ファンアールトという同じ役割を果たせる強力な男が存在するし、トム・デュムランも元の力を取り戻せば十分にその位置に値する。

むらっけも多いデニスが、果たしてこの最強格チームの中でどんな役割を与えられるのか・・・。

ただ一つ言えるのは、ヨナス・ヴィンゲゴーというログリッチに並ぶグランツール総合優勝候補者を手に入れたユンボ・ヴィスマが、全グランツール制覇を目指しうる体制の一角をこのデニスの獲得で確かに築き上げつつあるのは確かだ。

ユンボはすでに2度、ツールで敗けた。

しかし彼らは諦めていない。まだまだ、イネオスにも、UAEにも敗けない、最強チームを創り上げるべく虎視眈々と準備を進めている。

 

ミック・ファンダイケを獲得

「若手の登竜門」ツール・ド・ラヴニールで区間2位や区間4位などに入り込み、勝利こそないものの第3ステージから第6ステージまでの間マイヨ・ジョーヌを着続けていたミック・ファンダイケ(オランダ、21歳)。元々ユンボ・ヴィスマのディヴェロップメントチームに所属していたものの、9/5時点で急遽エリートチームに昇格。契約自体は2024年まで続く。

国内選手権U23TTで優勝。ロードでも2位。なお、ロード優勝のTT2位は双子の兄弟のティム・ファンダイケが獲得しており、ファンダイケ兄弟で国内選手権U23TTとロードの1位と2位を独占している格好に。こちらのティムの方もディヴェロップメントチームに所属しているが9/23段階で来期の状況は未確定。普通なら一緒にそのままエリートチームに昇格しそうなものだが・・?

実際、実績はわずかにミックの方が上。9月頭に開催された今年初開催のU23向けステージレース「フランダース・トゥモロー・ツアー」で区間2勝と総合優勝を成し遂げている(ティムの方は総合9位)。つい先日の世界選手権TTでも5位と好成績だった。

果たして明日のU23ロードの方はどうなるか。注目だ。

 

 

トレック・セガフレード(アメリカ)

マルクス・フールガードを獲得

UCIプロチームのUno-Xプロサイクリングチーム所属ながら、今年のE3サクソバンク・クラシックで8位、アークティックレース・オブ・ノルウェー初日ステージで優勝など活躍を重ねているマルクス・フールガード(ノルウェー、27歳)を獲得。昨年のツール・ド・ルクセンブルクでも総合2位。東京オリンピックノルウェー代表としても出場し、34位で完走している。

トレックは合わせてアルペシン・フェニックスのマチュー・ファンデルプールのためのアシスト要員であったオット・フェルハード(ベルギー、27歳)も獲得しており、ジャスパー・ストゥイヴェンやマッズ・ピーダスンら北のクラシック班のさらなる強化が進行中。

今年もミラノ~サンレモやクールネ~ブリュッセル~クールネで優勝し、ロンド・ファン・フラーンデレンでも4位と好成績を残しているトレッククラシック班の2022年の更なる活躍に期待だ。

 

ジョン・アベラストゥリを獲得

一時期チームUKYOに所属し、日本のレースでも無双していたために日本人にとっても有名なジョン・アベラストゥリ(スペイン、32歳)がトレック・セガフレードに加入。スペインに戻ってからも強さは衰えないどころかむしろ増しており、登り系のスプリントであればワールドツアーチームの選手たちに混じって上位入賞候補筆頭に常に上がってくる存在。今年の勝利はツアー・オブ・スロベニアの1勝のみだが、2位が4回にTOP5入りが8回、今回のブエルタ・ア・エスパーニャでも、第13ステージまでの間に2回6位を獲っている。

ゆえに、トレックに入ってからも、エドワード・トゥーンスやマッズ・ピーダスン、マッテオ・モスケッティらと共にチームの稼ぎ頭になってくれることだろう。もちろん、彼らを発射させるアシストとしても。

なお、カハルラル・セグロスRGAはこれで2011年から12年連続でワールドツアーチームに選手を送り込んだことになるらしい。すごい。というかクフィアトコフスキとかもカハルラルに所属していたのか・・・。

 

アントワン・トールクを獲得

racing.trekbikes.com

2018年ジャパンカップ2位、2018年クラシカ・サンセバスティアンでもムルギル・トントーラでアタックし、最終的にも10位に入るなど、パンチャーとしての高い素質を見せ続けていた男アントワン・トールク(オランダ、27歳)が5年間在籍していたユンボ・ヴィスマを離れトレックへ。

ユンボが強力なチームへと変化する中で、こういった「伸ばし切れなかった才能」が抜け出ていくことは残念ではあるが、トレック・セガフレードはモレマ、ブランビッラ、エリッソンドなど中堅~ベテランメンバーが息長く活躍する姿も見せているチームなので、その点ではトールクも良い位置に入り込み自由な走りができそうで期待もある。同じく2022年にAG2Rから移籍してくるトニー・ガロパンと共に、活躍を願いたいところ。

 

 

UAEチーム・エミレーツ(アラブ首長国連邦)

フィン・フィッシャーブラックを獲得

ユンボ・ヴィスマ・ディヴェロップメントチームに所属し、2021年はニュージーランド・サイクルクラシックで2勝、国内選手権U23TTで優勝、そして「ユンボ・ヴィスマの一員」として出場したベルギー・ツアーの個人TTではエヴェネプール、ランパールトに次ぐ3位という類稀なる成績を叩き出したフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、20歳)。このままユンボ・ヴィスマのエリートチーム入りを果たし、次代の超有望株として成長していくか・・・と期待していたが、なんとそこでUAEチーム・エミレーツが横からかっさらう。2021年7月14日付で、突如UAEチームに電撃移籍。電撃プロデビュー。

2020年代のグランツール最強チームの名をかけた2大チームによる仁義なき戦い。TTが強いことは今の時代のグランツール頂点を狙うオールラウンダーの必須条件とも言えるため、この男は間違い無く今後も伸びていく。

早ければ2022年から無視できない活躍をしていくかも? 要注目だ。

なお、1歳年上の姉ナイアム・フィッシャーブラックは、女子界における最強チーム「SDワークス」に今年から所属し、ブエルタ・ア・ブルゴスとジロ・デ・イタリア・ドンナ(女子界最高峰のレース)で新人賞を獲得するなどその才能を遺憾無く発揮している。

姉弟揃って最強チームで最強の若手を演じるフィッシャーブラック家。姉弟まるごと大注目だ。

 

ジョアン・アルメイダを獲得

こちらも噂通り。2020年のジロ・デ・イタリアでレムコ・エヴェネプールの「代役」としてエースを張り、そのまま衝撃のマリア・ローザを15日間にわたり着用し続けていたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、23歳)。2021年も復帰初戦となったエヴェネプールと共にジロに参戦し、表向きは彼が最初からエースのはずだったのだが・・・

最初の本格的な山岳ステージとなった第6ステージ「サン・ジャコモ」でまさかの失速。代わりにエヴェネプールが調子の良さを見せたため、ここで一度「エース交代」が行われた。

だが、さらに第11ステージ「ミニ・ストラーデビアンケ」。エヴェネプールにとっては初めてとなる「11日目」の戦いに、大きな大きな失速。そしてアルメイダは、チームの指示を受けて、このエヴェネプールの「アシスト」を行うこととなってしまった。

 

このときのチームの戦略の是非は問わない。

結果としてこの日と、同じく遅れたエヴェネプールのアシストをした第14ステージ「モンテ・ゾンコラン」とで8分32秒遅れの総合14位にまで落ち込んでしまったアルメイダだったが、そこからはいよいよ自由な立場を取り戻し、快進撃を始める。

とくに第3週目で見せた走りは、今大会エガン・ベルナルとサイモン・イェーツと並ぶ「3強」に数え上げてもおかしくはない。激坂における鋭い一撃を得意とするサイモン・イェーツに対し、アルメイダはペース走行タイプ。一度は彼に突き放されることがあっても、やがて確実に彼は先頭に戻ってくる。そして最後は、緩斜面区間で、サイモンを突き放すのだ。

それは2017年ジロ覇者トム・デュムランを彷彿とさせるような走り。

 

決して派手な走りを見せる男ではない。2021年序盤のUAEツアーなどでも、タデイ・ポガチャルの走りには全くついていけず、後手を踏み続けていた印象だ。まだ、世界最高峰の舞台でエースを任されるほどの存在ではないことは、否定できない。

ゆえに、そのポガチャルのアシストとしてツールを走る姿というのは、意外と彼に合うのではないかと思っている。もちろん、今度こそ「ジロのエース」を最初から果たし、リベンジを狙う姿も楽しみだ。

 

パスカル・アッカーマンを獲得

アレクサンダー・クリストフの移籍を発表したばかりのUAEチーム・エミレーツ。入れ替わるようにして、ボーラからパスカル・アッカーマン(ドイツ、27歳)を獲得した。

しかしそもそもクリストフも2021年にグランツールを1つも出られないままチームを去ることに。トレンティンくらい器用ならまだしも、アッカーマンのようなピュアスプリンターに果たして適性な居場所はあるのか。

ただ、フアン・モラノは2020年・2021年において最強の発射台であり続けたし、そのエースたるガビリアが2022年の契約が怪しい以上、その位置に座ることができれば、そしてアッカーマン自身が2020年以前の調子を取り戻すことができれば、勝利の量産は夢ではない。

逆にその調子を取り戻せなければ、それこそブルゴスでも2勝しているモラノが逆にエースの座を狙うライバルとしてアッカーマンの前に立ちはだかるだろう。

この移籍が吉と出るか凶とでるか。まずはアッカーマン自身の頑張りにかかっている。

 

マルク・ソレルを獲得

「ポガチャルのための最強総合チーム」作りが止まらない。次なる標的は元モビスターで2015年ツール・ド・ラヴニール覇者マルク・ソレル(スペイン、28歳)。2018年にはパリ〜ニースを制するも、その後は不運もありなかなか実績を出せずにいる伸び悩み中の彼が、エースでパンクするモビスターを飛び出し、UAEへ。

もちろん、この地でも単独エースを任せられる可能性はほぼないだろう。だが、ツール覇者の最強アシストの一角として走れることはまた、大きな誇りとなるはずだ。2018年ツールのときは「トリプルエース」を支えるアシストとしてかなり優秀な走りをしていたことが印象に残っている。

2021年にUAEはボーラのエースであったラファウ・マイカを手に入れ、そしてこれがツールで結果を出した。

同様にアルメイダやこのソレルを獲得することは決して「金に任せてただ強い選手を引っ張ってきているだけ」では決してない。

それらはたしかに効果的に機能し、真の最強山岳チームが生み出されることだろう。2022年のツールが今から楽しみだ。

 

アルバロホセ・ホッジを獲得

2017年ツール・ド・ラヴニールでエガン・ベルナルやカスパー・アスグリーン、ファビオ・ヤコブセンらと共に活躍し、翌年ヤコブセンと共にドゥクーニンク入りしたアルバロホセ・ホッジ(コロンビア、25歳)。片方が勝利すればもう片方も同等のレースで勝利するという、実に良きチーム内ライバルとして競り合い続けていたホッジとヤコブセン。

しかしホッジが2019年末のツール・ド・ユーロメトロポールで激しい落車。さらにヤコブセンも2020年ツール・ド・ポローニュでの大事故を経験し、共に苦しい時期を過ごした。

ヤコブセンは先日のツール・ド・ワロニーで2勝して復活を遂げ、ホッジもまた、ツール・ド・ランで2年ぶりの勝利を飾ることに成功した。

再び力を取り戻しつつある両社だが、それと同時に、歩む道は違えることとなる。ヤコブセンはそのままドゥクーニンクに残り、そしてホッジは、UAEチーム・エミレーツに招き入れられることに。

フェルナンド・ガビリアがチーム残留するかどうかはまだ確定していないが、残るのであればこれでガビリア、ホッジ、フアン・モラノのコロンビアントップスプリンターが3人、集う形に。

ほかにもアッカーマンやトレンティンもいるUAEでは、もしかしたらエースとしての走りは難しいかもしれない。

それでも、ホッジが再びその力を認められ、活躍する場ができるのであれば、それは喜ばしいことである。

 

ジョージ・ベネットを獲得

ペテル・サガンやナイロ・キンタナらと同じ1990年生まれの「黄金世代」の一人、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、31歳)。だが、そんな彼が注目されたのは意外と遅く、2017年のツアー・オブ・カリフォルニアでの総合優勝から。最終日前日の個人TTでの大逆転総合優勝は衝撃的だった。

だが、その後グランツールでのエースを任された彼はなかなか結果を出せずにいた。そのうちに、プリモシュ・ログリッチやステフェン・クライスヴァイク、セップ・クスなどの新たな才能が台頭していく。

だから、彼の今回のこの選択は驚きではあったが、不可解ではなかった。もちろん、今のこのUAEチーム・エミレーツに移籍するということは、エースという道はほとんど考えられず、最強のポガチャルあるいはそれに準じるジョアン・アルメイダなどのアシストとして全力を尽くす運命にあることは十分に理解しているだろう。

だが、個人的に彼が最も輝いたように見えた瞬間は、2019年ツール・ド・フランスでクライスヴァイクの総合3位を支えた瞬間だった。そのときの力を、今度はポガチャルという稀代の才能が描く新たな歴史の始まりを支える最前線で発揮できるのであれば、それは一人のファンとしても嬉しい限りだ。

もちろん、2020年イル・ロンバルディア2位など、彼自身の類稀なる戦績もある。そんなチャンスも、きっと掴んでみせてほしい。

 

 

アルペシン・フェニックス(ベルギー)

ステファノ・オルダーニを獲得

コメタ・サイクリングチーム(現EOLOコメタ)出身で昨年ロット・スーダルにてプロデビュー、その初年度にジロ・デ・イタリアに出場して区間6位や8位を獲得、今年もユアンが撤退したあと、第10ステージで区間4位に入るなど、目覚ましい活躍を見せている期待の若手スプリンター、ステファノ・オルダーニ(イタリア、23歳)

ユアントレインにも入らず、自由な走りを許されているし大事に育ててもらえるのかなと思っていたら・・・なんとアルペシンに移籍。ロット・スーダルにとっては大きな才能を失うという意味でとても残念なことだ。

一方、アルペシンにとっては、ただでさえ今年ワールドツアー最強級の力を誇っていたトレインがさらに強化され、手がつけられなくなることに。恐ろしい・・・。

 

ロバート・スタナードを獲得

2018年ピッコロ・ロンバルディア覇者。「U23版イル・ロンバルディア」とも言われるこのレースは、ジャンニ・モスコンやファウスト・マスナダ、アンドレア・バジョーリなど実力者たちが優勝者として名を連ねており、このロバート・スタナード(オーストラリア、23歳)も期待されてミッチェルトン・スコット(現チーム・バイクエクスチェンジ)入りを果たしていた。

しかし、オージーチームもなかなか彼を育てきれなかった。彼の脚質も、山岳・丘陵・スプリントなどそれぞれともにそこそこできるものの、突き出るものもない中途半端なものでもあり、いい走りはするがプロ3年で勝利はいまだ0。

それでも今年はブラバンツペイル6位やティレーノ~アドリアティコ区間6位など頑張っており、チッタ・ディ・ルガーノでもあと少しで勝利というところでフィニッシュ前での落車トラブルに巻き込まれての悔しいリタイアとなっていた。

そんな彼がアルペシン入り。チャンスは広がるはずだ。北のクラシックはもちろん強いこのチームだが、アルデンヌ系レースでは、クエンティン・ヘルマンスやクサンドロ・ムーリッセが頑張ってはいるものの決め手に欠けている状態。本来期待していたシルヴァン・ディリエも2021年はイマイチだったし、期待の若手ベン・トゥレットもイネオスに行ってしまう。

そんな中のこのスタナードの加入はチームの方向性にも合っている。同じく2022年からアルペシン入りする2021年ストラーデビアンケ6位のミヒャエル・ゴグルと共に、チームの新アルデンヌエースとしての活躍に期待だ。

 

 

チーム・トタルエナジーズ(フランス)

ペテル・サガン、ボドナル、オス、そしてスペシャライズドを獲得

かねてよりの噂通り、3度の世界王者、ロンドとルーベの覇者、7回のマイヨ・ヴェール取得者であるペテル・サガン(スロバキア、31歳)を獲得したトタルエナジーズ。当然、「サガンファミリー」であるところのマチェイ・ボドナル(ポーランド、36歳)ダニエル・オス(イタリア、34歳)、そして4年前ボーラにもサガンと共にもたらされたスペシャライズドバイクもまた、一緒になってトタルエナジーズにもたらされることに。

さて、トタルエナジーズは昨年もピエール・ラトゥールやエドヴァルド・ボアッソンハーゲンなどの強力なライダーを獲得している。一説にはワールドツアーチーム化も狙っているという噂もあるが、果たして。サガンもいれば今まで以上にツール・ド・フランス始めトップレースには招待されるだろうし、ワールドツアー化のメリットは多くないかもしれないが。 

 

 

 

(都度、更新予定)

 

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