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2021年シーズンを振り返る⑦ UCIワールドツアー全チーム 勝利数ランキング(9位〜1位)

 

前編の19位~10位に続き、今回は後編の9チーム+1!

2021シーズン、最も活躍したチームとは?

勝利数とUCIチームランキングとの違いにも注目していこう。

 

※勝利の定義は「プロ勝利(UCI 1クラス以上のレースでの勝利)」数となります。

※チームとしての勝利数となるため、国別代表として出場したレースや世界選手権などの勝利はカウントされません。逆に逆にチームタイムトライアルや国内選手権の勝利などは含みます。

※勝利数が同数の場合は、2位の数、それも同数の場合は3位の数で順位分けしております。

 

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19位~10位はこちらから

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【参考:過去の「振り返る」シリーズ】

2016年シーズンを振り返る カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

2017年シーズンを振り返る カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

2018年シーズンを振り返る カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

2019年シーズンを振り返る カテゴリーの記事一覧 - りんぐすらいど

 

過去の「全チーム勝利数ランキング」シリーズ

2017年:18位~9位8位~1位

2018年:18位~10位9位~1位

2019年:18位~10位9位~1位

2020年:19位~10位9位~1位

 

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第9位 イスラエル・スタートアップネーション 17勝

UCIチームランキング:10位(昨年22位)

2020年:10勝(12位)

2019年:29勝

2018年:15勝

2017年:8勝

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  • ベン・ヘルマンス 4勝
  • マイケル・ウッズ 2勝
  • マッズ・ウルツシュミット 2勝
  • アンドレ・グライペル 2勝(引退)
  • ダニエル・マーティン 1勝(引退)
  • オメル・ゴールドシュタイン 1勝
  • マティアス・ブランドル 1勝
  • ギヨーム・ボワヴァン 1勝
  • イタマル・アインホルン 1勝
  • アレッサンドロ・デマルキ 1勝
  • チームタイムトライアル 1勝

 

ワールドツアー初年度となった昨年は勝利数こそそこそこだったものの、UCIチームランキングでは低迷。しかし今年はマイケル・ウッズやアレッサンドロ・デマルキが加わり補強され、その成果が早速出る結果となった。

今年ダニエル・マーティンやアンドレ・グライペルが引退してしまうが、その代わりヤコブ・フルサンやジャコモ・ニッツォーロなど、強力な補強も決まっており、いよいよワールドツアーチームとしての貫禄が十分についてきた印象だ。

その中でも個人的に期待しているのがイタマル・アインホルンの存在。ブエルタ・ア・ブルゴスやブエルタ・ア・エスパーニャで何度も上位に入り込み、オコロ・スロベンスカ(ツール・ド・スロバキア)でついにプロ初勝利。イスラエル人として最も成績を出している男と言えるかもしれない。

こういうチームでしっかりと本来の国籍の選手が活躍するのは嬉しいので今後にも期待したい。

 

 

第8位 トレック・セガフレード 19勝

UCIチームランキング:11位(昨年8位)

2020年:9勝(14位)

2019年:11勝(14位)

2018年:20勝(12位)

2017年:18勝(12位)

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  • バウケ・モレマ 3勝
  • マッズ・ピーダスン 3勝
  • ジャンルカ・ブランビッラ 2勝
  • トムス・スクインシュ 2勝
  • クイン・シモンズ 2勝
  • ライアン・ミューレン 2勝(移籍)
  • ヴィンツェンツォ・ニバリ 2勝(移籍)
  • ジャスパー・ストゥイヴェン 1勝
  • マッテオ・モスケッティ 1勝
  • エドワード・トゥーンス 1勝

 

ザ・中堅といったチームだが今年はようやく勝利数で上半分に。突き抜けた勝利数を稼いだ選手がいたわけではないが、みんなで満遍なく稼いだ印象だ。その中でもストゥイヴェンのミラノ〜サンレモ勝利やバウケ・モレマのツール・ド・フランス勝利など、大きな勝利がちらほらあったのは良かった。

ここ数年、まるで「旬の過ぎたベテランの終の住処」的なイメージが付き纏っていた。しかしその間も若手の育成に熱心に取り組み、リッチー・ポートもヴィンツェンツォ・ニバリも去る中、期待の若手だったシモンズも今年は2勝。マッテオ・モスケッティはもうちょっと頑張って欲しかったが、それでもとりあえず勝利は繋いだ。

来年もU23ロード世界王者のフィリッポ・バロンチーニや欧州選手権TT3位のダーン・ホールなど、注目の若手選手が加入してくるこのチーム。

絶対的なエースは不在ながら、細々と勝利を稼ぐスタイルも変わらず継承していくだろう。

 

 

第7位 グルパマFDJ 22勝

UCIチームランキング:9位(昨年5位)

2020年:20勝(5位)

2019年:24勝(8位)

2018年:33勝(6位)

2017年:27勝(7位)

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  • アルノー・デマール 9勝
  • シュテファン・キュング 5勝
  • ダヴィド・ゴデュ 3勝
  • ケヴィン・ゲニッツ 2勝
  • ヴァランタン・マデュアス 1勝
  • マイルス・スコットソン 1勝
  • バンジャマン・トマ 1勝(移籍)

 

昨年はアルノー・デマールのジロ・デ・イタリア4勝など派手に活躍し、勝利数ランキングでもワールドツアーランキングでも5位に。

ただし今年はツール・ド・フランスでも初日から重要な「ラスト1㎞役」コノヴァロヴァスを失ったりデマール自身が落車に巻き込まれて調子が上がらない状況に陥り、途中リタイア。リベンジのために臨んだ初出場のブエルタ・ア・エスパーニャでは序盤区間2位に入り込むなど強さを見せつけたが、こちらも発射台グアルニエーリを1週目で失うなど、とにかく運も含めてなかった。

それでもブークル・ドゥ・ラ・マイエンヌ3勝+総合優勝など得意分野でいつものデマール節を見せつけて9勝。トップスプリンターが尽く不調だった今年において、マーク・カヴェンディッシュの10勝に続く勝利数を稼いでくれた。

また、チームの3大エースの一角、キュングも今年はさらに絶好調。2年連続のヨーロッパ選手権TT勝利(国別の成績のため上記の勝利数には含まれず)に加え、世界選手権TTすら取れそうな勢いではあったが・・・そこはまだ高い壁ではあった。

そして今やピノに代わる総合エースとして期待されるダヴィド・ゴデュである。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ総合8位に続き、今年はツール・ド・フランス総合11位。まだまだピノの域に達するには距離があるが、ワンデーレースへの適性はピノ以上を感じさせる瞬間もあり、ここからの2〜3年でどこまで成長していくかが実に楽しみだ。

来年は今年のブエルタ・ア・エスパーニャでステージ2勝を果たしたマイケル・ストーラーも加わり、今年のジロで一時マリア・ローザを着たハンガリー人アッティラ・ヴァルテルも期待できる存在。ポスト・ピノに向けた道筋は明るいか。

 

 

第6位 ボーラ・ハンスグローエ 30勝

UCIチームランキング:6位(昨年6位)

2020年:21勝(4位)

2019年:47勝(3位)

2018年:33勝(4位)

2017年:33勝(4位)

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  • パスカル・アッカーマン 6勝(移籍)
  • ペテル・サガン 5勝(移籍)
  • ニルス・ポリッツ 3勝
  • マキシミリアン・シャフマン 2勝
  • ジョルディ・メーウス 2勝
  • パトリック・コンラッド 2勝
  • ジョヴァンニ・アレオッティ 2勝
  • マシュー・ウォルス 2勝
  • レナード・ケムナ 1勝
  • フェリックス・グロスシャートナー 1勝
  • ルーカス・ペストルベルガー 1勝
  • イーデ・スヘリンフ 1勝
  • マチェイ・ボドナル 1勝(移籍)
  • マーティン・ラース 1勝

 

2大スプリンターは揃って移籍するが、代わりにサム・ベネットが出戻ってくるのと、1クラスの2勝以外にもブエルタ・ア・エスパーニャ区間2位を含むネオプロとは思えない(しかし期待通りの)活躍を見せているジョルディ・メーウスのさらなる進化が期待できるため、来年も好成績を出してくれることだろう。トラックレース出身で同じくネオプロのマシュー・ウォルスも、ツアー・オブ・ノルウェーとグラン・ピエモンテというビッグレースでの2勝は正直予想していなかった。

ワールドツアー化初年度からチームの柱となっていたサガン一派の離脱はこのチームの1つの転機となるだろう。ニルス・ポリッツはツール・ド・フランスでの勝利でこのチームの新たな軸となる覚悟を見せつけてくれたし、ジョヴァンニ・アレオッティも、昨年から活躍しているスヘリンフなどと合わせ、このチームの「イタリア若手」という新たな基軸を形成してくれている。

そこに来年は新たにアレクサンドル・ウラソフ、セルジオ・イギータ、ジェイ・ヒンドレーなどが加わる。正直エースが渋滞している雰囲気も感じられ、今年もケルデルマンは良かったが、エマヌエル・ブッフマンや後半のシャフマンの存在感が薄まっており、どこか「そのとき調子の良い選手が頑張る」状態にならないよう、うまくマネージメントや役割分担してくれれば、という思いはある。

今や間違いなく強豪チームの一員となっているボーラ。変革を経てより強く進化していくことができるか。

 

 

第5位 バーレーン・ヴィクトリアス 30勝

UCIチームランキング:5位(昨年13位)

2020年:9勝(13位)

2019年:16勝(12位)

2018年:26勝(9位)

2017年:11勝(17位)

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  • ソンニ・コルブレッリ 7勝
  • フィル・バウハウス 7勝
  • マテイ・モホリッチ 4勝
  • ジーノ・マーダー 2勝
  • ダミアーノ・カルーゾ 2勝
  • スティーブン・ウィリアムズ 2勝
  • マーク・パドゥン 2勝
  • ヤン・トラトニク 1勝
  • ペリョ・ビルバオ 1勝
  • ディラン・トゥーンス 1勝
  • ミケル・ランダ 1勝

 

2021シーズンはまさにバーレーンの年だった。ミケル・ランダが早々にリタイアしたジロ・デ・イタリアではダミアーノ・カルーゾがまさかの総合2位、ジャック・ヘイグがリタイアしたツール・ド・フランスではディラン・トゥーンスとモホリッチで合計3勝。ワウト・プールスも山岳賞争いで活躍した。

モホリッチはジロでの衝撃のリタイアからの復活ツール2勝だし、ツールで序盤リタイアしたヘイグはブエルタで復活の総合3位だし、とにかく転んでもただでは起きなかった。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで驚きの2勝を遂げたマーク・パデュンや、ヘイグを助けつつブエルタ総合5位に入ったジーノ・マーダーなど、若手も大活躍。

そして最後はソンニ・コルブレッリがヨーロッパ選手権もパリ〜ルーベも制する八面六臂の活躍。とにかく強い、しかも絶対的エースによる勝利ではなく、そこそこの実力者たちがみんな活躍したという印象が強く、チーム全体の底力を感じた。

その中に新城もまた、重要なピースとして働いていたことが純粋に嬉しい。また来年も、期待したい。

そんな中でミケル・ランダにとっては辛いシーズンとなった。それでも契約は更新され、チームとしても彼に期待しているのは確か。2022年は挽回の年にしよう。

 

ところで、先のパドゥンや、7勝もしているバウハウスが、現時点で来季の契約が未定。

まさか手放すとは、と思ってしまうところだが、果たして・・・

 

 

番外編 アルペシン・フェニックス 32勝

UCIチームランキング:7位

2020年:13勝(うちMVDP5勝)

2019年:19勝(うちMVDP10勝)

2018年:8勝(うちMVDP7勝)

2017年:6勝(うちMVDP5勝)

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  • ティム・メルリール 9勝
  • ジャスパー・フィリプセン 9勝
  • マチュー・ファンデルプール 8勝
  • フィリップ・ワルスレーベン 1勝(引退)
  • トビアス・バイヤー 1勝
  • シルヴァン・ディリエ 1勝
  • エドゥアルド・プランカールト 1勝
  • サッシャ・モドロ 1勝(移籍)
  • クサンドロ・ムーリッセ 1勝

 

この勝利数ランキングはあくまでもワールドツアーチームに限定しているが、あらゆる点においてワールドツアークラスでないことが不思議でしかないこのチームも番外編として加える。実質5位と言うこの位置にいることが本当に驚きである。

そして、その秘訣は、このチームがもはや「マチュー・ファンデルプールだけのチーム」でなくなっていることだ。その軌跡は上記にまとめてある通りだが、今年に関してはファンデルプール以上の勝利数を、チームの2大スプリンターが稼ぎ出してくれた。全グランツール初日スプリントステージの制覇もこの2人が成し遂げた。フィリプセンは実績だけで言えば今年最強のスプリンターであった。

そしてこの3名だけですらない。元々結果を出していたムーリッセは相変わらず安定して強く、ブエルタ・ア・ブルゴスの激坂フィニッシュではゴンサロ・セラーノを抑えてまさかのプランカールトの勝利(兄弟のバプティストならまだしも、エドゥアルドの方がこんなに激坂に強いとは思わなかった)。そしてサッシャ・モドロの、ツール・ド・ルクセンブルクにおける、3年ぶりの涙の勝利。

また、勝ちには繋がらなかったが、ブエルタ・ア・エスパーニャのジェイ・ヴァインの落車からの復帰の強力な登坂力など、見所は沢山あった。

引き続き来年もプロチームのままだが、変わらずワールドツアー顔負けの強さを発揮し続けてくれることだろう。

 

 

第4位 UAEチーム・エミレーツ 32勝

UCIチームランキング:4位(昨年3位)

2020年:33勝(2位)

2019年:29勝(6位)

2018年:12勝(14位)

2017年:18勝(12位)

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  • タデイ・ポガチャル 13勝
  • ディエゴ・ウリッシ 4勝
  • フアン・モラノ 4勝
  • アレクサンドル・クリストフ 2勝(移籍)
  • ライアン・ギボンズ 2勝
  • ユーセフ・ミルツァ 2勝
  • マッテオ・トレンティン 1勝
  • マルク・ヒルシ 1勝
  • フェルナンド・ガビリア 1勝
  • ジョセフロイド・ドンブロウスキー 1勝(移籍)
  • ラファウ・マイカ 1勝

 

今年の個人勝利数ランキング1位の3人のうちの1人であるポガチャルが勝利数の3分の1を占める。グランツールの山岳ステージはもちろん、丘陵ステージやワンデーレースまで、ひたすら貪欲に勝ちまくる新世代の最強ライダーの成し得る偉業である。なお、その1位の3人はすべてスプリンターではないというのがまた恐ろしいところ。

チームとしても、ポガチャル1人だけが突出するような形ではなく、ツール・ド・フランスでもチームとして彼を支える姿が昨年以上に見えていたのは進化と言える。

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来年もパスカル・アッカーマン、ジョージ・ベネット、ジョアン・アルメイダなど、数多くのスターが加入することになるが、それが単純に強い選手を並べたというだけでなく、チームとしてのまとまりをもってより多くの勝利を掴み取れるようになるといい。まだバーレーンやドゥクーニンクのような「チーム力」を感じられない部分があるのは確かなので。

また、今年は、本来であればもっと勝ってもよさそうなマルク・ヒルシやマッテオ・トレンティン、フェルナンド・ガビリアがやや不調だったのが残念なところ。トレンティンは本当に惜しい敗北が多く、終盤のコッパ・アゴスティーニではスプリントでアレクセイ・ルツェンコに敗れたのち、アシストしてくれていたアレッサンドロ・コーヴィと言い合うような場面もあり・・・

そのコーヴィは今年躍進した選手の1人。上記の勝利数には入っていないが、フアン・アユソーはU23ジロ・デ・イタリアでステージ3勝と総合優勝という圧倒的な力量を見せつけてくれたし、ユンボ・ヴィスマ育成チームからのシーズン中移籍となったフィン・フィッシャーブラックはニュージーランド・サイクルクラシック2勝と国内選手権U23TTで勝利するなど、注目していきたい若手選手たちも多数。

 

 

第3位 イネオス・グレナディアーズ 35勝

UCIチームランキング:2位(昨年4位)

2020年:19勝(6位)

2019年:26勝(7位)

2018年:43勝(2位)

2017年:36勝(3位)

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  • イーサン・ヘイター 9勝
  • フィリッポ・ガンナ 5勝
  • エガン・ベルナル 3勝
  • ジャンニ・モスコン 3勝(移籍)
  • リチャル・カラパス 2勝
  • アダム・イェーツ 2勝
  • ゲラント・トーマス 2勝
  • イバン・ソーサ 2勝(移籍)
  • ローハン・デニス 2勝(移籍)
  • リッチー・ポート 1勝
  • カルロス・ロドリゲス 1勝
  • トム・ピドコック 1勝
  • ディラン・ファンバーレ 1勝
  • ベン・スウィフト 1勝

 

数多くのタレントが揃い、ジロ、ツール、ブエルタ、東京オリンピック、世界選手権と多種多様なレースで活躍しきっていた。

が、その中で勝利数として突出したのがイーサン・ヘイター。2年前のツール・ド・ラヴニールでトム・ピドコックとタッグを組んで勝利を重ね、昨年から一足先にイネオス入り。トラックレースにルーツを持つ、英国人の伝統を受け継ぐ男であり、登りを含んだタフネスなスプリント局面で次々と勝利を重ねた。

結果、ツアー・オブ・ノルウェーでは区間2勝と総合優勝、ツアー・オブ・ブリテンでも区間2勝に総合2位。あやうくワウト・ファンアールトを倒してしまいそうなギリギリの勝負であった(最終日に逆転敗北)。ヴォルタ・アン・アルガルヴェでもTTの日にトラブルに巻き込まれなければ総合優勝の可能性すらあって、国内選手権TTではしっかりと勝ちきる・・・ピドコックに匹敵しうる、次世代の才能であることを見せつけた1年であった。

移籍してきたばかりのアダム・イェーツもボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ総合優勝にUAEツアー総合2位、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合4位にイル・ロンバルディア3位など、勝利数だけでは測れない活躍を成し遂げ、昨年のテイオ・ゲイガンハートのジロ・デ・イタリア総合優勝と合わせて、ここにきて「英国チーム」としての原点がより強い形で戻ってきたような印象を受ける。

もちろん、エガン・ベルナルのジロ・デ・イタリア復活総合優勝やリチャル・カラパスの東京オリンピック制覇など、南米勢の活躍も心強い。

来年はモスコンやソーサ、ドゥールやセバスティアン・エナオなど、重要な選手たちも放出されることとなるイネオス。

2010年代はフルームを中心に回っていたこのチームも、着実に変革しつつある。

 

 

第2位 チーム・ユンボ・ヴィスマ 43勝

UCIチームランキング:3位(昨年1位)

2020年:23勝(3位)

2019年:51勝(2位)

2018年:33勝(5位)

2017年:26勝(8位)

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  • プリモシュ・ログリッチ 13勝
  • ワウト・ファンアールト 13勝
  • ヨナス・ヴィンゲゴー 4勝
  • ディラン・フルーネウェーヘン 3勝(移籍)
  • オラフ・クーイ 2勝
  • トビアス・フォス 2勝
  • トム・デュムラン 1勝
  • ジョージ・ベネット 1勝(移籍)
  • セップ・クス 1勝
  • トニー・マルティン 1勝(引退)
  • パスカル・エーンクホーン 1勝
  • ティモ・ローセン 1勝

 

ポガチャルと並んで今シーズン最多勝利となる13勝を重ねた選手が「2名」含まれるこのチーム。彼らもまた、「最強チーム」であることは間違いない。

とにかく総合だけでなく貪欲にステージ勝利も狙い続けていく中で(ときに批判されながらも)勝利数が積み上がっていったログリッチに、ツール・ド・フランスでの「超級山岳」「TT」「シャンゼリゼ」ハットトリックという前代未聞の偉業を成し遂げてみせたワウト・ファンアールトなど、それぞれが強い個性をもった勝利を量産してくれた。

逆に、勝ち星を重ねる選手がやや偏っている感があるのも事実。この2名に次いで勝利数を稼いだ一人であるスプリンターのフルーネウェーヘンも、来期はバイクエクスチェンジに移籍が決まった。

その意味で、今年クロ・レースで2勝しているオラフ・クーイ、勝利まではいかなかったものの、プロ最初のレースとなったUAEツアー初日ステージでいきなりの2位・さらにそのあとも第4ステージでも2位を獲りポイント賞ジャージをいきなり獲得したダヴィド・デッケル、そしてツール・ド・ラヴニールでも活躍した期待の新人ミック・ファンダイケなど、勝ち星を稼いでくれそうな勢いのある若手たちに注目していきたい。

 

 

第1位 ドゥクーニンク・クイックステップ 65勝

UCIチームランキング:1位(昨年2位)

2020年:39勝(1位)

2019年:68勝(1位)

2018年:73勝(1位)

2017年:56勝(1位)

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  • マーク・カヴェンディッシュ 10勝
  • レムコ・エヴェネプール 8勝
  • ファビオ・ヤコブセン 7勝
  • サム・ベネット 7勝(移籍)
  • ジョアン・アルメイダ 6勝(移籍)
  • カスパー・アスグリーン 4勝
  • ジュリアン・アラフィリップ 3勝
  • レミ・カヴァニャ 3勝
  • アルバロホセ・ホッジ 3勝(移籍)
  • ダヴィデ・バッレリーニ 3勝
  • イヴ・ランパールト 2勝
  • ミケルフローリヒ・ホノレ 2勝
  • フロリアン・セネシャル 2勝
  • アンドレア・バジョーリ 1勝
  • ヤニック・シュタイムレ 1勝
  • マッティア・カッタネオ 1勝
  • マウリ・ファンセヴェナント 1勝
  • ヨセフ・チェルニー 1勝

 

9年連続勝利数ランキング1位に君臨し続けている最強チーム。今年も少数のエースに偏らず、あらゆる選手が勝利を掴む、「ウルフパック」としての強さを見せつけてくれた。

その象徴の1つがE3とロンド・ファン・フラーンデレンであり、

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あるいはファビオ・ヤコブセンがトラブルで脱落したのち、マッテオ・トレンティンとの一騎打ちを「発射台」であったフロリアン・セネシャルが制したブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージなどであった。

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来年、また有力な選手が抜け出ていくわけだが、これもまたこのチームの日常茶飯事。

それ以上に強力になって来年も帰ってくるだろう。なお、ニューフェースとしては、今年のジロ・デ・イタリアでまさかの1勝をしたネオプロのマウロ・シュミットや、東京オリンピックトラック英国代表の一員で今年のツール・ド・ラヴニールでも1勝しているイーサン・ヴァーノンなど、気になる実力者が多数。

とくに、今年のヨセフ・チェルニーなどもそうだが、他のチームだと十分にその強みを生かし切れないような選手を、絶妙に獲得してしっかりと活かすことに長けているのがこのクイックステップだと思っているので、シュミットなんかは本当に良い獲得だと思う。

 

 

年始から2022シーズンのワールドツアーチーム全18チーム+αの毎年恒例シーズンチームガイドを今年も投稿していく予定です。

現在鋭意準備中。そちらもぜひご覧ください。

 

19位~10位はこちらから

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