りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2018年シーズンを振り返る④ チーム勝利数ランキング(前編)

こちらも昨年に続き、チーム勝利数ランキングをお届けする。

suzutamaki.hatenablog.com

 

昨年と同様、勝利数の「多い順」で紹介していく。

1位はもちろん、あのチームだからだ。

 

合わせてUCIワールドツアーチームランキングも共に紹介していく。

勝利数との相関性も確認しておこう。

※勝利数が同数の場合、UCIワールドツアーチームランキング順で紹介する。

※1クラス以上のUCIレース・国内選手権・世界選手権を対象とする。ステージレースの総合優勝も1勝と数える。ハンマーシリーズも「スプリント」「クライム」「チェイス」それぞれで1勝、総合優勝も1勝と数える。

コモンウェルスゲームや各大陸選手権の勝利は対象とせず。

 

 

 

第1位 クイックステップ・フロアーズ(73勝)

UCIワールドツアーチームランキング:1位

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エリア・ヴィヴィアーニ 18勝

ジュリアン・アラフィリップ 12勝

フェルナンド・ガビリア 9勝(移籍)

ファビオ・ヤコブセン 7勝

アルバロホセ・ホッジ 5勝

ボブ・ユンゲルス 4勝

マキシミリアン・シャフマン 3勝(移籍)

ニキ・テルプストラ 3勝(移籍) 

マキシミリアーノ・リケーゼ 2勝

エンリク・マス 2勝

イヴ・ランパールト 2勝

TTT 2勝

フィリップ・ジルベール 1勝

ミケル・モルコフ 1勝

レミ・カヴァニャ 1勝

ハンマーシリーズ 1勝

 

73勝。

まさに圧巻の記録である。

この記録は2009年にHTCコロンビアが叩き出した84勝にこそ届かなかったものの、現行のUCIワールドツアー制度が始まった2010年以降、2014年に自分たちが出した61勝を大きく上回っての堂々たる1位記録である。

また、2013年から続く年間最多勝記録連続年数を6に伸ばした。

 

これが、昨年のチーム勝利数上位3名(ガビリア、キッテル、トレンティン)のうち2人を移籍で失ったチームの成績である。

弱体化どころの話ではなかった。

チームとして嬉しいのは、この73勝のうちの26勝が、25歳歳以下の選手たち(ガビリア、ヤコブセン、ホッジ、シャフマン、マス)という事実だ。

特にネオプロ2名(ヤコブセン、ホッジ)の活躍には目を瞠るものがある。

 

一方で、これだけ勝ちを稼いでいるにも関わらずスポンサー危機に陥り、今年も多くの有力選手を手放さざるを得なかったというのは、このスポーツの限界を感じざるをえない。

幸いにも、今年の流出選手の顔ぶれは、昨年ほどのインパクトはない(あくまでも相対的に、だが)。

今年最多勝のヴィヴィアーニとアラフィリップは残るほか、新加入のイヴェネプールを含め、まだまだ若手が元気なのは嬉しいところ。

来年もその完璧なるチームワークと若手の元気さで、まだまだ「最強」であることを見せつけてほしい。

 

 

 

第2位 チーム・スカイ(43勝)

UCIワールドツアーチームランキング:2位

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ミカル・クウィアトコウスキー 9勝

ゲラント・トーマス 6勝

エガン・ベルナル 6勝

ジャンニ・モスコン 5勝

ワウト・プールス 3勝

クリス・フルーム 3勝

ダビ・デラクルス 2勝

TTT 2勝

イアン・スタナード 1勝

ヴァシル・キリエンカ 1勝

ディラン・ファンバーレ 1勝

ヨナタンカストロビエホ 1勝

ディエゴ・ローザ 1勝

クリストファー・ローレス 1勝

セルヒオ・エナオ 1勝(移籍)

 

今年もジロ、ツールを制し、相変わらずグランツールにおいては最強であることを示したスカイ。さらにはモスコンやベルナルといった若手が小さなステージレースでの勝利も積み重ね、盤石なように思える。

一方、リエージュ~バストーニュ~リエージュやミラノ~サンレモなど、昨年まで力を見せつけていたクラシックでの存在感を、今年はそこまで見せることができなかった。

最も勝利しているクウィアトコウスキーも、今年はクラシックライダーとしてではなく、ステージレーサーとしての活躍が中心だった(アルガルヴェ、ティレーノ、ポローニュで総合優勝)。

クウィアトコウスキーは1年おきにクラシックで結果を出すという傾向があるようで、その意味では来年はしっかり稼げる可能性も。

今年クラシック強化のために加入したファンバーレも、勝てはしなかったもののフランドルでは良い走りを見せていたし、スタナードと合わせ、北のクラシックでの強さを見せてほしい。

 

また個人的に期待したいのはクリストファー・ローレスやハルヴォルセンなどの若手スプリンター。同じラヴニール組のホッジやヤコブセンの活躍に比して今年は沈黙の1年を過ごしたが、スカイは2年目から強くなるジンクスがある。

きっと来年のスプリントシーンの台風の目となるはずだ。

 

なお、スカイからは毎年のように重要なアシストが流出している。ポート、ケニャック、ニエベ・・・今年はついに、エナオまでも。

来期はプールスあたりが不安だなぁ・・・。

 

 

 

第3位 ミッチェルトン・スコット(37勝)

UCIワールドツアーチームランキング:5位

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サイモン・イェーツ 8勝

ハンマーシリーズ 7勝

ダリル・インピー 4勝

カレブ・ユアン 3勝(移籍) 

エステバン・チャベス 3勝

ロブ・パワー 2勝(移籍) 

アダム・イェーツ 2勝 

ミヒャエル・アルバジーニ 2勝

マッテオ・トレンティン 1勝

キャメロン・マイヤー 1勝

スヴェイン・タフト 1勝(移籍) 

クリストファー・ユールイェンセン 1勝

ミケル・ニエベ 1勝

アレクサンダー・エドモンソン 1勝

 

サイモン・イェーツの覚醒。

ジロ・ブエルタの勝利以外にも3勝しており、しかもその全てがワールドツアークラスなのだから凄い。

そして、クイックステップ・フロアーズと並ぶチーム力の高さが大きな特長であるこのチームらしく、ハンマーシリーズに完全適応。来年も、本気で狙ってくるのか、それとも他チームもしっかりと対策をしてくるのか。

一方、かつてこのチームのエース格であったユアンチャベスが絶不調。ユアングランツールへの出場も断たれ、来年はロット・スーダルへ。

よりスプリントを重視するロット・スーダルへの移籍は彼にとってもプラスとなるだろう。

チャベスは昨年に引き続き、様々な要因での不調が続く。来年は再びエースを張ることができるのか、それともイェーツ兄弟のアシストにまわるのか・・・

来期こそは、彼の今後の道行きを決める、重要なシーズンとなりそうだ。

 

 

 

第4位 ボーラ・ハンスグローエ(33勝)

UCIワールドツアーチームランキング:3位

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パスカル・アッカーマン 9勝

ペテル・サガン 8勝

サム・ベネット 7勝

ジェイ・マッカーシー 2勝

マッテオ・ペルッキ 1勝

リュディガー・ゼーリッヒ 1勝

グレゴール・ミュールベルガー 1勝

ピーター・ケニャック 1勝

ルーカス・ペストルベルガー 1勝

マチェイ・ボドナール 1勝

TTT 1勝

 

昨年はサガンとベネットのチームだったボーラ・ハンスグローエ。

今年はそこに、若きドイツ人スプリンター、アッカーマンが加わった。来年はどこかのグランツールのエースを張ってもおかしくない成績だ。

一方、今年の勝利はスプリンターかルーラーのみ。マイカたちクライマーは昨年も微妙だったが今年は輪をかけて微妙な結果に。

サガンのおかげでチームランキングも悪くはないけれど、この先、どんな補強をしていくべきか・・・。

なお、現時点で分かっている来年の新加入はドリュケール(スプリンター)、シャフマン(ルーラー)と、大きな変化は見込めなさそうだ・・・。

 

 

 

第5位 チーム・ロットNLユンボ(33勝)

UCIワールドツアーチームランキング:10位

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ディラン・フルーネヴェーヘン 14勝

プリモシュ・ログリッチェ 8勝

セップ・クス 4勝

ダニー・ファンポッペル 3勝

パスカル・エーンクホーン 2勝

エンリコ・バッタリン 1勝(移籍) 

TTT 1勝

 

まるで去年のボーラのような・・・はっきりと分かりやすい構図。ツールで大活躍した「獅子」のフルーネヴェーヘンと、「鷹」のログリッチェが勝ち星もポイントも稼ぐ。が、それ以外の選手たちは惜しいところまではいきつつも勝利にまでは届かず・・・勝利数の割にはチームランキングも低迷した。

それでも昨年(16位)よりも一気に上位に来たのは、ログリッチェ・クライスヴァイクがツールで素晴らしい活躍を見せたから。

来年はクライスヴァイクがジロ、ログリッチェがツールってな感じで、再び総合争いに旋風を巻き起こす活躍を見せてほしい。

あとはフルーネヴェーヘン。今年のツールは途中リタイアという憂き目に遭ったものの、ガビリアを超えて最強だったと言っても過言ではない。来年のツールこそは、最多勝を狙ってほしい。年間最多勝も。

 

 

 

第6位 グルパマFDJ(33勝)

UCIワールドツアーチームランキング:14位

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ルノー・デマール 9勝

ティボー・ピノ 5勝

マルク・サロー 5勝

アントニー・ルー 3勝

オルグ・プライドラー 2勝

アルテュール・ヴィショ 2勝(移籍) 

ヴァランタン・マデュア 1勝

ティーヴ・モラビト 1勝

ラモン・シンケルダム 1勝

アントワーヌ・デュシェーヌ 1勝

ビアス・ルドヴィクソン 1勝

オリヴィエ・ルガック 1勝

ルディ・モラール 1勝

 

ロットNLとは好対照に、数多くの選手が勝利を細かく掴んで勝利数を積み上げた。ただし、ビッグレースでの成績は多くない。デマールの10勝中6勝も、1クラスのツール・ポワトゥ=シャラント(8月主要レース振り返りを参照のこと)で稼いだだけなので・・・。

それでも17位という散々な結果だった昨年よりも少しはランクが上がったのはピノのおかげ。体質は変わっていないどころか、悪化してるとさえ言える。

とはいえ、昨年はボロッボロになったツールで、今年はしっかりとチームが最後まで、山岳を生き残って耐え、そして第3週でデマールに勝利をもたらした。そこは、改善されたポイントと言えるかもしれない。

ピノにせよデマールにせよ、ツールにこだわらずジロやブエルタに全力を注げばもっともっと活躍できると思うのだが、さすがにフランスを代表するチームでそれは許されないですよね・・・。

 

 

 

第7位 アスタナ・プロチーム(30勝)

UCIワールドツアーチームランキング:6位

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アレクセイ・ルツェンコ 4勝

マグナス・コルトニールセン 4勝

ルイスレオン・サンチェス 3勝

オマール・フライレ 3勝

ミゲルアンヘル・ロペス 3勝

ダヴィデ・ヴィレッラ 2勝

ペリョ・ビルバオ 2勝

ミケル・ヴァルグレン 2勝(移籍)

リカルド・ミナーリ 2勝(移籍)

セルゲイ・チェルネトスキー 1勝(移籍)

タネル・カンゲルト 1勝(移籍)

ダニイル・フォミニフ 1勝

アンドリー・グリブコ 1勝

ヤコブ・フルサング 1勝

 

今年はロペスとルツェンコが飛躍した年だった。また、コルトニールセンもツールで優勝し、ヨークシャーでの活躍と合わせ、乱戦の中で得意のスプリント力を発揮して勝利をもぎとるアタッカー・スプリンターとしての強みが活きてきている。

一方、今年もツールのエースとして抜擢されたフルサングが全く良いところを見せられず。来年のツールはロペスがエースとなりそうだ。また、第3のエースとしての素質をもっていたカンゲルトも、クラシックエースたりうる実力を見せつけたヴァルグレンも移籍してしまう。

代わって新加入となるのが、バーレーンメリダからゴルカ兄弟。若手としてはエリトリアの総合ライダー、メルハウィ・クドゥス。信頼のできるルーラーであるボアーロも加わり、他チームと比べても結構大きな入れ替えを来期は行う。

今年も新加入のヴィレッラやヒルトがしっかりと活躍していたりもするので、来期もさらに強化された総合系のチーム編成でもって、2014年~2016年春頃のアスタナ黄金期を復活させられるか。

 

 

 

第8位 モビスター・チーム(27勝)

UCIワールドツアーチームランキング:8位

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アレハンドロ・バルベルデ 14勝

カルロス・バルベロ 3勝

リチャル・カラパス 3勝

ナイロ・キンタナ 2勝

ハイメ・ロソン 1勝

アンドレイ・アマドール 1勝

マルク・ソレル 1勝

ミケル・ランダ 1勝

ダイェル・キンタナ 1勝

 

今年最も勝利数を稼いだ選手はエリア・ヴィヴィアーニであるが、その次に稼いだのが、ディラン・フルーネヴェーヘンと並んでこのバルベルデである。スプリンターに匹敵するってどんだけ・・・というのを2年連続で繰り返している。まさに鉄人。

しかし、勝利数の半分以上を彼が稼ぎあげていることからも分かるように、本当に今年は、バルベルデ一強体制という感じだった。一応、ソレルやカラパスといった若手が未来に希望を残す活躍をしてくれたが、トリプルエースなどというものは最初からなかったかのような結果だった。

来年はランダがまずは本気でジロを狙いに行くらしい。ランダは今年は不運もあって活躍できなかったこともあるので、純粋に期待したい。

あとはキンタナがどこまで復活してくれるか・・・今年に引き続いてのソレル、カラパスの成長にも期待。

 

 

 

第9位 バーレーンメリダ・プロサイクリングチーム(26勝)

UCIワールドツアーチームランキング:7位

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マチェイ・モホリッチ 7勝

ソニー・コルブレッリ 4勝

ジョヴァンニ・ヴィスコンティ 3勝

グレガ・ボーレ 2勝

カンスタンティン・シウトソウ 2勝

アントニオ・ニバリ 1勝

ゴルカ・イサギーレ 1勝(移籍)

ハーマン・ペーンシュタイナー 1勝

マヌエーレ・ボアーロ 1勝(移籍)

マーク・パデュン 1勝

ニッコロ・ボニファツィオ 1勝(移籍)

ヴィンツェンツォ・ニバリ 1勝

ハンマーシリーズ 1勝

 

バーレーンメリダというのは不思議なチームだな、と感じる。中東オイルマネーを活かした金満チームかと思えば割とそういうわけでもなく、揃えた面子はやや中途半端。しかし意外にもチームの結束力は高く、若手も含めた多くの選手に活躍の機会がある・・・まるで伝統的なイタリアのチームのように。

とはいえ、選手のラインナップに関してはタイミングもあったのだろう。実際、来期は色々と補強が予定されている。BMCからはローハン・デニスとディラン・トゥーンス、サンウェブからはフィル・バウハウス。いずれも勝利数を稼いでくれそうなメンバーたちだ。今年も補強したモホリッチが活躍している。中東マネーを活かすのは、ここからだと言えそうだ。そのあたり、UAEも同じ感じ。

その中でも、この2年、輝いているチーム力は変わらずにいてほしい。個人的には、クイックステップと並ぶお気に入りのチームだ。

 

 

後編に続く。

 

 

 

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