りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2018年シーズンを振り返る⑤ チーム勝利数ランキング(後編)

前編に引き続き、後編をお届けする。

こちらは10位~18位の9チーム。

suzutamaki.hatenablog.com

※勝利数が同数の場合、UCIワールドツアーチームランキング順で紹介する。

※1クラス以上のUCIレース・国内選手権・世界選手権を対象とする。ステージレースの総合優勝も1勝と数える。ハンマーシリーズも「スプリント」「クライム」「チェイス」それぞれで1勝、総合優勝も1勝と数える。

※コモンウェルスゲームや各大陸選手権の勝利は対象とせず。

 

 

 

第10位 ロット・スーダル(25勝)

UCIワールドツアーチームランキング:15位

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アンドレ・グライペル 8勝(移籍)  

ティム・ウェレンス 7勝

イエール・ワライス 2勝

トーマス・デヘント 2勝

イェンス・デブシェール 1勝(移籍)

ヴィクトール・カンペナールツ 1勝

イェンス・クークレール 1勝

イエール・ヴァネンデル 1勝

ビョーグ・ランブレヒト 1勝

ティシュ・ベノート 1勝

 

グライペルは絶不調だった昨年(5勝)よりは、勝利数は伸ばせた。しかしビッグレースでの勝利はなく、ランキングは低迷した(昨年13位)。

来年は入れ替わりでユアンが加入。ユアン自身は今年不調だったが、スプリントに集中できるこのロット・スーダルでなら、復活の芽は十分にあるだろう(あとは十分なアシストがいれば・・・)。

ウェレンスが昨年に続き7勝と、安定してチームの稼ぎ頭になってくれている。しかし今年の彼はステージレース中心の活躍で、全体的にクラシックではまだまだ改善の余地ありのチームである。

ランブレヒトの成長も楽しみだ。

 

 

 

第11位 BMCレーシングチーム(23勝)

UCIワールドツアーチームランキング:4位

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ローハン・デニス 7勝(移籍)

シュテファン・キュング 3勝(移籍)

TTT 3勝

アレッサンドロ・デマルキ 2勝

ティージェイ・ヴァンガーデレン 2勝(移籍)

リッチー・ポート 2勝(移籍)

グレッグ・ヴァンアーヴェルマート 2勝

ジョセフ・ロスコフ 1勝

ユルゲン・ルーランツ 1勝

 

昨年は48勝。勝利数ランキング2位だった強豪チームが、今年はこの位置。UCIランキングは上位を保ってはいるけれど。

来期は数多くの有力選手が流出。代わりの新加入は同スポンサーのCCCスプランディ・ポルコウィチェやその他のプロコンチネンタルチームからが多かったりもして、チームとしての弱体化は免れない。

その中で、居残るヴァンアーヴェルマートやデマルキ、ルーランツなどがどれだけ勝利数を稼げるか・・・いや、勝利数については最初から諦めても仕方ないかもしれない。せめて、クラシックでの上位をできるだけ獲得し、UCIランキングだけでも上位を目指していこう。

 

ちなみにそんな移籍組の1人であるデニスだが、今年の7勝は全て個人タイムトライアルという徹底ぶり。来期はバーレーンで、まだ総合にはシフトしないらしいが・・・。

 

 

 

第12位 トレック・セガフレード(20勝)

UCIワールドツアーチームランキング:13位

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トームス・スクインシュ 4勝

マッズ・ペデルセン 3勝

ジャスパー・ストゥイヴェン 3勝

ジョン・デゲンコルプ 3勝

バウケ・モレマ 2勝

ライアン・ミューレン 2勝

ツカブ・グルメイ 1勝(移籍)

ヤルリンソン・パンタノ 1勝

ジャコモ・ニッツォーロ 1勝(移籍)

 

全チームの中でも特に地味~に立ち回り、可もなく不可もなくといった成績を出している方々。

個人的にはパンタノが最近パッとしないのが至極残念。彼はアシストとして走るときの方が輝く選手なのかもしれないので、来年、ポートのアシストとして最高の働きをすることに期待。

ところで、せっかくのスポンサー様出資のジロ・デ・イタリアのポイント賞には本気を出すつもりはないのだろうか?

ニッツォーロも移籍してしまうとなると、来期、狙える選手といったら・・・デゲンコルプを出すしかない? うーん・・・。

 

 

 

第13位 AG2Rラモンディアル(15勝)

UCIワールドツアーチームランキング:11位

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アレクサンドル・ジェニエ 4勝

ト二ー・ガロパン 3勝

ゲディミナス・バグドナス 2勝

ニコ・デンツ 1勝

オリバー・ナーセン 1勝

ピエール・ラトゥール 1勝

クレマン・ヴァントゥリーニ 1勝

シルヴァン・ディリエ 1勝

ロマン・バルデ 1勝

 

勝利数ランキングの順位としては昨年(16位)よりも上だが、勝利数自体は昨年(16勝)よりも減少。また、UCIランキングも昨年(9位)よりも落ちた。

エーススプリンターがいないこと、強化したはずのクラシックでも勝ちきれていないことが大きな要因。その意味で、今年パリ~ルーベ2位のシルヴァン・ディリエ、パリ~ツール3位のブノワ・コズネフロワといった若手が、今後どれだけ成長してくれるかに期待がかかっている。来年もこれと言った大きな補強はないので・・・。

 

 

 

第14位 UAEチーム・エミレーツ(12勝)

UCIワールドツアーチームランキング:12位

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アレクサンドル・クリストフ 5勝

ダニエル・マーティン 2勝

ヨウセフ・ミルサ 2勝

ヴェガールステイク・ラエンゲン 1勝

ディエゴ・ウリッシ 1勝

シモーネ・コンソーニ 1勝

 

クリストフ、シャンゼリゼ制覇。

ダニエル・マーティン、ツール「ブルターニュの壁」勝利。

いずれも満足、とまでは言い切れない結果となった1年ではあったものの、それでもなんとか、格好はつけた形となった。

本来であればこの成績だけで満足できるような選手たちではない。来年もこのチームのエースに相応しい結果をもたらしていってほしい。

(あれ、1人忘れているような・・・)

 

また、来年はポガチャル、フィリップセン、オリヴェイラ兄弟、モラノ・ムニョスのコロンビアンコンビと、若手の補強が他チームと比べても突出している。もちろん、ガビリアやエナオの存在にも注目だ。

結果としてベテランから期待の新人まで幅広く話題所を集めた形となる来年のUAE。あとはその宝石たちがただ置かれているだけではなく、しっかりと輝けるための場を提供できるかどうか。

うまくいけばすごく面白いチームなのは間違いないので、期待しているぞ。

 

 

 

第15位 チーム・サンウェブ(11勝)

UCIワールドツアーチームランキング:9位

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マイケル・マシューズ 4勝

ソーレン・クラークアンデルセン 2勝

マックス・ワルシャイド 2勝

トム・デュムラン 2勝

フィル・バウハウス 1勝(移籍)

 

グランツール総合争いには強いが、スカイやロットNL、モビスターにすら水を開けられている現状は一体なぜ?

クラシックとステージレース勝利への弱さが原因だろう。マシューズが今年は前半不調だったのも大きいだろうが、もっと根本的な問題もあるように感じる。では来期はそこを埋められる補強になっているのかというと、ロッシュやパワーなど、勝利を稼ぐという意味ではやや、心もとない。

コンスタントに勝利を稼げるステージレーサーやスプリンターがほしい。ワルシャイドは今期後半の調子が良かったので、それを来年も続けていけるか、楽しみだ。あとはオーメンあたりが、短いステージレースでの勝利を量産してくれれば・・・。

そして、残るはクラシック。クラークアンデルセンへの期待が高まるとともに、今年ディヴェロップメントチーム所属でシクロクロスでも活躍を見せているヨリス・ニューウィンハイスがどこまで存在感を示してくれるか。

ポテンシャルはあるチームなのは間違いないので、来期の復活を待つ。

 

 

 

第16位 チーム・ディメンションデータ(7勝)

UCIワールドツアーチームランキング:18位

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ベンジャミン・キング 2勝

エドヴァルド・ボアッソンハーゲン 2勝

メルハウィ・クドゥス 1勝(移籍)

ベン・オコナー 1勝

マーク・カヴェンディッシュ 1勝

 

安定のランキング最下位。それでも、勝利数は昨年25勝も挙げていた。そりゃ、昨年ノルウェーを中心に10勝を稼いでいたボアッソンハーゲンが今年は沈んでしまったのが原因の1つではあるけれども。

来年はヴァルグレン、クロイツィゲル、ガスパロットと、強力なクラシックレーサーを大補強!! ヒュー!

・・・はいいんだけれど、全員アルデンヌ系で役割がかぶりそうなんですけれどそれは良いんですかね?

ニッツォーロも補強してカヴェンディッシュ・ボアッソンハーゲン共に調子を出せないときのリカバリーを考えるプランも明確で分かりやすい。

なんだかんだで凄い面子が揃っていくチームなわけだけど、それでも来期、大きくランキングが上位に上がる想像ができるかというと、うーん、微妙。

 

 

 

第17位 チームEFエデュケーションファースト(6勝)

UCIワールドツアーチームランキング:16位

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リゴベルト・ウラン 2勝

マイケル・ウッズ 1勝

サイモン・クラーク 1勝

ダニエル・マクレー 1勝

サッシャ・モドロ 1勝

 

昨年序盤に全く勝てず、スポンサー危機に陥った後に頑張って14勝を挙げたのが昨年。

大口スポンサーを手に入れて、気が緩んだ?

とはいえ、なぜかこのチーム、そんなに「失敗した」感を感じない。

勝てないことに慣れてしまっている??

あるいは、ウッズやウランやサイモン・クラークなど、勝っている選手のその勝ち方が鮮烈で、勝利数の割には満足度が高いのかもしれない。

とはいえ、モドロやマクレーはもっと勝つべきだ。1クラスとかでいいから。

ヴァンマルクの復活もまだまだ、期待している。

 

来年はカンゲルト、ヴァンガーデレンなどが加わり、短めのステージレースでの勝利量産や総合上位でのUCIポイント稼ぎに期待ができる・・・か?

 

 

 

第18位 チーム・カチューシャ・アルペシン(5勝)

UCIワールドツアーチームランキング:17位

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5勝・・・5勝? どういうことなの・・・?

2012年のAG2R以来の記録。そもそも5勝とか6勝とかっていうのは、AG2Rやエウスカディなどのクライマー系チームが出す記録であって、キッテルのいるカチューシャ・アルペシンが出していい記録ではない。

とはいえ、キッテル以外に勝てるスプリンターがいないこと、クラシックライダーも目ぼしい選手がいないこと、そもそも総合エースもザッカリン以外にいないこと・・・派手さの割には、深刻な人材不足に陥っているのは確かだ。

チーム運営というのは、突出したエースが1人いても成功はしない。

その分野で勝てる選手が2人、できれば3人はいないと、成績は出せない・・・その意味で、ディメンションデータのアルデンヌ有力3選手の獲得は、現状を脱することへの本気の表れだったのかもしれない。カチューシャも、もしかしたらそれくらいの気合いの入れ方が必要なのかもしれない。

しかし今のところ、来期のカチューシャについても、復調の兆しは見られない。

この窮地からの脱出は、果たしてできるのか?

 

 

前編はこちら

www.ringsride.work

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