りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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【全ステージレビュー】ツアー・ダウンアンダー2020

 

シーズン最初のワールドツアーレース、ツアー・ダウンアンダーが閉幕。

今年もまた、いやむしろ例年以上に白熱の展開となった6日間のレースの結果を振り返っていく。

 

↓秒差を巡るミッチェルトンとトレックの熱い駆け引きについてはこちらで↓

www.ringsride.work

 

 

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シュワルベ・クラシック 51㎞(平坦)

アデレード中心街、ヴィクトリア・スクエア周辺で行われた1周1.7㎞を30周する平坦クリテリウムレース。

序盤からUniSA(コンチネンタルチーム所属やトラック競技の選手などの若手を中心に構成されたオーストラリアナショナルチーム)のニック・ホワイトや「コアラ」で有名なマヌエーレ・ボアーロなどが逃げに乗り、全部で3回用意された中間スプリントポイントを巡って争う。

昨年のツアー・オブ・ジャパン南信州ステージで3位にも入ったパンチャーのホワイトが下馬評通りのスプリント力を発揮し、6周目と18周目の2つのスプリントポイントで先頭通過。このダウンアンダーに向けての思いの強さを感じさせた。

ホワイトを逃げに乗せながらもUniSAの選手たちは積極的に集団を牽引。今年のブラックバーン・ベイ・クリテリウムを総合優勝し、国内選手権クリテリウム王者でもあるサム・ウェルスフォードによる勝利を狙ってのことだろう。

そして昨年のこの前哨戦クリテリウムを制したカレブ・ユアンは、なぜかプロトンの後ろの方に。盟友ロジャー・クルーゲが彼に話しかける姿もあり、ユアンはもしかしたら絶不調なのか、前哨戦には興味ないのか、そのどっちかだろうという声が囁かれていた。

 

だが、いよいよフィニッシュが近づいてくると、するするとユアンのポジションが上がっていく。そして、終盤にかけて振り始めた雨で路面が滑りやすくなっており、落車が発生。

この時の分断が原因で集団の後ろの方に追いやられたサム・ベネットは勝負を諦め、発射台役のモルコフが代理エースとなった。

 

最終周回はクリストファー・ハルヴォルセン擁するEFプロサイクリングが積極的に牽引。その後ろにシモーネ・コンソンニに率いられたコフィディスのエリア・ヴィヴィアーニがベストなポジションを確保していた。

だが、最終ストレートの残り200mを前にして、クルーゲの背中に控えていたユアンが突如として集団の右手から飛び出した。

そのまま、誰の後ろにつくこともなく、フィニッシュまでを突き抜けていくポケット・ロケット。その鋭さに、誰一人ついていくことはできなかった。

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まさに圧勝。

昨年に続くクリテリウム勝利。

不調説はどこへやら。

このあとの好調を予感させる、幸先の良い出だしであった。

 

 

第1ステージ タヌンダ〜タヌンダ 150km(平坦)

本戦の開幕戦は例年通りの平坦ステージ。ただし例年と違って完全な周回コース。3級山岳ブレークネックヒルを含む1周30㎞の周回コースを5周する(山岳ポイントとして設定されているのは2周目と4周目)。

1つ目の中間スプリントは15㎞地点にあったため、ダリル・インピーのボーナスタイム獲得を狙うミッチェルトン・スコットが集団をコントロール。逃げを許さないまま、狙い通り最初のスプリントポイントをインピーが先頭通過。ボーナスタイム3秒を獲得した。

今年はパラコームを含むクライマー向けのダウンアンダー。インピーの3連覇のためには、こういったコツコツとした秒差稼ぎが重要になってくる。

 

その後生まれた逃げ集団の中には、例年通りUniSAオーストラリアのメンバーが。今年からアクセオン・ハーゲンスバーマンに所属し、今年のU23国内ロード王者に輝いたばかりのジャラッド・ドリズナーズが最初の山岳ポイントを先頭通過した。

しかし逃げで目立たなければならいのはこのチームも同じ。エースのパトリック・ベヴィンが直前に欠場となってしまったCCCチームから、元アメリカTT王者ジョセフ・ロスコフが途中から独走を始め、2つ目の山岳ポイントを先頭通過した。

 

その他、大きな動きは巻き起こることなく、予定通りの集団スプリントへ。

UCI公式レース第1発目は、ゴール前数㎞を常に支配し続け、最後もアーチボルド→モルコフ→の最強トレインを完璧に機能させたドゥクーニンク・クイックステップのサム・ベネットが完勝!

この後輪をしっかりと捉えていたジャスパー・フィリプセンは早めの駆け出しで一度は先頭を奪うが、やはり遠すぎたために失速し、完璧なタイミングでスプリントを開始したベネットに最後は差されてしまった。

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3位はボーラ・ハンスグローエの成長株バシュカ。昨年同時期のブエルタ・ア・サンフアンでも、ペテル・サガンにリードアウトされながらスプリントステージでエース(もしくはサム・ベネットの最終発射台)を務めていた。

今年のさらなる躍進も期待のできる男だ。

 

また、クリテリウムに続き、チーム・サンウェブのネオプロ 、アルベルト・ダイネーゼのTOP10入りも注目のリザルト。

ベイビー・ジロの登りスプリントでも勝ってるこのパンチャー寄りスプリンターの存在は、今後も注目しておくべき選手である。

 

 

第2ステージ ウッドサイド〜スターリング 135.8㎞(丘陵)

2014年・2015年・2016年・2018年にも使用され、今回で5回目の登場となる名物スターリング登りフィニッシュ。

例年パンチャー向きのこのステージを制したのは、2018年に引き続きカレブ・ユアン。

昨年はUAEツアーのハッタ・ダムを制したように、登りスプリントへの適性を確実に高めつつある軽量級スプリンターの代表格が、このチームに移籍してから初となる、ツアー・ダウンアンダー公式戦勝利となった。

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顔ぶれを見るとやはり、パンチャータイプの選手たちが有利なレイアウトだったようだ。サム・ベネットも直前までは良い位置につけていたものの、最後は沈んでしまった。

その意味で、ユアンはもちろん、ジャスパー・フィリプセンの登りスプリント適性の高さにも目を瞠るものがある。先頭付近にいるUAEのジャージを見て完全にディエゴ・ウリッシかと思っていたが、まさかのフィリプセン先着であった。

クリテリウムも含めたここまでの3ステージで唯一TOP5に入り続けている男。そのオールラウンドな脚質について以下の記事でも触れている。

www.ringsride.work

 

また、この日はゴール前1.5㎞で大規模な落車が発生。エリア・ヴィヴィアーニやリッチー・ポート、サイモン・イェーツなどが巻き込まれ、ベン・ヘルマンスやラファエル・バルスは翌日出走できない結果となった。

残り3㎞を切っての落車のため、ポートやサイモンの総合タイムには影響はなかったものの、ヴィヴィアーニ、サイモンともに軽い怪我を負う形となり、この後のステージへの影響が危ぶまれた。

 

そしてそんな中、インピーはしっかりとポジションを確保して、ステージ2位に入ってボーナスタイムを獲得。

総合3連覇に向けて着々と準備を進めていった。

 

 

第3ステージ アンリー〜パラコーム 131㎞(丘陵)

過去2回登場した際は、いずれもその年の総合優勝者に勝利をもたらした、ウィランガ・ヒル以上の勝負所「パラコーム」。

前回登場時の2017年は、リッチー・ポートが2位ゴルカ・イサギレに16秒もの大差をつけて圧倒したが、近年のポートの不調を見るに、果たして今年はどうなるか、予想のつかないところがあった。

 

しかし、蓋を開けてみれば、結局はポートの圧勝。

チームメートのネオプロ、ファンペドロ・ロペスのオールアウトするほどの強力な牽引から放たれたポートは、先行して飛び出したウリッシを簡単に飲み込み、そして独走を開始した。

誰もが彼を追いかけなければならないと分かっていたのに、それができずに、ただ一人最強の男が行くのを見逃すしかできなかった。

ミッチェルトン・スコットとしても、もはや「プランB」を選択するしかなく、サイモン・イェーツに飛び出させる。

 

だが、パラコームの山頂を通過したあとの緩斜面で、強力な向かい風がポートを阻んだ。思うように伸び切らないポート。抜け出したイェーツら4名にも後続から追い上げてきたインピーたちが最終的には追いつき、結局、ポートとインピーとの間のタイム差は5秒にしかならなかった。

 

それでも、リッチー・ポートが今回のツアー・ダウンアンダー、かなり高コンディションで臨めていることがこのステージで明らかとなった。

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総合首位の座はリッチー・ポートに。ただし、2位ダリル・インピーとのタイム差はわずか6秒。

まだまだどうなるかわからないタイム差。しかしポートのコンディションはよさそう。

果たして、この結末はどうなるのか。

 

 

第4ステージ ノーウッド〜マレー・ブリッジ 152.8㎞(平坦)

第1ステージ以来のピュアスプリントステージ。序盤はアデレードヒルズを舞台にしたアップダウンが用意されたが、18.1㎞地点と40.3㎞地点というスタートから近い距離に二つの中間スプリントポイントが設定されたこともあり、序盤の逃げは許されることなくミッチェルトン・スコットが支配するプロトンによって押さえ込まれた。

第1中間スプリントポイントは、インピーからポイント賞ジャージを奪い返したいジャスパー・フィリプセンと、リッチー・ポートのためにインピーのボーナスタイムを潰したいマッズ・ピーダスンが先行し、インピーは3位通過。第2中間スプリントポイントも、フィリプセンには先行されるも2位通過を果たし、合計でボーナスタイムを3秒、ポートとの総合タイム差を3秒にまで縮めた。

 

そうして最後の集団スプリント。ここでもなんとかボーナスタイムを狙いたいインピーだったが、残念ながらさすがのピュアスプリンターたちの全力勝負の中に拮抗することは難しかった。17位でフィニッシュ。

最も良い形でフィニッシュに向かうことができたのは、第1ステージ同様にドゥクーニンク・クイックステップ。アーチボルドからミケル・モルコフへの完璧なバトンタッチでサム・ベネットが発射されるも、位置取りで苦労した第1ステージの反省から、チームメートの力を借りながらベネットの番手につけることを重視したというカレブ・ユアンが、最後は驚異的な伸びを見せてゴールに飛び込んだ。

やや登りスプリントであったことも、軽量級の彼にとっては追い風となったのかもしれない。

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同じくタダ乗りに定評あるフィリプセンが3位、ヴィヴィアーニは第2ステージの落車の影響がやはりあるのか、25位に沈んだ。

 

カレブ・ユアンは4勝を記録した2017年以来の複数勝利。サム・ベネットがまだ本調子でないということもあるかもしれないが、ユアンもまた、前情報ではそこまで完璧なコンディションで臨んでいるわけではないともいう。

この調子のまま、成功した昨シーズンを超える成績を出していけるか。彼の今年の目標の1つは、ツール・ド・フランスの開幕ステージでの優勝とマイヨ・ジョーヌの着用。

その野望も、十分に達成することが、できるかもしれない。

 

 

第5ステージ グレネルグ〜ヴィクター・ハーバー 149.1㎞(丘陵)

平坦ピュアスプリントで決着することも多いヴィクター・ハーバーだが、今回は2016年にも使われた、ゴール前20㎞地点に2級山岳カービーヒルが用意されたステージ。2016年にはサイモン・ゲランスが勝利してボーナスタイムを稼いだステージだけに、今回もインピーとミッチェルトン・スコットはなんとかピュアスプリンターたちを振り落とし、小集団スプリントで上位に入り込みたいところ。

もちろん、序盤(33.9㎞地点と56㎞地点)の中間スプリントポイントも貪欲に狙っていく。第1ポイントは世界王者のマッズ・ピーダスンに先着されるも、第2ポイントではピーダスンもジャスパー・フィリプセンも下し、1位通過。合計で4秒のボーナスタイムを手に入れ、ポートから2秒先行する形で総合リーダーの座を手に入れた。

 

さて、いよいよゴール前20㎞の勝負所、カービーヒル。普通に走ればピュアスプリンターたちが脱落するような登りではないが、当然ミッチェルトン・スコットは、ここで本気の牽引を見せる。

クライマーのルーカス・ハミルトン、そしてサイモン・イェーツの強力な牽引を前にして、カレブ・ユアン、サム・ベネット、そしてジャスパー・フィリプセンらも突き放される。メイン集団に残ったのはポートと総合3位のロバート・パワー、ジョージ・ベネット、ローハン・デニス、ディエゴ・ウリッシなどの精鋭軍団のみ。

しかし、スプリンターたちも、決して致命的なギャップを許したわけではなかった。とくに、ステージ3勝目を狙うユアンのために、トーマス・デヘントが昨年のジロのときのような強力な牽引を披露。結局、残り6㎞地点で、集団は再び1つになった。

 

ただ、この激しい攻防戦によって、ピュアスプリンターたちは確かに疲弊していた。ロジャー・クルーゲ、シモーネ・コンソーニといったアシスト要員は残っていたものの、ヴィヴィアーニは早い段階で脱落。ユアンも、クルーゲについていくことはできなかった。

そして、クルーゲの番手から飛び出したのは、NTTプロサイクリングのジャコモ・ニッツォーロ。コンソーニがなんとか追いすがろうとするも、ニッツォーロの勢いは緩まることなく、耐え抜いて先頭でゴールラインを切った。サム・ベネットも猛烈な追い上げを見せていたが、わずかに届かなかった。

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結局、インピーはフィニッシュ地点でのボーナスタイムを得ることはできず、総合タイム差で2秒のリードのみ得た状態で最終日ウィランガ・ヒルに挑む。

 

 

第6ステージ マクラーレン・ヴェイル〜ウィランガ・ヒル 151.1㎞(丘陵)

毎年恒例、ツアー・ダウンアンダーの華、ウィランガ・ヒル。昨年から最終日に移ったが、今年の展開はまさに、最終日だからこその白熱したものとなった。

 

総合首位インピーとポートとのタイム差はわずか2秒。パラコームでも変わりなき絶好調ぶりを見せたポートが今年もウィランガを制すると仮定すれば、インピーがたとえ同タイムで2位に入ったとしても逆転される。逆にポートが2位、インピーが同タイムで3位に入れば、ここまでのステージの順位合計の関係でインピーが総合首位を守ることができる。

 

そういった状況が故に、この日、26名もの大規模な逃げ集団が生まれた際にミッチェルトン・スコットが全く牽引に加わらないことも十分に理解できた。むしろ、それは最も適切な戦略であった。1人でも逃げ切ってくれた方がインピーには有利になるのだから。

ただ、26名の中に、総合タイム差わずか58秒のジョセフ・ロスコフが含まれていることは、インピーとミッチェルトン・スコットにとっても看過できない事態ではあったはずだった。だから残り40㎞を切ってもタイム差が4分以上から縮まらない状況に、本当に大丈夫か?と感じるのも無理ないことだった。集団の先頭は今大会もっとも献身的なアシストとして働いている世界王者マッズ・ピーダスンが全力牽きを見せ、一時はタイム差2分を切るところまで縮める。しかしこれも、彼が脱落したあとに再び離れる(そして一度脱落したあとまた戻って牽き始める)。

ロスコフはそんな状態の中、無事に1周目ウィランガ・ヒルを先頭通過し、山岳賞ジャージを確定させる。エースのパトリック・ベヴィンを開幕直前に失ったチームにとって、その代わりとなる成果を十分すぎるほど手に入れることのできたロスコフ。昨年もUAEツアーなどで果敢な逃げを見せていた男が、その結果を確かなものとして手に入れた。

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だが、もう1つ、あまりにも大きな成果を手に入れるチャンスが迫ってきていた。すなわち、まさかの、総合逆転優勝。

残り10㎞を切ってなおも2分以上のタイム差が残っていたとき、そのまさかもかなり現実的なものになりつつあった。

 

だがこのタイミングで、ようやくミッチェルトン・スコットが動き始めた。ルーク・ダーブリッジやキャメロン・マイヤーといった超強力なルーラーたちによる全力牽きによって、わずか4㎞で1分も縮めてしまう圧倒的な牽引力。

これにて、ロスコフの総合逆転の芽は完全に失われ、あとは1人でもポートより先にゴールできれば、インピーの総合を守れる可能性が高くなる。

 

結果的に、ミッチェルトン・スコットの戦略は完全にハマった形となった。チームのルーラー陣への厚い信頼が、このギリギリの戦略を許す結果となったのだろう。

 

 

あるいは、インピーの不調が明らかだったからこそ、この戦略を取らざるを得なかったのかもしれない。そう考えればミッチェルトンとしては、なおも1分近いタイム差で逃げる先頭集団のことを考え、ポートが少しでも抑え気味な走りをしてくれれば良かったのだが、逆に彼はその程度のタイム差など気にしないほどに、絶好調だった。

 

残り2㎞。ウィランガ・ヒルの勝負所が近づいていく中で、タイム差はまだ30秒も残っている。しかしここで、ポートが加速を開始した。 

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インピーはすぐさま引き離された。彼に代わって、ポートを押さえ込む役割を担ったのはサイモン・イェーツであった。しかしそのサイモンも、延々と続くポートのダンシングを前に、残り1㎞を前にして引き離されてしまった。

昨年は例年に比べその勢いが弱まっていたように思えたポートのウィランガアタック。今年は最盛期に劣らない強さを見せていた*1

そうして、誰もが不可能だと感じていた先頭に追いつくという離れ業を、ポートは成し遂げてしまったのである。

 

だが、そのまま彼がウィランガ・ヒル7連覇を達成する――というわけには、いかなかった。残り700mで先頭に追い付き、これを追い越したポートは、そのまま独走を開始するかと思ったが、そこに、残り500mで逃げ集団の残党であるマシュー・ホームズが食らいついていった。 

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ポートが腰を下ろすことなくひたすらダンシングで加速を続けるが、ホームズは決して離れることなく耐え抜く。

そして、緩斜面となる残り300mへ。ここまで来たら、番手を取っているものが最も有利になる。ポートの背中から飛び出したホームズは、そのまま、誰もが想像できなかった勝利を成し遂げることとなった。

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今年27歳のネオプロ。昨年まではマディソン・ジェネシスに所属。

東京オリンピックテストイベントではイギリス代表として参加し、4位。まだ無名の、しかし今回の走りで、今後にも期待ができるブリテンクライマーであることが、証明された。

 

 

リッチー・ポート、7連覇ならず。

しかし、いずれにせよ今年も「ウィランガ・ヒル最強」であったことは間違いなかった。

ついに、2度目の総合優勝を果たしたリッチー・ポート。

しかしその過程は、決して簡単ではなかった。

ミッチェルトン・スコットの万全なタクティクスを前にして、マッズ・ピーダスンを始めとする強力なチームメートたちの尽力があってこそ、彼はこの結果を叩き出せたのだ。

 

おめでとうリッチー。そして、トレック・セガフレード。

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なお、各賞ジャージについて確認すると、山岳賞はロスコフ、新人賞はチーム・イネオスのパヴェル・シヴァコフ(総合では16位)。

そしてポイント賞は、勝利こそなかったものの常に区間上位に入り続けた男、ジャスパー・フィリプセンが獲得している。

ピュアスプリントステージ(クリテリウム、第1・4・5ステージ)の各スプリンターたちの順位の合計で考えてみても、今大会「最強」のスプリンターはフィリプセンだった。
今後の彼の活躍にも注目したい。

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また、注目すべき若手スプリンターとしては、やはりチーム・サンウェブのアルベルト・ダイネーゼの走りが印象的だった。

今年22歳のネオプロで、過去にはベイビー・ジロでの勝利経験もあるこの男。

ツアー・ダウンアンダー閉幕後に同じオーストラリアで開催された今年新設のワンデーレース「レース・トーキー」でも3位表彰台に入る走りを見せた彼も、今年さらなる飛躍を期待していい有望なスプリンターである。

 

第4ステージのニッツォーロも勝っていたりと、NTTプロサイクリング、チーム・サンウェブなど、不安を感じていたチームの思わぬ活躍がシーズンの開幕から見られることは良かった。

その点でも、今回のツアー・ダウンアンダーは非常に面白かったと言える。

 

 

・・・ただ、ロマン・バルデが最後までほぼほぼ空気だったのがちょっと残念。結果を出せないのはもちろんそのつもりもなかっただろうから仕方ないけれど、せっかくの初出場なのにここまで壮大に空気だと必要以上に不安になってしまうのだが。 

 

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*1:サイクルフォトグラファーの辻啓氏によると、リッチー・ポートのウィランガ・ヒル登坂タイムは2018年8分16秒、2019年8分2秒、2020年7分29秒だという。https://twitter.com/keitsuji/status/1221310150235033601?s=20

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