読み:ワンティ・グループゴベール
国籍:ベルギー
略号:WGG
創設年:2009年
GM:ジャン・フランソワ(フランス)
使用機材:Cube(ドイツ)
2018年ヨーロッパツアーランキング:1位
(以下記事における年齢はすべて2019年12月31日時点の表記となります)
2019年ロースター
2016年~2018年にかけて3年連続でヨーロッパツアーランキング1位を獲り続けている、ヨーロッパ最強プロコンチネンタルチーム。サイクリングロードレースの中心地がヨーロッパである以上、プロコンチネンタル最強チームといってもよいかもしれない。当然、その成績がゆえに、ツール・ド・フランス出場権も2017年、2018年、そして今年と安定して獲得できている。
それがゆえにワールドツアーチームからの注目も高いのか、このチームに2年間所属していたギヨーム・ファンケイスブルク(現CCCチーム所属)は「ワンティはより大きなチームとの契約のために自分のことばかり考えている選手たちばかりで、戦略のかけらもなかった」と振り返っていたりする*1。その真偽はさておき、ワールドツアーチームの選手にも負けない走りを期待できる選手が多いのは確かだろう。現在はディメンションデータに移籍した名パンチャー、エンリコ・ガスパロットもこのチームに所属しており、そこで2度目のアムステルゴールドレースを勝利している*2。
そんなチームの現在のエースはフランス人のギヨーム・マルタン。「哲学者」とも称される彼は、プロコンチネンタルチーム所属ながらツール・ド・フランス総合上位を期待されている男である。ワンティが安定してツール出場権を得られるのは、そのランキングと共に彼の存在があるのも理由かもしれない。
しかし2017年、2018年と期待されていたほどの結果を出せずに終わっていたマルタンを尻目に、意外な角度から実績を積み上げつつあるのはパスクアロンやデュポンといったスプリンター勢。また、オフルドやデガントらエスケープスペシャリストたちが、実にプロコンチネンタルチームらしい活躍の仕方を見せてくれてもいる。デガントは名前でも目立っている。
一方、それら結果を出しつつある選手たちはいずれも年齢が高くなりつつあり、若手が育っていない印象を感じさせてもいる。
その点で、外部チームからの新加入となるブリーヘン、エイキング、デデッケルあたりにも期待したいところである。
注目選手
ギヨーム・マルタン(フランス、26歳)
脚質:クライマー
チームの総合エース。ベルギー色の強いチームの中で、ツール・ド・フランスのエースナンバーを保証された男。「哲学者」と称される所以は、彼が哲学科の学生であったことと、年齢に似合わぬ落ち着いた走りゆえか。
演劇の先生と武道の先生の間の子という独特な経歴と「ジャーナリストになるかプロの自転車選手になるか」で迷ったという彼は、実力の割には華々しいワールドツアーチームデビューを飾ることはなく、 FDJをトレーニーとして走ったのちに、ベルギーのプロコンチネンタルチームでのみで過ごすというこれまた独特なキャリアを積んだ。
それゆえにこのチームでエースとして君臨している彼に課せられたのはツール・ド・フランスでの総合成績。しかしチャンスを与えられた2017年・2018年は期待以上の走りを見せることはできなかった。
一方、グランプリ・ド・ワロニー5位、アークティックレース・オブ・ノルウェー区間7位、フランス選手権ロードレース5位などの経歴が示すのは、グランツールレーサーというよりはワンデーレーサー、パンチャーとしての可能性である。
いよいよキャリアも最も脂の乗った時期が近付きつつある。今後を決める重要な選択を、「哲学者」はいかにして選び取るのだろうか。
アンドレア・パスクアロン(イタリア、31歳)
脚質:スプリンター
ツール・ド・フランスでの積極的な連日の逃げと北のクラシック「だけ」――という印象のあったワンティに、スプリントという武器をイメージさせた2人の存在のうちの1人。とくに2018年は急成長。何しろ、10位以内には一度も入れなかった2017年と違い、2018年のツール・ド・フランスでは6位が1回、8位が2回、9位が3回もあったのだ。2019年はベスト5に足を踏み入れることも十分に可能だろう。
ほかにもツール・ド・ルクセンブルクで区間2勝・ポイント賞・総合優勝を果たしたり、エシュボルン・フランクフルトで4位に入ったりと、ワールドツアーチームの選手たちにも負けない活躍を見せている。
しかしベルギー人のデュポンの成長も著しく、今年契約最終年を迎える彼が、来期もワンティで走ることを選択するかどうかは定かではない。
ティモシー・デュポン(ベルギー、32歳)
脚質:スプリンター
2018年は1勝のみだが、クラシカ・ドゥ・アルメリア3位やダンケルク4日間レースでポイント賞など、細かく大量にUCIポイントを稼ぎチームのヨーロッパツアー1位に貢献した。また、ツール・ド・フランスにも初出場。基本はパスクアロンをアシストしつつ、落車後の登りスプリントとなった第2ステージではパスクアロンより上位の6位でフィニッシュしていたりする。
獲得UCIポイントでもほぼ差はないので、2019年シーズン前半戦の走り次第で。どちらがツールをエースで走るかが決まる可能性はあるだろう。ベルギー人というのはデュポンにとっては強みでもある。
その他注目選手
ヨアン・オフレド(フランス、33歳)
脚質:ルーラー
かつてはFDJに長く在籍し、ミラノ~サンレモで7位になるなど、スプリント力で売っていた。ワンティ移籍後はパスクアロンやデュポンなどの若手のアシストを務めつつ、自らは北のクラシックに力を入れる。
2017年はロンド・ファン・フラーンデレン、パリ~ルーベで共に14位とチーム最高位を記録した。2018年は失敗してしまったものの、2019年は改めてクラシック班エースとして実力を示していきたいところ。
クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、27歳)
脚質:パンチャー
昨年のツール・ド・ロマンディで、コルブレッリくらいしかスプリンターでは残れないようなレイアウトでしっかり先頭集団に残ってくる足を見せた選手。ドーフィネ第1ステージの、インピーが勝った登りスプリントでも8位となるなど、HCクラス以上のレースでも安定して上位に入れる力を持っている。
結果、UCIポイントでもマルタン並には稼いでおり、今まではそこまで目立っていなかった印象だが、今年、大きく話題になる可能性のある選手だ。
オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、25歳)
脚質:パンチャー
実力者を輩出するノルウェーのコンチネンタル「チーム・ジョーカー」出身。FDJへの昇格の際には随分と期待したものだったが・・・結局、当初の2年の契約は更新されず、昨年よりワンティへ。
だがそこでなんとか掴み取ったツール・ド・ワロニーでの勝利。まだ若く、可能性には満ちている彼が、このチームでさらに羽を伸ばして結果を得られることを願う。
地元のツアー・オブ・ノルウェーやアークティックレース・オブ・ノルウェーでの総合上位の記録も持っており、ボアッソンハーゲンやアルバジーニのような、登りスプリントなどを得意とする典型的なパンチャータイプだ。
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