りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

スポンサーリンク

Nippo Vini Fantini Faizanè 2019年シーズンチームガイド

読み:ニッポ・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ

国籍:イタリア

略号:NIP

創設年:2008年(チームNippo自体は1985年)

GM:フランチェスコ・ペロージ(イタリア)

使用機材:De Rosa(イタリア)

2018年UCIヨーロッパツアーランキング:9位(アジアツアー8位)

(以下記事における年齢はすべて2019年12月31日時点のものとなります) 

 

 

 

2019年ロースター

f:id:SuzuTamaki:20190126193559p:plain

f:id:SuzuTamaki:20190127001146p:plain

日本の道路舗装最大手の建設会社・NIPPOと、イタリアのワインメーカー・ファルネーゼ社とがスポンサードする、日伊合同チーム。

チームマネージャーには元日本チャンピオンで現在の日本人トップレーサーの大多数に影響を与えている大門宏がついており、ジャパンカップでも優勝しているダミアーノ・クネゴやマルコ・カノラがいたりと、何かと日本に縁の深いチームである。

 

登録はイタリア。現在のベースとなっているチームは2008年にセルビア籍として創設されているチームで、このチームが2011年からNIPPOと合流した。NIPPO自体は1985年創設の日本鋪道(NIPPOの旧社名)レーシングチームに端を発しており、大門をゼネラルマネージャーとして世界で戦える日本人選手の育成を手掛けてきた。

 

2016年には当時所属していた山本元喜(現日本チャンピオン・キナンレーシングチーム所属)がジロ・デ・イタリアで完走しており、クネゴもそのジロで山岳賞ジャージを長い間守るなど、活躍を見せていた。

しかし翌2017年・2018年はともにジロ出場が叶わず。今年、3年ぶりの出場が実現した。

やはり注目は、日本の誇る新城・別府の次代とも言える中根英登の出場の可否。しかしこれは、来年のオリンピックにおける日本人出場枠のことを考えると意外と微妙とも言えるのだということは以下の動画でも解説されている。

www.youtube.com

ただ個人的には日本人選手がほぼ活躍できなそうなオリンピックでの出場枠にこだわるよりは、ジロで可能性にかけた方がいいのではないかとも思っている。 

 

 

注目選手

マルコ・カノラ(イタリア、31歳)

脚質:パンチャー

Embed from Getty Images

2017年のツアー・オブ・ジャパンでステージ3勝とポイント賞、さらにはジャパンカップで前哨戦クリテリウムと本戦とをW優勝するなどの大活躍を果たし、日本でも一気に人気が高まったであろう選手。昨年、チームのエースであったクネゴが引退してしまったものの、 このカノラが新たなチームのエースとして今年も活躍してくれるはずだ。

2018年にはティレーノ~アドリアティコで区間7位に入るなど、ワールドツアーでも十分に渡り合える実力を見せてもいる。今年もジロ・デ・イタリアのメンバーには間違いなく選ばれるだろうし、そこでの活躍に期待大である。

 

 

フアンホセ・ロバト(スペイン、31歳)

脚質:パンチャー

Embed from Getty Images

モビスター時代にはミラノ~サンレモ4位やツアー・ダウンアンダーのスターリング登りフィニッシュ、あるいはドバイ・ツアーのハッタ・ダム登りスプリントで優勝するなど、 激坂や登りの後のスプリントに強い典型的なパンチャーであった。

2017年にチーム・ロットNLユンボ(現ユンボ・ヴィスマ)に移籍するも、同年末に「チーム医師から処方されたものではない睡眠導入剤を使用した」ために解雇され、行く先のなくなっていたところを翌年2月に現チームに拾われた。

上記のような事情でワールドツアーチームに入れなかっただけなので、実力は申し分ない。実際、2018年も、カノラに次ぐUCIポイント獲得を果たしている。

彼もまた、ジロのメンバー入りの可能性は高いだろう。その場合、カノラと脚質が近いのは気になるが、いずれにしても強力なタッグなのは間違いない。

 

 

中根英登(日本、29歳)

脚質:クライマー

Embed from Getty Images

日本の誇る新時代のクライマー。大学卒業後に一度NIPPOの一員としてヨーロッパで走ったが挫折を経験。しばらく愛三工業レーシングチームのメンバーとしてアジアを中心に走って自信を取り戻し、2017年に再びNIPPOに戻ってきた。

遅咲きとはいえ、その実力の高さはしっかりとチームにも見せつけ、信頼を獲得していった。2018年はアジア大会で見事な集団牽引を見せ別府の銀メダルを支えたり、ツアー・オブ・ジャパンでは過去最高の総合9位を獲得したりと、確実に成長しつつある。新城の怪我もあり2018年の世界選手権では唯一の日本代表として出場。今後の世界戦やオリンピックでも重要な存在になることは間違いなく、今年のUCIポイント獲得においては重要な鍵を握ることになるだろう。

ただ、個人的にはジロ・デ・イタリアで走る彼の姿を見てみたい。今ある意味で最も勢いのある日本人選手。そして、年齢的にも最も脂の乗る時期でもある。このタイミングでジロに出場し、何か、奇跡を起こしてほしい。そう思っている。

だからこそシーズン前半から何かしらの結果を出していきたい。まずはブエルタ・ア・サンフアン。

 

 

その他注目選手

モレーノ・モゼール(イタリア、29歳)

脚質:パンチャー

リクイガス、キャノンデールとイタリアのプロチームで過ごしてきた実力派パンチャー。2016年にはジロ・デ・イタリアで惜しいステージ2位を経験もしている。

その後アスタナ・プロチームで2年を過ごすが十分な結果は出せず、この度、プロコンチネンタルチームへ。

しかし、十分にジロで勝利を掴めるだけの力は持っている。NIPPOチームが今後、ジロ出場の常連となるためにも、各種レースでのUCIポイント獲得を積極的に狙っていってほしい。

 

ニコラ・バジョーリ(イタリア、24歳)

脚質:パンチャー

ティレーノ~アドリアティコ山岳賞。それ以外にも、トロフェオ・ライグエーリア4位だったり、ブエルタ・ア・ブルゴスの登りフィニッシュで3位に入ったりと、勝ちきれなくとも地味に成績を稼ぎ出している。 

どうしても強い選手がそれなりの年齢になりつつあるNIPPOにとっては、将来が楽しみな若手選手である。

なお、DAZNのキャンペーンでバジョーリのサインを獲得している。このサインの価値をより高めるべく、今年は更なる活躍を!

 

アレハンドロ・オソリオ(コロンビア、21歳)

脚質:クライマー

2018年U23版ジロ・デ・イタリアで区間1勝、3日間ほど、マリア・ローザも着用した。そしてツール・ド・ラヴニールでも山岳賞を獲得。若手期待の存在の1人であるのは間違いない。

より詳しい紹介はこちらの記事でも行っているので参照のこと。

www.ringsride.work

 

初山翔(日本、31歳)

脚質:パンチャー

2017年ツアー・オブ・ジャパン山岳賞。ツール・ド・コリアでも総合10位と健闘しており、それらの成績をもって2018年より今チームに移籍した。

2018年はUCIポイントとしては成果は残らなかったが、各種レースで積極的な逃げを展開。2019年も同じようにアグレッシブな走りを見せてほしいとは思いつつ、今後の彼のためにも、ポイントにつながるような活躍にも期待している。

Embed from Getty Images

 

 

スポンサーリンク