Class:ヨーロッパツアー HCクラス
Country:ポルトガル
Region:アルガルヴェ地方
First edition:1936年
Editions:45回
Date:2/20(水)~2/24(日)
ポルトガル南部アルガルヴェ地方で開催されるポルトガル唯一のHCクラス以上のステージレース。
同時期に開催されるブエルタ・ア・アンダルシアとは距離的にもごく近いが、山岳主体のアルガルヴェと比べ、こちらは平坦・TT・山岳がバランス良く配置され、今年もたとえばフルーネウェーヘンやデマール、アッカーマンといったトップスプリンターたちも集まっている。
また、比較的TTの比重が高いステージレースでもあり、過去にはトニー・マルティンが総合優勝したことも。それ以外にもミカル・クヴィアトコウスキーやゲラント・トーマス、プリモシュ・ログリッチェといったTT能力の高いオールラウンダーが優勝者に名を連ねている。
今年の注目選手は何といっても昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位のエンリク・マス。
登りはもちろん、TTでも良い成績を出していた彼は、今年はツール・ド・フランスにエースとして出場する予定だとか。
またグルパマFDJに移籍したステファン・キュングも、登りはそこまで強くはないが、TT能力では今大会出場予定選手の中では最強クラス。登りで覚醒することがあれば、総合優勝も狙えるだろう。
ほかにもスカイのワウト・プールスやサンウェブのサム・オーメン、UAEのファビオ・アルなども総合優勝争いで注目すべき選手だと言えるだろう。
個人的には毎年超おススメのステージレースであり、今年もDAZNでLIVE放送予定。
残念ながら英語コメンタリー放送なので、各ステージのポイントや注目選手について、以下の記事でぜひ参考にして頂きたい。
- 第1ステージ ポルティマン~ラゴス 199.1km(平坦)
- 第2ステージ アルモドバル~フォーイア 187.4km(山岳)
- 第3ステージ ラゴア~ラゴア 20.3km(個人TT)
- 第4ステージ アルブフェイラ~タヴィラ 198.3km(平坦)
- 第5ステージ ファロ~アルト・マルハオ
第1ステージ ポルティマン~ラゴス 199.1km(平坦)
美しき海岸線プライア・ダ・ローシャで有名なポルティマンをスタートし、内陸の丘陵地帯をぐるっと反時計回りに回って最後にラゴスに戻ってくる。アルガルヴェ地方でも西の端を走ることとなり、大西洋を見渡せる風景にも出会えるかもしれない。
ゴール前1kmを越えてからラウンドアバウトが1回。ラスト700~800mは片側2車線の直線路。ピュアスプリンターたちによる本気のスプリント勝負が見られることだろう。
昨年も同じく第1ステージのフィニッシュ地点に選ばれており、そのときはやはりピュアスプリンターの最強格であるディラン・フルーネウェーヘンがデマールを押さえて勝利している。
第2ステージ アルモドバル~フォーイア 187.4km(山岳)
アルガルヴェ定番のモンシケ山脈・フォーイア山頂にフィニッシュするクイーンステージ。登坂距離は8kmとそれなりに長いものの平均勾配は6%程度しかなく、それがゆえにTT能力の高いオールラウンダーでもピュアクライマー相手に互角の戦いをすることができる。
昨年はチーム・スカイが逃げやアタックを全て潰し、最後はゲラント・トーマスのリードアウトを受けたミカル・クヴィアトコウスキーがダニエル・マーティンを突き放して勝利した。今年もチーム・スカイは良いメンバーを連れてくるようで、その中でもダウンアンダーでも調子の良さを見せていたワウト・プールスに期待したい。
その他、今年初出場となるエンリク・マスが昨年から続く強さを見せられるか。ファビオ・アルもそろそろ結果を出していきたいところ。
地元ポルトガルのルーベン・ゲレイロやアマーロ・アントゥネスらの走りにも注目すべきだろう。
第3ステージ ラゴア~ラゴア 20.3km(個人TT)
昨年の第3ステージと全く同じレイアウトで行われる個人TT。昨年のカンペナールツのコメントによると、「2つの急勾配の丘とスピードの乗るダウンヒルが組み合わされた、ものすごくテクニカルなコース」とのことである。
昨年はゲラント・トーマスがトップタイムの24分9秒を記録して優勝。昨年2年連続のヨーロッパTT王者となったヴィクトール・カンペナールツが11秒遅れの2位。シュテファン・キュングが19秒遅れの3位となった。
今年はトーマスもカンペナールツもいないため、優勝候補はキュングに託される。その他、ツールの個人TTで優勝経験のあるマチェイ・ボドナルや、アイルランドTT王者のライアン・ミューレン、もしくは元英国TT王者のスティーヴ・カミングスあたりが可能性を持っていることだろう。
総合優勝争いにも大きな影響をもつステージのため、とくにエンリク・マスやワウト・プールスなど、比較的TTも得意なクライマーたちの成績が気になるところ。ファビオ・アルも、時折TTが強くなることがあるので、それがこの日にくれば、総合優勝も見えてくるだろう。
第4ステージ アルブフェイラ~タヴィラ 198.3km(平坦)
昨年も第4ステージのフィニッシュ地点となったタヴィラ。緩やかな登りスプリントといった感じだが、2年前はステージ3位だったフルーネウェーヘンが、昨年は見事に優勝。これでそのときの大会2勝目を記録するなど、その年の大躍進を予感させる走りを見せていた。
ゴール前1kmを過ぎたあとにラウンドアバウトが1つ。そして残り500mを切ってから右に直角カーブ。ここを先頭で抜けられないとやや厳しいだろう。
カオスなスプリントになる可能性がある。実力は間違いなくフルーネウェーヘン。ただ登りスプリントであることを考慮すればデマールやボアッソンハーゲンにもチャンスはあるだろう。
個人的にはドゥクーニンク・クイックステップのファビオ・ヤコブセンに注目している。今年もアルバロホセ・ホッジとチーム内ライバル関係にある彼が、ツアー・コロンビアでのホッジの勝利に触発され、今年の1勝目を早速飾ってくれまいか期待している。
第5ステージ ファロ~アルト・マルハオ
こちらも定番のコース。昨年とスタート地点もゴール地点も一緒だ。後半にかけてのアップダウンも激しく、最後の登りも3kmと短いものの平均勾配は8%から9%に達する。とくに前半部分に10%超え区間が連続するようで、今年はこっちをクイーンステージと呼んでもいいかもしれない。
昨年はミカル・クヴィアトコウスキーが優勝し、そのまま総合優勝も手中に収めている。2位には地元ポルトガルのルーベン・ゲレイロが4秒差で、そして驚くべきことにシュテファン・キュングがこの日を13秒遅れの4位で終えている。キュングはこの年の第2ステージで大きく遅れていたために総合では上位に入り込めなかったが、そこさえ耐え忍んでいれば、かなりの成績を残せていたはずだ。今年も大注目の選手である。
また、2年前のこの日を勝利したのが、現CCCチームのポルトガル人アマーロ・アントゥネス。後方で総合優勝争いが演じられる中アタックした彼は見事地元の大舞台での勝利を掴み、今回のワールドツアー昇格への道筋をゲットした。
先日のバレンシアナでも、エースのファンアーフェルマートの勝利のための素晴らしい山岳アシストを演じていたという彼が、今大会で再び栄光を掴めたとしたら、それは見る側としてはとても喜ばしい。
次回は注目選手をプレビュー予定。