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Groupama - FDJ 2019年シーズンチームガイド

読み:グルパマ・エフデジ

国籍:フランス

略号:GFC

創設年:1997年

GM:マルク・マディオ(フランス)

使用機材:Lapierre(フランス)

2018年UCIチームランキング:14位

(以下記事における年齢はすべて2019年12月31日時点のものとなります) 

 

 

 

2019年ロースター

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新加入選手3名はすべてBMCレーシングチームから。とくにキュングは次代を代表するTTスペシャリストであり、2017年加入のルドヴィクソン同様、TT能力の改善を目指そうとするチームの意図を感じる。2019年のツールにもチームTTは存在するし、そこを狙った補強なのか。
チームは明確にピノ・グループとデマール・グループに分けられており、モラールやプライドラーがアシストとして少しずつ成長を続けている。

一方のデマール・グループからは自ら勝利も狙えるイタリア人スプリンター、チモライが抜けることに。しかし2018年活躍したグアルニエーリは健在なので、まだまだ期待はしていけるだろう。若手のサローも2018年ブエルタで2度5位につける大健闘。2019年はグランツール初勝利を期待したい。

トマ、ルガック、シンケルダムと、北のクラシック要員も地味に良い選手は揃っているので、覚醒した彼らの姿を見てみたいものだが・・・。 

 

 

注目選手

ティボー・ピノ(フランス、29歳)

脚質:クライマー 

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2018年の主な戦績
  • イル・ロンバルディア 優勝
  • ミラノ~トリノ 優勝
  • ブエルタ・ア・エスパーニャ 区間2勝
  • ツアー・オブ・ジ・アルプス 総合優勝

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2016年にはTTの急激な改善が見られたかと思えば、2017年には突如としてスプリント力が高まるなど、毎年のようにその脚質が激変することで知られるピノやん。今年はワンデーレーサーに早変わり。多分、ピノは11人いる。

2018年に今度こそジロは最後だよ、と宣言しており、2019年は再びツールに集中することになるだろうと予想されている。個人的には、彼にはジロやブエルタの方が向いている気がする。そちらでなら、表彰台も問題なく獲れるだろう、と。

とはいえ、やはりフランス人としてツールにこだわる気持ちは分からなくはない。そして、彼には自由に、気の向くままに走ってほしいという気持ちもある。勝ちにこだわらなくてもいいから、なんとなく調子のいいときに飛び出した結果としての、山岳勝利やその勢いのままの山岳賞獲得なんかをツールで見れたら最高である。

 

 

アルノー・デマール(フランス、28歳)

脚質:スプリンター

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2018年の主な戦績
  • ツール・ド・フランス 区間1勝
  • ツール・ド・スイス 区間1勝
  • パリ~ニース 区間1勝

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ピノ不在がゆえに自らのためのチームを編成してもらい、さらに2017年と違って8人全員がシャンゼリゼまで生き残るという万全な状態であった2018年のツール。にも関わらず、ガビリアやフルーネヴェーヘンが去り、サガンが負傷した段階でようやく1勝を手にすることができた、という事実に、彼が決して「最強」を巡る争いには参加できない位置にいるのだということをまざまざと思い知らされた。

だが、彼の特長はピュアスプリントにあらず。

たとえば2年連続で勝利を掴んでいるパリ~ニースでは、2017年はアラフィリップに登りで喰らいつき、2018年は登りスプリントでゴルカ・イサギーレやティム・ウェレンスといったパンチャーたちと張り合う姿を見せつけた。

そも、2016年のミラノ~サンレモ勝利も、そういった特性があったがゆえだろう。彼は平坦スプリントよりも、登りや石畳の混ざる荒れた環境でこそ勝利を掴めるタイプのスプリンターなのだと思う。

 

 

ダヴィ・ゴデュ(フランス、23歳)

脚質:クライマー

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2016年ラヴニール覇者。キンタナやチャベス、ベルナルほどには目立ってはいないが、着実にその実力を示しつつある。

2017年のフレッシュ・ワロンヌで、残り200mから果敢に先頭飛び出した。このときの動きはバルベルデたちに難なく捉えられ、最終的には9位に終わるが、それでもその積極的な姿勢は実に印象的だった。同年のミラノ~トリノでは5位。プロ1年目の成績としては十分なものだった。

2018年のツールは、本来のエースであるピノが欠場となってしまい、急遽エース扱いでの出場となった。さすがに総合成績を争う走りは難しかったものの、アルプス山脈では、アラフィリップに喰らいつこうとする挑戦的な走りが魅力的だった。そして、ロンバルディア前哨戦としてのミラノ~トリノでは、エースのピノを勝たせるための強力な牽引を終盤まで続け、第一線でまともに戦えるだけの力量を証明した。

2019年ツールも、まずはピノのアシストとして、チームNo.2であると堂々と宣言できるだけの働きを見せてほしい。そうすれば、きっと2020年ツールで、マリア・ビアンカに袖を通す彼の姿を見ることができるだろう。

 

 

その他注目選手

シュテファン・キュング(スイス、26歳)

脚質:TTスぺシャリスト

スイスの誇る次世代最強クロノマンが、BMC撤退によるスイスの影響力低下を受け、モラビートやライヒェンバッハなどの先輩がいるFDJに。冒頭でも触れたが、2019年ツールのチームTT(29km)に向けての補強だろうか?

彼自身はこのチームで経験を重ね、まずは2020年の東京オリンピックにおける表彰台を目指したいところ。カンチェラーラ、トニー・マルティン、そしてデュムランやデニスと、およそ4~5年ごとにその時代を代表するTTスペシャリストたちが現れている。しかし、実はキュングたちの世代周辺には、まだまだ明確に抜け出たTTスペシャリストたちというのはいない。2018年の世界選手権個人TTの上位の顔ぶれを見てみても、90年以前の中堅~ベテランの名前ばかりが連なっている。

キュングはまだ、世界選手権のTOP10に入ることはできていないが、確実に新世代の代表としての実力は示しつつある。2019年の目標はまず、ヨークシャー世界選手権での上位入賞である。 

 

ゲオルグ・プライドラー(オーストリア、29歳)

脚質:オールラウンダー

サンウェブ時代はトム・デュムランのジロ制覇を支え、2018年は新たなチームでピノの側近として活躍。ツール・ド・ポローニュではそのピノの助けもあって、個人TT以外では初となるプロ勝利を果たした。翌日はいつも通りピノのための登りの最終牽引を担い、ピノの表彰台獲得に寄与した。

2019年は、そろそろ自らの総合成績の上位を目指したいところ。

 

マルク・サロー(フランス、26歳)

脚質:スプリンター

2018年に飛躍した選手の1人。2017年までは2勝だったか、この1年で7勝まで伸ばした。とくに、フランス人若手スプリンターの登竜門とも言えるエトワール・ドゥ・ベセージュでの2勝&ポイント賞と、そしてブエルタ・ア・エスパーニャで、マドリードを含む2つのステージで5位に入ったことは大きい。

2019年はワールドツアーでの初勝利を期待したい。いや、むしろ、2019年はブエルタで1勝をもぎとるような気がする・・・! 

 

ヴァランタン・マデュア(フランス、23歳)

脚質:パンチャー

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また面白い奴が出てきた。

フランスはブルターニュ地方生まれ。19歳の頃にブルターニュ・セシェ(現フォルテュネオ・サムシック)にトレーニーとして参加していた時期もあるが、その後は非UCIのクラブチームであるUCナント・アトランティークに所属。2017年にはFDJのトレーニーとなり、そのまま2018年に正式加入。プロデビューを果たした。

2018年最大の戦績は、10月のパリ~ブールジュ勝利。ブライアン・コカールや、クリストフ・ラポルテといったフレンチスプリンターの一線級を抑えての勝利であった。

ではスプリンターなのかと思えば、6月のルート・ド・オクシタニーの山頂フィニッシュステージで8位となっている。ツール・ド・フランス前哨戦の1つであるこのレースは、ピレネー山脈を舞台にした本格的な山岳ステージレースで、この日も標高1500mの1級山岳ル・モン・ドルメに至る登りであった。優勝者はバルベルデ。その他上位にはダニエル・ナバーロ、ケニー・エリッソンド、ルイスレオン・サンチェス、セバスティアン・ライヒェンバッハなど本格的なクライマーが多数占めている。その中で8位。チームメートのゲオルグ・プライドラーよりも上位でゴールしていた。

最終的にも総合8位、新人賞も獲得したオクシタニーでの彼の立ち位置は間違いなくクライマーであった。

さらにパリ~カマンベール2位、ダンケルク4日間レース4位など、小刻みなアップダウンが待ち受けるクラシックスペシャリスト向けのステージでも上位に入っており、とにかく多才な脚質の持ち主。2019年には、どんなタイプの選手になっていてもおかしくはない、新たな時代の才能の1人である。

 

 

総評

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グランツールに関しては難しいところで、ピノがジロやブエルタに出るならまだしも、ツールに集中するとなると、どこまでいけるかは彼の調子次第なところがあり、不安も残る。そして、ピノ以外の総合ライダー(ライヒェンバッハやモラール)がどこまでいけるかというと、確実にTOP10に入るとは言い切れないところ。ステージ優勝は全然取れそうな気がするんだけどね。

一番結果を出せそうなのはアルデンヌ・クラシック。ピノはもちろんだが、現フランスチャンピオンで2018年クラシカ・サンセバスティアン3位のアントニー・ルーにも期待したいところ。

チームTTについては、期待も込めて。

 

 

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