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【PCM2019】CCCチームで「20勝」を目指す Part.16 ティレーノ~アドリアティコ第3・4ステージ

 

自転車ロードレースシミュレーションゲーム「ProCyclingManager2019」で、今年「20勝」を目指しながら6勝しか果たせなかったCCCチームのリベンジを狙って行く企画の第16弾。

 

前回からイタリアの西海岸から東海岸を横断するステージレース「ティレーノ~アドリアティコ」をプレイ中。

チームのエース陣、すなわちグレッグ・ファンアーフェルマートパトリック・ベヴィンアレッサンドロ・デマルキを総動員し、総合優勝を目指していく。

 

第1ステージのチームTTは、ベヴィンとヨセフ・チェルニージョーイ・ロスコフらTTスペシャリストたちの力を借りて圧勝。

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さらに丘陵ステージとなった第2ステージでは、まさかのCCCチームによるワンツースリーフォーフィニッシュを達成するという、絶好調ぶり。

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これらの結果を受け、総合順位でも上位を独占するCCCチーム。

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今回は、平坦スプリントステージとなる第3ステージと、今大会最難関ステージ2つのうちの1つとなる第4ステージとを見ていく。

 

 

※このゲームでは、Youtubeでも数多くの動画を配信しているBenjiNaesen氏の手掛けたMOD「WorldDB 2019」を使用しております。記事中には実際のレースと変わらないチーム名・選手名・レース名・バイクサプライヤー名・スポンサーなどが登場しますが、いずれもMODによるものが多く、実際の何もいれていない状態でのゲームとは異なる場合があることをご了承ください。

 

 

↓ここまでのシリーズ紹介↓

 

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第3ステージ ポマランチェ~フォリーニョ 220km(平坦)

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第3ステージは大会最長ステージ。

コース前半は急勾配を含む強烈なアップダウンレイアウトとなっているが、後半は比較的フラット。

現実のレースでもエリア・ヴィヴィアーニが圧倒的なスプリント力でサガン、ガビリアを打ち破り勝利している。

 

 

ゲーム中のティレーノ~アドリアティコにはヴィヴィアーニもサガンもガビリアも出場していないが、カレブ・ユアン、パスカル・アッカーマンなどの強力なスプリンターたちは健在。

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ベヴィンの名前は残念ながら載っていないが、コンディションは万端。

第2ステージ同様、チームの力で予想を覆す勝利を狙っていこう。

 

 

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レース序盤から10%を超える勾配が続くなど厳しいアップダウンの連続となっている第3ステージ。

セルジュ・パウェルスシモン・ゲシュケなどのパンチャー陣で、エースのファンアーフェルマート、ベヴィンらをアシストしながらゆっくりとこなしていく。 

 

逃げはアンドレア・ヴェンドラーメ(アンドローニ・ジョカトリ、来期からAG2R)やマルコ・カノラ(NIPPOヴィーニ・ファンティーニ)など5名。

とくにカノラは前日に続き積極的に山岳ポイントを収集し、この日の最後の時点で獲得総山岳ポイントは12ポイントに。

第2ステージの超級山岳フィニッシュで優勝し15ポイントを一気に獲得したファンアーフェルマートをまだ超えられてはいないが、それでも繰り下がりで特別賞ジャージを着る権利を手に入れることができた。

 

そんな逃げ集団も、残り17㎞で吸収。

78名にまで絞り込まれた集団で、最後のスプリントバトルが開幕する。

 

残り6.8㎞で、先頭集団の右側からは7名全員を残しているCCCチームトレイン。

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そして左手からは、ユアンのためのロット・スーダルトレイン(ティシュ・ベノートイェンス・クークレール) がリードを奪い取ろうと懸命にもがいている。

ユアンの後ろからはボーラ・ハンスグローエのパスカル・アッカーマンが単独でついてきている。

 

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残り5㎞を切って、CCCトレインとロット・トレインの間を縫うようにして、ワウト・ファンアールトダニー・ファンポッペルマイク・テウニッセンのために先導するユンボ・ヴィズマ・トレインが出現。

 

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だがこれもゴールまで2.5㎞を残してあえなく崩壊。

結局、集団の先頭はCCCトレインとロット・トレインによって完全に支配された。

 

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残り1.8㎞。クークレールを早くも最終発射台にして、ユアンが早くもスプリントを開始。

CCCチームはいまだ、ベヴィンの前にファンアーフェルマートとロスコフを残している。

このあと、定石通りならば残り1.5㎞でファンアーフェルマートにスプリントを開始させ、残り0.8kmでベヴィンにスプリントをさせる。それが必勝態勢だ。

 

 

だが、悪手の1つ目。思ったよりもロスコフが体力を残していたため、残り1.5㎞を過ぎてもなお、欲を出しすぎて前を牽かせていた。

その結果、最高速度にまで達したユアンたちによって追い抜かれ、CCCトレインがせっかく手に入れていたリードを失ってしまう。

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残り0.8㎞。ようやくロスコフが仕事を終え脱落。次のファンアーフェルマートがスプリントを開始するが、本来であればここでもうベヴィンにバトンタッチするべきタイミングだった。

この間に先頭はユアンとテウニッセン。その後ろにアッカーマンとオリバー・ナーセン(AG2Rラモンディアル)が並ぶ。
 

 

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残り400m。ベヴィンがスプリントを開始。

実は、タイミング的にはそこまで悪くなかった。このあと最高速度にまで達すれば、もしかしたら勝利を手に入れることはできていたかもしれない。

 

しかしコースが狭いこともあって、このときベヴィンは「前を塞がれた」。行き場を失った彼は、足を使いきることもできず、あえなくユアンの後方で身動きを取れないまま勝機を失ってしまったのである。

 

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かくして、ポケット・ロケット、カレブ・ユアンが見事勝利。

現実世界でツール・ド・フランス3勝した今年大ブレイクの「赤ユアン」が、ゲーム中でも強さを見せつけた。

 

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ユアンの右からはナーセン、そして左からは、後方から自らの力だけで伸びてきたアッカーマン。

ベヴィンはこの3名に進路を塞がれたまま、ボーナスタイムを得られない4位でのゴールとなった。

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今回も、前回同様チームは無類の強さを発揮した。

しかし最後のスプリントのところで、決断にブレが生まれてしまった。

結局、先頭を支配し続けることは勝利のうえでは必須条件となってくる。

残り1.5㎞で最終発射台のスプリント、残り0.8㎞でエーススプリンターのスプリント、と決めているならば、その通りに迷いなく実行しなくてはいけないのだ。

変に欲を出して決めたことにブレを生んでしまえば、あっという間にライバルたちに飲み込まれ、先頭を奪われ、そのあとは手も足も出なくなってしまう。

 

集団スプリントにおけるトレインの重要性、先頭支配の重要性を、このゲームを通して強く学ぶことができた。

ドゥクーニンク・クイックステップって、やっぱり強いんだな・・・。

 

そしてこのゲームでは、本当に強いスプリンターは残り1.8㎞からスプリントを開始してそのまま先頭を突き抜けてしまえるのだ。

スプリント能力80超えの化け物たちは本当に化け物だ。

 

なお、残りのピュアスプリントステージは第6ステージ。

そこでこそ正しい「発射」をしてみせて、リベンジを果たしていきたいところ。

 

 

続いて今大会の総合争いにおいて重要な意味をもつステージの1つ、第4ステージを見ていく。

 

 

第4ステージ フォリーニョ~フォッソンブローネ 212km(丘陵)

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例年であればクイーンステージが設定されるはずのティレーノ~アドリアティコ第4ステージ。

今大会は例年の超級山岳越えステージは用意されず、この第4・第5ステージにアップダウンの激しい難関丘陵ステージが設定された。

さながら、リエージュ~バストーニュ~リエージュ。決して簡単ではないが、純粋なクライマーでなくとも乗り越えられるチャンスはあるステージでもある。

この2つのステージで、CCCチームのエース陣がどれだけタイムを失わずにやり過ごすことができるか。

 

現実のレースでは残り38㎞から独走態勢に入ったアレクセイ・ルツェンコが2度にわたる落車を経て、最後には小集団に追いつかれたものの、最後の100mで決死のスプリントを開始してプリモシュ・ログリッチェを突き放して先頭フィニッシュを果たした感動的なゴールが演出された。

Embed from Getty Images

 

現実のレースでも、集団の厳しい登りの連続でセレクションがかけられて総合有力勢によるサバイバルな展開が繰り広げられるか、それとも。

 

 

スタート前。最前列に並ぶのは、マリア・アッズーラ(総合リーダーを表すブルージャージ)を着るグレッグ・ファンアーフェルマートや、山岳賞ジャージ(緑ジャージ)を着るマルコ・カノラ、あるいは新人賞ジャージ(白ジャージ)を着るドゥクーニンク・クイックステップのカスパー・アスグリーンなどである。

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10㎞におよぶアタック合戦を経て、先頭の逃げ集団は13名。

ブノワ・コズネフロワディエゴ・ウリッシアレクシ・ヴュイエルモーズホセ・ゴンサルベスなどの強力なライダーたちが集まった。もちろん、山岳賞ジャージを(繰り下げで)着るマルコ・カノラの姿も。

 

メイン集団では早くもルツェンコがイフ・ランパールトバウケ・モレマらと共に集団落車を経験するなど混乱する場面もあったが、残り40㎞を切って1級山岳モンテグイドゥッチョに登る段になると逃げ集団とメイン集団とのタイム差は1分未満に。

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メイン集団の人数も50名未満に絞り込まれ、雨も降り始めた中で終盤の勝負所へ。

ここから本格的なセレクションが始まる。

 

 

残り16㎞から2度に渡って登ることになる超級山岳イ・カプチーノ

別名「ムーロ・ディ・カプチーノ」とも呼ばれるこの登りは、登坂距離こそ1.5㎞と短いが、その平均勾配は10.6%、最大勾配は19%に達するというまさに「壁(ムーロ)」。

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その「イ・カプチーノ」登坂第1回目が始まると同時に、最後まで逃げ粘っていたマルコ・カノラとアントワーヌ・デュシェーヌ(グルパマFDJ)を吸収。

集団の先頭はルツェンコが強力にプッシュ。このゲームの中では一人で逃げることはせず、集団内で、エースのヤコブ・フールサンのために献身的なアシストに徹する。

 

このときはCCCチームもしっかりと集団内に数を残していたが、勾配が登るたびに厳しさを増し、山頂まで残り700mに達するころには、ダヴィデ・フォルモロを先頭に一気にペースアップしたエース級6名のアタックに、ついていけない様子も見せ始めた。 

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ローハン・デニスパヴェル・シヴァコフらも遅れ始める。

 

 

だがここでCCCチームは慌てない。

先頭の6名のアタックに合わせて、これを「追いかける」コマンドを使用してしまうと、同じように足を削られてしまう。

どんなに強い選手も、アタックし続けられるわけではない。やがてその足を使い果たし、牽制状態に陥るときはある。

だから、ロスコフにプロテクトさせたデマルキや、ゲシュケにプロテクトさせたファンアーフェルマートらには「マイペース走行」のコマンドを。

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これで無理なく足を残しながらも先頭に追い付けるペースを保てる。

その甲斐あって、1回目「イ・カプチーノ」山頂時点で先頭のフールサンらを捕まえることに成功。

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先頭は15名に。ルツェンコ、ラファウ・マイカ、シヴァコフなどの有力選手たちは脱落し、先頭にはフールサン、フォルモロ、ログリッチェ、アレハンドロ・バルベルデなどのトップライダーたちだけに絞り込まれる。

その中にCCCチームはいまだ5名。完璧な布陣だ。

 

 

そして残り7㎞から始まる、「2回目イ・カプチーノ」。

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ここで再び、フォルモロが先頭でハイペースを刻んでいく。今度はここにバルベルデも追随。ニバリ、フールサンも前に出てきて、いよいよふるい落としが始まる。

ゲシュケ、デマルキらも全力でチームメートを支え、なんとかここに食らいつく!

 

山頂直前で、ベヴィンたちの足も完全に0になる寸前だった。

それでもギリギリで先頭集団に食らいつき、山頂通過。

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もう少し長い登りならば、完全に置いて行かれたかもしれない。

だがこれで、あとは下って、最後にちょっとした登りスプリントが残るのみ。

ここまで生き残りさえすれば、ファンアーフェルマート、そしてベヴィンの得意領域である。

 

残り900m。フィニッシュ直前の、9%を超える激坂勾配区間が始まる。

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ここで、本当は総合エースに据える予定だったベヴィンが脱落する。

2つのイ・カプチーノでは終始積極的な動きを見せていたイタリアチャンピオンジャージのフォルモロもここで足を失って、先頭はファンアーフェルマートとウッズ、フールサン、そしてバルベルデの4名に。

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残り500m。ファンアーフェルマートは先頭でスプリントを開始。

向かって右側からはストラーデ・ビアンケで彼を破ったウッズが、ファンアーフェルマートの背後にはスリップストリームに入る形でこういうレイアウトには無類の強さを誇るバルベルデが。

 

果たして、ファンアーフェルマートは逃げ切れるか――。

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勝った!!!!!!


勢いは確実にバルベルデの方が上手ではあった。

それでも、最後の最後にわずか数センチの差でもって、ファンアーフェルマートは逃げ切ることができた。

ベヴィンが脱落してしまったのは残念だが、さすがティレーノ~アドリアティコで一度総合優勝している男。

彼こそがこのレースに最適であることを完璧に示して見せた。

 

今回のリザルトは以下の通り。

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この結果を受けて、総合成績は以下の通り。

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総合で脅威になりそうなライバルであるヴィンツェンツォ・ニバリやバウケ・モレマたちに50秒以上のタイム差をつけているファンアーフェルマート。

もちろんまだまだベヴィンは16秒差で総合3位にはつけており、最終日の個人TTを考えると彼のエースの座も決して失われたわけではない。

 

いずれにせよ、この第4ステージを終えて、まだまだ総合順位も、ポイント賞も、山岳賞も首位をキープし続けるCCCチーム。

 

次回はいよいよ、今年のティレーノ~アドリアティコのクイーンステージであり、このCCCチームの絶好調を揺るがしかねない最後のステージ

 

果たして、ファンアーフェルマートらは生き残ることができるか?

 

 

目標の「20勝」まであと・・・10

 

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