自転車ロードレースシミュレーションゲーム「ProCyclingManager2019」で、今年「20勝」を目指しながら6勝しか果たせなかったCCCチームのリベンジを狙って行く企画の第13弾。
今回からいよいよ、「北のクラシック」編に突入する。
その第一弾は、3月2日に開催された「北のクラシック開幕戦」オンループ・ヘットニュースブラッド。昨年からコースが大きく変わり、ゴール前19㎞に伝説の登り「カペルミュール」、そして残り15㎞に「ボスベルグ」が用意されるという、往年のロンド・ファン・フラーンデレンのラストを模したコースレイアウトとなっている。
スポンサーからも「重要度3.5」とそれなりに注目されているこのレース。
目標は3位以内に入賞すること、である。
前回までのヴォルタ・アン・アルガルヴェ編で、6勝という、現実世界の勝利数と並ぶことはできたCCCチーム。
とはいえ、現実世界で悔しい思いをしていたのはとくにこの北のクラシックである。パリ~ルーベ覇者グレッグ・ファンアーフェルマートにとって、この北のクラシックでの勝利が、チームの絶対エースとしての責務であった。
しかし、やはり半分プロコンチネンタルチームのような陣容だったCCCチーム。北のクラシックの最終盤において、ファンアーフェルマートの周りにはチームメートは1人もいなかった。
そんな孤独の戦いを強いられた結果、ファンアーフェルマートは上位には何度となく食い込み、最終的にも世界ランキング6位と素晴らしい成績を残すことができたものの、勝利まで手にすることはできなかった。
今回のProCyclingManager CCCチームプレイは、「20勝を果たす」というのも目的の1つではあるものの、もう1つの目的はこの、「北のクラシックのリベンジ」である。
それでは行ってみよう。
↓ここまでのシリーズ紹介↓
スポンサーリンク
CCCチームのメンバー
さて、オンループ・ヘットニュースブラッドは「北のクラシック開幕戦」。カペルミュールも登場し、本格的な戦いに向けた重要な前哨戦となる。
よって、CCCチームのメンバーもオールスター軍団を用意する。すなわち、ロンド・ファン・フラーンデレン本戦と同じメンバーを。
シャイス・ファンフック、ミハエル・シャー、ギヨーム・ファンケイルスブルク、パウェル・ベルナス、カミル・グラデク、ネイサン・ファンフーイドンク、そしてファンアーフェルマートの7名である。
本当は、グラデクの代わりに元スカイのポーランド人ルカシュ・ヴィシニオウスキを入れる予定だった。
しかし、そのヴィシニオウスキが、直前に「狭心症(Angina)」と診断される。
復帰自体は長引くことはないようだが、それでも重要な石畳要員が1名、この開幕戦からいないというのは残念。
とりあえず今回は、先の7名で勝負を挑むこととする。
優勝予想では当然、ファンアーフェルマートが最右翼。
そのライバルとなるのは現実世界のレースでロンド・ファン・フラーンデレンを優勝しているアルベルト・ベッティオル、セップ・ファンマルク、セバスティアン・ランゲフェルトの「ピンクのウルフパック」3人衆。
ドゥクーニンク・クイックステップのフィリップ・ジルベールやゼネク・スティバル、ボーラ・ハンスグローエのペテル・サガンなどの優勝候補はほとんどいないため、ライバルといえるのは上述のEFエデュケーション・ファーストの面々くらい。
その意味で、ファンアーフェルマート、そしてCCCチームにとってはチャンスといえる日である。
機材選択も、フレームはジョン・デゲンコルプが2015年のパリ~ルーベ、そして2018年ツール・ド・フランスの第9ステージで勝利していたときにも乗っていた「Defy Advanced SL」。ホイールはWH-9000-C24 CLを前後輪とも使用し、快適性(COMFORT)最重視のセッティングにしてある。北のクラシックに臨む上での最適解である。
このあたりの状況を十分に確認し終えたら、いよいよレース開始である。
春風のサイクリング
北のクラシック、春のベルギーといえば常にどんよりとした厚い雲が広がり、薄暗い「灰色」のイメージが強いが、この日は見事なまでの快晴。
道端には一面の菜の花が広がり、気持ちの良い春の訪れを告げる香りの中、集団の中ではNIPPOヴィーニ・ファンティーニの中根英登も元気よく先頭付近を走っている。
逃げはなんと、たったの2名。
ドゥクーニンク・クイックステップのジェームス・ノックスと、AG2Rラモンディアルのトレーニー、クレマン・シャンプッサン*1の若手コンビ。
いずれもクライマータイプの選手なので、この日の優勝候補とは決して言えない。
集団は春風の中でサイクリングを楽しんだ。
残り130.5㎞地点で最初の石畳区間「ハガフック(距離900m、★★)」に突入。
ここはまだまだ勝負所ではないが、石畳区間ではパンクも起きやすく、また、常に狭い道が多いため、集団の後ろにいるといつ決定的な分断に遭うかわからない。
CCCチームのメンバーは常時集団の先頭付近にいられるように調整。このあと、残り60㎞から始まる激坂「ヴォルヘンベルフ」あたりからは本格的なセレクションがかかり始めるため、神経を尖らせて集団前方に固めていく。
全体の8分の7の工程を消化し、残り25㎞になって先頭の2名を吸収。
その頃には先頭集団はわずか50名にまで絞り込まれており、CCCチームは7名全員をそこに入れている。
EFエデュケーション・ファーストのサイモン・クラークやドゥクーニンク・クイックステップのレミ・カヴァニャなどは後続に取り残され、ほぼ勝負権を失う。
そしていよいよ、伝説の坂、「カペルミュール」ことミュール・ド・グラモンが近づいてくる。
カペルミュール
残り19㎞。いよいよ、集団は伝説の坂「カペルミュール」に突入する。
集団の先頭はボーラ・ハンスグローエのフェリックス・グロスシャルトナーとジェイ・マッカーシーの2人が先導。
その背後にCCCチームの軍勢が勝負のときを狙って待機。
頂上まで残り2~300m。勾配の最も厳しい区間で、CCCチームの支配する集団先頭に躍り出てくる選手が1名。
男の名はトム・デブリーント。ワンティ・グループゴベールに2015年から在籍する27歳のベルギー人。
現実世界のオンループでは途中リタイアしている、決して実績の大きな選手ではない彼が、このゲームの中のカペルミュールの頂上で抜け出して、そのまま独走を開始した。
一気にプロトンから20秒近く引き離したデブリーント。
CCCチームはファンフックとグラデクを失うものの、残り5名を追走第1集団に残したまま実質的な先頭集団に。
そして、最大のライバルたるEFエデュケーション・ファーストのファンマルク、ベッティオルについては、CCCチームの面々がいる追走第1集団の43秒後方の第2追走集団に。
ベッティオルの足を使いながら必死に追いかけるEFエデュケーション・ファースト。
これはCCCにとって、かなり理想的な状況である。
ここまでは良かった。
チーム総出でカペルミュールでのペースアップを図り、集団にセレクションをかけたうえで最大のライバルたちを置き去りにした。
しかし、問題は次のボスベルグである。
ライバルたちを突き放し、先頭集団にはチームメートが複数含まれているという絶対的優位な状況を、このボスベルグで生かし切ることができたかどうか。
ここがこの日の運命の分岐点であった。
ボスベルグ、そしてフィニッシュ
ゴールまで残り15㎞。
オンループ・ヘットニュースブラッド最後の登り「ボスベルグ(登坂距離1.1km、平均勾配6%、★★★)」 。
カペルミュールほどの破壊力はないが、しかしそれと共に過去、数々の伝説を生み出してきた重要な登りだ。
この登りで、デブリーントを吸収。
しかし同時に、右側から上がってくるトタル・ディレクトエネルジーの選手が。
男の名はアントニー・テュルギ。
前回のヴォルタ・アン・アルガルヴェ編でも、アマーロ・アントゥネスの間に熾烈な山岳賞争いを繰り広げた男。
現実世界でもドワースドール・フラーンデレンでマチュー・ファンデルポールに惜敗して2位につけた男。
さいたまクリテリウムにも来てそのイケメンぶりを披露してくれた男。
そのテュルギが、この最終局面で残って独走を開始した。
これだけならば、そこまで恐れるべき事態ではなかった。
プロトンにはまだ、ファンアーフェルマートに加えてファンケイルスブルク、ファンフーイドンクの2名のアシストが残っている。
彼らを使ってテュルギを追いかけていくことは決して難しくはない。
しかし問題はこのボスベルグにて、最大のライバルたるEFエデュケーション・ファーストの2人、ベッティオルとファンマルクに追いつかれてしまったということ。
こうなると、もう数の有利を生かせない。
EFの2人は決して前に出ようとせず、テュルギ追走の責任は専らCCCチームに委ねられている。
ここで日和ればテュルギに逃げ切られてしまう。着々と削られていくアシストの足を眺めながら、少しずつニノーフェのゴールが近づいてくる。
数の有利を生かすならば、あの最後の勝負所ボスベルグでアシストの力をすべて使い切って、ファンアーフェルマートを撃ち出すべきだったのかもしれない。
あそこで下手に独走を許し、かつライバルたちに追いつかせてしまったことが――今回最大の失敗だったと言えるだろう。
もう1つ、最後の瞬間に少しでも数の有利をプラスに生かすべく・・・ラスト1㎞。ゴール直前に、まずはファンフーイドンクにスプリントを開始させた。
ファンアーフェルマートは後方で、ライバルたちの様子を伺いながら攻撃するという作戦に出る。
だが、本職のスプリンターではないファンフーイドンクは最後まで力を残せずに失速。
抜け出したルディガー・ゼーリッヒが残り500mでテュルギを捕まえる。
集団内ではファンマルクに反応する形でファンアーフェルマートもスプリントを開始。
だが、これはあまりにも遅すぎた。
そして、あまりにも密集した中の後方からのスプリントだったため、行き場を失い、ほとんど加速することができないまま彼は沈んでしまった。
最後は足が完全に残った不完全燃焼で終了。
まったくの悪手だった。
そして、先頭ではゼーリッヒがテュルギを追い抜いて残り250mで先頭に立つ。
このままゼーリッヒが先頭でゴールラインを突き抜けてしまうか――
といったところで、最後の最後でゼーリッヒ、失速。
集団が彼を飲み込んでいく。
その右手からはベルギーチャンピオンジャージを着るティム・メルリエ(コレンドンサーカス)、そして左手からは――
一度、ゼーリッヒに追い抜かれていたはずのアントニー・テュルギが、集団に捕まえられてからもう1段階の加速を見せた。
最後はきわどい、ミリ単位の決着。
それでも勝利は、この、新時代のクラシックスプリンター、テュルギが掴み取った。
まさかの勝者。しかし、前回のヴォルタ・アン・アルガルヴェ第5ステージでも述べたように、彼のパラメータは単なるスプリンターというよりは登りも石畳もこなせるオールマイティな脚質となっていた。
これはあくまでもゲームにおける評価ではあるが、実際に現実世界でも、今後注目すべき男なのかもしれない。
そして、ファンアーフェルマート。CCCチームとしては、最後の最後までアシストたちを残すという、現実世界では成しえなかった理想的な状況を作ることができた。
しかし、詰めが甘かった。最後の勝負所ボスベルクでトドメをさせなかったこと。そして最後のスプリントでも、集団の先頭から発射するという大原則をアシストがいながら踏襲できず、集団の中で足を残しながらゴールに突入するというあってはならない結末を迎えることとなった。
反省点は盛沢山。ただ、「北のクラシック」緒戦としては、ある意味仕方ないことかもしれない。
状態は決して悪くなかった。強い選手が少なかったとはいえ、今後もチームとして強い走りを見せることができれば、このゲームの中ではいつか勝利を手に入れることもできるはず。
次回は春のクラシック2つ目の重要レースと位置付ける「ストラーデ・ビアンケ」。
どちらかというとアルデンヌっぽいというか、クライマーたちにもチャンスのあるタイプのレースのため今回のオンループとはまた違ったレースとなりそうだが、今度こそここで・・・勝利を狙っていく。
スポンサーリンク
*1:本来であればこの時期にはまだトレーニー契約を結んではいないが、ゲーム中ではそのあたりはうやむやになっている。