りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

スポンサーリンク

【PCM2019】CCCチームで「20勝」を目指す Part.9 ヴォルタ・アン・アルガルヴェ第1ステージ

 

自転車ロードレースシミュレーションゲーム「ProCyclingManager2019」で、今年「20勝」を目指しながら6勝しか果たせなかったCCCチームのリベンジを狙って行く企画の第9弾。

 

ここまで、ニュージーランド国内選手権ツアー・ダウンアンダーカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレーストロフェオ・ライグエーリアとこなしてきたCCCチーム。

今回からは舞台をポルトガルに移し、ポルトガル最大のステージレース「ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.HC)」を取り扱っていく。

現実世界ではCCCチームの参加しなかったレースだが、このレースはTTと平坦と登りとがバランスよく配置されており、個人的にはとても好きなレース。

また、TTが総合に影響を与える配分が大きく、登りもそこまで厳しくないので、昔からミハウ・クウィアトコウスキやプリモシュ・ログリッチェなど、TTの強いオールラウンダーが総合優勝しているレースである。トニー・マルティンが総合優勝したこともある。

 

すなわち、パトリック・ベヴィンには非常に向いたレースでもある。

現実世界ではぜひ走ってほしかったレースではあるが、ツアー・ダウンアンダーでの負傷もあり、夢に終わった。

 

 

ということで、今回から始まるこの「アルガルヴェ」編は、個人的にぜひ!と思っていたベヴィンによる総合優勝を目指すシリーズでもある。

また、チーム唯一のポルトガル人であり、このレースでのステージ優勝経験もあるアマーロ・アントゥネスにも活躍させたいと思っている。

 

果たして、野望は果たされるのか? 今回は第1ステージを見ていく。 

 

※このゲームでは、Youtubeでも数多くの動画を配信しているBenjiNaesen氏の手掛けたMOD「WorldDB 2019」を使用しております。記事中には実際のレースと変わらないチーム名・選手名・レース名・バイクサプライヤー名・スポンサーなどが登場しますが、いずれもMODによるものが多く、実際の何もいれていない状態でのゲームとは異なる場合があることをご了承ください。

 

 

スポンサーリンク

 

 

その他のレースの結果

アルガルヴェに入る前に、ここまでプレイはしたが1クラスなどで省略しているレースについて見ていく。

現実世界でCCCチームが走ったレースというよりは、むしろ小さなレースで強い選手がいないところで勝ちを量産してやろうと踏んだのだが・・・これがなかなか難しい。話によると、シーズン初頭の1クラスのレースはむしろ難しく、勝てるほうが凄いのだとか。

そうだったのか・・・。

 

たとえば、1月に開催された西アフリカ・ガボン共和国のレース「ラ・トロピカーレ・アミッサ・ボンゴ」。

現実世界のレースではワールドツアーチームの出場はなく、アンドレ・グライペルロレンツォ・マンザンなどが勝利を競い合う中、トタル・ディレクトエネルジーに所属するニッコロ・ボニファツィオが3勝+総合優勝。

そんなだからCCCチームで乗り込めば余裕だろと思ってヤコブ・マレツコをエースに据え、総合優勝まで狙う気満々で参戦。アシストは能力値低めのものを揃え人数も7人ではなく6人とかなり舐めた心持ちで挑んだのだが、実際にはなんとサンウェブ、ドゥクーニンク、EF、アスタナ、イネオスなど、CCC含め10ものワールドツアーが参戦。

f:id:SuzuTamaki:20191122215846j:plain

出場選手もリケーゼ、ゴルカ・イサギレ、タオ・ゲオゲガンハートなど、トップエースではないものの強力な布陣。

これはさすがにCCC、舐めすぎていた。

 

特に強かったのがUAEチーム・エミレーツのシモーネ・コンソンニと、実際のレースと同じくボニファツィオ。

また、現実世界のレースと違い、起伏も結構多かったために、マレツコが最後まで生き残れないことも多く、最終日第7ステージでなんとか惜敗の2位にまでは到達できただけで、勝利数を稼ぐことはできなかった。

f:id:SuzuTamaki:20191122220124j:plain

 

ただ、総合優勝者や山岳賞獲得者などはさすがの1クラスというべきカオスな状況に。

総合優勝者は第6ステージで逃げ切ったことでタイムを稼いだ、エルコフ・オーサー(チェコ籍のコンチネンタルチーム)所属の25歳チェコ人、ミハエル・ククレ

ポイント賞はボニファツィオだが、山岳賞はソヴァックというアルジェリア(!)のコンチネンタルチーム所属の24歳のアルジェリア人、ナシーム・サイディ

 

誰だその選手、というかもはや何だそのチームみたいなレベルだが、ほかにも第1ステージの登りスプリントでチーム・サンウェブのマックス・カンターが勝利したり、第2~第4ステージはコンソンニアレクサンドル・リアブシェンコマヌエーレ・モーリとUAEチーム・エミレーツが3連勝するという、結構劇的で面白い展開が続いた。

 

 

2月初頭のヘラルドサン・ツアー前回の記事でも触れた通り、総合優勝こそ1秒差で逃すものの、山岳賞はセルジュ・パウェルスが、ポイント賞はベヴィンが獲得し、CCCチームとしては十分に活躍することができた。

そして同じく2月頭のチャレンジ・マヨルカ(スペイン・マジョルカ島で行われる、4日連続で開催されるワンデーレース群)では、アレッサンドロ・デマルキやマレツコによる勝利を狙ったが、このあたりもうまくいかず。

3日目のトロフェオ・デ・トラムンターナではデマルキによる果敢な逃げ切りを狙ったものの、これも結局最後には捕まえられて、夢に終わった。

f:id:SuzuTamaki:20191122221631j:plain

 

2月前半には南フランスで開催された2つの小さなステージレース「エトワール・ド・ベセージュ」「ツール・ド・ラ・プロヴァンス」で、グレッグ・ファンアーフェルマートがレースデビュー。やはりスプリント勝利を狙ったのだが・・・これもうまくいかなかった。

いや、エリア・ヴィヴィアーニ強すぎだって。ベセージュでは、本当はファンアーフェルマートに向いているはずの登りスプリントもものともせず、区間3勝を稼ぎ出しおった。

f:id:SuzuTamaki:20191122222235j:plain

 

プロヴァンスでは第2ステージで、終盤の登りで抜け出したナイロ・キンタナとファンアーフェルマートの2人旅の末の逃げ切りという面白い展開にもなった。

しかし最後は、まったく前を牽こうとしないキンタナに対し、逃げ切るために前を牽きすぎたファンアーフェルマートの足が削られてしまい、絶対優位のはずのスプリントで敗北するという雪辱。

f:id:SuzuTamaki:20191122222522j:plain

 

 

色々と、面白いレースはあったのだが、いずれにせよ、これらのレースでは、ヘラルドサン・ツアーの個人TTにおけるベヴィンの勝利以外の収穫はなかった。

 

現時点でCCCチームの勝利数は4。いずれもベヴィンによるものだが、20勝まではあと16勝。

決して簡単ではないことを痛感している。

 

ここまでの獲得賞金は以下の通り。

f:id:SuzuTamaki:20191122224056j:plain

総合2位・ポイント賞・山岳賞を獲っているヘラルドサン・ツアーが、1クラスでありながら、ワールドツアーのツアー・ダウンアンダー(総合2位)に次いで獲得賞金が大きくなっている。

 

 

なお、CCCチームが参戦していない主なレースの結果としては、以下のような結果に。

  • コロンビア国内選手権TT:エガン・ベルナル(チーム・イネオス)
  • コロンビア国内選手権ロード:エガン・ベルナル(チーム・イネオス)
  • 南アフリカ国内選手権TT:レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(ディメンションデータ)
  • ブエルタ・ア・サンフアン:ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)
  • ボルタ・コムニタ・ア・ラ・バレンシアナ:クリス・フルーム(チーム・イネオス)
  • コロンビア2.1:イバン・ソーサ(チーム・イネオス)

 

イネオス勢が強い。フルームはサンフアンでも総合2位。優勝のマイカとは1秒差であった。

 

 

 

それではそろそろ、「アルガルヴェ」に入っていこう。

 

 

 

第1ステージ アルブフェイラ~ラゴス 187㎞(平坦)

f:id:SuzuTamaki:20191122224735j:plain

そもそもアルガルヴェとは、ポルトガルの南端の地方名。大西洋を望むリゾート地であり、この日のスタート地点アルブフェイラもその1つであった。

なお、現実世界の2019年のアルガルヴェは、アルブフェイラの西方に位置するポルティマンをスタートする。ただ、ゴールは同じラゴスで、コースレイアウトもほぼ一緒である(アルブフェイラは2018年のアルガルヴェのスタート地点)。

 

起伏はそれなりにあるが、基本的にはピュアスプリンター向けの平坦ステージ。

なお、現実世界同様に、この第1ステージと第4ステージがスプリンター向けの平坦ステージ、第3ステージが中距離個人TT、第2ステージと第5ステージがクライマー向けの山岳ステージという構成で、やはり非常にバランスの取れたステージレースである。大好き。

 

 

今回連れてきているCCCチームのメンバーは以下の通り。

f:id:SuzuTamaki:20191122225504j:plain

あくまでもベヴィンの総合優勝が最大の目標であるため、スプリントステージもヨナス・コッホを発射台にして彼で狙っていく。

そして山岳ステージではベヴィンを守るためにアントゥネスとオーストリア人のリカルド・ツォイドルを活用する。

 

 

今大会のスタートリストは以下の通り。

f:id:SuzuTamaki:20191122225839j:plain

総合争いで注目の選手はバーレーン・メリダのヴィンツェンツォ・ニバリ、 アスタナ・プロチームのミゲルアンヘル・ロペス、ドゥクーニンク・クイックステップのエンリク・マス、そして現実世界のレースで総合優勝しているタデイ・ポガチャル

スプリンターではヴィヴィアーニやサム・ベネットのようなトップスプリンターは来ておらず、ボーラ・ハンスグローエのルディガー・ゼーリッヒやトタル・ディレクトエネルジーのアンソニー・テュルジ、エウスカディ・バスクカントリーのエンリケ・サンズあたりが注目選手。

このメンツであれば、スプリントでも十分にベヴィンに勝機があるかも。

 

 

さて、このアルガルヴェでの作戦だが、基本的にはベヴィンの総合優勝を狙う。

ただ、総合争いにおいてはニバリ、ロペス、ポガチャルなどの強力なライバルたちも多いため、いくらTTで稼げるとはいえ、総合優勝まで狙うのはさすがに厳しい可能性が高い。

 

よって、総合優勝だけに集中するのではなく、積極的な逃げで「山岳賞」も狙っていきたい。

この第1ステージでも、2つの山岳ポイントを狙って、まずはスタート時点集団の先頭にいたツォイドルで逃げに乗ることを試みることに。

f:id:SuzuTamaki:20191122231204j:plain

 

しかしこの逃げはなかなか簡単には許してもらえず、熾烈なアタック合戦は20㎞近くにわたり続く。

最終的には、ツォイドルではなく、地元ポルトガル人のアントゥネスが乗った逃げがようやく確定。

f:id:SuzuTamaki:20191122231425j:plain

アントゥネス以外のワールドツアーチームはグルパマFDJのマティス・ルーヴルくらい。

このルーヴルも実際には8/1からのトレーニーであり、実力的にはアントゥネスが抜け出た形の7名の逃げである。

 

 

これなら、狙うしかない。この、地元ポルトガルにおける、山岳賞の獲得を。

 

 

 

残り143㎞地点の4級山岳まで800m。

f:id:SuzuTamaki:20191122231735j:plain

エウスカディ・バスクカントリー・ムリアスのアンデル・バレネチェアがまずはアタック。これにアントゥネスも出力を最大に上げながらも「ペース走行」の指示で焦らずに追いかけさせる。アタックにアタックで反応しすぎると、足を使いすぎてしまうからだ。

 

そして残り400mで、満を持してアントゥネスのアタック。

f:id:SuzuTamaki:20191122232248j:plain

f:id:SuzuTamaki:20191122232357j:plain

問題なく4級山岳を山頂通過。まあ、この逃げ集団であればこんなものだろう。

 

f:id:SuzuTamaki:20191122232548j:plain 

たかが4級山岳ではあるが、それでも1位通過者には5ポイントをもたらす。

実は3級山岳の先頭通過者が獲得できるポイントは6ポイントなので、4級でも割と価値が高いのだ。

 

 

もちろん、次の3級山岳(残り104.5㎞地点)も獲りに行くつもり。

だが、その登りの途中で、早くも集団が逃げ7名を捕まえに近づき始めていた。

f:id:SuzuTamaki:20191122233000j:plain

山頂まで残り5㎞時点で、メイン集団と逃げ7名とのタイム差は30秒を切る。

これは・・・やばい。

 

 

となれば、逃げ7名からアタックして逃げるほかない。

f:id:SuzuTamaki:20191122233226j:plain

f:id:SuzuTamaki:20191122233410j:plain

ある程度の距離を離したら、あとはペース走行で出力を調整し、無理のないエスケープを続ける。

山頂まで残り1㎞のバナーを通過した段階で、メイン集団とのタイム差は20秒弱を保っている。

 

これは、いけたか?

 

 

f:id:SuzuTamaki:20191122233615j:plain

なんとか逃げ切って、3級山岳も先頭通過。

これで6ポイントを獲得し、第1ステージ終了時点での獲得合計山岳ポイントは11ポイント。

確実に取れないであろう第2ステージの山頂が16ポイントであることを考えると、まだまだポイント収集は必要ではあるが、良い滑り出しを得ることができた。

 

 

この日はスプリントステージなので、アントゥネスがこれ以上頑張る必要はない。

むしろ総合タイムはできるだけ落とし、翌日以降逃げやすくする必要もある。

 

タイムアウトにしない程度に出力を落とし、ゆっくりとゴールに向かわせることにする。

 

 

 

残り5㎞。メイン戦場は集団スプリントへ。

f:id:SuzuTamaki:20191122234020j:plain

CCCチームは集団左手から、パウェル・ベルナスを先頭に、ベヴィンのためのトレインを形成して上がっていく。

右手からはボーラのルーラー、クリストフ・フィングステンが、チームのエーススプリンターのために全力で牽引していく。

ボーラ以外にはロペスを抱えるアスタナ、マスを抱えるドゥクーニンクなどの総合系チームが前を支配している様子である。

 

f:id:SuzuTamaki:20191122234408j:plain

残り2.5㎞。

右手から、自身も勝利を狙えるパンチャーであるジェイ・マッカーシーが、エリック・バシュカを引き連れてスプリントを開始する。 

ボーラはエースナンバーを付けたゼーリッヒで狙ってくると思っていたが、今大会ではこのバシュカがエースとなっているようだ。

実際このバシュカ、現実世界の2019年でも、意外と良い走りを何度か見せている。

まだ25歳。これからさらなる飛躍を期待できるスプリンターではある。サガン意外ではまだそこまで強い選手が多くないスロバキア人という意味でも、楽しみにしたい。

 

 

f:id:SuzuTamaki:20191122234907j:plain

残り1.9㎞。マッカーシー本気のリードアウトにより、バシュカは集団から一気に抜け出す形に。

ベヴィンも、慌てて最終発射台ヨナス・コッホにスプリントを開始させ、これを追いかけさせていく。

 

f:id:SuzuTamaki:20191122235240j:plain

だが、さすがに戦闘開始が早すぎた。バシュカはやがて力を失い、失速する。

一方、集団の後方から、突如として加速して上がってきたのが・・・グルパマFDJの将来超有望なパンチャー、ヴァランタン・マデュア

 

 

ベヴィンもボーラに釣られて早すぎるスプリントを開始していたため、最後に失速。

f:id:SuzuTamaki:20191122235555j:plain

f:id:SuzuTamaki:20191122235750j:plain

これを追い抜いて先頭に躍り出てきた集団の中で先頭を奪い取ったのが、この、純粋なスプリンターとは言えない男、マデュアだった。

 

f:id:SuzuTamaki:20191123000008j:plain

 

 

 

本日のリザルトは以下の通り。

f:id:SuzuTamaki:20191123000115j:plain

 

最初は良い抜け出しをできていたように思えるバシュカは結局最終的に10位。

これに釣られてしまった形のベヴィンも6位と、大失敗。

本当に自分が勝負できるタイミングを見極め、冷静さを失わずに対応することの重要さを思い知らされた。

 

 

一方、山岳賞争いにおいては大成功。

初日でアントゥネスが11ポイントを稼ぎ取った。

f:id:SuzuTamaki:20191123000119j:plain

 

 

次回、第2ステージは早くも今大会のクイーンステージ

標高887mの1級山岳「アルト・ダ・フォイア」山頂にて、総合争いを占う激戦が繰り広げられる。

 

果たしてベヴィンは、ここで総合優勝争いの芽を残すことができるか?

 

スポンサーリンク

 

 

スポンサーリンク