コースプレビューに引き続き、注目選手を紹介していく。
開催までの間に出場選手の変更はありうるので注意。
(以下の年齢はすべて2019/12/31時点のものとなります)
↓コースプレビューはこちら↓
suzutamaki.hatenablog.com
スプリンターズ
カレブ・ユワン(オーストラリア、25歳)
ロット・スーダル所属
Winner stage 3 @calebewan @lotto_soudal #baycrits pic.twitter.com/xrk2wajk8x
— Kirsty Baxter (@kirstybaxter79) January 3, 2019
新チームで迎えた新年最初のレース、「レクサス・ブラックバーン・ベイ・クリテリウム」にて、第2ステージと第3ステージそれぞれで見事に勝利を飾ったカレブ・ユワン。
ミッチェルトン・スコットから連れてきた右腕ロジャー・クルーゲも巧みなリードアウトを展開したようで、まずは肩慣らしの緒戦、幸先の良いスタートを切ることができた。
🇦🇺 @BayCrits Stage 2 Result
— Cycling_360 (@cycling_360) January 2, 2019
📅Date: 2st January 2019
⏱️(60 Minutes)
📍Start/finish: Richie Blvd ➖Geelong
1st 🇦🇺 @CalebEwan 59:04
🇧🇪 (@Lotto_Soudal) #BayCrits (🎬Bay Crits) pic.twitter.com/JmwxuPszdr
「新しいチームで新年早々良いスタートを切れたことはとても嬉しく思う。そしてロジャーがその手助けをしてくれた」
「昨年は残念な年だった。だから新しい年で良いスタートを切ることは本当に望んでいたことだったんだ。この調子がずっと続いていくことを願うよ」
2016年から通算で7勝(クリテリウムも含めると9勝)。
「ダウンアンダー最強の男」はしかし、昨年はピュアスプリントステージでは勝てず、スターリングの登りステージでの勝利のみとなってしまった。
シーズンを通しても3勝。グランツールへの出場も叶わなかったユワンが、新チームでの成功を目指す。
アシストは万全。盟友ロジャー・クルーゲと、元英国ロード王者のアダム・ブライス。そしてゴール前10kmからの牽引には定評のある鉄人アダム・ハンセンなど、実力者は多数揃っている。デヘントも、ユワンのために働くことを公言している。
彼の選択が間違っていなかったことを示すためにも、今回のダウンアンダー、負けるわけにはいかない。
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、30歳)
ユワン最大のライバルとなるのはこの男。
昨年18勝。ジロ4勝、ブエルタ3勝。その成績だけで言えば、間違いなく2018年最強のスプリンターであった。
昨年のダウンアンダーでもピュアスプリントステージで1勝。また、その後のカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレースでも、メイン集団から勢いよく飛び出しての2位に入り込むなど、シーズンの好調を占うかのような走りを見せていた。
彼の強さの大部分を担っているのはチームの盤石さ。
今年も昨年同様、ファビオ・サバティーニやミケル・モルコフなど、本気のスプリントアシスト体制で臨むことになる。
2018年の勢いが続いているのであれば、今大会最も勝利を稼ぎ出してもおかしくはないだろう。
ヴィヴィアーニにとって、2019年の最大の目標はミラノ~サンレモであり、またもしかしたらヨークシャーでの世界選手権にも出場するかもしれない。
いずれもピュアスプリンター寄りかはパンチャー向けのレイアウトにもなっているため、パンチャー向けのダウンアンダーでの走りは良い試金石となるだろう。
とくに、獲得標高の大きい第3ステージなどで、終盤まで残れるかどうか、注目していきたい。
ペテル・サガン(スロバキア、29歳)
久々に世界チャンピオンジャージを脱ぎ、2019年はスロバキアチャンピオンジャージを着て走ることとなるサガン。まあ、あまりデザインは変わらないけれど・・・。
昨年はダウンアンダー・クラシックと、1級山岳ノートンサミットを越えてゴールする第4ステージで勝利。実はこれが彼のダウンアンダー初勝利であった。
第4ステージの結果総合リーダージャージも着用したサガンだったが、さすがにウィランガ・ヒルを越えることはできなかった。
元々、総合優勝も十分狙えるタイプの選手だとは思うが、今年はどうだろうか。チームメートのジェイ・マッカーシーも同じく総合優勝まで狙えるタイプの選手なので、どちらがエースとして走るかも気になるところ。
いずれにしても、コークスクリューの第4ステージが重要なポイントとなるだろう。
ピュアスプリンターが生き残ることはまず不可能なこのステージで、サガンかマッカーシーが生き残ることができれば、その後のスプリントを制する可能性は非常に高いだろう。
ヤコブ・マレツコ(イタリア、25歳)
CCCチーム所属
昨年13勝。もちろんこれは、2クラスや、ライバルの多くない中国のレースを含んだ勝利数ではある。
しかしジロ・デ・イタリアでも2位に入り込むなど、トップレースでも実力を発揮してはいる。
彼にとっても初となるワールドツアーチームで、どれだけの走りを見せてくれるか。
ベヴィンやベントソなど、プロコンチネンタルチームでは望むべくもなかったクオリティのアシストも揃っている環境だけに、思わぬ化学反応を見せる可能性も十分にある。
ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、21歳)
こちらもまずは挑戦枠である。
チームも若手が多く、十分なアシストがあるとは言えないだろう。むしろ、ウリッシの方がエースとして走る可能性は十分にある。
しかし将来、確実に大成するであろう期待の若手スプリンター。勝利とまでは言わなくとも、毎ステージの順位にはしっかりと注目していきたい。
総合優勝候補たち
ワウト・プールス(オランダ、32歳)
チーム・スカイ所属
2015年のツール・ド・フランスや、2017年のブエルタ・ア・エスパーニャ、2018年のジロ・デ・イタリアまで・・・クリス・フルームがグランツールで総合優勝を果たすとき、常にその傍らに控えていた最強山岳アシストの1人。
初出場となるツアー・ダウンアンダーで、エースナンバーを着用する。
確かに、2016年にリエージュ~バストーニュ~リエージュを制しており、昨年もブエルタ・アンダルシアで総合2位になるなどパンチャー寄りの脚質をもつ彼は、ゲラント・トーマス以上にツアー・ダウンアンダーの総合優勝候補に向いていると言うことはできるだろう。
コークスクリューを越えた先にある第4ステージのスプリントでもボーナスタイムを稼ぎ出す可能性も十分にあるし、トーマスのアシストを受けたうえでウィランガ・ヒルにてポートと競り合うことが最も可能な選手であると言える。
なお、彼の契約は2019年まで。
スポンサー問題もあり、当然彼は、来期のことを強く意識しているだろう。
今回の走り次第では、来年、どこかのチームでエース待遇で走ることができるかもしれない。
リッチー・ポート(オーストラリア、34歳)
驚異のウィランガ・ヒル5連覇。「キング・オブ・ウィランガ」。
しかし、ダウンアンダーを制したのはたった1回だけ。それだけ、ダウンアンダーというのが、ピュアクライマーに優しくないコース設定となっていることがよくわかる。
スプリントでボーナスタイムを稼ぎ出すことあほぼ不可能なポートにとって、いかにしてコークスクリューでライバルたちを振るい落とすことができるか、そしてウィランガ・ヒルで差をつけて勝利するかが重要になる。
2016年は残り1.2km、2017年は残り1.5kmから抜け出してウィランガを制したポート。
2018年は残り2kmから抜け出したものの「残り300mで止まりそうになった」「今まで一番苦しかったウィランガ・ヒルだった」と、早すぎた仕掛けであったことを認めている。
実際、それが原因でタイム差0秒での敗北に繋がったとも言える。
今年は一体、どこから仕掛ける?
マイケル・ウッズ(カナダ、33歳)
2016年キャノンデール(当時)に移籍して初のレースで、いきなりコークスクリューで力を見せつけ、最後のスプリントでも3位に入った。
さらにはウィランガ・ヒルでも3位に入り、結果としての総合5位。
ノーマークの新鋭の躍進に誰もが驚き、そしてこの走りがそのまま、現在に至る彼の飛躍の伏線となったのである。
2017年はパラコームで9位になるもウィランガ・ヒルでは沈み総合21位。
今年は2年ぶりの出場となるが、何といっても2018年の成績を見たあとであれば、必然的に期待したくはなる。
ただしポートに勝つためには、少なくとも3年前同様に、コークスクリューでのスプリント力を見せねばなるまい。
直近ではトレ・ヴァッレ・ヴァッレジーネでスプリント敗けしていたりもするので、その点は不安が残る。
ダリル・インピー(南アフリカ、35歳)
ディフェンディング・チャンピオン。
長らくサイモン・ゲランスの右腕として働き、その勝利の立役者でもあった。
脚質も似通ったパンチャーであり、それゆえにゲランス同様に総合優勝を重ねていけるだけのポテンシャルは十分にある。
昨年と違い、ユワンがいないことも、彼が彼のためだけに走る余地を増やす要素になりうる。
が、問題は、とかくコークスクリューを彼が越えられるかどうかである。
昨年もノートンサミットを越えることができたがゆえに勝利を掴んだ彼ではあるが、ゲランスでも非常に苦戦したコークスクリュー。
決して簡単ではないだろう。
タデイ・ポガチャル(スロベニア、21歳)
昨年のツール・ド・ラヴニール総合優勝者。
もちろん、ベルナルと同等の活躍を期待しているわけではない。
しかしラヴニールの山頂フィニッシュでイバンラミーロ・ソーサに喰らいつく走りを見せ、第9ステージでも果敢に逃げに乗ったその攻撃的な走りは評価したい。
今大会、たとえばエスケーパー向けの第5ステージで、うまく逃げに乗れれば、もしかしたら、ということもありうるかもしれない。
ダウンアンダーと同じくパンチャー向けのジャパンカップで11位と悪くない成績だったことも期待ができる要素と言えるだろう。
フィリプセンのところでも書いたが、このチームには過去総合4位や5位を獲っているウリッシがおり、あくまでもエースは彼と見ることはできるだろう。
だからこそ許される自由な走りで、得難いチャンスを得る走りを見せてほしい。
また、新人賞候補でもあるのは間違いなく、ベルナルに続く快挙を成し遂げられるか。
上記10名以外にも期待すべき選手は数多くいる。
おそらく、まだ出場が決まっていないメンバーの中にも、優勝候補というべき選手は沢山いるものと思われる。
そのあたりは、1/12(土)に投稿予定のスタートリスト&プレビューで補完していきたい。