前回に引き続き、「ツール・ド・フランス期間中に獲得したUCIポイント」を集計して、各チームをランク付けしていく。
今回は11位から1位までの上位11チーム。ほぼすべてのチームがステージ優勝を挙げており、何らかの形で非常に目立った活躍をしていったチームたちだ。もちろん、基本的にはエースの総合順位に比例したランキングにはなっているが、そうでない、総合成績はまったく上位に入っていないチームもここにいたりもする。
今大会「成功」したと言っても良いチームたちだが、そんな彼らの活躍の秘訣は何だったのか。そして、それ以上、上にはいけなかった理由は?
振り返り、来年に向けての展望になれば幸いだ。
22位~12位はこちらから。
- 第11位(昨年1位) イネオス・グレナディアーズ 445pt.
- 第10位(昨年10位) EFプロサイクリング 485pt.
- 第9位(昨年7位) ミッチェルトン・スコット 490pt.
- 第8位(昨年17位) チーム・サンウェブ 565pt.
- 第7位(昨年4位) モビスター・チーム 740pt.
- 第6位(昨年2位) ドゥクーニンク・クイックステップ 750pt.
- 第5位(昨年16位) アスタナ・プロチーム 790pt.
- 第4位(昨年11位) バーレーン・マクラーレン 825pt.
- 第3位(昨年9位) トレック・セガフレード 975pt.
- 第2位(昨年13位) UAEチーム・エミレーツ 1770pt.
- 第1位(昨年3位) チーム・ユンボ・ヴィズマ 2280pt.
↓全21ステージの詳細な振り返りはこちらから↓
【全ステージレビュー】ツール・ド・フランス2020 第1週(前編) - りんぐすらいど
【全ステージレビュー】ツール・ド・フランス2020 第1週(後編) - りんぐすらいど
【全ステージレビュー】ツール・ド・フランス2020 第2週 - りんぐすらいど
【全ステージレビュー】ツール・ド・フランス2020 第3週 - りんぐすらいど
↓昨年のランキングはこちらから↓
獲得UCIポイントで見る ツール・ド・フランス2019 全チームランキング&レビュー(22位~12位) - りんぐすらいど
獲得UCIポイントで見る ツール・ド・フランス2019 全チームランキング&レビュー(11位~1位) - りんぐすらいど
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第11位(昨年1位) イネオス・グレナディアーズ 445pt.
逃げ一覧
- リチャル・カラパス(第17・18・19ステージ)
- ジョナタン・カストロビエホ(第9・18ステージ)
- パヴェル・シヴァコフ(第13・16ステージ)
- アンドレイ・アマドール(第16ステージ)
- ミハウ・クフィアトコフスキ(第18ステージ)
- ルーク・ロウ(第19ステージ)
ツール総合優勝がこのチームの至上命題である以上、今回のツールは明確に「失敗」であると言わざるを得ない。
その上で彼らは十分に刺激的な走りをしてみせてくれた。とくにハイライトとなるのは、第18ステージのカラパスとクフィアトコフスキの「W優勝」。その伏線としての、カラパスの連日のアグレッシブな逃げであった。
そのうえでなぜベルナルが敗北してしまったのか。彼の失速とリタイアの直接的な原因は、背中の痛みとそれに起因する膝の痛み?であったようだが、問題はチームがそれをどうケアしてきたのか。第1ステージでのシヴァコフの度重なる落車による彼の存在感の消滅からの回復も、結局は為されないままに終わった。
そういった事態はこれまでのスカイ/イネオスにはなかったような気がする。たまたまなのか、明確な原因があるのか。
この状況が改善されない限り、来年ベルナルが完璧な形で戻ってきても、そこにアダム・イェーツやリッチー・ポート、あるいはトム・ピドコックなどがいたとしても、結局はかつての「帝国」の復権とはならないのかもしれない。
だが、必ずしも、いつまでも「ツール総合優勝至上主義」でなくてもいいのかもしれない。
カラパスとクフィアトコフスキの勝利のシーンを見直していると、そんな風な思いにかられる。
第10位(昨年10位) EFプロサイクリング 485pt.
逃げ一覧
- ニールソン・ポーレス(第6・8・13・16ステージ)
- ダニエル・マルティネス(第9・13ステージ)
- アルベルト・ベッティオル(第16ステージ)
- ヒュー・カーシー(第17ステージ)
鉄壁の安定感を誇るリゴベルト・ウランが、まさかの失墜。その分若手マルティネスが勝利を掴み、前半においてはニールソン・ポーレスも積極的に逃げてくれた。
同じく活躍の可能性が十分にあったイギータが、ドーフィネでの落車が影響していたのか思うような走りを見せられないまま第15ステージで落車リタイア。昨年のツール・ド・スイスの大逃げ勝利を果たしたヒュー・カーシーがイマイチだったことは残念だが、この、才能豊かな各選手が自由に走って成果を追い求めていく姿は結構見てて楽しい。
今後はマルティネスやイギータを総合を狙えるライダーとして育てていくことが課題だ。ドーフィネ総合優勝したマルティネスの、あの第13ステージの「ひたすら先頭固定で走り続けたうえで2対1の数の不利を完全に力でねじ伏せる」勝ち方はあまりに強すぎて格好良かった。
だが、あのハートは何だったの? 若手とは思えない超強面の顔つきにあのハート、ギャップありすぎて面白すぎるんだけど。
第9位(昨年7位) ミッチェルトン・スコット 490pt.
逃げ一覧
- クリストファー・ユールイェンセン(第16ステージ)
- ミケル・ニエベ(第16ステージ)
- ジャック・バウアー(第19ステージ)
- ルカ・メズゲッツ(第19ステージ)
総合を狙わないと明言した瞬間にマイヨ・ジョーヌ4日間着用に最終的にも総合9位。なかなか人生はわからないものだ。来年はイネオス行きの噂も出ているアダム。ツールをエースで走る可能性はそう高くないと思うが、果たしてどうなるか。
ただ、第2ステージのあのアラフィリップに食らいつく走りや、第15ステージの終盤での果敢なアタックなど、そのアグレッシブさがやっぱり魅力。今後も、決して総合の枠に囚われることなく、自由に走っていってほしい。
もう1人、このチームで注目すべき活躍をしたのがルカ・メズゲッツ。勝てはしなかったが、荒れた展開のステージで先頭に残り、集団スプリントの先頭を取るその勝負強さとタフネスさは、来年マシューズが加わったとしても、十分に存在感を示せるものとなるだろう。しかしその2つのチャンスを共に、サンウェブのセーアン・クラーウアナスンに奪われてしまったというのはなかなかに悔しい・・・。
メズゲッツもまた、今年活躍したスロベニア人の1人。最終日パリシャンゼリゼではポガチャルやログリッチ、モホリッチらと共に記念撮影する姿も。
ある意味でログリッチ、ポガチャルらの「先輩」にあたるメズゲッツの来期以降の活躍にも期待していきたい。
第8位(昨年17位) チーム・サンウェブ 565pt.
逃げ一覧
- ティシュ・ベノート(第4・12・16ステージ)
- ニコラス・ロッシュ(第6・16・18ステージ)
- セーアン・クラーウアナスン(第8・12・19ステージ)
- マルク・ヒルシ(第9・12・18ステージ)
- カスパー・ピーダスン(第16ステージ)
- ニキアス・アルント(第19ステージ)
今大会のスーパー敢闘賞はヒルシが手に入れたが、むしろその対象は「チーム・サンウェブ」自体であったように思う。
とにかく、今大会「最も強いチーム」だった。総合成績で上位に入る選手が1人もいないのに、この順位。ステージ3勝に加え、2位や3位も多かった。
前半はケース・ボルのための完璧なトレイン体制。残り3㎞から集団の先頭を支配しつつラスト1㎞でまだアシストが3枚残っているというのは異様な強さだった。登り基調の第5ステージでは、ユアンやベネットらを突き放し、完璧なリードアウトを見せてくれた。ファンアールトという規格外の存在がいなければ、間違いなく勝利を掴んでいただろう。
ただし、他チームに警戒され始め、またボーラ・ハンスグローエを中心として荒れた展開が続いた2週目以降は沈黙。代わって存在感を示したのがヒルシやクラーウアナスンなどのクライマー勢である。
とくに、3月のパリ〜ニースではベノートの勝利を演出し、第12ステージではヒルシに勝利をもたらしたたクラーウアナスンが、第14ステージでは逆にベノートやヒルシに助けられて勝利を掴んだのは実に感動的だった。このときのクラーウアナスンの全身から歓喜を解き放つかのようなガッツポーズは、今年一番級のものだと感じている。
そして第19ステージでは今度は単騎で勝機を見つけ出し、絶妙なタイミングで独走を開始したクラーウアナスン。あっという間に集団に数十秒差をつけて逃げ切ったその足は、さすが2018年パリ〜ツールの覇者である。
次は誰が勝つのか。これからもワクワクさせてくれるチームだ。
第7位(昨年4位) モビスター・チーム 740pt.
逃げ一覧
- カルロス・ベローナ(第8・16・18ステージ)
- マルク・ソレル(第12・13ステージ)
- イマノル・エルビティ(第12・16ステージ)
- ダリオ・カタルド(第18ステージ)
- ネルソン・オリヴェイラ(第18ステージ)
ツールはバルベルデとマスだけが出ると言っていたはずなのに蓋を開けてみればトリプルエース・・・と思ったけれど、ソレルはもしかしたら今度のジロ・デ・イタリアが本命で、最初から総合争いに加わる気はなかったのかな? それでもステージ勝利だけでも持ち帰りたいと奮闘したが届かず。第3週が大人しかったのはやはりジロを見据えてか。
ということで、結局はダブルエースだったわけだけど、いよいよバルベルデもピークを過ぎたか(それでも総合12位だから明らかにおかしいのだけど)。代わりにちょっと不安視もされていたスペイン人新エースのマスは決して悪くない走りだった。これからも慌てず着実にその実績を伸ばしていってほしい。
もう1人、注目したいのがカルロス・ベローナの存在。元はクイックステップ やミッチェルトン・スコットにいた選手で、クライマー寄りパンチャー向きのワンデーや短いステージレースを得意とする彼だが、今回のツールでは連日の山岳エスケープ。勝ちはしなかったが最終的にも総合19位と意外といい位置につけており、ポイント稼ぎやチーム賞に貢献してくれた。
意外と近い将来、総合エースとして走る姿も見られるかもしれない。モビスターから離れる可能性もあるが、少し楽しみに見ておこう。
第6位(昨年2位) ドゥクーニンク・クイックステップ 750pt.
逃げ一覧
- ジュリアン・アラフィリップ(第13・16・17ステージ)
- カスパー・アスグリーン(第2・12ステージ)
- レミ・カヴァニャ(第6・13ステージ)
- ミケル・モルコフ(第8ステージ)
- サム・ベネット(第13ステージ)
- ボブ・ユンゲルス(第18ステージ)
- ドリス・デヴェナインス(第19ステージ)
カヴェンディッシュ、キッテル、ヴィヴィアーニ・・・ここ数年、その頭を何度となく挿げ替えながら目指してきた「最強スプリンターの証」をついに手に入れた。それも、失格や落車といった要素でなく、真正面から力で手に入れた。
その要因の大部分を作っていたのはやはりアシストであった。とくにミケル・モルコフは第10・第21ステージのベネットの勝利の両方で完璧な仕事をしてくれた。彼なくしてあの勝利は間違いなくなかっただろう。さらに、中間スプリントでもベネットをきっちりと牽き上げたうえで、自らちゃっかり2着に入りサガンのポイントを僅かでも潰す。まさにリードアウト職人である。
そして、第2ステージのアラフィリップの勝利を支えたデヴェナインスとユンゲルスの存在。デヴェナインスはその後もアラフィリップの逃げを何度となく助け、これからもこのチームには欠かせない存在であることを示してくれた。
もう1人、「クレルモン=フェランのTGV」ことレミ・カヴァニャの存在は、このチームにおける第3のエースといって差し支えない。
今年もウルフパックは健在だった。来年もきっと、彼らがツールを面白くしてくれるだろう。
第5位(昨年16位) アスタナ・プロチーム 790pt.
逃げ一覧
- アレクセイ・ルツェンコ(第6ステージ)
- オマール・フライレ(第9ステージ)
- ゴルカ・イサギレ(第17ステージ)
- ルイスレオン・サンチェス(第18ステージ)
「アジア最強の男」ルツェンコのツール初勝利。そしてヴィノクロフ大佐の誕生日に捧げられた、ミゲルアンヘル・ロペスの勝利。
とくにロペスは戦前は正直調子が上がり切らない様子を見せていて、実際にツール前半戦もずるずる遅れる姿が目立っていただけに、後半戦の大復活は改めて彼の強さを感じさせた。
しかし、第20ステージ、苦手な長距離TTでの大失速。並の失速ではなく、3分弱はついていたマスたちにも抜かれるほどだったので、大暴落である。登り区間でも遅かったので、明らかにバッドデイだったのだろう。
ただ、強かったのは確か。なかなか表彰台の頂点に立たないが、2〜3年後が最も旬の時期ではあるので、気長に待っていよう。TTの極端に少ないグランツール (2015年ツールみたいな)が来たら大チャンスなんだけどね・・・。
なお、ルツェンコもロペスももしかしたらアスタナを去るかも?という噂が。果たしてどうなるか。
もう1人、大注目がネオプロのハロルド・テハダ。すでにイル・ロンバルディアなどでも終盤フルサンやウラソフに普通についていく強さを発揮していた彼だが、今回のツールも、第3週のクイーンステージですら最後の最後までロペスの傍にいた今大会アスタナの最強山岳アシストであった。
これからに期待しかないニューヒーロー。今のところシーズン後半の予定はアムステルゴールドレースくらいのようだが、もしブエルタに出て自由な走りを許されたならば、ステージ優勝くらいは普通にやってのけてしまいそうだ。
今最も注目すべき若手の1人。しっかりと記憶に刻みつけておこう。
第4位(昨年11位) バーレーン・マクラーレン 825pt.
逃げ一覧
- ダミアーノ・カルーゾ(第18ステージ)
- ペリョ・ビルバオ(第18ステージ)
純粋に強かった。ランダも、チームも。・・・コルブレッリは、全く目立てなかったけれど。
少なくとも終盤、ユンボに誰も手を出せなかった中で、ほぼ唯一黙々と登りで牽き続けチームワークを活かしたアタックも仕掛けた姿は非常に好感が持てた。結果としての総合4位は、十分な成果じゃないだろうか。ランダ自身にとっては2度目の4位は悔しくて仕方ないだろうが、第17ステージのあの局面で遅れてしまった以上、この結果は仕方がない。表彰台に登るならば、あそこで持ちこたえねばならない(それができたポートは登れたわけだから)。
カルーゾもちゃっかりと総合10位。昨年もジロで献身的にニバリをアシストしたいぶし銀が、その実力に見合った嬉しい成績を持ち帰ることができた。
このチーム力を活かして、ツールとまではいかなくとも、今年来年にグランツールの1つは取ってしまいそうで、ワクワクさせてくれるチームである。
第3位(昨年9位) トレック・セガフレード 975pt.
逃げ一覧
- トムス・スクインシュ(第2・8ステージ)
- エドワード・トゥーンス(第14ステージ)
- ジャスパー・ストゥイヴェン(第19ステージ)
誰が予想していただろうか。しかし誰もが願っていたに違いない。リッチー・ポート、悲願のツール表彰台。もちろん、かつては表彰台ではなくその頂点すら期待されていた男だったが、しかしそれでもあの辛い時期をよく乗り越えて、この最盛期の力を取り戻してくれた。
来年はイネオス行きの噂もあるポート。またエースを、とは思わないが、しかしかつてのような圧倒的なアシスト力は期待できそう。とくに今年ベルナルに必要だったのはトーマスや彼のようなベテランの存在だったように感じるだけに、今最もイネオスに必要なものをもたらしてくれそうだ。
ピーダスンもステージ2位が2回と、エーススプリンターとしての実力をしっかりと示してくれた。ジャスパー・ストゥイヴェンのリードアウトも、とくにシャンゼリゼではあの混戦の中しっかりとピーダスンを引き上げて、他の誰も食らいつけなかったモルコフの背中を取るという快挙。昨年のビンクバンクツアーでも連日見せつけてくれていたこのリードアウト力は健在だった。・・・あと一歩で勝てないところも昨年と一緒なのだけど。
一方で期待していたのに全然目立てなかったのが若きデンマーク人のニクラス・エイ。こんなところで終わってていい男ではない。ぜひ今年ブエルタなどに出て挽回のステージ優勝あたりを獲ってほしい。
第2位(昨年13位) UAEチーム・エミレーツ 1770pt.
逃げ一覧
- ダビ・デラクルス(第13ステージ)
- マルコ・マルカート(第15ステージ)
蓋を開けてみれば今大会、最初と最後にマイヨ・ジョーヌを着たチームでもある。序盤から2人のエース級クライマーを失い、実力者デラクルスも3週目までは怪我の影響でほとんどまともな走りができていなかった中でのこの成果は、見事としか言いようがない。
もちろんその大部分なポガチャルの強さである。前半のアシストがほぼ機能しない中で圧倒的な組織力をもつユンボ・ヴィズマのトレインの後ろに冷静に貼り付いて、重要なポイントを逃さない攻撃を仕掛けていった。
それでいて第3週。決して今の自分の位置に満足することなく、リスク覚悟で1秒でも取りに行こうとするアグレッシブな姿勢は、今回のプロトンで間違いなく1番であった。
そんな彼のマインドとフィジカルに加えて、第20ステージでは名将アラン・パイパーの冷静な戦略と、入念な準備、バイク交換の巧みさに見られるチームスタッフ一丸となった尽力によって、あの伝説的な逆転劇は演出された。やはり、最後は彼1人の力ではなかった。最後はやっぱり、チームで掴んだ勝利だった。
問題はここからだ。果たして、来年も同じ走りを見せられるのか。2勝、3勝と重ねられるクリス・フルームのような走りはできるのか。
それもまた、彼自身と、そしてチームの姿勢が重要になる。ポガチャルという才能を2024年まで長期間保持する権利をもつチームとして、その責任は重大だ。
第1位(昨年3位) チーム・ユンボ・ヴィズマ 2280pt.
(逃げ無し)
彼らは確かに敗北した。
しかし、今大会通じて最も強かったのは間違いなくこのチームだったし、最もドラマを創り出してくれたのはこのチームだった(あるいはこのチームとサンウェブ)。
事実、彼らの走りは2010年代を通して最強であり続けた帝国イネオスを打ち砕いた。
とりわけ、スプリントで2勝しながらも超級山岳で誰よりも長く強力に牽引したワウト・ファンアールト。そして、「もう1人のエース」と呼んでも差し支えないほどに最終盤までログリッチの背後を護り続けた男セップ・クス。この2人の強さが異次元そのものであった。
その2人が強すぎるが故に、ログリッチの姿が見えていなかった。第17ステージではポガチャルを突き放しはしたものの、それはクスの助けを受けてのものであり、また前を走るミゲルアンヘル・ロペスに追いつけるものではなかった。一度開いたポガチャルとのギャップをさらに広げることもできなかった。
もしかしたら確かにそこで、彼は力を失いかけていたのかもしれない。ランス・アームストロングが言うように、それはもしかしたら第15ステージのスプリントでポガチャルに敗れたときにすでに予兆として見えていたのかもしれない。
いずれにせよ、彼は敗北した。
だが、忘れてはいけないのが、今回のツール、彼らはあくまでも挑戦者であったということだ。
今年ほど最高の体制を来年以降も維持できるかはわからないし、もしかしたらこれが最初で最後のチャンスだったかもしれないが、このユンボ・ヴィズマというチームはぜひこれからもツール総合優勝に向けて挑戦し続けてほしい。
最後にもう一度繰り返すが、今年のツールを最高に面白くしてくれたのは間違いなく、彼らユンボ・ヴィズマである。
ありがとう。来年も、期待している。
22位~12位はこちらから。
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