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獲得UCIポイントで見る ツール・ド・フランス2019 全チームランキング&レビュー(11位~1位)

前回の22位~12位に続き、今回は後編、11位から1位までの11チームを見ていく。

この11チームは総合上位だったりステージ勝利だったりと、何らかの形で「成功」しているチームたち。ただし、その「成功」の鍵となったのはどの選手なのか、各ポイントの獲得の仕方や逃げの状況などから何となく分かってくるかもしれない。

 

8月1日になり、各チームの移籍情報も段々と明らかになりつつある。来年の「成功」チームを占ううえでも参考になれば幸い。

 

★22位~12位はこちらから★

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★ジロ・デ・イタリアでもやってました★

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第11位 バーレーン・メリダ 365pt.

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逃げ一覧

  • ソンニ・コルブレッリ(第12ステージ)
  • マテイ・モホリッチ(第14ステージ)
  • イバン・ガルシア(第9・12ステージ)
  • ディラン・トゥーンス(第6・12・17・20ステージ)
  • ヤン・トラトニク(第9・15・21ステージ)
  • ダミアーノ・カルーゾ(第15・18・19ステージ)
  • ヴィンツェンツォ・ニバリ(第14・15・19・20ステージ)


全部で8チームしかいない勝利獲得チームの1つに入り、しっかり2勝している点で十分に成功しているチームだとは言える。元々総合は狙っていなかったし、コルブレッリも勝利までは期待していなかったので。デニスの途中リタイアは残念ではあるが、では彼が勝てていたかというと厳しいものはあっただろう。

ただ欲を言えば、逃げにおいてもっと優勝に絡むべき選手は多くいて欲しかったかなとは思う。カルーゾはまあ、ジロからの連戦なので仕方ないとして、ガルシアやモホリッチはもうちょっとアグレッシブにいけたんじゃないかな、と。

 

そんな中、ディラン・トゥーンスの勝利は喜ばしい。それも、ドーフィネに続く勝利であり、ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユの厳しい登りで。2年前のあの勢いが、再び彼に戻ってきているのだろうか。

今週末のクラシカ・サンセバスティアンも、期待して良い?

※本日のニュースで、トゥーンスの怪我が報じられ、クラシカ・サンセバスティアン回避となった。残念。

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第10位 EFエデュケーション・ファースト 395pt.

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逃げ一覧 

  • リゴベルト・ウラン(第19ステージ)
  • トーマス・スクーリー(第12・17・21ステージ)
  • サイモン・クラーク(第5・9・12・17ステージ))
  • アルベルト・ベッティオル(第12・18・19・20ステージ)
  • マイケル・ウッズ(第15・18・19・20ステージ)

 

ポイントのほとんどはウランが稼いでいるわけだが、逃げには積極的だったし、印象は悪くなかったチーム。しかしクラークとか、昨年のブエルタでも勝ってるし、2013年のツール・ド・フランスとかでも良い逃げを見せていた印象あるし、普段はそこまで目立たないけど実に良い働きをしてくれる選手だ。今回も第12ステージとかはワクワクさせてくれた。

ウッズも落車で総合は失ったものの、アルプスでの走りは悪くなく、彼もまた今度のクラシカ・サンセバスティアンに期待したい選手の1人である。

 

 

第9位 トレック・セガフレード 410pt.

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逃げ一覧

  • ファビオ・フェリーネ(第12ステージ)
  • トムス・スクインシュ(第5・17ステージ)
  • ジュリアン・ベルナール(第6・15・18ステージ)
  • ジュリオ・チッコーネ(第6・15・19ステージ)
  • バウケ・モレマ(第15・17・19ステージ)
  • ジャスパー・ストゥイヴェン(第9・12・17・20ステージ)

 

リッチー・ポートは非常に残念ではあったが、今期ここまでの調子を考えれば、これは十分に予想可能ではあった。となれば、残った選手で一体何ができるのか、不安ではあったが、ジロ・デ・イタリア山岳賞のジュリオ・チッコーネが、このツールでも再び強さを見せてくれた。

すなわち、ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユでのステージ2位。そしてマイヨ・ジョーヌを2日間手に入れていたこと。今年ワールドツアーに上がったばかりの今年25歳が、ジロでの勝利と山岳賞の栄誉に与ったばかりだというのに、世界最高峰の舞台で、今度は頂点の証である黄色ジャージを身につけることとなった。

彼の行く先には輝かしい未来しかないように思える。来年以降も楽しみだ。

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第8位 グルパマFDJ 420pt.

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逃げ一覧

  • セバスティアン・ライヒェンバッハ(第15・19・20ステージ)
  • マチュー・ラダニュ(第14・15・18ステージ)
  • ルディ・モラール(第15ステージ)

 

ここもアスタナと同様にとにかくピノのためにすべてを用意してきた。だからピノがいなくなってしまうとなかなか成すすべがない。もう少し早く切り替えていれば、今やチームのセカンドエースとなったゴデュあたりのより強い走りを見られていたかもしれない。

ということで結果的には残念に終わった今回のツールだが、しかしピノ自身の強さも、チームとしての強さもしっかりと見ることのできた3週間だった。今年は最大のチャンスではあっただろうが、ここで「次」があってこそ初めて本当に強いチームである。来年以降も期待している。

ただ、今年ほどチームの全てがピノのためにとなるかはわからない。そろそろゴデュもエースとしてグランツール走りたいだろうし来年はジロあたりをエースで走り、ツールはそのあとのアシストとなる、みたいなパターンはありうるだろうし、あるいはまたデマールがツールに出て、というパターンも考えてしかるべきだろう。やっぱり今年が最大のチャンスだったかもしれないが・・・まあ、頑張れピノ! 

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第7位 ミッチェルトン・スコット 595pt.

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逃げ一覧

  • アダム・イェーツ(第18ステージ)
  • マッテオ・トレンティン(第12・17ステージ)
  • クリストファー・ユールイェンセン(第17・18ステージ)
  • ダリル・インピー(第9・18・20ステージ)
  • サイモン・イェーツ(第12・15・19ステージ)


逆にこのチームはエースが崩れてもただでは転ばないというか、そこからまた強くなるというか・・・昨年のジロでサイモンが崩れたあとにニエベが勝ったみたいに。全部で4勝はすごい。

とくにトレンティン、もともと確かに登れるスプリンターではあったが、今回の活躍はもはやクライマーのそれである。勝った第17ステージだけでなく第12ステージでもガシガシ登っていて一時は独走していたタイミングも。第17ステージでは彼を正直ナメていたファンアーフェルマートらが油断した結果捕まえられなかったという見方も。2年前ブエルタで4勝していたスプリンターとは思えない。

サイモンも前半しっかりとタイムを失ってジロの疲れを癒し、後半に一気に本来の強さを取り戻した形に。このままブエルタも行くかも?なんて噂も漂っているが、とりあえず週末のクラシカ・サンセバスティアンに期待。第20ステージも最後山岳賞狙いで飛び出していたりと、まだまだ暴れ足りなさそうだ。

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第6位 ロット・スーダル 790pt.

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逃げ一覧

  • ロジャー・クルーゲ(第12ステージ)
  • ジャスパー・デブイスト(第18ステージ)
  • イェンス・クークレール(第17・20ステージ)
  • ティシュ・ベノート(第9・12・18ステージ)
  • トーマス・デヘント(第6・8・17・19ステージ)
  • ティム・ウェレンス(第3・5・6・12・14・18ステージ)

 

今大会最も成功したチームの1つだと思う。

まずはユアン、シャンゼリゼ含めたステージ3勝、今大会「最強」の座をおめでとう。これまでは最後の局面まで完璧に運んでもらってから勝利するパターンが多いイメージで、実際に今大会の第11ステージはロジャー・クルーゲのおかげによるそういう勝ち方だったけれど、後半の第16・21ステージに関しては、自らの足と判断で不利な位置から上がっていって勝利を掴むという、これまでにはないパターンに。彼が真の意味でのトップスプリンターになりつつあることを明確に示してくれた。

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そして、ステージ優勝や山岳賞で活躍したデヘントとウェレンスの仲良し2人組。連日の活躍に、彼らとユアンとが同じチームだとはまさか思えないほどだった。

なお、ユアンといえば盟友クルーゲの存在が挙げられるし、実際第11ステージの勝利は彼のおかげが大きかったが、ジロに続きジャスパー・デブイストがユアンの最終発射台として活躍する姿が目立った。さすが元グライペル親衛隊。

また、年末のインタビューで語ってた通り、ジロではユアンのアシストに全力を尽くしつつもツールは本気で挑むと語っていたデヘント、ジロほど平坦牽引に参加しなかった代わりに、その役目を担ったのは山岳アシストと思われていたモンフォール。いぶし銀の活躍に賞賛を送りたい。

一方ベノートは、逃げには乗っていたものの直前のスイスで高まっていた期待に応えるほどの走りではなかったのが残念。

 

 

第5位 ボーラ・ハンスグローエ 1070pt.

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逃げ一覧

  • マキシミリアン・シャフマン(第12ステージ)
  • グレゴール・ミュールベルガー(第12ステージ)
  • ルーカス・ペストルベルガー(第9・17ステージ)
  • ペテル・サガン(第12・14ステージ)
  • ダニエル・オス(第12・17ステージ)
  • パトリック・コンラッド(第15・19ステージ)

 

ペテル・サガン、史上最多となる7枚目のマイヨ・ヴェールを獲得。結局、失格となってしまった2017年以外出ればマイヨ・ヴェールを獲得し続けていることに。もはやマイヨ・ヴェールは彼のための賞と言っても過言ではない。たとえステージ何勝しようと彼に勝てる気がしないのだ。勝てなくとも連日上位に入るその安定感も素晴らしい。

そしてブッフマンも、ドーフィネから続く高いレベルの登坂力は本物であった。アタックの鋭さでは2週目の段階ではピノに次ぐ存在だっと言っても良い。今後もツール表彰台を狙いつつ、ジロやブエルタであれば総合優勝すら目指せそうな気はする。新たな時代のドイツ人グランツール覇者候補としてこれからも期待したいが、しかしこのチームにいる限りそこまでアシストには恵まれなさそう。せめてシャフマンが落車せず、グロスチャートナーなどがいれば。コンラッドが今回イマイチだったのも惜しい。

ボーラの今後の方向性が気になるところ。



第4位 モビスター・チーム 1160pt.

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逃げ一覧

  • イマノル・エルビティ(第12ステージ)
  • アレハンドロ・バルベルデ(第19ステージ)
  • カルロス・ベローナ(第14・18ステージ)
  • ナイロ・キンタナ(第15・18ステージ)
  • ネルソン・オリヴェイラ(第17・20ステージ)
  • マルク・ソレル(第9・15・19ステージ)
  • アンドレイ・アマドール(第15・18・19ステージ)

 

トリプルエースが全員TOP10入り。その意味では成功・・・した?  最も輝いていたのはアシストたちだったかもしれない。とくに第14ステージのアマドールの、5kmにも及ぶ大牽引は、これまでの彼のアシストの中でもとりわけ素晴らしいものであったと言える。

それだけに悔しい。あきさねゆうさんが語っているように、あの日の走り次第では、このチームが頂点に立つこともできたかもしれない。チームが万全にも関わらず、エース勢の統率とコンビネーションがちぐはぐでは、望むべく結果は得られない。

キンタナ、ランダ、カラパスがチームを去ることがほぼ確実視されている中で、次代のエースはマルク・ソレル、もしくはドゥクーニンクから獲得の噂が出ているエンリク・マスが担うことになりそうか。一気にチームの雰囲気も変わりそうだが、それが良い結果を生むことを強く願っている。

 

第3位 チーム・ユンボ・ヴィズマ 1490pt.

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逃げ一覧

  • トニー・マルティン(第9ステージ)
  • ディラン・フルーネウェーヘン(第12ステージ)
  • ローレンス・デプルス(第19ステージ)
  • マイク・テウニッセン(第12・18ステージ)
  • アムントグレンダール・ヤンセン(第15・18ステージ)


強いチームだとは思っていたが、思っていたのとは違う形で強かった。まずスプリントステージで別々の3人が勝つってなんやねん。とくにファンアールトは、ドーフィネ2勝に続きツールでもそのまま勝ってしまうという半端ない勢い。ただし神様というのは残酷で、そんな大いなるギフトを授けた後に不幸ももたらしてしまう。第13ステージでの大落車で、今期中のロード復帰どころか、本命のシクロクロスすら危ういかもしれない。

そして山岳では最強アシストのデプルス、ベネット。今大会の山岳支配力最強はもしかしたら彼らだったのかもしれない。今後、ログリッチェやヘーシンクがここに加わることで、グランツール最強チームへと変貌する可能性は十分にある。セップ・クスやアントワン・トールクなど、まだまだ覚醒しきっていない若手も豊富だ。

そして、クライスヴァイク。昨年末のインタビューでは、表彰台を目指すというやや控えめな、しかし決して簡単ではない目標を掲げていた彼が、見事その座を掴み取った。その安定した走り、そしてトニー・マルティンの助けも大いに借りたチームTTのアドバンテージによって。

ツール表彰台の夢を叶えた彼は、もう少し大きな夢を描いても良さそうだ。ブエルタ、そして、ジロ総合優勝への、リベンジとか。

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一方でフルーネウェーヘンは、今年こそ3〜4勝を狙えるかと期待していた中で残念な結果だった。決して弱いわけではないのだが、不調だったようにも感じないのだが、とにかくトラブルに弱いのと、あとはユアンとロット・スーダルが強すぎたかな。来年のリベンジに期待だ。

初日のファンアールト、テウニッセンのコンビネーションについてはこちらから

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第2位 ドゥクーニンク・クイックステップ 1540pt. 

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逃げ一覧

  • ミケル・モルコフ(第12ステージ)
  • カスパー・アスグリーン(第17ステージ)
  • マキシマリアーノ・リケーゼ(第18ステージ)
  • エリア・ヴィヴィアーニ(第20ステージ)

 

今大会を最も面白くした男は間違いなくアラフィリップだろう。正直、終わった今でもベルナルよりアラフィリップの方が目立ってた印象が強くある。日本人の自分ですらそうなのだから、正直フランス人の中にはアラフィリップが総合優勝したと思ってる人が結構な数いるんじゃないだろうか。

その雰囲気は獲得UCIポイントでもしっかりと反映されており、実はまだベルナルよりアラフィリップの方がポイント合計は上である。総合5位に転落してもなお。

とにかくアラフィリップの走りは圧倒的で、エンリク・マスもチームを去る可能性が高い中、来年もまたツールの総合を狙うことになるのかーーと思いきや、本人としてはどうやらロンド・ファン・フラーンデレンの方に興味津々のようだ。

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「たぶん、ツール・ド・フランスでの総合争いは、将来の目標としてはあると思う。でもそれは来年じゃない」

 

まあ、本気で総合を狙うのであればチーム体制の大きな変革は必要な気がする。そしてそれを実現できるほどの財力がこのチームにない以上、それは難しいのかもしれない。まあ、彼には今後も自由に走ってほしいところ。

 

一方のヴィヴィアーニはジロの降格以降、うまくいかない状態が続いている。スイスではすごく良かったのだけれど・・・。彼もまたチームを去ることがほぼ決まっているようで、代わりにサム・ベネットが入るとか?  ホッジ、ヤコブセンなどの若手スプリンターと合わせ、来年のドゥクーニンクのスプリントは果たしてどうなるか。

 

 

第1位 チーム・イネオス 2115pt. 

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逃げ一覧

  • ディラン・ファンバーレ(第18・19ステージ)

 

と、いうことで、総合ワンツーを獲得したこのチームが圧倒的な大差をつけて最強チームに。文句はないだろう。だがドゥクーニンクのところでも述べたように、今大会、彼らが「主役」だったかというと、それは微妙。

しかしまた、ではベルナルが王者に相応しくない存在かと言えば、それもまた違う。第3週に向けて着実に足を貯め、そして第18ステージ・第19ステージともに爆発的なアタックを決めてあらゆる他の優勝候補たちを置き去りにした。中断されてしまった第19ステージでは、そのまま単独でゴールまで逃げ続け、昨年のジロのクリス・フルームに続く伝説を作り上げていた可能性すら感じさせた。

エガン・ベルナルは間違いなく今年のツールのプロトンで「最強」の男だった。その真価を今大会で発揮しきれたわけではないと思うので、来年以降もまた、彼の走りに注目を続けたい。2020年代は、彼の時代である。

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そして、相変わらず最強のチームだった。山岳での登坂力こそ、クウィアトコウスキーの不調もあり、例年ほどの盤石さではなかったような印象も受けるが、それでもワウト・プールスの常に前にいる(まるで昨年のベルナルのような)存在感と、カストロビエホ、ファンバーレの平坦系選手たちの山岳アシストは期待通りである。今年はキリエンカが病気により十分な力が発揮できず不出場となったが、その代役を務めるだけの実力が彼らには備わっていた。

そして、モスコン、ルーク・ロウも含め、彼ら全員が「平坦」でこそ真価を発揮する。第10ステージでの壊滅的な横風に対しては攻撃に転じ、ゲラント・トーマスの落車の際も全力で集団復帰をサポートした。それは他チームにはない、イネオスならではの盤石な体制である。全員が山を登れ、全員が平坦を強力に牽引できる。アシスト全員がオールラウンダー。

これが、最強チームの最強たる所以である。 

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