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グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ2021 プレビュー

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Class:ヨーロッパツアー 1クラス

Country:フランス

Region:ブーシュ=デュ=ローヌ県

First edition:1980年

Editions:42回

Date:1/31(日)

 

レースレポートはこちらから

note.com

 

ツアー・ダウンアンダー、ブエルタ・ア・サンフアン、マヨルカ・チャレンジ、さらにはボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナまで・・・

シーズン開幕レースとしてお馴染みのあらゆるレースがコロナ禍によって中止・延期を発表する中、一体、本格的なレースはいつ開幕するのか――そう、悩まれている諸君もいることだろう。

 

1週間先のレースですら本当に開幕されるのか不安を抱かざるを得ない中ではあるものの、ようやく、1クラス以上のレースで「どうやら本気で開催されそうだ」と思えるレースが出てきた。

それが今週末、1/31(日)開催予定のグランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズである。

 

毎年エトワール・ド・ベセージュやツール・ド・プロヴァンスに先駆けて、南仏のシーズン開幕レースとしてとくにフランス籍ワールドツアーチーム&UCIプロチームに愛されるワンデーレースではあるが、今年はシーズン最初の1クラスレース(=ワールドツアーチームが参加できる最初のUCIレース)という宿命を背負わされたことで、フランス籍だけでなくUAEチーム・エミレーツEFエデュケーション・NIPPOロット・スーダルといったワールドツアーチームも続々参戦が決定。

出場選手としてもマッテオ・トレンティンフィリップ・ジルベールリリアン・カルメジャーヌ、そして別府史之など、注目選手が多数。

 

GCN Race Passでも視聴可能なこの「2021シーズン開幕レース」を、今年は最初の注目レースとしてチェックしていこう!

 

目次

 

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レースについて

グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ(Grand Prix Cycliste La Marseillaise)は、その名の通りマルセイユを中心としたブーシュ=デュ=ローヌ県をほぼ1周するコースで行われる。

 

3~4㎞の短い、しかし急勾配な登りが連発し、そのレイアウトは完璧にパンチャー向け。

参考:Grand Prix Cycliste la Marseillaise 2021 | Stage overview

 

過去の優勝は以下の通り。

  • 2011年:ジェレミー・ロワ
  • 2012年:サミュエル・デュムラン
  • 2013年:ジャスティン・ジュールス
  • 2014年:ケネス・ファンビルセン
  • 2015年:ピム・リヒハルト
  • 2016年:ドリス・デヴェナインス
  • 2017年:アルトゥール・ヴィショ
  • 2018年:アレクサンドル・ジェニエス
  • 2019年:アンソニー・テュルジ
  • 2020年:ブノワ・コヌフロワ

 

クラシックに強いフランス・ベルギー系の荒地系スプリンター、および典型的なパンチャーが勝利者に名を連ねる。

今年はここにフィリップ・ジルベールジョン・デゲンコルプマッテオ・トレンティンなどの錚々たる顔ぶれが揃っているため、例年以上に激しい展開が期待できるだろう。

もちろん、いくらワールドツアーチームでも、シーズン最序盤からその実力を完全に発揮できるとは限らない。意外にもUCIプロチームの実力派ライダーたちが勝ちを奪うことも多く、その意味で今年からアルケア・サムシックに移籍したこういうレースにめちゃくちゃ強いアモリー・カピオ、アンテルマルシェ・ワンティゴベールのアンドレア・パスクアロン、デルコのエドゥアルド・ミカエル・グロス、あるいはB&Bホテルスのブライアン・コカールなどの選手たちにも注目が集まる。

 

果たして今年最初の本格的レースの優勝者は誰になるのか。

 

以下、注目選手たちを詳細に解説していく。

 

 

注目選手たち

フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル

ベルギー、39歳

Embed from Getty Images

「アルデンヌの皇帝」ジルベールが、シーズン開幕のこのパンチャーレースで往年の強さを見せられるか。

実はフランセーズ・デ・ジュー所属の2006年以来15年ぶりの出場。驚きのロット・スーダル入りを決めた昨年は正直イマイチなリザルトが多かった彼が、 2021シーズンを幸先よくスタートできるのかどうか、注目だ。

今のところ2022年いっぱいでの引退を予定しているとも言われており、残り数少ないこの男の雄姿を目に焼き付けておきたい。

次のデゲンコルプとのコンビネーションがどう活かされるのかも楽しみである。

 

ジョン・デゲンコルプ(ロット・スーダル

ドイツ、32歳

Embed from Getty Images

2014年に4位フィニッシュして以来7年ぶりの出場。当時はブエルタ・ア・エスパーニャ区間5勝とかミラノ~サンレモ&パリ~ルーベ制覇など、キャリア絶頂期を迎えていたころ。

そこから交通事故などの悲劇に遭い、かつてほどのリザルトを残せていない彼ではあるが、昨年はシーズン終盤の北のクラシック群で上位リザルトを連発しており、かなり状態は良くなってきていることが感じられる。

ゴール10~20㎞手前の登りでジルベールがアタックし、これが集団に捕まえられたとしてもその中で足を貯めていたデゲンコルプが集団スプリントを制する――なんて展開も、期待してみたくなってしまう。

 

マッテオ・トレンティン(UAEチーム・エミレーツ

イタリア、32歳

元ヨーロッパ王者。2019年世界選手権ロードレース銀メダリスト。そして、クラシック系スプリンターの最高峰選手の1人であり、当然、このレースとの相性も抜群に良い。ただし例年はスペインでのシーズンインを常としてきたため、このレースへの出場辞退は初である。

問題は、以下にゴール前10~20㎞地点でジルベールやカルメジャーヌなどのアタッカーたちの足を抑え込めるか。そのためにはヴェガールステーク・ラエンゲンやオリヴィエロ・トロイアら平坦丘陵系ルーラーたちのアシストが重要な鍵を握ることになるだろう。集団スプリントにさえ持ち込めれば、十分に勝機はある。

 

エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(チーム・トタル・ディレクトエネルジー

ノルウェー、34歳

今年、驚きの移籍となったボアッソンハーゲン。昨年このレースに初出場しており、そのときは9位。

チームメートには2年前優勝しているアンソニー・テュルジやこういうレースに強いアレクシー・ヴィエルモ、同じく注目の移籍選手であるピエール・ラトゥールやクリス・ローレスなどタレントが揃っており、必ずしもボアッソンハーゲンが絶対のエースではない。

しかし、プロ14年目。ベテランの域に達しつつあるこの男がもう一度その全力をぶつけて結果をもぎ取る姿を見てみたくもある。

なお、この男はあらゆる勝ち方ができるタイプの足を持っており、ジルベールたちがアタックすればそれについていけるし、集団でフィニッシュしたときにはその中で先頭を狙うこともできる。

それは他のメンバーも同様で、とにかく今大会最もあらゆる戦い方ができそうなチームなので、UCIプロチームながらあらゆる戦い方ができる伏兵となりそうだ。

 

リリアン・カルメジャーヌ(AG2Rシトロエン・チーム

こちらも新たな衣装を身に纏っての参戦。上記ボアッソンハーゲンやそのチームメートのラトゥールたちとは違って、UCIプロチームからワールドツアーチームへと昇格した中での最初の力試しである。

彼の場合はスプリントで決着となると不利。となれば、いかにゴール前10~20㎞で飛び出せるか。本来、そういったアタックと逃げ切りを得意とする選手のはずで、2016年から2017年にかけてのブエルタ・ア・エスパーニャ&ツール・ド・フランスでの連勝は、これからは彼の時代が来ることを予感させる鮮烈な勝利であった。

しかしそこから、なかなか振るわずにここまできている。新チームでの自由な走りを許されるためにも、まずはこの初戦、非常に重要である。実際このレースは2017年と2018年に2年連続で3位にもなっており、得意な方のレースである。

チームメートのアンドレア・ヴェンドラーメも脚質・実績ともに注目に値する選手だ。

 

アモリー・カピオ(アルケア・サムシック)

ベルギー・北フランスのスプリンター向けクラシックレースでは異様な強さを誇る男。昨年はツール・ド・ワロニー総合3位、ツール・ド・ルクセンブルクで区間2位、そしてシュヘルデプライスでも6位など。

今年最初のレース「クラシカ・コムニタート・バレンシアナ1969」では3位に。新チームの最初の戦いでしっかりと存在感を示した。

その勢いのまま、今回も上位に食い込めるか。パンチャー向きの丘陵をどれくらい乗り越えられるかに注目だ。

 

別府史之(EFエデュケーション・NIPPO

ジュリアン・エルファレス、サイモン・カーといった、昨年同じNIPPOデルコ・ワンプロヴァンスに所属していたチームメートたちと共に参戦。EFにはNIPPOだけではなく、南フランスの企業グループもスポンサードしているという話なので、このレースは彼ら「マルセイユ分隊」にとっては重要なレースとなるだろう。

EF組としてはモレノ・ホフラント、トム・スカリー、 ユリウス・ファンデンベルフ、ローガン・オーウェンといったスプリンター/パンチャー系の選手たちが来ているが、全体的に絶対のエースといった印象の選手は少ない。別府はあくまでもアシストとして活躍することになるだろうが、チャンスが全くないというわけではないだろう。

とはいえ、まずはあまり大きな期待はせず、ただEFのジャージで走れる彼の姿をしっかりと目に焼き付けておきたいところ。

直前になって別府選手の出場がなくなりました・・・残念。 

 

 

ほか、昨年4位のヘスス・エラダ、昨年シーズン途中でトップチームに合流しいきなりツール・ド・リムザン総合2位を叩き出しているグルパマFDJ期待の新人ジェイク・スチュアートや、今年UCIプロチーム昇格のエキッポ・ケルン・ファルマ所属・先日のクラシカ・コムニタート・バレンシアナ1969で4位に入ったエンリケ・サンズ、あるいは元マトリックス・パワータグでJプロツアーでも強さを見せつけていたカハルラル・セグロスRGAのオールイス・アウラールなど、注目すべき選手は多数!

 

ぜひ、GCN Race Passで、今年最初の本格的UCIレースの結末を楽しもう!

 

 

・・・なお、同日にシクロクロス世界選手権U23女子と男子エリートも開催。

正確なところはわからないが、ちょうど男子エリートが始まる前か、あるいは開催真っ只中でのフィニッシュにもなりそうで・・・まあ、見逃し配信もできるので、なんとか・・・。

 

シクロクロス世界選手権のプレビューはこちらから

www.ringsride.work

 

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