今年もやります! 北のクラシック最強選手ランキング。
新型コロナウイルスの影響で昨年は4レースしか対象レースがなかった中で、今年はほぼフルレースしっかりとやってくれた。
ただし、パリ~ルーベだけは秋に延期・・・よって、どちらかというとスプリンター向けのレースの割合が大きくなってしまい、その意味であまり純粋な「石畳クラシック最強選手ランキング」ではないかもしれない。
もしかしたらパリ~ルーベ開催後に再集計したものを出すかもしれないが、一旦は以下のレースを対象としたうえでランキングさせてもらおう。
対象6レース
- オンループ・ヘットニュースブラッド(2/27)
- オキシクリーン・クラシック・ブルッヘ~デパンヌ(3/24)
- E3サクソバンク・クラシック(3/26)
- ヘント~ウェヴェルヘム(3/28)
- ドワースドール・フラーンデレン(3/31)
- ロンド・ファン・フラーンデレン(4/4)
過去のランキングはこちらから。
獲得UCIポイントで見る 2019北のクラシック最強選手ランキング20位~11位 - りんぐすらいど
獲得UCIポイントで見る 2019北のクラシック最強選手ランキング10位~1位 - りんぐすらいど
獲得UCIポイントで見る 2020北のクラシック最強選手ランキング20位~11位 - りんぐすらいど
獲得UCIポイントで見る 2020北のクラシック最強選手ランキング10位~1位 - りんぐすらいど
それではいってみよう。
- 20位 ジェイク・スチュアート(イギリス、22歳)
- 19位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、23歳)
- 18位 イヴ・ランパールト(ベルギー、30歳)
- 17位 オリバー・ナーセン(ベルギー、31歳)
- 16位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、31歳)
- 15位 サム・ベネット(アイルランド、31歳)
- 14位 ジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、29歳)
- 13位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、27歳)
- 12位 クリストフ・ラポルト(フランス、29歳)
- 11位 ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、29歳)
年齢表記はすべて2021/12/31時点のものとします。
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20位 ジェイク・スチュアート(イギリス、22歳)
昨年85位、グルパマFDJ所属
元育成チーム所属で、昨年の10月からトップチームへ。ゆえに今なお「ネオプロ」と表現しても決して間違いではないかもしれない。
にも関わらず、いきなりのオンループ・ヘットニュースブラッド2位は驚異的な成績。グルパマFDJは今年有能なクラシックスプリンターであるマルク・サローを失っていたのだが、それに代わって余りある才能を手に入れたことになる。
元々はロンド・ファン・フラーンデレンにも出場予定で、実際に出場していたとしたら活躍も期待できたかもしれない。しかし残念なことに直前のレースでナセル・ブアニと絡み手首骨折の憂き目に。しばらく戦線離脱することが決定した。
当初はSNSでブアニを批判する言葉を書き、ブアニからも暴言を放たれたりもしていたが、彼に対する人種差別的な意味合いを含むバッシングが巻き起こると、いち早く彼に対する支援も表明した。
なお、エトワール・ド・ベセージュでは激坂スプリント、激坂含むTT、ストラーデビアンケ風の丘陵ステージなどで上位に入り、総合でも4位と活躍。
アムステルゴールドレースあたりであれば十分に優勝候補となりそうな脚質だが、それも怪我により出場できないということで非常に残念である。
ブルターニュ・クラシックなどにも適性がありそう。
19位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、23歳)
昨年85位、アルペシン・フェニックス所属
元アクセオン・ハーゲンスバーマン→UAEチーム・エミレーツ。今シーズン序盤は余り目立たず、似た脚質のティム・メルリエの方が成績を出しているようにみえたが、さすが、カテゴリが高いレースになってくるとフィリプセンの勝率の方が上回ってくる。
北のクラシックではスプリンター向けのブルッヘ〜デパンヌでサム・ベネットに敗北。というよりはドゥクーニンク・クイックステップーーさらに言えばミケル・モルコフに敗北した。
一方でその後のスヘルデプライスでは、逆にこのドゥクーニンクのベネット&モルコフペアを、ドリース・デボントやヨナス・リッカールトといったクラシックライダーたちとともに打ち倒した。
最新のツアー・オブ・ターキーではマーク・カヴェンディッシュ相手に2勝4敗とやや負け気味ではあったものの、完璧なタイミングでスプリントできたときにはしっかりと勝ちきれているため、実力は十分証明できたと思われる。
目指すは今年もグランツールでの勝利。もちろんそれが、ツール・ド・フランスであればなお、よい。
18位 イヴ・ランパールト(ベルギー、30歳)
昨年1位、ドゥクーニンク・クイックステップ所属
昨年の1位。今年も全レースで安定して上位に入りはしたが、やはり優勝がないと順位は厳しい。
あとは、E3でもロンドでも、クィックステップが先頭の方に複数名出てきたときに、その3〜4人の中に彼の姿がないことが多いのが少し寂しい。今年の彼は十分に強かったが、チームの上位の上位では残念ながらなかった。
2019年に彼がパリ〜ルーベで3位になったとき、近い将来その頂点に立つと信じることができた。
あのときが頂点であってほしくない。もう一頑張り、してほしい。
17位 オリバー・ナーセン(ベルギー、31歳)
昨年14位、AG2Rシトロエン・チーム所属
E3ではグレッグ・ファンアーヴェルマートととのコンビネーションを見せ、ついにダブルエース体制になれたことによる恩恵を感じさせたが、結局は例年通り、すごく頑張っていて強さを感じはするものの、勝利には届かない、そんな位置で終わってしまった。
決して悪くはないはず・・・というか、チーム体制とか戦略とか、個人の力じゃないところでうまくいっていないところがまだまだある気がするので、本当にチームとしてもう少し頑張ってほしい。
この男がその実力が報われるときが来て欲しいものだ。
16位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、31歳)
昨年72位、バーレーン・ヴィクトリアス所属
元々荒れた展開や横風、寒さの中でのサバイバルな状況でのスプリントに強いコルブレッリ。
ヘント〜ウェヴェルヘムではサバイバルな展開の中でしっかりと先頭集団に残れたことで上位に入り込み、ポイントを稼いだ。
とはいえ、基本的にはクラシックライダーというのとはちょっと違う。E3やロンドのような本格的な石畳急坂レースとなると、どうしても着順は落ちてしまう。
15位 サム・ベネット(アイルランド、31歳)
昨年ランク外、ドゥクーニンク・クイックステップ所属
ピュアスプリンターにもチャンスのあるブルッヘ〜デパンヌで見事優勝。ヘント~ウェヴェルヘムでは最序盤で形成されたまさかの逃げ切り集団の中で、ドゥクーニンク・クイックステップ唯一の選手として入り込んでいたことで、終盤までなんとか食らいつく姿を見せる。
だが、体調不良もあり、終盤のサバイバルな展開の中、ついていけず最後の最後で崩れ落ちてしまうこととなる。
だがあの局面でよくそこまで粘り切った。そのガッツはリザルトに残らなくとも讃えたい。
14位 ジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、29歳)
昨年58位、アルペシン・フェニックス所属
アルペシン・フェニックスはマチュー・ファンデルプールだけじゃないんだぞ!ということを見事示してくれた男。北のクラシック以外のレースでも、UAEツアーなど、常にマチューが動くときその傍に控え、彼の勝利や活躍を最も近くで支え続けてくれた。
そして今回の北のクラシックでも、ファンデルプールがいるときはもちろん、いないときは逆に自らがエースとして先頭で戦い続け、その結果がこの数字である。
ちなみに、今回対象レース6レースのうち、実際に彼が出場したのはこの3つだけである。つまり、出場した北のクラシックレースではすべてTOP10入り。実力の高さが窺える。
プロ勝利はまだ1クラスでの勝利が2つだけではあるが、近いうちにビッグレースでのリザルトを残してくれることを、十分に期待できそうだ。
13位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、27歳)
昨年ランク外、ドゥクーニンク・クイックステップ所属
元はアスタナ。そのときも、ブリュッセル・サイクリングクラシックで並み居るトップスプリンターたちに混じって4位に入り込むなど才能を見せていたが、他の多くの選手がそうであるように、クイックステップ入りしたことでさらにその才能を爆発させた。
2020年はツール・ド・ポローニュでパスカル・アッカーマンを下し、イタリア選手権ロードでは2位、ヨーロッパ選手権ロードレースでは6位。
そして今年は、ツール・ド・ラ・プロヴァンスでアルノー・デマールを下し、このオンループ・ヘットニュースブラッドでの優勝である。
とはいえ彼もまたあくまでもスプリンターという範囲内での活躍でもあり、北のクラシックライダーとしてはまだまだ。素質は十分にあるので、さらなる進化を期待したい。
12位 クリストフ・ラポルト(フランス、29歳)
昨年43位、コフィディス・ソルシオンクレディ所属
彼も基本はスプリンターとはいえ、激坂やTT、そして悪路にも対応可能なオールラウンダーなタイプのスプリンターであった。2018年にはトロ・ブロ・レオンを優勝し、2018年にはヘント~ウェヴェルヘムでも4位に入っている。
それでも、今年はさらに一皮むけたような気がする。ドワースドール・フラーンデレンでは逃げ切ったディラン・ファンバーレに次いで、集団内で先頭を奪い取る。ただ、このレースはそれでもまだ、本格的な北のクラシックよりは一段劣る。
そうではなく、その「本格」に位置するロンド・ファン・フラーンデレンでの11位は彼の実力が間違いなく、北のクラシックランキングのこの位置にいることが十分に認められるだけの成績である。確かに、ロンドでも常に上位にその姿を見ることができていた。
コフィディスは昨年ロンド6位のディミトリ・クレイスを手放した中で、トム・ボーリとかは加わったものの北のクラシック上位はさすがに厳しいか・・・と思っていた中でのこのラポルトの成長。
今後もチームの北のクラシックエースとして期待している。
11位 ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、29歳)
昨年11位、トレック・セガフレード所属
オンループ・ヘットニュースブラッドで優勝した昨年と同じ11位。今年はさらに進化し、なんとモニュメントのミラノ~サンレモを制覇!
とはいえ、ミラノ~サンレモは今回のランキングの対象レースではない。にもかかわらず昨年と同順位に入り込んだのは、純粋に彼が安定して強くなってきている証拠だろう。
何しろ、ロンド・ファン・フラーンデレン4位、ドワースドール・フラーンデレン10位、E3で14位である。 ヘント~ウェヴェルヘムはそもそも出場していなかった(見出走)のであり、出場していればさらにポイントを重ねていた可能性は十分にある。
これまで何年も「咲かない才能」であり続けてきた彼が、いよいよ信頼感のある存在になりつつある・・・同じくトレックに眠る才能たるエドワード・トゥーンスもまた、このあたりで大きく花開いてほしいところ。
次回は10位~1位!
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