コースプレビューに引き続き、今年のロンド・ファン・フラーンデレンで注目すべき選手たちを紹介していく。
また、その選手が所属するチームのスタートリストも併せて紹介。ロンド・ファン・フラーンデレンが延期になることが決まる直前の暫定スタートリストを元に、昨年出場した選手などを追加した、再現性の高いスタートリストとなっている。
それぞれの選手名の前に付した略号は以下の通り脚質を表している。
A・・・オールラウンダー
C・・・クライマー
P・・・パンチャー
R・・・ルーラー
S・・・スプリンター
T・・・タイムトライアルスペシャリスト
また、記載の年齢はすべて2020/12/31時点のものとなります。
↓コースプレビューはこちらから↓
↓実際の動画はこちらから↓
- ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)
- フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル)
- ニキ・テルプストラ(チーム・トタル・ディレクトエネルジー)
- アルベルト・ベッティオル(EFプロサイクリング)
- セップ・ファンマルク(EFプロサイクリング)
- アレクサンダー・クリストフ(UAEチーム・エミレーツ)
- グレッグ・ファンアーヴェルマート(CCCチーム)
- ワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィズマ)
- ジャスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)
- マチュー・ファンデルポール(アルペシン・フェニックス)
- ドゥクーニンク・クイックステップ
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ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)
スロバキア、30歳
2016年覇者にして、2018年パリ〜ルーベ覇者。プロトン随一のバイクコントロールで幾多ものトラブルを潜り抜けてきた。また状況判断力に優れ、攻めるべきタイミングを逃さない。2016年にカンチェラーラから逃げ切ったように、いざというときの独走力もずば抜けている。
最近はややモチベーション低下かと見紛うような低調ぶりを不安視されているが、そうやって「優勝候補ではない」と思わせているときの方が注意すべきタイミングであるとあきさねゆうさんからのお墨付き。事実、現実世界では最後のレースとなったパリ〜ニースでは、平坦においてマキシミリアン・シャフマンの総合優勝を導く上で最も重要な役割を見事に果たしきっていた。
チームメートも最強クラスのルーラー陣を揃えてきている。ある意味、「誰もがエース」のドゥクーニンクとは好対照なチームだが、これが十分に機能するのがこのチームの凄いところだ。
その他チームメンバー
Tマテイ・ボドナル(ポーランド、35歳)
Rマーカス・ブルグハート(ドイツ、37歳)
Rジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、34歳)
Rオスカル・ガット(イタリア、35歳)
Rダニエル・オス(イタリア、33歳)
Sアンドレアス・シリンガー(ドイツ、37歳)
フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル)
ベルギー、38歳
2017年覇者にして2019年パリ〜ルーベ覇者。ほかにリエージュ〜バストーニュ〜リエージュとイル・ロンバルディアも勝っており、モニュメント制覇に最も近い現役選手である。
現在のドゥクーニンク・クイックステップに移籍したのが2017年。その年に見事なロンド制覇。
ただし、彼だけの力で勝利したわけではない。トム・ボーネンによる強力なリードアウトによって放たれて60㎞独走勝利を成し遂げたのであり、その伏線は直前のドワースドール・フラーンデレンにて、彼自身を囮にして後輩のイヴ・ランパールトを勝たせたことに尽きる。
まさに今の「ウルフパック」を創り上げた男であり、そんな彼が今年、古巣ロット・スーダルへと舞い戻った。
その目的は彼自身の勝利であり、そしてもしかしたら、このチームを新たな「ウルフパック」とするためなのかもしれない。
よって、ジルベール自身の勝利はもちろん、チームの若き才能の走りにも注目をしておきたい。
もちろんミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベの覇者ジョン・デゲンコルプも決して油断ならない存在だ。
その他のチームメンバー
Sジョン・デゲンコルプ(ドイツ、31歳)
Rスタン・デウルフ(ベルギー、23歳)
Rフレデリック・フリソン(ベルギー、28歳)
Rニコラス・マース(ベルギー、34歳)
Rブライアン・ファンフーテム(オランダ、29歳)
Pティム・ウェレンス(ベルギー、29歳)
ニキ・テルプストラ(チーム・トタル・ディレクトエネルジー)
オランダ、36歳
2014年パリ〜ルーベ覇者にして、ロンド・ファン・フラーンデレンも2018年に制している。前年のジルベール勝利に続く独走勝利だ。残り30㎞のクルイスベルグで抜け出し、同じポイントで抜け出したものの最後にクリストフとの一騎討ちに敗れた2015年のリベンジを果たした。
翌2019年からはプロコンチネンタルチーム(現UCIプロチーム)のトタル・ディレクトエネルジーに移籍。このチームもプロコンチネンタルとは言え、アドリアン・プティやアンソニー・テュルギスなど強力なライダーを揃えるクラシックチームだ。十分に勝利を狙える・・・と思っていた中で、テルプストラ自身がこのロンド・ファン・フラーンデレンの序盤で落車リタイア。戦わずして敗北を喫してしまった。
果たして今年は挽回を果たせるか。
その他チームメンバー
S ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、27歳)
Cリリアン・カルメジャーヌ(フランス、28歳)
Rダミアン・ゴダン(フランス、34歳)
Rピム・リヒハルト(オランダ、32歳)
Sアドリアン・プティ(フランス、30歳)
Sアンソニー・テュルギス(フランス、26歳)
アルベルト・ベッティオル(EFプロサイクリング)
イタリア、27歳
セップ・ファンマルク(EFプロサイクリング)
ベルギー、32歳
2019年覇者のベッティオル。ただし彼は北のクラシックのスペシャリストというよりかは、アルデンヌ系に強いパンチャータイプの選手である。
その意味で、より純粋に優勝候補と言えるのはそのベッティオルの勝利を強力にアシストしたファンマルク。昨年の彼はその直前のE3ピンクバンク・クラシックで落車して膝
彼自身はその後、パリ〜ルーベにて引き続き素晴らしい走りを見せて最終盤まで残ったものの、またもあと一歩で勝利を逃し、悔し涙を流していた。その年はブルターニュ・クラシックにて勝利を掴んだ彼ではあるが、今年こそは、彼自身が「王」になるべき年だ。
その他、同じく昨年のベッティオル優勝をサポートしたチームの第3の男ラングフェルトにも注目だ。
その他チームメンバー
Sマグナス・コルトニールセン(デンマーク、27歳)
Rイェンス・クークレール(ベルギー、32歳)
Rセバスティアン・ランゲフェルト(オランダ、35歳)
Pヨナス・ルッチ(ドイツ、22歳)
Rユリウス・ファンデンベルフ(オランダ、24歳)
アレクサンダー・クリストフ(UAEチーム・エミレーツ)
ノルウェー、33歳
2015年覇者。そのときはクルイスベルグにてニキ・テルプストラと共に抜け出し、最後はスプリントでこれを打ち倒した。
その後はそこまで大きな結果を叩き出していないようにも思えるが、昨年のロンドはメイン集団の先頭を取り、表彰台に。昨年ルーベ2位のニルス・ポリッツや、怪物マチュー・ファンデルポールらをスプリントで抑え込むさすがの走りを見せた。ヘント〜ウェヴェルヘムでのガビリアとのコンビネーションによる勝利も記憶に新しい。りんぐすらいど独自集計の2019年シーズン北のクラシックランキングでも堂々の首位に[リンク]。
さらに、ゲームにおいても、彼は強さを見せつけている。CCCチームで20勝を目指すシリーズにて、2019年の前哨戦E3ハーレルベーケとロンド本戦を共に制していることだ。
とにかく集団でゴールに到達すれば誰よりも強いことは証明されているので、チームの力でそこまで運び込んであげて欲しいものだ。
その他チームメンバー
Tミケル・ビョーグ(デンマーク、22歳)
Rスヴェンエーリク・ビストラム(ノルウェー、28歳)
Rヴェガールステーク・ラエンゲン(ノルウェー、31歳)
Pマルコ・マルカート(イタリア、36歳)
Sジャスパー・フィリプセン(ベルギー、22歳)
Rオリヴェイロ・トロイア(イタリア、26歳)
グレッグ・ファンアーヴェルマート(CCCチーム)
ベルギー、35歳
2017年にパリ〜ルーベは制したものの、ロンドについては常に惜しいところで勝ちを逃し続けてきた。現チームのエースとなった昨年はクラシックで1勝もできず。それは、間違いなく「弱体化」してしまったチームの中でたった1人で動かざるを得ない場面があまりにも多く、行くべきところで行けなかったり、逆に重要な局面で自ら牽かなければならない場面が多く見られた。
その意味で、今年はマッテオ・トレンティンという強力な「ダブルエース」がいてくれる。トレンティン自身もミッチェルトン・スコットで同様の立場に立たされていたことも多く、ウィン・ウィンの関係である。
そのコンビネーションは、現実のレースにおいても、開幕戦となるオンループ・ヘットニュースブラッドで見事に発揮された。残り70㎞、早すぎる勝ち逃げ集団の形成の際に、トレンティンがその集団にきっちりと入り込んだ。後続のファンアーヴェルマートは彼らがメイン集団に飲み込まれたときに備えて慌てずに足を貯めることができるという立場に立てるようになったのだ。
結局その後は現実世界のクラシックレースが軒並み延期中止となりその威力は分からずじまいだったが、ゲームの中でなら、ミラノ〜サンレモではやはりこのコンビネーションがかなり効果を発揮した。
だから期待できる。今年こそファンアーヴェルマートのロンド制覇を。
その他チームメンバー
Rミヒャエル・シェアー(スイス、34歳)
Sマッテオ・トレンティン(イタリア、31歳)
Rネイサン・ファンフーイドンク(ベルギー、25歳)
Rギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、29歳)
Sフランシスコ・ベントソ(スペイン、38歳)
Rルカシュ・ウィシニオウスキ(ポーランド、29歳)
ワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィズマ)
ベルギー、26歳
2019年はロンドでこそ存在感は薄めだったものの、パリ〜ルーベでは幾多ものトラブルに見舞われながらも、最後の最後まで先頭集団に残り続け強さを見せつけた。それが故に、敗北の際はあまりにも悔しく倒れ込みながら涙を流し続けていた。
だがその後、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネとツール・ド・フランスにて、ライバルのマチューすらまだ達していない栄光を立て続けに重ねていったーーそのツール・ド・フランスで、悲劇的な事故に襲われるまでは。
選手生命の危機すら予感させた事故にも関わらず、彼はこの冬、あまりにも早い復活劇を見せた。シクロクロスシーズンの大半を棒に振ったものの、最終盤の世界選手権では4位に入る驚くべきリザルトを。本来の彼の力が100%戻ってきたわけではないにせよ、十分に走れるほどにまで復活できたのはやはり驚異的な回復力であると言わざるを得ない。
クラシック開幕戦のオンループでは、ダブルエースのテウニッセンが先頭集団に入り込んだこともあり彼自身が勝負には出なかった。それでも後続集団から積極的に抜け出そうとする走りは、ほんの半年前に大怪我を負ったとは思えない姿であった。
ゲームの中でも、ミラノ〜サンレモで見事なリザルトを残すなど絶好調。期待大の選手だ。
その他チームメンバー
Rパスカル・エーンクホーン(オランダ、23歳)
Rアムンドグレンダール・ヤンセン(ノルウェー、26歳)
Sティモ・ローセン(オランダ、27歳)
Sマイク・テウニッセン(オランダ、28歳)
Rタコ・ファンデルホールン(オランダ、27歳)
Rマールテン・ワイナンス(ベルギー、38歳)
ジャスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)
ベルギー、28歳
トレック所属ということもあり、5年以上前からエドワード・トゥーンスと並んで「カンチェラーラの後継者」的な呼ばれ方もしていた男。しかし、実力に比してなかなか思うような結果を出せずいた彼が・・・今年、オンループで勝利を掴み取った。
この勝利の背景には、彼自身の強さだけではなく、チーム全体の調子の良さも影響していた。
今こそ、トゥーンスとのダブルエース・・・いや、世界王者マッズ・ピーダスンと合わせたトリプルエースとして、活躍を期待したい。ストゥイヴェンが先行し、ピーダスンが遊撃隊となり、ある程度集団で戦うことになればトゥーンスがスプリントで仕留める、そんな感じで。
特に悪天候になれば、タフネスなピーダスンはさらに力を増すことだろう。
その他チームメンバー
Sクーン・デコルト(オランダ、38歳)
Rアレックス・キルシュ(ルクセンブルク、28歳)
Tライアン・マレン(アイルランド、26歳)
Rマッズ・ピーダスン(デンマーク、25歳)
Pキール・レイネン(アメリカ、34歳)
Sエドワード・トゥーンス(ベルギー、29歳)
マチュー・ファンデルポール(アルペシン・フェニックス)
オランダ、25歳
シクロクロスの・・・いや、「自転車の天才」。自転車星からやってきた宇宙人でもある。ロンドは昨年初出場。途中落車のトラブルも乗り越えて、最後はスプリントで4位に入るなど、相変わらずの強さを発揮してみせた。
逆にあの落車がなかったら・・・? 今年は拾い忘れたその勝利を狙いにいく。
昨年彼の集団復帰を強力にアシストした「レジェンド」スティン・デヴォルデルは引退。代わりに2017年6位のサッシャ・モドロや、2017年16位のスウェイツなど、ワールドツアーチームから移籍してきた新アシストたちがどこまで「怪物」を支え切ってみせるか。
その他チームメンバー
Rドリス・デボント(ベルギー、29歳)
Rラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、28歳)
Sロイ・ヤンス(ベルギー、30歳)
Sサッシャ・モドロ(イタリア、33歳)
Rヨナス・リッカールトン(ベルギー、26歳)
Rスコット・スウェイツ(イギリス、30歳)
ドゥクーニンク・クイックステップ
ここだけ「チーム」での紹介。何しろ十分に勝ちを狙えるエースだけでも、昨年2位のカスパー・アスグリーン(デンマーク、25歳)、昨年パリ〜ルーベ3位のイヴ・ランパールト(ベルギー、29歳)、昨年オンループとE3の覇者ゼネク・スティバル(チェコ、35歳)、そして昨年北のクラシック初挑戦ながら上記スティバルの勝利を2度ともアシストし続け、さらにこのロンドでもアスグリーンと共に最終盤まで残り続けた男ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、28歳)など。
その中でも特に注目しておきたいのが、昨年のユンゲルスのように今年北のクラシック初挑戦となるジュリアン・アラフィリップ(フランス、28歳)。パトリック・ルフェーブルGMに「パリ〜ルーベ以外の全てのモニュメントを狙える男」と言わせた彼は、裏を返せばロンドは十分に勝てるということ。実際、何でもかんでも器用にやってのける彼に、不可能はないように思える。
また、フロリアン・セネシャル(フランス、27歳)も昨年ル・サミンを勝ってるチームの成長株。こういうのが突然大きなリザルトを残すのがクイックステップの特長だ。
さらに純アシストのように思える「トラクター」ティム・デクレルク(ベルギー、31歳)も、今年のオンループで自身クラシックでは初のシングルリザルトとなる5位を記録。
2月には同じく純アシストとも言えるデヴェナインスが勝ってるだけに、今度はデクレルクの時代、来ちゃうかも?
・・・結局、全員注目選手である。それがドゥクーニンク・クイックステップだ。
まだまだ注目選手はいる。AG2Rのオリバー・ナーセン、イスラエルのニルス・ポリッツ、サンウェブのティシュ・ベノートなど・・・。
誰が勝ってもおかしくはない。だが、勝つのは本当に強い者だけだ。そこにはまぐれは、存在しない。
ゲームでもきっと、同じような「納得のいく勝利」を見られるはずだ。
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