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オンループ・ヘットニュースブラッド2020 9人の視点から振り返る

 

「春のクラシック」開幕戦オンループ・ヘットニュースブラッドが無事、閉幕した。

2年前から現在の「カペルミュール~ボスベルグ」フィニッシュへと変更し、2年連続で劇的な展開を生んでいるこの大会。

今年も白熱のレース展開ののち、「決して最強でない男」が勝利を掴んだ。

 

今回はこのフランドル開幕戦について、主にCyclingNewsの記事を確認しながら、合計9名の視点から振り返っていきたいと思う。

 

↓過去2年のレースの振り返りはこちらから↓

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↓今年のレースプレビューはこちらから↓

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「失敗」に終わったイネオス

この時期のベルギーは、いつも曇り空の下で雨と風に曝されているイメージがある。

それはこの日も同様だった。雨はすぐに晴れたものの、路面には水溜まりが浮き、プロトンは常に強い横風に襲われ続けた。

 

そんな中、最初の波乱は、スタートからわずか70㎞程度の位置にある石畳区間「ハイスポントウェフ(Huisepontweg)」で巻き起こる。

横風によっていくつものエシェロンが形成され、その中でメイン集団から16名の選手が抜け出す形となった。

そしてその中に、トレック・セガフレードが4名、チーム・イネオスが5名の選手を紛れ込ませていたのである。

 

 

チーム・イネオスは2017年ロンド・ファン・フラーンデレン4位のクラシックエース、ディラン・ファンバーレの欠場が直前に決まっていた。それでも、7名のライダーの中には、2度のオンループ覇者イアン・スタナードに、2016年ロンド5位のルーク・ロウ、2017年パリ~ルーベ5位のジャンニ・モスコンなど、十分にタレントは揃っていた。

そして、スタート直後に手に入れたこの、「5名がメイン集団から抜け出す」というチャンス。ただちにその集団はプロトンから30秒ほどのギャップを作り出した。

 

だが、ここに1人も選手を乗せることのできなかったCCCチームが全力でプロトンを牽引。25㎞ほどの追走劇の果てに、16名の集団はプロトンに引き戻されてしまった。

そしてその直後、石畳区間「ハーフーク(Haaghoek)」と激坂「レベルグ(Leberg)」が連続する区間(残り90㎞地点)で、ジャスパー・ストゥイヴェンとティシュ・ベノートのアタックをきっかけに集団が活性化。

最初の動きのあと、いささか足を休めるために集団の後方に陣取っていたイネオスの面々は、この動きに全くついていくことができなかった。

ルーク・ロウがその後懸命に集団を牽引して逃げ集団とのタイム差を埋めようとするが、「今日はベストな日ではなかった」というロウの牽引では、そのタイム差は開く一方となってしまった。

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 レース後に、チーム・イネオスの監督であるガブリエル・ラッシュは次のように語った。

 

我々の失敗の理由を分析する必要がある。そして、それを変えていく必要も。レベルグの後、我々は油断しすぎていた。新たに作られたエシェロンのグループが前に行ってしまったとき、そこに我々は一人も入れることができなかった。それが一番の理由で、あとは今日、ほとんどの選手が足を残せていなかった」 

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実際、イネオスの出場メンバー7名のうち、完走できたのはわずか3名(ベン・スウィフト、スタナード、モスコン)。

イネオスにとって、実に散々な結果となったクラシック緒戦であった。

 

この先の2か月で、この状態を立て直すことはできるのか。

 

 

ヨナス・ルッチという才能の輝きと「大失敗」

レベルグでの動きは集団を削ぎ落しはしたものの、いまだ決定的な動きとは言えなかった。

だがその後の激坂「レケルベルグ(Rekelberg)」を前にして再び攻撃が開始される。

 

先手を打ったのはCCCチームのグレッグ・ファンアーフェルマート。これが引き戻されると、レケルベルグを越えた先の細い道で、今度はフレデリック・フリソン(ロット・スーダル)、セーアン・クラーウアナスン(チーム・サンウェブ)、ティム・デクレルク(ドゥクーニンク・クイックステップ)ら4名が抜け出した。

この危険な動きにすぐ反応してブリッジを仕掛けたのがジャスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)、イヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ)、マッテオ・トレンティン(CCCチーム)、そしてマイク・テウニッセン(ユンボ・ヴィズマ)の4名である。

 

そしてこの8名の精鋭集団の中に、わずか22歳のネオプロ、ヨナス・ルッチ(EFプロサイクリング)が含まれていた。

 

 

ルッチは今年からEF入りを果たしたプロ1年目のドイツ人である。

しかしジョナサン・ヴォーターズが「彼はターミネーターのアーノルド・シュワルツネッガーのようなマシンだ」と形容する197㎝のパワーライダーは、開幕戦のツアー・ダウンアンダーからいきなり、ウィランガ・ヒルの最終登坂まで逃げ続け、そこでも積極的なアタックを繰り出していた。

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そのアグレッシブさは続くレース・トーキー、そしてヘラルドサン・ツアーでも変わらず、そして今回のオンループにおいても、まさにその期待通りの積極性でもって、レケルベルグ後に形成された決定的な逃げ集団に乗り込むことができたのである。

 

そこまでは良かった。

しかしここで、彼は実にネオプロらしい「大失敗」をやってのけてしまう。

 

それは実に愚かなミスだった。完全に自分の失敗だった。それは足がなかったとか機材のトラブルだとかではなくて、ただのミスだったんだ。

 それについては今、説明したくはない。でも、それはもう2度と、決して起こすつもりはない。僕はそのミスから学ぶことができたのだから・・・」 

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のちにチームの監督であるアンドレアス・クリールの語るところによると、それは彼がレインコートを脱ぎ捨てようとした際に(横風のためか)うまくいかず、そこでもたついているうちに他の逃げメンバーとのギャップが開いてしまい、それがもはや1人では埋めきれないほどにどうしようもないものになってしまったのだという。

あまりにも唐突な、そして不可解な遅れだったため、一部メディアではハンガーノックという風に書かれることもあったこの出来事。

だが、彼はあくまでもネオプロ1年目。失敗は当たり前であり、そこからいかに学ぶかが重要であると、クリールも語っている。

 

私は今回のことで彼を叱責するつもりはない。彼は今この瞬間はもしかしたら目の前が真っ暗な気持ちになっているかもしれないが、彼があのグループから落ちたから我々が負けたわけでもない。レースとは結局のところ、最も強いものが勝つのだから。 

 私は彼に言いたい。まだまだ学ぶべきことはたくさんあると。プロの世界では一度の失敗で即座に報いを受けることで満ち溢れている。彼がどこまで行けるのか誰も知りはしないけれど、1秒だって目を閉じていい時間はない

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事実、今回のレースで、彼は確かに失敗はしたが、決して悪いレースをしたわけではない。

むしろ、このU23ヘント~ウェヴェルヘム覇者は、最初のクラシックレースで実に期待のできる走りをしてみせたのである。

 

「もう2度と失敗はしない」と誓ったルッチ。次に彼が掴み取るのは、栄光の瞬間であるはずだ。 

 

 

ユンボ・ヴィズマの敗北と「手応え」

失敗に終わったイネオス、そして個人的な失敗を味わったEFのルッチと比べると、まだユンボ・ヴィズマは「成功」に近い位置にいた。

 

残り70㎞、レケルベルグでの決定的な動きの中で、ユンボ・ヴィズマのエース、ワウト・ファンアールトは反応することはできなかったものの、この動きを危険であると感じたもう1人のエース、マイク・テウニッセンは見事にブリッジを仕掛けることができた。

だが、「時速60㎞で走り続けているかと思えば、突然時速20㎞で走らなければならないポイントがあったりする、とにかくハードなレースだった。しかも自分にとってもシーズン最初のレースで、思っていた以上にうまく立ち回るのは難しかったよ」と語るテウニッセンは、最後の勝負所「カペルミュール」の登りで、イヴ・ランパールトの作り上げたハイ・ペースについていけずに脱落してしまった。

 

だが、その敗北は決して反省ばかりではなく、手応えも感じていた。何より、このチームが確かにファンアールトとテウニッセンのダブルエースであることを証明したレースであったのだから。

 

チーム・リーダーはいない。今回は自分が動いてワウトを快適なポジションに置くことができた。もし逃げ集団の中の他のメンバーが2分以上のタイム差を後続につけることができなかったならば、ワウトがブリッジを仕掛けることもできていただろう

 

実際、昨年のツール・ド・フランスでの悲劇的な事故の後、ロードレースにおける半年以上ぶりの復帰戦となる今回のレースで、ワウトは決して悪い走りをしていなかった。

テウニッセンが先頭グループで十分なパフォーマンスを発揮できないと分かってからは、後続集団からなんとか先頭に追い付こうと、パスカル・エーンクホーンの力を借りながらプッシュし続ける場面も見られた。このときは彼の動きを警戒する他チームの牽制によって、うまくいかなかったけれど・・・。

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ワウトもまた、レース後に自身の状態について次のように語っている。

  

自分の状態がとても良いことが分かった。テネリフェでの登坂練習も問題なかった。今はとにかく、ポジティブな条件ばかりが揃っているよ

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そもそも、このオンループには元々、出場する予定がなかった。元々は1週間後のストラーデ・ビアンケでロードレースシーズンを始める予定だったが、最近の新型コロナウイルス問題によってレースの開催に黄信号が灯っている中で、予定より早めのシーズンインを考えての参戦だった。

彼の目標はあくまでも「ホーリー・ウィーク」、すなわちロンド・ファン・フラーンデレンとパリ~ルーベである。

 

 

そのうえで、今回のレースは、このテウニッセンとファンアールトというユンボチームのダブルエースが十分に機能していたことを示すだけであり、その敗北から過剰に失望を覚える必要はなさそうである。

 

 

CCCチームの敗北と「手応え」

同様の結論は、CCCチームについても言える。とくにこのチームの動きについては、昨年のこのチームの大いなる課題への回答であり、昨年の移籍市場での試みが確かに成功していたことを証明するものであった。

 

残り70㎞「レケルベルグ」での動きにテウニッセンが乗り込んだように、マッテオ・トレンティンもまた、この決定的な逃げ集団にジョインすることに成功した。

後ろに取り残されたグレッグ・ファンアーフェルマートもファンアールト同様に先頭に追い付くことを試みたが、多くのサブリーダーを先頭に残している他チームの協力は得られず、結局2分以上のタイム差を埋めることができなかった。

追走グループの中で足を貯めることができていて、もし先頭集団を捕まえることができたら、もう1度チャンスが巡ってくる」とファンアーフェルマートは振り返っているが、その動きは昨年、彼がしようと思ってもできない戦術だった。それこそ昨年のオンループでは、一人で動かざるを得ないがゆえに足を使いすぎて、最後にスティバルに敗れてしまっていたのだから。

グレッグ・ファンアーフェルマートは、そしてCCCチームは、トレンティンというもう1人のエースがチームに入ってきたことにより、確実に戦略の幅を広げることができている。

 

もちろん、トレンティンは敗北してしまった。残り17㎞のカペルミュールでのランパールトのアタックに、ついていくことができずに引き離されてしまった。

その後は先頭を走るランパールトとストゥイヴェンとアナスンの3名との10数秒のタイムギャップを一人で埋めようともがき続けたが、結局それは成し遂げることができずに、4位で終わってしまった。

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それでも、レース後のトレンティンのコメントは悲観的なものではない。

 

もちろん、結果は残念だよ。でも自分の走り、そしてチームの走りには満足している。

 レース開始直後、16名の逃げが生まれたときに、我々は一人も前に送ることができておらず、危機的な状況だった。でもそこでチーム一丸となってこれを挽回し、そして次のアタックでは自分がそこに乗ることができた。

 次のクラシック・レースに向けて、状態は決して悪くない。今回はほんの始まりに過ぎないのだから

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「ダブルエース」体制を築き上げた今年のCCCチームが、この先の2か月のクラシック・シーズンで結果を出すことを強く願っている。

 

 

デクレルクの献身とランパールトの挑戦

さて、すでに繰り返し述べたように、残り70㎞のレケルベルグでの動きの次に重要なポイントとなったのは残り16㎞の「カペルミュール(ミュール・ド・ヘラーツベルヘン)」である。

だがその前に、レケルベルグで形成された8名(間もなくルッチが脱落して7名)が「逃げ切り」を果たすうえで重要な役割を果たしたのが、「トラクター」ことティム・デクレルクであった。

ドゥクーニンク・クイックステップの最強牽引役の筆頭、デクレルクは、この日もしっかりと期待された仕事を果たし、カペルミュールに到達するまでにプロトンとのタイム差を2分以上縮めることを許さなかった。

そしてカペルミュールに到達すると共にデクレルクは脱落。同時に、今年のドゥクーニンク・クイックステップのクラシックエースの筆頭となるべき男、イヴ・ランパールトがアタックを仕掛けた。

 

このときの7名を復習すると次の通りである。

 

  • フレデリック・フリソン(ロット・スーダル)
  • セーレン・クラーウアナスン(チーム・サンウェブ)
  • ジャスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)
  • マッテオ・トレンティン(CCCチーム)
  • マイク・テウニッセン(ユンボ・ヴィズマ)
  • イヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ)
  • ティム・デクレルク(ドゥクーニンク・クイックステップ)

 

スプリント力は決して低くはないものの、それでもスプリンターと呼ばれうる選手たちに比べると不安のあるランパールトにとって、この7名の中に含まれるストゥイヴェン、トレンティン、テウニッセンはいずれも最後まで連れていきたくない選手たちであった。

それがゆえに、このカペルミュールでは彼らすべてを振るい落とし、できれば独走を開始したいところであった。

 

だが、カペルミュールで力強く踏み続けたランパールトのハイ・ペースにも関わらず、ジャスパー・ストゥイヴェンはそこに食らいつき続けていった。

むしろ彼はランパールトの前を走り、主導権を奪いにかかったのである。

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その後、遅れて追いついてきたセーアン・クラーウアナスンも含めて先頭3名。

単独で追走を仕掛けるトレンティンとのギャップを保ちつつ、3人はいよいよフィニッシュに近づいていくことになる。

 

純粋なスプリントで彼に敵わないとは思っていない。以前、ドイツ・ツアーでも彼を倒したことはある。だが、今日みたいなタフなレースの後では、誰が勝つのか全く予想はできない。だから僕は確実に勝ちを手に入れるために、独走を仕掛けたかった

 

とランパールトが語ったように、彼は残り2㎞の平坦路で最後の力を振り絞ったアタックを繰り出した。

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僕はジャスパーがセーアン・クラーウアナスンと牽制し合ってくれればいいと思っていた。けれど、彼は迷いなく僕に食らいついてきた。そして彼はカウンターでアタックを仕掛けた。僕はそこに必死で食らいついていった。それでもう、僕にはスプリントできる力はすべてなくなってしまった

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そして、最後の瞬間へ。

 

 

 

敗北を恐れなかった男の勝利

ジャスパー・ストゥイヴェンという男は、22歳でプロデビューを果たし、ベルギーの次のクラシックを担う存在として大きな期待を持たれていた。

2016年、23歳のときに、彼はクールネ~ブリュッセル~クールネで驚異的な独走逃げ切り勝利を果たす。それは栄光へのスタートであり、続いて大きなクラシックでの勝利を積み重ねていくだろう――多くのファンが、そのように信じていた。

 

だが、意外にも彼はそこで停滞する。昨年も、チームメートのエドワード・トゥーンスと共に、春のクラシックにおける最大の優勝候補の1人として注目を集めていた。

だが、彼は振るわなかった。チームもまた、低迷していたように思う。

 

だが、そんな彼もチームも、2019年のシーズン終盤から少しずつ上向きになっていった。

ストゥイヴェン自体も、9月初頭のドイツ・ツアーで総合優勝を果たした。世界選手権の1週間前には、プリムス・クラシックでストゥイヴェンがエドワード・トゥーンスのための完璧なチームワークを発揮して、彼の逃げ切り勝利をアシストした。

 

そして、ヨークシャー世界選手権における、マッズ・ピーダスンの鮮烈なる勝利。

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年明けもこの勢いは止まらず、ツアー・ダウンアンダーにおけるピーダスンの献身的な牽引とそれによってもたらされたリッチー・ポートの総合優勝

チャレンジ・マヨルカでのマッテオ・モスケッティのパスカル・アッカーマンに対する2勝。

さらにはツール・ド・オー・ヴァルでのジュリアン・ベルナールのプロ初勝利。

特定の誰かが強いというわけではなく、チーム全体が良い雰囲気の中で「誰もが勝てる」というイメージが出来上がっているように思えた。

 

それはストゥイヴェン自体も感じ取っていた。

 

チーム全体が昨年末からいい雰囲気になっていて、それが僕に『できる』って思いにさせてくれたんだ

 

そして、2019年前半の不調を踏まえて、彼は逆に落ち着いた精神状態で、今回のレースに臨むことができていた。

それが、あの残り70㎞の段階でのブリッジをもたらした。

 

僕はブリッジを仕掛ける最後の選手だった。かつてであれば、僕はきっと、負けるのを恐れて動けなかっただろう。僕はもう敗北を恐れていない

 

そして、彼はカペルミュールでランパールトの攻撃に耐え、ボスベルグも耐え、残り2㎞での彼のアタックにも耐え抜いた。

 

そしてストゥイヴェンのスプリント力を恐れるランパールトによって前に出されたまま迎えた最終ストレート。

ランパールトが腰を上げたのを確認してストゥイヴェンもスプリントを開始。

そして、しっかりと、彼を一度も前に出さないまま、ストゥイヴェンはついに初のワールドツアー・クラシックでの勝利を掴み取った。

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他のレースでも同じように僕が優勝候補の筆頭だとは思っていない。この勝利にはとても満足しているけれど、また次のレースがすぐやってくる。僕はこの良い状態を維持していかなければならない。そして、リラックスした気持ちで次のレースを迎えることにしよう

 

かつてはカンチェラーラの後継とまで言われ期待されてきた男は、数年間の苦しい時期を経て、いよいよその大きすぎるプレッシャーとうまく付き合う方法を身に着けていったようだった。

それは、チームの支えあってのことだった。彼以外にも多くの若く強い選手たちが現れ、チーム全体で「最強」ではないけれど、着実に勝ちを拾っていこうとする姿勢が共有されていっての結果だった。

ストゥイヴェンはただ一人の優勝候補ではない。

トレック・セガフレードは常勝が当たり前の最強チームではない。

 

それでも彼らはきっとこのあとも少しずつ勝利を拾っていくだろう。

 

 

まずはおめでとう、ジャスパー。

これからもささやかに期待している。

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