いよいよ今週末は「クラシックの王様」ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)!
・・・もちろん、新型コロナウィルス問題によって、御多分に漏れずこのロンド・ファン・フラーンデレンも延期となってしまっている。
そこで、先日のストラーデビアンケ、ミラノ〜サンレモに続き、今回のロンド・ファン・フラーンデレンもYouTubeでスタートリストを再現して「実況」することにした。
今回は、その実況プレイに先立って、ロンド・ファン・フラーンデレンのコースにおける各「注目ポイント」を確認していく。
今回の実況プレイはもちろん、実際に延期されて開催された際にもぜひ参考にしていただきたい。
なお、各ポイントの残り距離や登坂距離、勾配などははあくまでも目安。現実のレースとゲームの中のプロフィールは若干異なるので注意すること。
↓実際の動画はこちらから↓
スポンサーリンク
残り100㎞「カペルミュール」
全長1,075m / 平均勾配9.2% / 最大勾配19.8%
かつては勝負所の激坂として知られた伝説の石畳急坂(ミュール)。正式名称は「ミュール・ド・ヘラーツベルヘン」。
登りの頂上には教会(カペル)が建てられており、そこからこの名前が取られている。
2017年に5年ぶりに復活したこの伝説の登りは、残り100㎞というゴールから遠く離れた位置に設定された。それがゆえに、勝負には大きく関わることはないだろうーーそんな風に思われた。
しかし2017年はこの登りでトム・ボーネンがアタックを仕掛け、形成された13名の小集団の中にクイックステップが3名。サガン、ファンアーフェルマートがここに加われず、その後のジルベール独走勝利のきっかけを作ったのである。
2019年ではこのカペルミュールでの分裂のあと、集団は再び1つになり、この登りが決定的な意味を持たずに終わったように見えた。
しかし下記の記事で述べているように、実はこの登りでの分断が、常勝軍団クイックステップの精鋭陣の疲弊を招く罠となっていたように思う。
今年もこの登りが重要な役割を果たすことは、間違いないだろう。
残り60㎞「2回目オウデクワレモント」
全長2,200m / 平均勾配4.0% / 最大勾配11.6%
全部で3回登ることになる2013年以降の大会の象徴「クワレモント旧道」。
勾配は決して厳しくはないが荒れた石畳の登りがひたすら延々と続き、本当の実力者だけがじりじりと前へ進むことのできるセクションとなる。
この時点ではまだ2回目で、ゴールまでも距離があるため、基本的にはそこまで決定的な動きは作られないのだが、2017年にはまさにここでジルベールの独走が始まった。
2019年においてもステイン・ファンデンベルフとセップ・ファンマルクがここで逃げに乗り、のちのベッティオル優勝への伏線を作り上げた。
決して油断のできないポイントだ。
残り30㎞「クルイスベルグ」
全長2,500m / 平均勾配5.0% / 最大勾配9.0%
大会最長の石畳激坂は、ゴールまで残り30㎞という絶妙な位置にあることもあって、これまでも数多くの決定的な動きを作ってきた。
2018年もまさにそうだった。この10㎞手前に位置する「ターインベルグ」で30名ほどに絞り込まれたメイン集団の中で、クイックステップはジルベール、スティバル、ランパールト、そしてテルプストラと最も多くの選手を残していた。しかもその全員が、エース級だったのだ。
まず動いたのはスティバルだった。数々のレースで「先鋒」としての役割を果たし、その結果勝利も得ている男だ。このときも彼がきっかけを作った。
スティバルの攻撃に対してサガン、クウィアトコウスキー、ニバリが反応。後続が追いついたところでニバリがカウンターアタック。これについていったのがテルプストラだった。
クイックステップの全ての攻撃に逐次反応するわけにはいかない。とくに前年覇者ジルベールや、直前のドワーズ・ドール覇者ランパールトの動きは認められない。しかしE3でも独走勝利していたテルプストラもまた、逃してはいけない選手だった。結局は、クイックステップのカードの枚数が多すぎて、ライバルチームはどうしようもなかったのだ。
ニバリとともに抜け出したテルプストラは、そのまますぐに彼を突き放し、勝利へと至る独走を開始した。
ちなみにこのクルイスベルグは、2015年にもテルプストラがアタックして抜け出している。
しかしそのときはアレクサンドル・クリストフが食らいついてきてしまい、最後はスプリントで敗れてしまった悔しい思い出があり、2018年は見事なリベンジの舞台となったわけだ。
今年もこのクルイスベルグが見逃せない展開を生みそうだ。
なお、2016年はサガンがファンマルク、クウィアトコウスキとともにこのクルイスベルグの手前の舗装路で抜け出してカンチェラーラを置き去りにしている。
2019年も同じ舗装路区間でマチュー・ファンデルポールとワウト・ファンアールトが積極的な攻撃を見せ、これを抑え込むために動いたゼネク・スティバルが脱落している。
すでに2017年覇者ジルベールもこの時点で脱落しており、この年のクイックステップ敗北の予兆が確かに刻まれていた。
よって、この残り30㎞地点から始まるエリアについては、急坂クルイスベルグ以外も含め、常に警戒すべきポイントとなっている。
残り17㎞「3回目オウデクワレモント」
全長2,200m / 平均勾配4.0% / 最大勾配11.6%
残り14㎞「2回目パテルベルグ」
全長360m / 平均勾配12.9% / 最大勾配20.3%
いよいよクライマックス。ゴール前に用意された2つの登りの連続。
オウデクワレモントは長く荒れた石畳、パテルベルグは短い代わりに、前輪が浮いてしまいそうになるくらいに強烈な激坂となっている。
パデルベルクを「ペテルベルク」と名付けてしまいたくなるくらいに鮮烈な勝ち方を見せたのが2016年のペテル・サガンであった。
すでにクルイスベルグ手前で集団から抜け出していたサガンは、この「3回目オウデクワレモント」で加速を開始したカンチェラーラに追いつかれることもなく、最後に「2回目オウデクワレモント」で同行者ファンマルクを突き放した。
2019年もベッティオルが抜け出して独走を開始したのがこの3回目オウデクワレモントであり、確実に勝負を決する最終ポイントなのである。
ラスト13㎞「王の道」
最後の登り「2回目パテルベルク」を越えたあと、残されたのは13㎞にわたって続く平坦路である。
私はここを勝手に、「王の道」と呼んでいる。
2016年のサガン独走、そして2019年のベッティオル独走は共に、決して逃げ切り確定と言えるような状況ではなかった。
2016年のサガンは後方からあの世界最強TTスペシャリストのファビアン・カンチェラーラが迫ってきているのであり、2019年もクリストフやナーセン、サガン、ファンアーフェルマートなどを含む15名もの強力な追走集団が迫ってきていたのである。
いずれも、独走するにはあまりにも厳しいーーそんな予感とは裏腹に、いずれの「王」も堂々としたペダリングで後続を寄せ付けることなく、まるで凱旋式でもあるかのように、黄金色に輝く最終ストレートを単独で走り抜いている。
この最後の13㎞は、まさに新王のための凱旋ロード。
今年も、オウデクワレモントとパテルベルクという最後の2つの登りを乗り越えた選手を、この13㎞は迎えてくれるに違いない。
以上、残り100㎞からの6つのポイントが、このロンド・ファン・フラーンデレンで見逃してはいけないポイントとなる。
次回は、今年のロンド・ファン・フラーンデレンで注目すべき選手たちを見ていこう。
スポンサーリンク