自転車ロードレースシミュレーションゲーム「Pro Cycling Manager 2019」を使用して、ブエルタ・ア・エスパーニャの展開を予想していく企画の第4弾。
使用するチームは「ミッチェルトン・スコット」。エステバン・チャベスの総合とメスゲッツのスプリント勝利を狙いつつ、実際のレースに向けてのコースの下見、展開のプレビューを行っていく。
ただし、前回の「1級山岳山頂フィニッシュ」の第5ステージにおいて、チャベス、そしてセカンドエースのニエベが共に大きくタイムを失うという結果に。
最初の総合シャッフルステージを終えての総合順位は以下の通りである。
1級山岳山頂フィニッシュを制したミゲルアンヘル・ロペスが、初日のチームTTで稼いだタイムにさらに上乗せしてすでに1分以上のタイム差をつけて総合首位に。
そしてニエベとチャベスは並んで4分以上の遅れを喫している。
これで総合争いから完全に脱落した、とは言わないものの、かなり不利な状況に立たされているのは間違いない。
果たして、ミッチェルトン・スコットとして今後どうするべきか・・・。
指針が定まらないまま、本日も第6ステージ、「山頂フィニッシュ」である。
参考リンク
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第6ステージ モラ・デ・ルビエロス 〜 アレス・デル・マエストラート 198.9㎞(丘陵)
総獲得標高は3,300m。
スタート直後から厳しい登りが待ち受けるが、そのあとは長い下りと平坦のイージー道程(とはいえ細かく小さな厳しい登りがあるのはブエルタらしいところ)。
最後は2つの3級山岳を登り山頂フィニッシュ。山頂フィニッシュではあるものの、その難易度は決して高くなく、実際のレースではあまり総合争いが動くことはないだろう。
むしろ最初の登り、そしてスプリンター向きではないという点で、この日はおそらく、実際のレースでは逃げ切りがかなりの確率で決まると考えて良い。
だが、このゲームにおいては、なかなか逃げ切りは決まらないようだ。そして、この程度の登りでも、普通にタイム差がついて総合が動くパターンが多い。
この日も変な動きはせずに、ミッチェルトン・スコットとしても正攻法で挑むこととする。
エースのチャベスのコンディションも非常に悪い状態。この状態で変な動きをしてもどうしようもない。
ここは大人しく、できる限り傷を広げないようにしてやり過ごすしかない・・・。
スタート直後からアタック合戦が白熱し、最初に9名の逃げが生まれてそのまま落ち着くかと思ったあとにも追撃が数名。
最終的には19名もの大所帯となった。
やはり逃げ切り向きという認識はAIにもあるのか。
この19名の逃げ集団の中には、元チーム右京で今年も絶好調のジョン・アベラストゥリ(カハルラル・セグロスRGA)、山岳賞ジャージを着る総合3位カールフレドリク・ハーゲン(ロット・スーダル)などが含まれている。
ハーゲンはこの日も山岳ポイントを重ねていけそうか。しかし総合3位でも簡単に逃がしてもらえるというあたり、「実力」を踏まえて逃がす・逃がさないは判断されるのだろう。
最初の2級山岳からの下りでヘスス・エラダやトッシュ・ファンデルサンドなどが巻き込まる落車が発生。
そこに巻き込まれたCCCチームのシモン・サイノックが即時リタイア。
第4ステージのマルコ・マルカートに続く、2人目のリタイア者となった。
サイノックはCCCチームのマレツコ、コッホと並ぶピュアスプリンターの1人。
ゲーム中はベヴィンが第2・第3ステージで連勝するなど調子が良いが、実際のレースではこのサイノックが第3ステージ9位、第4ステージ6位と、前評判以上の活躍を見せている。
まだ22歳のポーランド人だが、今後が期待できる存在。
ゲームでは残念ながらここで退場だが、実際のレースではぜひ注目しておきたい男だ。
19名の逃げは最大でもわずか5分程度しかタイム差を許されない。
その中でハーゲンは各山頂を次々と先頭通過していくが、最後から2番目の3級山岳の登りでボアーロやカタルドなどのアスタナ、そしてユンボ・ヴィズマのトニー・マルティンがペースアップ。
これで逃げ集団のあらかたが捕まえられていき、集団の数も50名程度にまで絞り込まれる。
ミッチェルトン・スコットの山岳アシストたちも削り取られていき、グルマイ、そしてホーゾンが足を失う。
ここで、チャベスが遅れかける。
先頭付近にいたニエベを下がらせてこれをサポート。
しかしペースが上がり切らないチャベスをアシストする中で、集団が分裂。
チャベスらはその後続集団に取り残されてしまう。
前の方にいたニック・シュルツも下がらせる。
そして後続集団の先頭を彼に牽かせる。
シュルツの献身的な牽引によって、なんとか下りに突入する前に先頭集団に復帰。
その代償は、彼の体力。
ニック・シュルツ。今年25歳のオージークライマー。
3年前にミッチェルトン・スコット(当時はオリカ・グリーンエッジ)のトレーニーとして参加していたが、翌年からはカハルラルに。スペインチームでの2年間の修行時代を経て、今年からついに母国オーストラリアのワールドツアーに正式加入した。
今年はヘラルド・サンツアーでプロ初勝利。総合でも2位に入る活躍を見せた。
まだまだ実績の少ない若手選手といった感じだが、こうしてまずはゲーム中で活躍。
現実のレースでも期待したいところ。
そして、残り8km。いよいよ最後の3級山岳が目前に迫ってきたところで、この日も最後まで逃げ粘っていた山岳賞ハーゲンが集団に飲み込まれる。
集団の先頭はロベルト・ヘーシンクが牽引。プリモシュ・ログリッチェの調子が良いのか?
残り3kmで集団からヒュー・カーシー(EFエデュケーション・ファースト)がアタック。これに集団が反応してペースアップ。
再び集団が分裂をきたそうとする中、シュルツがここでもそのわずかに残った力を振り絞って前を追う。
カーシーは捕まえられ、代わってバルベルデ、ケルデルマンが先頭に出てくる。
シュルツは脱落し、ニエベがチャベスを牽引する。
だが、ニエベがチャベスをどれだけプロテクトしようと、ニエベ以上のペースでチャベスの体力が失われていく。
やはりコンディションが悪すぎる。少なくともこの日、これ以上チャベスのためにニエベを犠牲にするのは難しい。
決断。ニエベにチャベスへのプロテクト指示を止めさせ、Dot指示(周りに構わずマイペースで走る指示)を与える。
チャベスを捨て、自らの総合を狙いに行かせる指示である。
やはりニエベはまだまだ足が残っていたようで、なんとか16名にまで絞り込まれた先頭集団に追い付く。
が、残り1kmを切ってバルベルデが先頭でペースアップ。
さすがにここで、ニエベも千切られてしまった。
ゴールまで残り300m。
バルベルデはマイヨ・ロホのロペスを突き放し、先頭でゴールへと向かう。
ゴール前で突き放されてしまった昨日のリベンジを果たすための走りだ。
って、あれ?
残り300mで、ロペスが信じられない加速を見せる。
フルサング、プールス、マイカ、フォルモロを一気に抜き去り、そしてあっという間にバルベルデに並んだ。
そして。
ああっ。
先頭でラインを割ったのは、マイヨ・ロホを着たロペス。
バルベルデはギリギリのところで差し切られ、前日に続く2位。敗北を喫した。
ということで、絶好調ロペスが2日連続で山頂フィニッシュを制覇。
実際のレースでも第5ステージの終盤で強力なアタックを見せたロペス。ゲームと現実のレースとがリンクし始めている。
バルベルデもまた2日続けての山頂フィニッシュ2位。こちらも現実のレースでも好調な走りを見せている。
ニエベは何とか9位に食い込む。まだまだ総合は諦めない。
チャベスは3分4秒遅れの31位でフィニッシュへ。
あとは、驚くべきは、プリモシュ・ログリッチェの遅れ。1分35秒遅れの17位。ジョージ・ベネットの方が51秒遅れの15位と上位でフィニッシュしているほどである。
総合TOP10は以下の通りに。
連日の活躍で、第3ステージで失ったタイムを挽回し、総合8位にまでジャンプアップ。逆にログリッチェは10位に転落。危険域に。
ニエベは5分14秒遅れの総合18位。チャベスは7分37秒遅れの総合33位。
翌日からは、ニエベを唯一のエースとして、チャベスにはアシストに回ってもらうことにする。
連日の山頂フィニッシュ。総合は激しく動き、そしてロペスが連日の好調ぶりを発揮している。
だが、次回はさらに厳しいステージ。登坂距離4km、平均勾配12.8%、最大勾配21%の凶悪な山頂フィニッシュ。
果たしてロペスはその力を引き続き発揮するのか。それとも新たなヒーローが生まれるのか。
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