りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

スポンサーリンク

【PCM2019】ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ

自転車ロードレースシミュレーションゲーム「Pro Cycling Manager 2019」を使用して、ブエルタ・ア・エスパーニャの展開を予想していく企画の第3弾。

使用するチームは「ミッチェルトン・スコット」。エステバン・チャベスの総合とメスゲッツのスプリント勝利を狙いつつ、実際のレースに向けてのコースの下見、展開のプレビューを行っていく。

 

前回までの結果、総合順位は以下の通り。

f:id:SuzuTamaki:20190827230017j:plain

基本的には初日TTTの結果でアスタナ・プロチームの面々が上位にひしめいているが、第2・第3ステージを連勝したパトリック・ベヴィンがボーナスタイムを獲得した結果、総合首位に。

また、同じく3位・2位と上位に入ったルカ・メスゲッツがボーナスタイムにより総合10位に入り込んでいる。

 

本日は今大会最初の頂上フィニッシュ。それも、標高1,950mの1級山岳山頂フィニッシュという、強烈なステージ。

総合争い必至のこの日を終えたとき、上記の総合順位表に並ぶ名前は大きく変わることは間違いないだろう。

 

参考リンク

www.ringsride.work

www.ringsride.work

 

スポンサーリンク

 

  

第5ステージ レリアナ 〜 ハバランブレ 170.7㎞(丘陵)

f:id:SuzuTamaki:20190816233622j:plain

きゅう・・りょう?

標高1,950mに位置する1級山岳山頂フィニッシュに向かう本格的な山岳ステージ、のはずだがブエルタ基準では丘陵コース。

一応、総獲得標高は3,500m程度と第2ステージとほぼ同じ数値のため、その意味ではたしかに丘陵コース・・・?

ただ、総合が動くことは間違いないだろう。

 

1級山岳のプロフィールは以下の通り。

f:id:SuzuTamaki:20190816233849j:plain

 

登坂距離11.1㎞。平均勾配7.8%というプロフィールだけであればそこまででもない、という印象を抱くかもしれないが、それは全体の平均でしかない。最初の4kmの平均勾配は5%程度ということで、そこが全体の難易度を低く見誤らせている。

本番は後半の8km。その平均勾配は常に10%近く。18%とか20%とかの突き抜けて厳しい勾配の瞬間は存在しないものの、常に大変な勾配が延々と続くという意味では、間違いなく「丘陵」と名付けて終わるのは割に合わない難易度の高さである。

 

果たして、この登りを越えてなお総合上位を保つことができる選手は一体、誰だ?

 

機材面ではエースのチャベス、ニエベ、そしてその山岳アシストたるグルマイ、ホーゾンあたりには軽量さを重視してフレームにScott Addict SL、ホイールにShimano WH-9000-C24を用意。それ以外のメンバーには快適さを重視した装備を用意している。

f:id:SuzuTamaki:20190827231245j:plain

なお、私は機材面は全く詳しくないのだが、エアロ重視のフレームScott Foilは現代エアロロードの始祖と呼ばれているらしく、 今回使用しているAddict SLは、2014年の発表時の記事を見ると6㎏を切る超軽量カーボンフレーム、とのこと。

ホイールに関してはC24で検索すると大体C24 CLの記事ばかり出てくるが、要するにめっちゃ軽い、とのことらしい。CLとCLのついてないのとの違いがよく分からないが、ゲーム中ではまったく性格の異なるホイールという扱いになっている。

 

ゲームはゲームだけど、こういったところから少しは機材の知識集められたらいいな、とは思っている。(自分では実機にあまり乗らないので・・・)

 

 

さて、大会最初の山頂フィニッシュに挑む2人のエースのコンディションだが・・・

f:id:SuzuTamaki:20190827232731j:plain

f:id:SuzuTamaki:20190827232739j:plain

控えめに言ってかなり厳しい

山岳(MON)能力や丘陵(HIL)能力は1ポイント減で留まっているが、スタミナ(STA)能力と抵抗(RES)能力が4ポイント減はかなり痛い。

スタミナはその名の通り体力ゲージの最大値であるが、抵抗(レジスタンス)とは、アタックをした際や高速域での無酸素ゲージ(赤色ゲージ、アタックに必要なゲージ)の消耗具合を減らせる能力値らしい。

いずれにせよ、最後の登りで必要不可欠な値だけに、ここに大きなビハインドを抱えるのは不安が大きい。

 

本日の逃げは5名。

f:id:SuzuTamaki:20190827234205j:plain

  • ブルーノ・アルミライル(グルパマFDJ)
  • カールフレドリク・ハーゲン(ロット・スーダル)
  • マーティン・トゥスフェルト(サンウェブ)
  • ヤコポ・モスカ(トレック・セガフレード)
  • アンヘル・マドラソ(ブルゴスBH)

 

山岳賞ジャージを着るハーゲンもしっかりと山岳ポイント収集に向かい、実際本日の唯一の2級山岳の山頂もハーゲンが獲得している。

(ゲーム中では最後の1級以外はこの2級山岳のみが山岳ポイントとなっている。実際のレースは途中にも3級山岳が存在している)

 

ゴールまで残り80kmを切ったあたりで落車が発生し、エドワード・トゥーンスやフェルナンド・ガビリアらと共に、新城幸也も巻き込まれる。

f:id:SuzuTamaki:20190827234338j:plain

この9名は最後まで集団に復帰することができないまま、グルペットとしてゴールまでたどり着くことに。総合で重要な選手は含まれていないことが不幸中の幸い。

 

 

アクシデント的なものはその程度で、あとはいくつもの登りを越えながらも集団は絞られることはなく、逃げ5名とのタイム差は最大で8分近く許された。

しかし残り30kmを切ってアスタナの面々が集団を牽引し始めると、タイム差は縮小していき3分を切るほどに。

 

そして残り11km。いよいよ1級山岳に突入する。

f:id:SuzuTamaki:20190827235251j:plain

 

最初の4kmはやはり勾配は緩やかで、動きはおきない。

しかし残り7kmを切ってからは、オマール・フライレ、ルイスレオン・サンチェスらが強力に先頭を牽引し、ペースアップ。

これによってスガブ・グルマイやダミアン・ホーゾンといった山岳アシストたちの足が一気に削られていき、ゴールまで4kmを残して2人は脱落し始める。

f:id:SuzuTamaki:20190827235734j:plain

そして、能力値・コンディション的にはチャベス以上で、今大会のエース候補でもあったニエベもまた、この時点で足がかなり危険域に。

早くもチャベスは1人で戦わざるを得ない状況に。

 

そして残り3km。

ゴルカとヨンのイサギレ兄弟が先頭に立って更なるペースアップ。

これにより、集団が分裂する。

f:id:SuzuTamaki:20190828000003j:plain

ここでチャベスはファビオ・アルやプリモシュ・ログリッチェ、ナイロ・キンタナらと共に後ろの集団に取り残される。ここから先頭にブリッジするだけの足は・・・もう、チャベスには残っていなかった。

f:id:SuzuTamaki:20190828000247j:plain

 

 

 

イサギレ兄弟の猛牽引によって11名ほどにまで絞れ込まれた集団の中から、残り2kmでいよいよロペスがアタック。

f:id:SuzuTamaki:20190828000709j:plain

これに喰らいついていけたのは世界王者アレハンドロ・バルベルデとボーラ・ハンスグローエのラファル・マイカのみ。

 

f:id:SuzuTamaki:20190828000840j:plain

残り1kmのアーチを潜るタイミングで、唯一逃げ残っていたカールフレドリク・ハーゲンを捉える3名。

 

f:id:SuzuTamaki:20190828001001j:plain

そして、ロペスがさらなる加速。

これにマイカ、そしてバルベルデもついていけない様子を見せる。

 

そのまま逃げ切ったロペスが、今大会最初の山頂フィニッシュを制覇。

f:id:SuzuTamaki:20190828001343j:plain

初日のチームTTの好調に続き、総合におけるタイム差を広げる大きな勝利となった。

 

 

そしてチャベスは、アルや遅れたフォルモロらと同じ集団でゴール。

f:id:SuzuTamaki:20190828001702j:plain

すでにロペスのゴールから4分近く経過しており、この日、ミッチェルトン・スコットは総合争いにおいて大きな、大きすぎるビハインドを背負うこととなった。

 

ステージ結果は以下の通り。

f:id:SuzuTamaki:20190828002157j:plain

ロペスはバルベルデに24秒もの差をつけてゴール。クライスヴァイク、ウラン、ログリッチェ、ラトゥール、プールスらに対しては1分半以上の大きなアドバンテージを手に入れた。

 

総合成績は以下の通り。

f:id:SuzuTamaki:20190828002458j:plain

ロペスは第5ステージにおいて総合のライバルたちに大きなタイムギャップを手に入れることができた。

またステージ2位に入ったバルベルデは、第3ステージの残り10kmでの落車により3分近いタイムを失っていたため、今日の結果があってもなお、3分21秒遅れの総合18位と落ち込んでいる。

 

そしてニエベ、チャベスの2人について言えば、4分以上の遅れをもってこの位置。

f:id:SuzuTamaki:20190828002755j:plain

総合においてのこのタイム差は、かなり厳しい状況と言わざるを得ない。

 

 

この先、この状況を挽回できるチャンスを掴むことはできるか?

それとも山岳賞などに目標を変えていくべきか?

 

第5ステージに窮地に陥ったミッチェルトン・スコット。

そして、総合優勝争いにおいて大きなリードを得たロペスはこのまま逃げ切ることができるか?

 

次回も山頂フィニッシュ。今日ほどの登りではないものの、また総合における動きが起こる可能性は、ある。 

 

スポンサーリンク

 

  

スポンサーリンク