自転車ロードレースシミュレーションゲーム「Pro Cycling Manager 2019」を使用して、ブエルタ・ア・エスパーニャの展開を予想していく企画の第2弾。
使用するチームは「ミッチェルトン・スコット」。エステバン・チャベスの総合とメスゲッツのスプリント勝利を狙いつつ、実際のレースに向けてのコースの下見、展開のプレビューを行っていく。
第1・第2ステージを扱った前回の結果、総合順位は以下の通り。
初日のチームTTは実際のレースと同様にアスタナ・プロチームが勝利したことで、マイヨ・ロホはロペスの手に。
しかし、実際のレースでは第2ステージでいきなりの波乱発生。ここはゲーム中では確かに集団は分裂したものの最後は80名ほどが復帰し、その中でのスプリントでパトリック・ベヴィン(CCCチーム)が勝利。マイヨ・ロホはロペスがキープした。
今回扱うのは平坦ステージとなる第3・第4ステージ。
基本的には総合の動きは起きない、ピュアスプリンターのためのステージとなるはずだ。
参考リンク
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第3ステージ イビ 〜 アリカンテ 188㎞(平坦)
激動の第2ステージを終え、第3ステージはバレンシアナ州の海岸線を利用した集団スプリントが見込まれるステージ。
一応内陸には行くものの、ブエルタ基準で言えば真っ平。
スプリンターたちを阻む障害は見当たらないと言ってよいだろう。
ゲーム中の勝利予想でも上位にピュアスプリンターたちの名前が並ぶ。
最大の星3つを与えられているのはサム・ベネット、フェルナンド・ガビリアに加え、過去に1年でブエルタ5勝を挙げているデゲンコルブ。近年はなかなか純粋スプリントの勝利を出せていない彼ではあるが、ここで復活を遂げられるか。
スタートしてすぐに5名の逃げ。
- ラスムス・ティレル(ディメンションデータ)
- ウィリー・スミット(カチューシャ・アルペシン)
- ホルヘ・クベロ(ブルゴスBH)
- ドミンゴス・ゴンサルベス(カハルーラル)
- エクトル・サエス(エウスカディ・ムリアス)
前日に続きプロコンチネンタルチームを多く含み、かつワールドツアーチームの中でも勝利を得ることすら危ういチームからの逃げ輩出。なおスミットは、実際のレースでも第2ステージで逃げに乗った。
初日に逃げに乗り山岳賞ジャージを手に入れたカールフレドリク・ハーゲン(ロット・スーダル)はこの日は逃げに乗らず。この日の山岳は3級が2つだけで、すべて先頭で獲られても安泰だからだ。
実際、この日の3級山岳はクベロとゴンサルベスがそれぞれ先頭通過し3ポイントずつを分けあったが、山岳賞ジャージ保持者は変わることはなかった。
さて、プロトンは逃げ5名に4分以上のタイム差を許しながら、まったりペースでサイクリング。ミッチェルトン・スコットの面々も全員オート操作にして8倍速にするなどほとんど何もしない状態で放置した。
集団の先頭を牽くのはボーラ・ハンスグローエやUAEチームエミレーツなど、この日の勝利を狙うスプリントチームであり、総合リーダーを擁するアスタナは全く牽引する気がないようである。
なお、新城選手も発見。
実際のレースでの彼の定位置である「社長ポジション」は再現されていないようだ。
基本的には平穏に進んだ第3ステージだったが、アクシデントも発生。
残り30km地点でこの日の優勝候補であるサム・ベネットが落車。
すぐさまボーラ・ハンスグローエのエース2人(マイカ、フォルモロ)以外の全員が引き上げに戻るが、結局は集団復帰叶わず勝利には絡めなかったようだ。
残り10kmではアレハンドロ・バルベルデも単独落車。
それぞれリタイアするほどの落車ではなかったが、この日の勝利も狙えるであろう2人の戦線離脱は実にブエルタらしいというか何というか・・・。
ゴール前6kmほど。トレインを形成するUAE&トレックを横目に、ホーゾンを先頭にメスゲッツのためのトレインで前方に出ていく。
そのメスゲッツの後ろにつけるのはポイント賞ジャージを着る前日優勝者パトリック・ベヴィン。チームメートがいない中で、こっちのトレインにタダ乗りをしてきている。
このままいって利用されるのも癪なので、一旦ペースを落とす。
逃げの5名はゴール前3kmでキャッチ。
ホーゾン→ビューリーと先頭牽引を交代しながら、残り2kmからはディオン・スミスによるリードアウトを開始する。
(実際のレースと比べ縮尺が随分と短縮されているこのゲームでは、大体スプリントにおいては「1人1km」といった基準で考えるのが良さそう。いわゆる「発射台」役は残り2kmからスプリントを開始、エーススプリンターが残り1kmでスプリントを開始するのがうまくいくように感じている)
ゴール前は下り勾配で、スプリント時は時速70kmを超えている。
残り400mで先頭に抜け出したのはデゲンコルブ。それを前日覇者ベヴィンが追う。
右からはUAEのガビリア。そして、デゲンコルブのリードアウト役だったエドワード・トゥーンスを追い抜きながら、メスゲッツは4番手で上がっていく。
ここからのメスゲッツの伸びは凄まじかった。
ガビリアを抜き、デゲンコルブすら抜いて、2番手にまで上がっていく。
しかし、ベヴィンの勢いはその上を行った。
パトリック・ベヴィン、ラインレース開幕2連勝!
サム・ベネットが脱落したとはいえ、ピュアスプリンター同士の対決の中でよくぞ勝利した。
そして、メスゲッツも何とか2位に入り込む快挙。前日の3位に続くこの成績。このまま勝利までもぎ取れるか。
ステージ順位は以下の通り。
デゲンコルブは最後失速したものの3位に。むしろガビリアが沈み6位となった。
フランスの若きスプリンター、サローが8位に入り込む快挙。概ね、順当な結果とは言えるのではないだろうか。
総合順位は以下の通り。
ベヴィンの2連勝によりボーナスタイム20秒を獲得し、マイヨ・ロホを獲得。
メスゲッツも3位→2位と来てボーナスタイム10秒を獲得したことで総合10位に名前が入ってきた。
続く第4ステージも平坦ステージ。
果たしてベヴィンは3連勝を飾ることができるか? それとも悔しい思いを味わったサム・ベネットの反撃となるか?
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第4ステージ クリェラ 〜 エル・プイグ 175.5㎞(平坦)
バレンシアナ州の海岸沿いをさらに北上。
前日以上にオールフラットなスプリンター向けステージとなった。
なお、この第3・第4ステージの機材選択だが、エーススプリンターのメスゲッツと発射台役のスミスについてはエアロ重視の装備(フレームはScottのFoil、ホイールはShimanoのWH-9000-C75)を選択。
それ以外の選手には体力温存のため、快適さ重視の装備(フレームはScottのAddict SL、ホイールはShimanoのWH9000-C24-CL)を用意した。
さて、スタート直後のパレードランだが、先頭にはマイヨ・ロホを着たパトリック・ベヴィンと、繰り下げでポイント賞ジャージを着るメスゲッツの姿が。
・・・相変わらず顔グラはまったく似せる気はないようだが、CCCがマイヨ・ロホを着る姿というのは実に新鮮である。
逃げは最初、ディメンションデータのジェイコヴス・ベンター、ブルゴスBHのヘスス・エスケラ、カハルーラルのゴンサロ・セラーノの3名が抜け出す。
これを追ってプロトンから前日も逃げに乗ったウィリー・スミット(カチューシャ・アルペシン)とロマン・セイグル(グルパマFDJ)が追走を仕掛ける。
しかし、ここでプロトンの先頭を、逃げに乗せることのできなかったエウスカディ・バスクカントリー・ムリアスの面々が全力牽引。
これはいわゆる、おしおき牽きというやつだろうか。2016年のジロでニッポ・ヴィーニファンティーニがやっていたアレである。
この牽きはおよそ30km近くにわたって続き、その間にスミットとセイグルは吸収。そしてエウスカディ・ムリアスのシリル・バルトが逃げに乗ったことでようやく沈静化した。
おそらくはチームカーの監督の無茶な要求にいやいや従わざるを得なかったエウスカディ・ムリアスの面々も、ほっと胸を撫で下ろしたことだろう。
だが、この間にプロトンではちょっとした事件が。
ミッチェルトン・スコットのセカンドエース、そして実際のレースがそうであるようにもしかしたらチャベスからエースを交代する必要すらあるかもしれない存在、ニエベが、ポガチャルがデゲンコルブなどの重要選手と共に落車。
幸いにも平坦牽引役のビューリーと一緒だったこと、そして落車自体はまだゴールまで130kmも残した序盤だったことで、やがて難なく集団復帰を果たす。
事なきをえたわけだが、落車はダメージを与えることや即時リタイアの危険性すらあるためひやひやものである。
この日唯一の3級山岳の山頂はエスケラが獲得。当然、山岳賞ジャージはカールフレドリク・ハーゲンがキープ。
エウスカディ・ムリアスがいなくなった集団の先頭は前日に引き続きボーラ、UAEの2代有力チームによる牽引。
最大で4分台にまで開いた逃げ4名とのタイム差は、残り10kmほどで完全に0となり、集団スプリントに向けた体制が形作られていく。
残り2.5km。この日も、サム・ビューリーに全力で前を牽いてもらい、その後ろに発射台のディオン・スミス、そしてメスゲッツという体制で前に出てくる。
しかしこの日は少し失敗をしていた。残り10kmを切ってスプリントへの体制を整えようというときに、メスゲッツらがあまりにも後ろにいすぎたため、すでにスピードの上がっているプロトンで前に行くためにかなりの体力を消耗してしまった。
結果、まずは発射台のスミスの体力が、ビューリーの猛牽引に耐え切れずにつきかけてしまう。ここで、発射台をスミスからニック・シュルツに切り替える。
残り1km。シュルツに牽かれながら、メスゲッツは全体の(エースのみで数えると)5番手でフラム・ルージュを通過する。
先頭はエドワード・トゥーンスに牽かれたデゲンコルブ(右端)。2番手はフアン・モラノに牽かれたガビリア(左端)。
3番手はマイヨ・ロホを着るベヴィンで、相変わらず彼は一人だる。4番手としてはジャンピエール・ドリュケールに牽かれたアイルランドチャンピオンジャージのサム・ベネット(右から2番目)。そしてメスゲッツである。ボアッソンハーゲン、バルベルデも右後方から追い上げてきている。
エース集団が先頭を突き抜けていった後方で、集団内での落車が発生。
フィリップ・ジルベール、トニー・マルティンらが巻き込まれたこの落車の中で、UAEチームエミレーツのマルコ・マルカートが即時リタイア。
今回最初のリタイア者となってしまった。
スプリント自体は、残り400mでシュルツの背中から飛び出し、勢いよく伸びを見せたデゲンコルブの背中に乗るベストポジションを獲得。
しかし、このときにはすでに、メスゲッツの体力も残っていなかった。
そのままずるずると失速し、デゲンコルブに付き切れ。
最後は、追い上げを見せたサム・ベネットを振り切って、デゲンコルブが4年ぶりのブエルタ勝利を成し遂げた。
リザルトはこんな感じ。
今回の反省点は、スプリントに向けた体制作りの際に足を使いすぎてしまったこと。
せめて残り20kmに達した時点で、適切にポジション取りを行い、スプリントに備えないといけない。
実際のレースにおいても、なかなか注目されづらい「残り10km」からのアシストたちによるエーススプリンターのたえのポジション取りが、いかに重要なものなのかを、このゲームは気づかせてくれる。
総合も変化なし。この日もステージ3位に入りボーナスタイムを手に入れたベヴィンは総合2位ロペスとのタイム差を11秒に拡大。メスゲッツも総合10位のままだ。
ベヴィンはほかにポイント賞ジャージもキープし、翌日もメスゲッツが繰り下がりでこれを着る。
新人賞はロペス、山岳賞はハーゲンも変わらず。
そしていよいよ、次回は第5ステージ。今大会最初の「山頂フィニッシュ」を迎えることとなる。
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