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ミラノ〜サンレモ2021 プレビュー

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Class:ワールドツアー

Country:イタリア

Region:イタリア北西部

First edition:1907年

Editions:112回

Date:3/20(土)

 

今年、5年ぶりにJsportsに戻ってきた「スプリンターズクラシック」ミラノ〜サンレモ。

シーズン最初のモニュメントであり、その300㎞弱のロングステージは唯一無二。

 

一方で、近年のこのミラノ〜サンレモは本来多いはずの「集団スプリント」ではなく、常にラスト6㎞に用意された「ポッジョ・ディ・サンレモ」でのアタックと逃げ切りによって決まっている。

 

果たして今年もまた逃げ切りが決まるのか?

それとも5年ぶりの集団スプリントで決着するのか?

 

決して一筋縄ではいかないこの「ラ・プリマヴェーラ(春)」。

春を告げる開幕レースを、徹底的にプレビューしていく。

 

 

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レースについて

「モニュメント」と呼ばれる、最も価値の高い歴史ある5大ワンデーレースのうちの1つ。

その全長は例年300㎞弱を誇り、レース時間は実に7時間を超える。これはこのレースだからこそ許されている、唯一無二のステータスである。

 

一方で、このレースは「スプリンターズクラシック」とも呼ばれている。その名の通り世界中のスプリンターたちにとって最も価値のあるレースであり、過去にはマーク・カヴェンディッシュやアレクサンダー・クリストフ、アルノー・デマールといったスプリンターたちが勝利を掴み取ってきている。

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だが、だからといってピュアスプリンターたちに常に勝利が約束されているわけではない。

とくに2017年以降は2020年まで4年連続で「逃げ切り勝利」が決まっている。

そしてその逃げ切りを生み出しているのが、ゴール前30㎞を切ってから始まる2つの登りの存在である。

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すなわち、残り27.2㎞から登り始め、残り21.6㎞地点で頂上に達する「チプレッサ(登坂距離5.6㎞、平均勾配4.1%、最大勾配9%)」。

そして残り9.2km地点から登り始め、残り5.5㎞地点で頂上に達する「ポッジョ・ディ・サンレモ(登坂距離3.7km、平均勾配3.7%、最大勾配8%)
 

とくにこの後半の「ポッジョ・ディ・サンレモ」でここ4年連続で決定的な攻撃が繰り広げられている。

 

2017年

エリア・ヴィヴィアーニ擁するチーム・スカイがアシストを3枚残した状態で集団の前方を占領し、ポッジョ・ディ・サンレモに突入。

山頂まであとわずか、最大勾配の8%区間でペテル・サガンがアタックした。

ここにすぐさま反応したのがジュリアン・アラフィリップ。さらに、チーム・スカイのミハウ・クフィアトコフスキもここに食らいついた。

ダウンヒル巧者が3人そろえば、集団が追いつける道理はない。残り2.5㎞時点でそのタイム差は16秒。逃げ切りが確定した。

先頭をメインで牽引するのはサガン。これは仕方ない。アラフィリップにはフェルナンド・ガビリアが、クフィアトコフスキにはエリア・ヴィヴィアーニがおり、彼らが先頭を牽く理由は全くないのだ。

やがて残り1㎞でタイム差が20秒にまで開くとさすがにいつまでもツキイチは認められなくなってくるので、二人も少しずつ回り始め、いよいよ最終スプリントが開始される。

このときはまだ「若手」だったアラフィリップは最後の戦いに絡むことができなかった。

サガンがまずは先頭に出て、その加速によってごくわずかに残る2人との距離が開いた。

だがそこからのクフィアトコフスキの伸びがすさまじかった。

最後の最後で投げ出した自転車がラインを貫いたのは、サガンではなくクフィアトコフスキだった。

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2018年

この日のヴィンツェンツォ・ニバリは、あくまでもエーススプリンター、ソンニ・コルブレッリのアシストのつもりだった。

実際に残り12㎞地点ではコルブレッリの前で彼を牽く姿を見せており、ラスト10.6km地点ではFDJのアシストであるイグナタス・コノヴァロヴァスがバーレーン・トレインのポジションを奪おうとしてきたときも、巧みなアクションでこれを押しのけている。

そんな彼が動き出したのはラスト7.1km。

ポッジョ・ディ・サンレモの山頂間近になったところで、イスラエル・サイクリングアカデミーのクリスツ・ニーランズがアタックしたとき、これを抑え込むために追撃で飛び出したときであった。

まさかこれが、自らの勝利に繋がる一撃になるとは、当のニバリ自身も予想していなかったようだ。

「ポッジョではコルブレッリのために働いていたし、最後の5㎞まではニーランズを追いかけることだけを考えていたつもりだった。でも監督が無線で集団とのタイム差を教えてくれたとき、僕は思ったんだ。『フルガスだ』と」

ニーランズが脱落し、単独でポッジョの下りを走ることになったとき、ニバリは10回目のミラノ~サンレモ挑戦にして初めて、ただ一人でその先頭を走ることとなったのである。

それは6年前、同じポッジョでアタックし、一人でフィニッシュに向かうチャンスがありながらも、やがて追いついてきたファビアン・カンチェラーラとサイモン・ゲランスに追い抜かれ、敗北したあのときの悔しさを晴らす勝利だった。

そして、イタリア人としては実に12年ぶりのミラノ~サンレモ制覇であった。

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2019年

ドゥクーニンク・クイックステップがその完璧なチーム力を発揮して掴み取った勝利だった。

残り10㎞のポッジョ・ディ・サンレモ突入直前段階で、ジュリアン・アラフィリップの前にアシストが3枚。しかも、ポッジョの登りが始まって先頭に立っていたイヴ・ランパールトが脱落した後、それまで姿を見せていなかったはずのゼネク・スティバルが突如として集団の後方から上がってきて、トレインの先頭にジョインして猛牽引を開始したのだ。

さらに、先ほど登りの入口で先頭を牽引し、仕事を終えて落ちていたはずのフィリップ・ジルベールまでもが、残り8㎞を前にして再び集団の先頭へ。

鬼の形相で駆け上がっていくジルベール。右手からアタックしようとポジションを上げていたアンドローニジョカトリの選手も、何もできないままにすごすごと後ろに引き返さざるをえないほどの勢い。

この時点で集団は一気に引き伸ばされ、各チームのエーススプリンターたちは引きちぎられてしまうかこのあとの展開に反応できないくらい集団の後方にぶら下がるだけになるか、そのいずれかであった。

そして、ポッジョ山頂1㎞手前の最大勾配8%区間。

ここでアルベルト・ベッティオルをアタックし、誰もここに反応しようとしないのを見たその次の瞬間に、アラフィリップは一気に加速した。

全力のそのアタックに、反応できたのはペテル・サガンやミハウ・クフィアトコフスキなど5名の選手たちだけ。

そうして6人の精鋭集団ができあがると、アラフィリップはすぐさまその集団の一番後ろに貼りついて、足を貯め始めた。

「僕はポッジョの頂上で決定的なセレクションを行うために全力を尽くした。そしてそのあとのダウンヒルで回復に努めた。ラスト2㎞で僕は自分に言い聞かせた。僕は勝ちたい――2位じゃ嫌なんだ」

ラスト1㎞直前にマッテオ・トレンティンが単独で抜け出し、そこにワウト・ファンアールトがブリッジを仕掛けようとしたとき、再び彼の足にスイッチが入った。

トレンティンとファンアールトの危険な抜け出しをその加速で抑え込んだあと、ラスト600mでマテイ・モホリッチが不意をつくアタックを繰り出したときに、彼は3度目の加速でこれもまた抑え込むことに成功した。

そして、残り300m。

再びモホリッチが腰を上げたとき、アラフィリップはしっかりとこの後輪を捉えた。

これが決定打となった。

いくつもの選択を完璧にこなし続けた「未来の世界王者」は、初のモニュメント制覇を成し遂げた。

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2020年

前年のミラノ~サンレモをアラフィリップで制したドゥクーニンク・クイックステップだったが、この年はサム・ベネットでの勝利を第一に考えていたのかもしれない。

残り10㎞のポッジョ・ディ・サンレモ突入直前、チプレッサの下りで独走を開始したダニエル・オスを捕まえるためにボブ・ユンゲルスやカスパー・アスグリーンが先頭に立って集団を牽引していくドゥクーニンク・クイックステップトレイン。その最後尾に、サム・ベネットの姿があった。

実際、この年のアラフィリップは直前までドロミテでの高地トレーニングを行っており、あくまでも最大の目標はツール・ド・フランスとクライマー向けの世界選手権であると述べていた。ストラーデビアンケとミラノ~サンレモを最高のパフォーマンスで臨むことはできないと事前に語っており、事実1週間前のストラーデビアンケではパンクに見舞われたことも相まって24位フィニッシュという結果に終わっている。

だから今年はあくまでも無事にポッジョ・ディ・サンレモを乗り越え、最後サム・ベネットで勝負する――その彼らの思惑を打ち砕いたのが、トレック・セガフレードだった。

ポッジョ・ディ・サンレモ突入と同時に、ジュリオ・チッコーネがジャンニ・モスコンと共にアタック。ドゥクーニンク・クイックステップのティム・デクレルクがすぐさまこれに反応して抑え込みにかかるが、何度も後ろを振り返りベネットがついてきているかを確認している様子は、前年のような集団を完全に支配下に置いてポッジョを踏破していた彼らの姿とは対照的だった。

さらに、チッコーネたちが吸収されたあとは、入れ替わりでジャンルーカ・ブランビッラがアタック。集団はさらにペースアップし、ついにサム・ベネットが脱落。

2020年もまたミラノ~サンレモは集団スプリントを放棄する展開へと突入していく。

と、なればドゥクーニンク・クイックステップとしても、ジュリアン・アラフィリップで行くしかなかった。

残り6.6㎞。ポッジョ山頂まであと1㎞の最大勾配8%区間で、アラフィリップが一気に加速する。

これに反応できたのはワウト・ファンアールトとミハウ・クフィアトコフスキの2人だけ。しかしクフィアトコフスキはすぐさま引き離され、ファンアールトだけが食らいついていった。

山頂に至るまでの約2分間。断続的な団信でひたすら加速し続けたアラフィリップ。途中までは食らいついていけていたファンアールトも、やがて引きちぎられていく。

そして、ポッジョの山頂を通過して下りに入った時点で、アラフィリップとファンアールトとのタイム差は5秒。

「プランB」にも関わらず、アラフィリップの走りはあまりにも圧倒的だった。

ツールと世界選手権に向けて登りを徹底的に強化していた2020年のアラフィリップにとって、このポッジョでのアタック力はある意味で昨年以上になるのは必然であった。

 

だが逆を言えば、そこで決定的な差を付けない限り、最後の競り合いで敗北することもまた、必然であった。

あらゆるライバルを突き放すことのできたアラフィリップにとっても、ファンアールトは「わずか5秒」しか突き放すことができなかった。

そして1週間前のストラーデビアンケを制して乗りに乗っているファンアールトにとっての、この5秒は決して大きくはないタイム差であった。

アラフィリップが下りで少し膨らみすぎてしまうという彼らしくないミスもあり、そのタイム差は着実に縮まっていき、やがて残り4.7kmでその背中を完全に捉えることに成功する。

 

ラスト1.7㎞からは、アラフィリップも完全に先頭交代を拒否し始める。

だが、今年のストラーデビアンケのマチュー・ファンデルプールが看破したように、常にアグレッシブさを忘れないアラフィリップがそういった消極的な動きを見せたときは、彼が本当に勝てない状況のときである

残り750m。最後のカーブを曲がった時点で、集団とのタイム差は6秒。そして集団の先頭を取っていたマチュー・ファンデルプールも牽制を行っている姿を確認し、逃げ切りを確信したファンアールトはペースを落とし、背後のアラフィリップを何度も振り返りつつ、ホームストレートをゆっくりと突き進んだ。

そして残り200mを切って、ファンアールトは先にスプリントを開始。

次の瞬間、アラフィリップも追撃。

一瞬、アラフィリップの方が勢いが上のようにも思えた。

 

だが、そのあとはファンアールトが粘り切って見せた。

常に車輪半分をアラフィリップより先行させながら、落ちるはずのペースが落ちることはなく、最終的には偉大なるディフェンディングチャンピオンに前を譲ることも一切しないまま、1年前のツール・ド・フランスで自転車生命の危機すら感じさせる大怪我を負った男が、復活のモニュメント勝利を成し遂げたのである。

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4年連続の「ポッジョ・ディ・サンレモ」決戦。とくに、その頂上1㎞手前(フィニッシュまで6.6㎞)の最大勾配8%区間。

今年も、この区間での攻撃がすべてを決めるのか。それとも今年は5年ぶりの集団スプリントでの決着が見られるのか。

 

次のセクションでは、今年注目すべき選手たちを紹介していくことにする。 

 

 

注目選手

マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)

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昨年は13位。得意の超ロングエスケープはミラノ〜サンレモ向きではなく、ここ4年間の勝負所であり続けたポッジョ・ディ・サンレモも、論理的に考えれば決して彼向きではない。かと言って集団スプリントでも、3位や4位には入れても、その先頭を取るのは難しいようにも思う。

それでも、理屈を超えた可能性を彼は感じさせてくれる。また、一昨年から2年連続で達成された「ストラーデビアンケ覇者がミラノ〜サンレモも制する」という流れを考えれば、今年はマチューの年なのかもしれない。

また、彼ならば、ラスト22㎞地点に用意された「チプレッサ」からの逃げ切りという、珍しいパターンもありうるかもしれない。

いずれにせよ、また「不可能を可能にする走り」を、こちらの想像を超える走りを披露してくれることを楽しみにしていよう。

 

ワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィスマ)

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昨年の覇者。ポッジョ・ディ・サンレモでのジュリアン・アラフィリップの強烈なアタックに、かろうじて食らいつき続けたことが、昨年の勝利へと繋がった。

今年もティレーノ〜アドリアティコ第5ステージ終盤の激坂で、集団からアタックしたタデイ・ポガチャルに同じように食らいついていった。

そのときは結局ポガチャルに突き放されてしまったものの、それ以外のライバルたちとは差をつけることに成功。

また、集団スプリントに持ち込まれたときも勝ちうるという引き出しの多さが実に魅力的。ミラノ〜サンレモ向きの脚質だと言える。

ただそれは彼に対するマークが全選手中最も厳しいことを意味しており、これをどう打ち破るかが課題だ。

 

ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)

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一昨年優勝者にして昨年2位。

今年はストラーデビアンケは最後の最後でマチューに敗れ、ティレーノ〜アドリアティコでは第2ステージでその借りを返すものの、「壁のステージ」となる第5ステージでは思わぬ遅れを喫するなど、好不調が読みづらい。

ただ、最終日タイムトライアルは明らかに手を抜いているように思える走りをするなど、ミラノ〜サンレモに向けてしっかりと準備しつつある様子。

今年もポッジョ・ディ・サンレモでの爆発的なアタックを見られるか。

もちろん、ドゥクーニンクの最大の武器は手数の多さ。

ポッジョでのアラフィリップのアタックがたとえ捕まえられたとしても、今度はメイン集団内のサム・ベネットやダヴィデ・バッレリーニによるスプリント勝利も狙うことができる。

今年はオンループ・ヘットニュースブラッドなどでも躊躇なくチームメートのために走る姿を見せているだけに、ミラノ〜サンレモでの彼の動きも、もしかしたら例年とは違ってくるかもしれない(たとえばポッジョのアタックで食らいついてきた相手に対し徹底的にツキイチでマークするなど)。

ウルフパックはシクロクロス出身の天才たちを、「ロードレース」で打ち倒すことができるか。

 

マイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ)

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ワウト・ファンアールトがアラフィリップをスプリントで下した昨年のミラノ〜サンレモで、集団先頭を取って3位に入ったマシューズ。2019年は12位だが、実はこれも、ポッジョ・ディ・サンレモで抜け出した11名の逃げがフィニッシュしたあとの、大集団での先頭だった。うまく集団スプリントに持ち込むことができれば、近年で最も成績を出しているのがこのマシューズだ。

昨年は他にブルターニュ・クラシック優勝やジロ・デ・イタリア区間2位など調子は良く、今年も唯一の出場レースであるパリ〜ニースで、区間3位が2回と悪くない。

トレイン力を発揮して集団スプリントできっちりと勝つという正統派のスプリンター(パスカル・アッカーマンやディラン・フルーネウェーヘン、マルセル・キッテルなど)よりも、起伏や混戦に強いスプリンター(アレクサンドル・クリストフやジョン・デゲンコルプ、アルノー・デマールなど)が勝っているこのレースの特徴を考えても、向いているのは良くわかる。

ただ、勝つとなると、集団スプリントに持ち込む必要がどうしてもある。ルーク・ダーブリッジやクリストファー・ユールイェンセンなど、新チームのチームメートたちがこれをどれだけ助けられるか。

 

ジャコモ・ニッツォーロ(チーム・キュベカ・アソス)

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昨年5位。集団先頭のマシューズ、同2位のサガンに続く、集団3位のフィニッシュとなっている。

それ以前は決してミラノ~サンレモの成績が良いわけではない。そもそも出場回数も6回と、他のベテラン勢に比べると少ない方である。

それでも、この男が明らかに進化した強さを見せているのは昨年から。イタリア国内選手権もヨーロッパ選手権も制し、ツール・ド・フランスでも1勝しかねない勢いだった。

そしてその勢いは今年も止まっていない。クラシカ・ドゥ・アルメリアを制し、UAEツアーやパリ~ニースのスプリントステージでもしっかりと上位に顔を出している。

さらに、パリ~ニースの最終日は未出走。明らかに、ミラノ~サンレモに焦点を絞ってきていることがよく分かる。独自に集計している今年のスプリンターズランキングでも、現状ベネット、バウハウス、アッカーマン、コカール、バッレリーニ、ユアンに続く位置につけており、今大会出場する選手たちの中では今期特に調子の良い選手の1人である。

もちろん、彼が本気で勝ったらそれはすさまじいことである。3年前のニバリの優勝のときですら全イタリアが歓喜に包まれた中で、この、欧州チャンピオンジャージを着るイタリア王者がイタリア最高峰のスプリンターズクラシックで勝利する――そんなドラマティックな展開を、ぜひ見てみたい。この男の、涙を。

 

 

その他にも、注目すべき選手としては、2018年ヴィンツェンツォ・ニバリが逃げ切り勝ちしたときの先頭集団を取ったカレブ・ユアン(ロット・スーダル)や、毎年ほぼ確実にTOP10に入ってくる安定感の高さが売りのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)などがいる。

だが、ユアンは2018年以外はそこまで安定した成績を出せていないのと、ティレーノ〜アドリアティコでの体調不良リタイアに不安を感じており、サガンも今年は新型コロナウイルスからのシーズンインの遅延が大きな影響を及ぼし続けており、勝負できるコンディションではないと判断。

アルノー・デマールやアレクサンダー・クリストフも当然過去の優勝者でありこのレースとは相性の良いスプリンターたちではあるものの、今年のここまでの調子を踏まえたうえで、上記5名の中には入れないことにした。

 

 

果たして今年勝つのはアタッカーやスプリンターか。

最もシンプルなモニュメントにして、想像以上に複雑なレース。

今年も予想外の白熱の展開が巻き起こることに、期待したい。

 

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