りんぐすらいど

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今年のワールドツアーチームの選手たちの開幕コンディションはどんな感じ? 1月末~2月頭の「今年最初の1クラスレース」たちを振り返る

 

新型コロナウイルスの影響により、例年通りのシーズン開幕戦が軒並み中止・延期に追いやられる中、ワールドツアーチームの選手たちも出場する1クラス以上のレースがようやくこの1月末から少しずつ開催されていった。

 

舞台となったのが南仏。

1/31開催のワンデーレース「グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ」と、2/3(水)から2/7(日)まで5日間の日程で開催された「エトワール・ド・ベセージュ」である。

 

今回は、この2つのレースを振り返りつつ、シーズン初頭のワールドツアーチームの選手たちの状況、コンディションなどを確認していく。

 

さらに今週木曜日(2/11)からは今年最初のProシリーズレース「ツール・ド・ラ・プロヴァンス」が同じ南仏を舞台にして開催され、こちらは今年最初のJsportsでの日本語実況解説付きライブ放送が行われるということなので、その予習としても活用していただければ幸い。

 

それでは行ってみよう。

 

目次

 

↓非UCIレースだけどこちらも参考に↓ 

www.ringsride.work

 

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グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ

今年最初の1クラスレース、すなわち、UCI公式レースとしては初めてワールドツアーチームの選手たちが参戦することができるレースである。

ということで、例年であればフランス籍のワールドツアーチームとUCIプロチーム(旧プロコンチネンタルチーム)がちらほら出場するくらいの小さなレースだったこの場所に、UAEチーム・エミレーツだとかEFエデュケーション・NIPPOだとかロット・スーダルだとか、各種ワールドツアーチームがこぞって参戦。

出場ライダーもフィリップ・ジルベールだったりジョン・デゲンコルプだったりマッテオ・トレンティンだったりと非常に豪華。

一体どうなってしまうんだというワクワク感と共に開催された。

 

レース自体は下記のプレビューでも解説している通り、典型的なパンチャー向けレース。

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過去の優勝者も昔こそ少しクラシック向けのスプリンターたちが名を連ねながらも、ここ数年は結構しっかりとしたパンチャーたちが勝っている。

今年も、残り20㎞を切ってから絶え間ないアタック合戦が繰り返され、その中でAG2Rシトロエン・チームに移籍したばかりのリリアン・カルメジャーヌ、ロット・スーダルのティム・ウェレンス、グルパマFDJのバンジャマン・トマ、あるいは昨年のプルエバ・ビリャフランカ=オルディシアコ・クラシカで優勝し別府や中根と共に今年EFエデュケーション・NIPPO入りを果たしたサイモン・カーなど、若手から中堅まであらゆるアタッカーたちが次々と飛び出しては捕まえられる、という展開が続いた。

↓詳細なレースレポートはこちらを参照のこと↓

note.com

 

残り16㎞地点では一度、このバンジャマン・トマとサイモン・カーに加え、ロット・スーダルの新加入アンドレアス・クロン、新たにワールドツアーチームに昇格したアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオのオドクリスティアン・エイキングの計4名の逃げが一度出来上がる。

メイン集団も一度は15名ほどの小集団に絞り込まれていたため、もしかしたらこの逃げ4名がこのまま逃げ切れるかも、と思えた瞬間もあったが、集団もやがて再び後続からの選手たちを合流させていき、徐々にその数を戻していく。

その中にはブライアン・コカールを含むB&Bホテルス p/b KTMの集団も含まれており、プロトンは集団スプリントへの意思をはっきりとさせ、逃げ4名に対する本気の追走を開始していった。

 

 

となれば、ワールドツアーチームとはいえ若手中心に形成された4名の逃げにとって、逃げ切れる道理はなくなる。

残り10㎞地点を過ぎた直後にあえなく捕まり、先頭は再び集団に。

とはいえこの集団も総勢30名程度しかおらず、「大集団スプリント」とはいえない状況であることは間違いなかった。

 

そんな中、残り4㎞を過ぎて集団先頭を支配したのがB&Bホテルス p/b KTM。コカールのために4枚のアシストを揃えた必勝態勢。

これに食らいつくのがトタル・ディレクトエネルジー。エドヴァルド・ボアッソンハーゲンやピエール・ラトゥールといった有力な元ワールドツアー選手たちを揃えたこのチームも、エースは2019年のこのレースの覇者アントニー・テュルジ

そのための2枚のアシストを揃え、B&Bトレインに対抗しようとする。

AG2Rシトロエン・チームの選手も残り数㎞でアタックを繰り出すがすぐに捕まえられる。

先ほども残り14㎞地点でオウレリアン・パレパントルがアタックしていたりと、ろくなスプリンターのいないAG2Rにとってはこういった方法でしかこの局面では勝つことはできないが、さすがにスプリントへともつれ込まれようとしている展開ではなかなか難しかった。彼らに勝つことは難しいだろう。

 

そして、訪れるフィニッシュ。やや緩やかな登りスプリントで、完璧なトレイン体制を作り上げていたはずのB&Bが、少し早い段階でトレインが崩壊し始める。

残り1㎞ですでにアシストが1枚。そのアシストももう力尽きる寸前といったところで、厳しい。

そんな中最初に飛び出したのがUAEチーム・エミレーツに移籍したばかりのマッテオ・トレンティン

さっきまでずっとコカールの番手を取り続けていたこの男が実力を見せつけようとしたが——これもまた、早すぎた。久々のレースに、勘が狂っていたか?

フィニッシュに届く前に失速したトレンティンをコカールが抜き去り、その右手からはアルケア・サムシックのトマ・ブダが上がってくる。

このままコカールか? ブダか?

—―と思っていた中で、さらに右手から一人の白いジャージの選手が。

・・・AG2R!?

 

勝ったのはまさかの・・・さきほどアタックしていたはずの、若きパンチャー、オウレリアン・パレパントル

下部育成チーム「シャンベリーCF*1」出身の生え抜きで、2018年シーズン途中からAG2R入り。

今年は実質的には4シーズン目に入るが、ここまで1度も勝利なし。今回ようやくそれを掴み取った形だ。

 

昨年のジロ・デ・イタリアでは総合16位。エトワール・ド・ベセージュでは総合6位、ツール・ド・ルクセンブルクでは総合10位と、クライマーとは言わなくとも少なくともスプリンターとは言えない、どちらかというとパンチャーというべきリザルトを残しているパレパントル。

今年もフレーシュ・ワロンヌやリエージュ~バストーニュ~リエージュなど、アルデンヌ・クラシック中心の出場スケジュールを用意していた。

 

 

そんな彼が、トマ・ブダとブライアン・コカールという、明確なスプリンターたちを下しての勝利。

もちろん、パンチャー向けのこのレース、コカールたちがその全力を出し尽くすには疲弊しきっていたのは確かだろうが、そういうコンディションでは強いはずのトレンティンすらも打ち破って、途中アタックしていたこの男が勝つというのは、なかなか驚きというか、パレパントルという男のタフネスさや想像を超える力を感じさせる勝利だった。

 

これで昨年のブノワ・コヌフロワに続き、AG2Rの若手が2連勝となったこのグランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ。

コヌフロワは昨年も非常に活躍しており、今やAG2Rの顔とも言うべき存在のため、パレパントルもまた、これから期待に応えるだけの走りをしていけるかどうか、楽しみである。

 

 

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エトワール・ド・ベセージュ 

GPマルセイエーズに続き、同じ南仏を舞台に開催された5日間のステージレースがこのエトワール・ド・ベセージュである。

「ベセージュの星」という名のレースではあるが、ベセージュは1ステージで使われるくらいでメインではない。むしろ最近売り出し中の「ツール・デュ・ガール」の別名が示す通り、ベセージュを含むガール県を巡るステージレースという見方がより相応しいだろう。

ガール県の県庁所在地はニーム。そして、このニーム近郊に、かの有名な世界遺産「ポン・デュ・ガール」も存在する。

歴史と風光明媚な風景とが同居する、南仏を巡る伝統あるレースだ。

 

↓コースプレビューなどはこちらから↓

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全5ステージのうち、パンチャータイプの選手たちが活躍する丘陵ステージは2つ、ピュアスプリンターたちが活躍しうる平坦ステージは2つ、そして激坂含む短距離個人TTが1つといった構成。

以下では、その各ステージの展開を振り返っていく。

↓詳細なレースレポートはこちらから↓

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第1ステージ ベルガルド〜ベルガルド 143.55㎞(丘陵)

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第1ステージは総獲得標高こそ803mと非常におとなしいレイアウトだが、ラストがかなり急勾配の上りスプリント。

ここで集団から最初に飛び出したのが、まさかのナセル・ブアニであった。

 

昨年もシーズン初頭のサウジ・ツアーやツール・ド・ラ・プロヴァンスで勝利を重ねていたブアニは今年も絶好調なのか。

急勾配をものともしない加速力で一気にフィニッシュに迫っていく。

 

しかし、このブアニの動きにいち早く反応したのが、コフィディス・ソルシオンクレディのクリストフ・ラポルト

元コフィディスのエースだったブアニを「追い出した」形となるこのラポルトが、ブアニの加速に食らいつき、さらにこれを追い抜いてフィニッシュに突き進む。

 

ブアニにとっても憤懣やる方ないところだったろうが、結局最後は並ぶこともできず項垂れる。

昨年は勝利なしで悔しい思いをしていたラポルト。

今年こそワールドツアーチームのエーススプリンターの1人として、堂々たる走りを見せることができるか。

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↓詳細なレースレポートはこちらから↓

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第2ステージ サン=ジュニー〜ラ・カルメット 154.12㎞(平坦)

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この日は素直な集団スプリントとなりそうなステージであったのだが、ラスト10㎞を切ってから落車が頻発。

イネオス・グレナディアーズのイーサン・ヘイターもアスファルトに強く叩きつけられてしばらく動けなくなる姿を見せるなど、かなり混乱した状況が広がっていた。

 

さらには、フィニッシュ前1㎞を切ったところに登場するラウンドアバウトで、さらなる落車が発生。

優勝候補のパスカル・アッカーマンも前日3位のマッズ・ピーダスンもここで勝負権を失い、先頭はわずか十数名の小集団でスプリントを迎えることになってしまった。

 

途中まで完璧なトレインを組んでいたアルケア・サムシックも、もはやこの状態ではまともなリードアウトも望めない。

エースのナセル・ブアニはとりあえずスプリントを開始するが、早々に失速してしまう。

 

これを追い抜いて強烈な勢いでフィニッシュに突っ込んでいったのがヨーロッパチャンピオンジャージを着るジャコモ・ニッツォーロ(チーム・キュベカ・アソス)。

総合リーダージャージを着るクリストフ・ラポルト(コフィディス・ソルシオンクレディ)もここに食らいつき並びかけるが、ニッツォーロはこれを振り切って先頭でフィニッシュに到達しようとしていた。

 

しかし彼らもまた、混乱の中、仕掛けるべきタイミングを見誤っていた。

思ったよりもフィニッシュは遠く、その最高速度に達したあともなお残ってしまった距離を消化するよりも早く、後方から恐ろしい勢いで追い上げてきた選手が2名。

 

まずはデルコのピエール・バルビエ

そしてさらにこれを捲り上げたのが、昨年までアルペシン・フェニックスに所属、今年からビンゴール・ワロニーブリュッセルに所属しているティモシー・デュポン

最後に右手を挙げたのは、このデュポンの方だった!

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およそ1年半ぶりとなる勝利に、33歳のベテランが歓喜した。

↓詳細なレースレポートはこちらから↓

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第3ステージ ベセージュ〜ベセージュ 154.8㎞(丘陵)

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総獲得標高3,053mの本格的な丘陵ステージ。

序盤からエガン・ベルナルヴィンツェンツォ・ニバリグレッグ・ファンアーヴェルマートらトップライダーたちが逃げに乗る波乱の展開。

その後も新たな逃げが生まれては消え、生まれては消えを繰り返す激しい展開が続くが、決定的な動きが生まれたのは残り80㎞付近だった。

 

総勢17名にも及ぶ大規模な逃げ集団。

この中に含まれていたのはさきほどのベルナルやファンアーヴェルマートのほか、ティム・ウェレンスフィリップ・ジルベールミハウ・クフィアトコフスキブライアン・コカールニルス・ポリッツ・・・信じられないほど豪華な面子である。

 

しかも、この選手たちのほとんどが、総合でわずか12秒遅れの「危険な集団」。

メイン集団でも当然これを引き戻そうと積極的な動きが展開されるが、多くの有力チームが逃げに乗せていたため、実際にローテーションに回れるのは逃げに乗せられなかったEFエデュケーション・NIPPO、コフィディス・ソルシオンクレディ、アルペシン・フェニックスといった限られたチームのみ。

先頭でもジルベールやベルナル、ポリッツなどのエース級の選手たちが積極的にローテーションに参加したことによって、残り80㎞から30㎞に至るまで、2分というタイム差は一切動くことがなかった。

 

残り30㎞を切ってようやくタイム差が2分を切り始めるが、ここでコフィディスが脱落。

集団先頭はほぼEFだけが牽くような格好となり、やがて残り20㎞を切ったあたりで、ついに追走はそれ以上力を使うことを止め、諦めモードになってしまった。

 

そして先頭集団でも残り17㎞付近から動きが。

まるでストラーデビアンケの予行演習かのようなタイミングで飛び出すミハウ・クフィアトコフスキ。

ただこれは、コーナーで路面に浮いた砂?にタイヤを滑らせ、オーバーライドしてしまったことであえなく終了。

 

逆に残り15㎞付近からアタックしたのがティム・ウェレンス。

この日最後の登りからのこのワンアタックで、一気に致命的なギャップを追走集団につけることに成功した。

 

イネオスもまだ諦めていない。最後の周回に突入するタイミングで、ベルナルのリードアウトを受けてクフィアトコフスキがアタック。

しかしこれは、集団内に潜むウェレンスのチームメート、フィリップ・ジルベールによって押さえ込まれる。

 

これこそが、ジルベールの真骨頂。

彼はこの新チームでも、「ウルフパック」を継承してくれるのか。

 

 

ジルベールのアシストも受けながら、悠々と独走し続けるウェレンス。

来年の彼はこの時期、マヨルカ島でのワンデーレースに参戦し、同じように逃げ切り勝利を飾ることも多かったが、今年はそれが延期。

代わりに参戦したこの南仏のレースでもしっかりと、その実力を発揮してくれた。

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今回のこの勝利で、総合でも大きくリード。

最終日の激坂個人タイムトライアルも、どちらかといえば彼の得意なレイアウト。

最大のライバルともいうべきミハウ・クフィアトコフスキからも48秒差をつけることに成功したため、この時点で彼による総合優勝には大きなアドバンテージを得ることになったと言えるだろう。

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第4ステージ ルソン~サン=シフレ 151.6㎞(平坦)

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総獲得標高2,107mとそれなりのアップダウンが用意されてはいるものの、今度こそ集団スプリントが期待できる平坦ステージ。

しかし、序盤に形成された5名の逃げの中に、不穏な存在が1人。

 

彼の名はフィリッポ・ガンナ

世界最強のTTスペシャリストであると同時に、昨年のジロ・デ・イタリアでは丘陵ステージで見事な逃げ切りを見せた最強エスケーパーでもあるこの男。

 

彼も最初は大人しかった。

粛々とローテーションを回しつつも、フィニッシュが近づくにつれ段々とタイム差が減少。

残り20㎞地点でメイン集団とのタイム差は20秒にまで縮まり、間もなく、吸収間際、といったところであった。

 

ここで、メイン集団からEFエデュケーション・NIPPOのアルベルト・ベッティオルとトタル・ディレクトエネルジーのピエール・ラトゥールアントニー・テュルジがアタック。

先頭集団は一時、脱落した選手との入れ替わりも含め6名にまで膨れ上がり、一度は縮まったタイム差が再び開こうとしていた。

 

この混乱が、男に火を点けた。

残り10㎞。140㎞の十分なウォーミングアップで暖まりきったエンジンを、彼は加速さえた。

 

それはまるで、今まさにレースを始めたかのような勢いだった。

ひたすら逃げ続けてきた彼に対して、終盤でブリッジを仕掛けてきたベッティオルやラトゥールたちの方がずっと有利なはずなのに、彼らはまったく反応ができなかった。

そしてただひたすらに、開いていくガンナと追走集団とのギャップ。

 

誰もが確信した。

 

「あ、決まったな」と。

 

 

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両手を広げ、堂々たるフィニッシュを見せるガンナ。

オフシーズン期間中、新型コロナウイルスに罹患してしまったという彼にとって、元々のパフォーマンスを十全に発揮できるかは一つの不安であっただろうが、どうやらそれは杞憂に終わりそうだ。

今年もまた、この若き才能が大暴れしてくれそうだ。

 

そして集団先頭はクリストフ・ラポルト(コフィディス・ソルシオンクレディ)が獲得。パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)は集団2位に沈み、今年もシーズン序盤の「2位」という、やや不安な結果に。

ラポルトは第1ステージの勝利に続き好調さを発揮しており、これでポイント賞も確定。

幸先の良いスタートダッシュを切れた形で――だからこそ、今日ガンナを逃がしてしまったのはとても残念だった。

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第5ステージ アレス~アレス 10.71㎞(個人TT)

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5日間の激戦の最終日を飾るのは、昨年も同じ最終日に登場したアレスの10㎞個人タイムトライアル。

距離は短いがラスト2㎞が最大勾配10%超の激坂区間となっている。

 

序盤でトップタイムを記録したのがイネオス・グレナディアーズのイーサン・ヘイター

昨年プロデビューを果たしたばかりの若手で、昨年すでに1クラスのレースで勝利済み。

基本はスプリンターというべき脚質の持ち主だが、この登りTTでまさかの好成績となった。

 

そして長く破られることのなかったこのヘイターの記録を塗り替えたのが、グルパマFDJのバンジャマン・トマ

トラック競技でも活躍するこの元フランスTT王者が、昨年優勝のベッティオルの記録を上回るタイムを叩き出し、暫定1位に躍り出た。

 

 

だが、それでもやはり、この男は強かった。

世界王者、すなわち世界で最もタイムトライアルを速く走る男、フィリッポ・ガンナ

ラストが激坂であることは、彼にとって何ら障害にはならなかった。

昨年の優勝者以上のトマの記録をさらに10秒も塗り替えて、ガンナは2日連続のステージ優勝を飾った。

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これで、彼にとっては、昨年の国内選手権個人タイムトライアル優勝から数えて個人TT7連勝である。

まさに、全盛期のトニー・マルティンに匹敵する圧倒的な強さ。

彼を止められるのは果たして・・・それこそ、昨年のブエルタ・ア・サンフアンで彼を下した、レムコ・エヴェネプールの復活を待たなくてはいけないかもしれない。

↓詳細なレースレポートはこちらから↓

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以上、5ステージを経て、最終的に総合優勝に輝いたのはティム・ウェレンス

第3ステージの大逃げでしっかりと勝利を掴み、最終日の激坂含む個人TTでも、総合のライバルたちに対してはむしろタイム差を開く好走を見せ、危なげなく勝利。

元々、今大会総合優勝最有力候補と睨んでいたが、期待通りの結果となった。

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総合2位は第1ステージでも5位に入るアグレッシブさを見せつけたミハウ・クフィアトコフスキ

明らかな調整レースとして位置づけていたエガン・ベルナルやゲラント・トーマスと比べて明確にやる気を感じる走りを見せていた彼は、続くツール・ド・ラ・プロヴァンスでも注目しても良い選手かもしれない。

 

さらに総合3位につけたのは、第3ステージの大逃げにチームメートなしで果敢に飛び乗りながら、自ら積極的にローテーションに入り続けたニルス・ポリッツ

最終日個人TTでも区間9位と悪くない走りで、彼もまた、2/14開催のクラシカ・ドゥ・アルメリア、そして2月末から始まる「北のクラシック」において活躍が期待できる存在である。

 

 

ポイント賞はコフィディスのクリストフ・ラポルト。昨年エリア・ヴィヴィアーニが絶不調で今年もまだどうなるか分からない中、ラポルトの調子の良さはチームにとって朗報と言えるだろう。

山岳賞は第1・第2ステージで積極的に山岳ポイントを収集したデルコのアレクサンドル・デュレット。日本人選手が憂き目に遭った騒動の渦中にあるチームではあるものの、選手に罪はない。2019年にはデルコ・マルセイユプロヴァンスのトレーニーとしてジャパンカップに来てくれてもいるこのネオプロのことは今後も応援していこう。

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以上、グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズとエトワール・ド・ベセージュ全5ステージ、1月末から2月1週目にかけての各種レースを振り返ってみたわけだが、いかがだろうか。

ここに出場した選手たちのうちの何人かは、そのまま今週木曜日から始まるツール・ド・ラ・プロヴァンスにも出場する。

Jsportsでも日本語実況解説付きでライブ放送されるこのレースだが、おそらくは日本でそういう形で放送されるのは初ということで、視聴者の多くも慣れない中で視聴するこちになるだろう。

 

そんなとき、このレース振り返りが役に立つのであれば幸い。

 

 

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*1:今年日本の津田悠義も加入することで話題となったチームで、過去にもロマン・バルデなどチームを代表する有力選手たちを輩出している実績ある育成チームである。

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