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獲得UCIポイントで見る ジロ・デ・イタリア2021 全チームランキング&レビュー(23位~12位)

 

結局今年のジロ・デ・イタリアも、誰も予想しなかった展開の連続で、スペクタルに溢れていた3週間であった。

やはりグランツールというのは、常にドラマを生み出し続ける。それは3週間、厳しい山岳の連続の中で、繰り広げられる人間と人間の戦いだからこそ。

そしてその主人公はステージ優勝者だけでもないし、総合TOP10の選手たちだけではない。184名の出場した全ての選手――リタイアした選手たちも含め――そのすべてが、あるいはもちろん、その裏側にいるすべてのチームスタッフ、大会運営者たちすべてが主人公であり続ける。

 

今回も、UCIポイントという基準をベースにして、全23チームを詳細にレビューしていこう。


昨年のランキングはこちらから

獲得UCIポイントで見る ジロ・デ・イタリア2020 全チームランキング&レビュー(22位~12位) - りんぐすらいど

獲得UCIポイントで見る ジロ・デ・イタリア2020 全チームランキング&レビュー(11位~1位) - りんぐすらいど

2020年やその他のグランツールについても「獲得UCIポイントで見るシリーズ」のカテゴリーからどうぞ

 

目次

 

 

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第23位(昨年22位) アンドローニジョカトリ・シデルメク 16pt.

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逃げ一覧

  • シモン・ペロー(第3・5・7・10・13・18・20ステージ)
  • フィリッポ・タリアーニ(第2・4・5ステージ)
  • アンドリー・ポノマー(第3・14・18ステージ)
  • シモーネ・ラヴァネッリ(第6・12・17ステージ)
  • ニコラ・ヴェンキアルッティ(第4・19ステージ)
  • ナトナエル・テスファション(第12・18ステージ)
  • エドゥアルド・セプルベダ(第9ステージ)

 

昨年もひたすら逃げに乗りまくった28歳スイス人シモン・ペローが今年も頑張り、総逃げ距離で争う「フーガ賞」も見事受賞。その他、逃げに乗せた回数としては全チーム中トップで、8人全員逃した昨年に続き今年も8人中7人が逃げに乗った。

UCIプロチームとしては、グランツールで果たすべき役割をしっかり果たしている、とは言えるだろう。

しかし過去マスナダやカッタネオ、ヴェンドラーメなどの有力選手を輩出してきた事実や、何よりも実績面でヴィーニザブを徹底的にこきおろしたことを考えると、ちょっと残念な結果である。

とくに大きな期待が寄せられていたはずのジェフェルソン・セペダが、逃げにも乗れず、総合でも71位の状態で第19ステージDNS。まったく存在感を示すことができなかった。

そんな中注目したいのが、今大会最年少の18歳ウクライナ人ポノマーの活躍。最終的な総合順位も総合67位と決して悪くない。

数年後に台頭してくるかもしれない才能。今から少し注目をしておくべきだろう。

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第22位(昨年19位) バルディアーニCSF・ファイザネ 48pt.

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逃げ一覧

  • ウンベルト・マレンゴ(第2・5・7・10・13ステージ)
  • ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(第9・12・16・20ステージ)
  • サミュエーレ・ゾッカラート(第3・4・16ステージ)
  • フィリッポ・ザナ(第4・9・18ステージ)
  • ジョヴァンニ・カルボーニ(第8・17ステージ)
  • フィリッポ・フィオレッリ(第4ステージ)
  • ダヴィデ・ガッブロ(第5ステージ)
  • エンリーコ・バッタリーン(第11ステージ)

 

26歳ネオプロ2年目のフィオレッリが意外な躍進。昨年のジロではデマールの勝ったスプリントステージで2回9位を獲っておりスプリンタータイプの選手なのだろうと思っていたのだが(実際に今回もメルリールの勝った第2ステージで7位とかには入っているのだが)、ジョセフロイド・ドンブロウスキーの勝った第4ステージで、アレッサンドロ・デマルキに続く区間3位。山岳系ステージの逃げもいけてスプリントでもシングルリザルトが可能という、アンドレア・ヴェンドラーメみたいなタイプの選手である。

また、2年前のジロ・デ・イタリアで一時期マリア・ビアンカを着用して注目を集めたカルボーニが、着実に成長してきて今回総合35位というのは嬉しい。今や、ポスト・ニバリの急先鋒とされているジュリオ・チッコーネもこのチームの出身で、2016年にはこのチームでジロでの区間1勝を成し遂げている。

カルボーニもまだ25歳。自転車ロード選手の最盛期である28〜29までまだ数年ある。この男の更なる進化に引き続き期待していきたい。 

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第21位(昨年14位) モビスター・チーム 112pt.

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逃げ一覧

  • ネルソン・オリヴェイラ(第4・8・14ステージ)
  • ダリオ・カタルド(第6・15・18ステージ)
  • エイネルアウグスト・ルビオ(第9・16ステージ)
  • アントニオ・ペドレロ(第16・17ステージ)
  • マッテオ・ヨルゲンソン(第17・20ステージ)
  • アルベルト・トレス(第15ステージ)
  • ダヴィデ・ヴィレッラ(第16ステージ)

 

昨年はエース不在の若手ばかりの中でチーム一丸となって健闘し、セルヒオ・サミティエの総合13位やアントニオ・ペドレロの総合19位などなかなか悪くない結果を出してこの獲得UCIポイントランキングでも14位と頑張っていた。

今年は単独エースとしてのマルク・ソレルを引き連れてきたが・・・第12ステージで落車リタイア。その時点でも総合11位と、決して良い状態ではなかったけれども。

その後は昨年同様に各メンバー積極的な逃げを見せる。とくにペドレロは終盤まで残り続ける姿を幾度も見せ、注目は十分に集めて見せたが、最終結果は昨年よりも落ちる21位。

とはいえ、プロデビューと共にモビスターに入り早6年の生え抜きスペイン人ライダー。29歳と決して若くはないけれど、今後もアシスト含め活躍してくれる可能性は十分にありそうな才能。

一応今年が契約最終年度だが果たして・・・。

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第20位(昨年11位) トレック・セガフレード 168pt.

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逃げ一覧

  • ジャコポ・モスカ(第4・14・17・18ステージ)
  • バウケ・モレマ(第6・9・14・15ステージ)
  • アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(第4・16ステージ)
  • ジャンルーカ・ブランビッラ(第12・16ステージ)
  • ヴィンツェンツォ・ニバリ(第16ステージ)
  • クーン・デコルト(第4ステージ)

 

ジュリオ・チッコーネの躍進。2019年のジロ・デ・イタリアで区間勝利と山岳賞。同年のツール・ド・フランスでラ・プランシュ・デ・ベルフィーユで逃げ切ってマイヨ・ジョーヌを獲得。そして2020年にはイル・ロンバルディアで5位。

確実に一歩一歩踏み締めてきた彼が、ついにグランツールの総合争いをこなせることを証明してくれた。残念ながら第17ステージの下りで落車して翌日DNSとなってしまったが、その時点での総合成績は総合6位。記録には残らないが、記憶には十分残る走りをして見せてくれた。

来年はもしかしたらニバリがチームを去るかも、という噂も。そうなってくると本格的にこのチームの柱となり、ひいてはイタリア人としてジロ制覇やロンバルディア制覇を期待される存在となることだろう。頑張れ!

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ただそれ以外は決して満足のいく出来ではない。怪我明けのニバリはまあ仕方ないとしても、モレマもかなり積極的に逃げた割には結果に結びつかなかった。モスケッティもややスランプ気味か・・・スプリントステージでは1週目に6位、6位、4位。第2週では存在感を失った。

いい選手は揃っているが、それだけに残念。セガフレード社はさらに2年契約更新してくれるようなので、ちゃんとジロ・デ・イタリアで結果を出さなくてはね!

 

 

第19位(昨年6位) グルパマFDJ 172pt.

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逃げ一覧

  • ラース・ファンデンベルフ(第3・15ステージ)
  • シモン・グリエルミ(第6・11ステージ)
  • アッティラ・ヴァルテル(第4ステージ)
  • マッテオ・バディラッティ(第17ステージ)


元々はティボー・ピノを中心にした総合体制で臨むはずだった今年のジロ・デ・イタリア。しかし昨年のツール第1ステージの落車による背中の痛みの影響が残っているとのことで急遽、出場を回避。実際、今年の彼の走りは全く精彩を欠いていた。

あとはもう、スプリントも狙うわけにはいかないので、とにかく逃げるしかない。そこで成功したのが22歳のネオプロ2年目ハンガリー人、ヴァルテル。昨年母国スタートのジロ・デ・イタリアに臨みつつもコロナのせいでそれが叶わず、それでも総合27位と素晴らしい走りを見せた彼が、今年は第4ステージの逃げで総合5位に浮上し、しかも第6ステージの山頂フィニッシュで上位4名が崩れ落ちる中アレクサンドル・ウラソフやサイモン・イェーツらと共に区間12位でフィニッシュ。きっかけは逃げだが、そのあとは実力でマリア・ローザを手に入れた。

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最終的な総合順位も総合15位と素晴らしすぎる結果。

グランツールの区間勝利も今年か来年のうちには達成してしまいそうだし、(それがグルパマFDJで、なのかどうかはわからないが)将来的にはその総合争いの中に入り込んできてもおかしくはない才能。

 

 

第18位(昨年-位) アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ 176pt.

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逃げ一覧

  • タコ・ファンデルホールン(第3・10・11・20ステージ)
  • クエンティン・ヘルマンス(第4・15・17・19ステージ)
  • ヤン・ヒルト(第16・17ステージ)
  • アンドレア・パスクアロン(第17・19ステージ)
  • レイン・タラマエ(第4ステージ)
  • シモーネ・ペティッリ(第12ステージ)
  • ウェスリー・クレダー(第18ステージ)

 

ワールドツアー制度が始まって以来、もしかしたら最も遅い1勝目だったかもしれない。しかしそれがまさか、ジロ・デ・イタリアで実現するなんて。誰もが想像しておらず、誰もが驚いた勝利。しかしこの勝利が、今年のジロを特徴付ける「逃げ切りの多さ」「グランツール初勝利者の多さ」の走りとなった感は強い。

タコ・ファンデルホールン。オランダのプロコンチネンタルチームを経て、2019年からユンボ・ヴィスマ入り。クラシックにおけるワウト・ファンアールトのアシストとして期待されながらも、当初の2年契約は更新されることなく、半ば拾われるような形でアンテルマルシェ入り。その恩を返すような勝利であり、アンテルマルシェとしても素晴らしい買い物をしたこととなる。

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また、その他このチームで注目すべきは、シクロクロスにおいても現役トップライダーとして活躍くるクエンティン・ヘルマンスのアグレッシブな走り。シクロクロッサーながら、今年はフレーシュ・ワロンヌで14位などかなり登れる姿を見せており、実際に今年はかなり早い段階でジロ出場を決めており、そのためのプログラムーーイツリア・バスクカントリー出場などーーを組んできていた。

勝利に結び付くことはなかったが、区間5位と厳しい山岳ステージを含む4つのステージでの逃げは立派な戦績。この走りが今年のシクロクロスでも結果に結びつけば良いし、また今後さらにロードでも活躍を続けてくれることに期待もしたい。

パスクアロン、ヒルトなど良い選手は多いこのチーム。今後本格化する移籍市場で存在感を示し、来年チームとしてさらなる

 

 

第17位(昨年18位) コフィディス・ソルシオンクレディ 204pt.

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逃げ一覧

  • ニコラ・エデ(第4・9・12ステージ)
  • シモーネ・コンソンニ(第15・18ステージ)
  • ヴィクトル・ラフェ(第8ステージ)
  • レミ・ロシャス(第14ステージ)

 

第1週目はむしろヴィヴィアーニの安定ぶりに少し安心していたところはある。ユアン、ニッツォーロと並ぶ安定感を覚えていた。しかし、2週目に入る頃にはまたその存在感を失っていって・・・結局今年もまた、苦しい結果に終わってしまった。

今シーズン末の契約終了と同時にチームを去る噂も出てきているヴィヴィアーニ 。果たして、どうなってしまうのか。

 

一方、そんな苦しいチームに歓喜をもたらしてくれたのがラフェの勝利。2017年のトレーニー時代から数えてコフィディス一筋早5年。今年は直前のボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナでもエンリク・マスに食らいついて区間2位や最終的にも総合4位と調子の良さを見せていた中で、この誰もが羨む大舞台でまさかのプロ初勝利。今年が契約最終年ではあったが、この勝利はきっと、彼の人生を変える勝利となったことだろう。

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もちろん、大事なのはこれからだ。一発屋にはならないよう、彼自身の勝利はもちろん、そのときのエースを守る頼れる山岳アシストなど、様々な形で今後も存在感を示していってほしい。

 

 

第16位(昨年-位) アルペシン・フェニックス 228pt.

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逃げ一覧

  • ドリース・デボント(第11・12・15・17・20ステージ)
  • ルイス・フェルファーク(第4・16・20ステージ)
  • ジミー・ヤンセンス(第6ステージ)
  • オスカル・リースベーク(第15ステージ)
  • ジャンニ・フェルメールシュ(第18ステージ)

 

今やトップスプリンターの仲間入りを間違いなく果たしているメルリール。今大会も、どこかで1勝しても何もおかしくはないと思っていたが、まさかの最初のスプリントステージでいきなり勝つなんて!

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さらに言えばこの第2ステージの勝ち方は非常に「強い」勝ち方だった。コフィディスもロット・スーダルもガビリアも自滅する中ではあったが、それでもまだ背後にはニッツォーロがいる、という中で、ラスト250mというちょっと「早すぎる」タイミングで彼は飛び出した。

結果、後輪につけたニッツォーロを振り切っての勝利。個人の力としても今大会1,2を争う実力を持っていたかもしれない。

↓詳細はこちらの記事で↓

www.ringsride.work

 

それだけに、早期の離脱は残念ではあったが、ツール・ド・フランスにも出場するとのことで、そこに備えてのことか。ツールでは昨年ブエルタでも1勝しているジャスパー・フィリプセンも同行予定だが、今回メルリールがジロを勝ったことで立場は互角。果たしてエース争いの行方はどうなるのか・・・

なお、ジロ途中リタイアしながら、ジロ開催期間中に行われたロンド・ファン・リンブルフに出場し(独走していたブレント・ファンムールの逃げ切り濃厚の中、彼が終盤にコースアウトしてしまったがゆえとはいえ)普通に勝ってしまったが、これ、いいのか?笑

 

そして、メルリールが早々に帰宅しながらも、残されたメンバーはそこで目的を見失うことなく積極的なアタックを繰り出し続ける。

とくにベルギー王者の座を昨年メルリールから引き継いだデボントは、2週目以降の積極性が功を奏し中間スプリント賞を獲得。

彼は北のクラシックはもちろんリードアウトやラスト1㎞までの集団内での位置取りなども含め、あらゆる場面で活躍する万能な男。

いつか彼のグランツール勝利も見てみたいし、きっとそう遠くない未来に実現するような気がしている。

 

 

第15位(昨年15位) ロット・スーダル 232pt.

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逃げ一覧

  • ハーム・ファンフック(第11・15・16ステージ)
  • コービー・ホーセンス(第8・10ステージ)
  • ステファノ・オルダーニ(第15・18ステージ)
  • ロジャー・クルーゲ(第11ステージ)

 

直前のボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナではやや不調を感じさせる走りを見せながらも、しっかりと2勝。さすがである。今季は3大グランツールすべてに出場しその全てで勝利することを目標にしているということで早々に帰宅したものの、十分すぎる成果を残したと言えるだろう。

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しかし相変わらずステージレースの最初のスプリントステージは大崩れする傾向にあるユアン&ロット・スーダル。すぐ挽回して勝つんだから、最初からうまくいかないものなのか笑

また、第7ステージでの勝利ではデブイストの素晴らしいリードアウトが光った。クルーゲもおそらくラスト1㎞までの運び上げで活躍していたものと思われる。

この先のツールもブエルタも、ユアンと共に彼らもすべて出場するのだろうか・・?

↓スプリントの詳細はこちらの記事で↓

www.ringsride.work

 

また、近年クライマーとして着実に成長しつつあるハーム・ファンフックには期待していたのだが、今回は残念ながら結果を持ち帰れず。

もちろんまだまだ若く(23歳)、焦る必要はない。今後の活躍に期待だ。

 

 

第14位(昨年-位) EOLOコメタ 236pt.

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逃げ一覧

  • ヴィンツェンツォ・アルバネーゼ(第2・3・12・14・20ステージ)
  • サミュエーレ・リヴィ(第3・10・13・18ステージ)
  • フランチェスコ・ガヴァッツィ(第4・8・11・18ステージ)
  • マーク・クリスティアン(第7・19ステージ)
  • ロレンツォ・フォルトゥナート(第14・16ステージ)
  • マールトン・ダイナ(第4ステージ)

 

元ポーラテック・コメタ。今年からイタリア籍のスポンサー(でありジロ・デ・イタリア含むRCSスポルトの各種レースのスポンサー)でもあるEOLOがタイトルにつき、ワールドツアー化。その初年度から、まさかの結果を出すことに。

勝ったフォルトゥナートは2016年にティンコフのトレーニーということで、一時的にコンタドールのチームメートでもあった。もちろん同じレースでは走ってはいないとはいえ、面識はあったはずで、そこから5年。こうして彼のチームでワールドツアー初勝利かつグランツール初勝利を飾ることになるとは・・・出回ったコンタドールの喜ぶ姿も、クールな彼のイメージからすると少し意外なくらい熱かった。

最終的にも総合14位と、大健闘。すでにいくつかのワールドツアーチームが狙いを定めているはずだ。

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とはいえ。

このフォルトゥナートも元ヴィーニザブ。ほか結果を出したガヴァッツィやラヴァージ、そしてよく逃げたアルバネーゼらも、元アンドローニやバルディアーニ、UAEチーム・エミレーツなどからかき集めてきた補強組ではある。コメタからの生え抜き組としてはダイナのみということで、それは(仕方ないとはいえ)ちょっと残念ではある。

コメタ自体はとても良いチームで、今トレックで活躍しているマッテオ・ モスケッティもこのチーム出身。同じように生え抜きの名選手の輩出というのも引き続き楽しみにしていきたい。

 

 

第13位(昨年13位) AG2Rシトロエン・チーム 248pt.

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逃げ一覧

  • ジョフリー・ブシャール(第6・9・12・16・17ステージ)
  • アレクシー・グジャール(第3・5・8ステージ)
  • アンドレア・ヴェンドラーメ(第4・12・18ステージ)
  • トニ・ガロパン(第9ステージ)
  • ローレンス・ナーセン(第11ステージ)
  • ラリー・ワーバス(第19ステージ)

 

明確な総合エースもエーススプリンターもいない中でのこの成績は十分に成功と言えそうだ。ここ最近のジロのAG2Rは常にこんな感じで、地味ながら存在感を示している。

とくにブシャールの2年前のブエルタに続く山岳賞獲得は素晴らしい。今年29歳だがアマチュアの期間が長くプロ3年目だからすごい。ログリッチやウッズらと並ぶ「遅れてきた新人」トレンドの1人だ。

そして、近いうちにジロ山岳ステージ優勝するだろうと信じていたヴェンドラーメがついに掴んだ栄光。2019年ジロのチャベスに次いで2位になったあの日からわずか2年。今後もまた、そのアグレッシブな逃げに期待だ。これで普通のスプリントステージでもTOP10に入ってきたりするから本当に謎脚質である。

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あとはまあ、特筆すべきリザルトはない。しかしこれで良い。もしブシャールやヴェンドラーメが調子悪ければグジャールやガロパンがステージ勝利してそうだし、そう信じられる(特筆して強い選手はいないが、誰もがチャンスを掴める)安定感の高さはこのチームの強みである。

 

 

第12位(昨年5位) ボーラ・ハンスグローエ 292pt.

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逃げ一覧

  • フェリックス・グロスシャートナー(第16・17・20ステージ)
  • マッテオ・ファッブロ(第9・16ステージ)
  • ジョヴァンニ・アレオッティ(第19ステージ) 

 

今年はカヴェンディッシュの復活勝利やグライペルの復活勝利と2010年半ばにロードレースに出逢った自分の世代には嬉しい出来事が続いていたが、サガンのこのマリア・チクラミーノ獲得もまた、そんな「復活」の1つだ。昨年は果たせなかった、「スプリントでの勝利」も合わせて。

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昨年もツール、ジロともに、チーム一丸となってサガンのためにピュアスプリンターたちを篩い落としながらポイント賞ジャージを求めていった。しかしいずれも失敗。

それでも今年もまったく諦めることなく同じようにポイント賞に挑戦。昨年は若手ファッブロがサガンのための牽引に尽力したが、今年はさらなる若手のアレオッティがその役割のメインを引き受ける。結果、サガンは見事(ユアンやニッツォーロ、メルリールらがリタイアした結果とは言え)マリア・チクラミーノを獲得したというわけだ。

この勢いでツールでもマイヨ・ヴェールの奪還を狙えるか。

 

一方、総合エースのブッフマンについては、エヴェネプールやチッコーネらが崩れ落ちた第11ステージ(ストラーデビアンケステージ)で終盤アタックし、ベルナル以外のライバルたちからタイムを奪うなどして第14ステージ終了時点では総合6位と悪くない位置にいた。

しかし第15ステージで落車に巻き込まれリタイア。2019年ツール・ド・フランス総合4位から2020年の沈黙、そこからの復活の兆しがあっただけに、非常に残念だ。

ファッブロも今回1勝してくれるかなと思っていたけれど・・・次のグランツールに期待だ!

 

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