読み:コフィディス・ソルシオンクレディ
国籍:フランス
略号:COF
創設年:1997年
GM:セドリック・ヴァスール(フランス)
使用機材:デローザ(イタリア)
2019年UCIチームランキング:21位
(以下記事における年齢はすべて2020年12月31日時点のものとなります)
参考
Cofidis, Solutions Crédits 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
Cofidis, Solutions Crédits 2019年シーズンチームガイド - りんぐすらいど
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2020年ロースター
※2019年獲得UCIポイント順。
ナセル・ブアニ、そしてその後継者たるクリストフ・ラポートのいずれもが達成できなかったチームの悲願・「ツール・ド・フランスでの勝利」のために、チームはついに最終手段として世界トップスプリンターのエリア・ヴィヴィアーニ獲得に動いた。しかも、彼のアシストとして、ファビオ・サバティーニとシモーネ・コンソンニという2人のイタリア人も共に。その条件の1つだったのだろうか、11年ぶりとなるワールドツアー復帰も果たした。そのためにフランス人総合エースとしてギヨーム・マルタンも招き入れた。チームは大きく生まれ変わった。
とはいえ、マルタンもヘスス・エラダもまだまだグランツールの総合エースを担えるレベルではない。ロースターのクオリティは、2019年のCCCチームとそこまで大きくは変わらない程度。2020年はまだまだ「半プロコン」感は拭えないかもしれない。
そこでどれだけの成果を出せるか。
注目選手
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、31歳)
脚質:スプリンター
2019年の主な戦績
- サイクラシックス・ハンブルク優勝
- カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース優勝
- ライドロンドン〜サリークラシック優勝
- ヨーロッパ選手権優勝
- 年間11勝
- 世界ランキング9位
2018年に「ダブルツール」を達成した男。彼にとって、ツール・ド・フランスでの勝利は、唯一取りこぼした目標であったことだろう。
それは実現した。ツール・ド・フランスで念願の勝利を手に入れることはできた。
しかし、ジロ・デ・イタリアでの「降格」騒動による影響はツールにも及んでいたのだろうか。あるいは、別の理由か。シャンゼリゼでの走りを見ていても、どことなく、チームとの連携がうまくいかない様子がそれとなく見られた。
ただ、個人としての実力は間違いなく圧倒的だった。2018年もイタリア国内選手権で、ジョヴァンニ・ヴィスコンティらに登りでも食らいつき勝利するピュアスプリンターとは言えない走りを見せていた彼。
2019年もヨーロッパ選手権でイヴ・ランパールトと逃げに乗ったり、アッカーマンが脱落するようなサイクラシックス・ハンブルクできっちりと勝利を掴むなど、サバイバル能力に長けた「強い」スプリンターであることを示した。その安定感においては、正直、ユアン以上といっても良いかもしれない。
だから、あとは、2019年のグランツールでの「ちぐはぐ」さが解消されれば、2020年こそ正真正銘の「最強」スプリンターになれるはずだ。今回のコフィディスへの移籍は、そのために必要な選択肢だったと言えるだろう。
新チームメートとしては、ドゥクーニンクから「盟友」サバティーニがついてくる。また、トラック競技では最高の相棒として働いてくれているシモーネ・コンソンニも加える。コンソンニもまた、2019年にUAEで活躍し実力を高めつつあった期待の若手だ。
2020年のグランツールのスケジュールは、過去2年活躍してきた「地元」ジロ・デ・イタリアを回避。理由は、チームにとって大金をはたいてヴィヴィアーニを獲得した理由である「ツール・ド・フランス勝利」のためと、そして彼自身の、東京オリンピックにおける活躍のため。
果たして彼はチームの念願を叶えてあげることができるのか。そのためにはチームも、ドゥクーニンクに負けない体制を用意してあげる必要がある。
ギヨーム・マルタン(フランス、27歳)
脚質:パンチャー
2019年の主な戦績
- ツール・ド・フランス総合12位
- ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ総合8位
- ジロ・デ・シチリア総合2位
- ブエルタ・ア・ブルゴス総合5位
- 世界ランキング45位
2014年にFDJとトレーニー契約を結びながらもそのタイミングではプロデビューせず、2015年にU23版リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで優勝。そして2016年からはベルギーのワンティ・グループゴベールで4年間を過ごした男が、いよいよフランスチームにてエースを担う。
これまでベルギーチームのフランス人エースとしてツール・ド・フランスで総合争いを主導するチャンスを掴み続けてきた。その結果は、2017年総合23位、2018年総合21位と、期待にはそぐわないものであったが、2019年にはついに総合12位。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでも区間優勝一歩手前にまで迫り、いよいよワールドツアーのエースとして走る準備は整ったというところだ。ここから3〜4年、グランツールライダーとしては最も脂の乗る時期が訪れる。ここでどれだけの成果を叩き出せるか。
なお、本人の脚質としてはどちらかというと短い登りを得意とするパンチャータイプ。ワールドツアーチームということで、今までは出られなかった世界中のパンチャー向けレースに出られる機会も増えるだろうし、ワンデーレースでの成績にも期待していきたい。
ヘスス・エラーダ(スペイン、30歳)
脚質:パンチャー
2019年の主な戦績
- ツール・ド・フランス総合20位
- ブエルタ・ア・エスパーニャ区間1勝
- ツール・ド・ルクセンブルク区間2勝&総合優勝
- ツアー・オブ・オマーン総合3位
- モンヴァントゥ・デニヴレ・チャレンジ優勝
- ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ総合6位
- 世界ランキング56位
プロデビューから7年間、モビスター・チームで活躍。2018年に兄ホセと共に現チームに移籍。その目的はエースとして走ること。チームから求められた責任も、エースに相応しい走りを見せること。
その役割は十分に果たした。2018年はブエルタ・ア・エスパーニャで2日間マイヨ・ロホを着用した。2019年はブエルタでステージ優勝を果たし、チームのワールドツアー昇格に貢献した。2019年に初開催されたモンヴァントゥでのワンデーレースでは、ロマン・バルデの度重なるアタックを余裕でいなし、最後にこれを突き放す絶好調ぶりを見せつけた。
もちろん、それではワールドツアーの総合エースを担う存在になりうるかといえばさすがにそこまでは言えないだろう。彼とマルタンがエースを担わざるを得ない2020年のコフィディスは、2019年のCCCチームのように、総合はほぼ捨てざるを得ない状況であることは間違いない。
だからヘススも決して気負うことなく、これまで通り、大きなレースでの逃げ切り勝利などを目指して自由に走ってほしい。
その他注目選手
クリストフ・ラポート(フランス、28歳)
脚質:スプリンター
ナセル・ブアニからその居場所を奪い取った男。2018年・2019年とツール・ド・フランスでの単独エースの座を掴み取るが、しかし彼もまた、その頂点には届かなかった。決して、悪くはない走りだったのだが・・・。
そうしてチームは最後の手段としてエリア・ヴィヴィアーニを招聘した。ツール・ド・フランスの勝利という、チームの悲願を達成するために。ラポートは与えられたチャンスを掴むことはできず、再びエースの座を降ろされることになる。
とはいえ、ラポートはヴィヴィアーニとはまた違った強さをもつスプリンターだ。2019年のエトワール・ド・ベセージュでは、個人TTを含む区間2勝と総合優勝。ツール・ド・ルクセンブルクではプロローグと第1ステージを共に勝利した。
スプリントだけでなく短めのTTや石畳、激坂にも強いオールマイティな脚質をもつ器用な男。1クラスやHCクラスのレースでは今後も勝利を量産してくれることだろう。それは、ワールドツアー初年度のチームにとってはとても重要なことだ。
また、ヴィヴィアーニが2020年のジロ・デ・イタリアを回避することに決めたため、そのエーススプリンターの座をラポートが手に入れる可能性が高まった。ツールでは無理でも、もしかしたらジロならば・・・
シモーネ・コンソンニ(イタリア、26歳)
脚質:スプリンター
2017年からUAEチーム・エミレーツで走る若手スプリンター。2019年はフェルナンド・ガビリアの発射台として活躍し、その実力は申し分なかったのだが、やや負けん気が強いというか、自ら勝負に向かう場面も多くみられた。
2020年はコフィディスに。その最大の目的は同じイタリア人のエリア・ヴィヴィアーニをアシストすること。トラック競技においてもヴィヴィアーニの相棒であり、2019-2020シーズン最初のシックス・デイ「ロンドン」では、ヴィヴィアーニとコンビを組んで見事優勝した。東京オリンピックでもこのコンビは維持されるようだ。
もちろん、彼自身の勝利も狙いたい。ヴィヴィアーニがオリンピックのためにジロ・デ・イタリアを回避することとなったが、それはコンソンニにとっては母国最大のレースでエースを担うチャンスになる? 実力的には問題ないのだが、ただヴィヴィアーニ同様にトラックにも力を入れる予定ならば、ジロ・デ・イタリアは出るべきではないとも言える? その辺りは未知数である。
ジュリアン・フェルモーテ(ベルギー、31歳)
脚質:ルーラー
プロデビューから2017年までクイックステップに在籍。とくに2017年は、マルセル・キッテルによる驚異のツール5勝を支えた。当時のクイックステップのスタートリストはジャック・バウアー、ジャンルーカ・ブランビッラ、フィリップ・ジルベール、ダン・マーティン、ファビオ・サバティーニ、ズィネク・シュテバール、マッテオ・トレンティンといった面々で、平坦牽引を担えるのがバウアーとフェルモーテしかいなかった。そして実際に、スプリントステージのスタートからフィニッシュまでの時間の大部分を集団の先頭で牽引したのがこのフェルモーテだった。
そんな彼が2018年からディメンションデータに移籍したのは、かつてのエース、マーク・カヴェンディッシュのためと、そして自らのクラシックでの活躍のためであっただろう。
しかし、そのカヴェンディッシュが2018年頃から振るわず。フェルモーテ自身も、クラシックでは思うように結果を出せなかった。
今回、心機一転。新たに、勝てるエースのもとに馳せ参じ、再びその名を轟かせるべく邁進する。もちろん、クラシックという目標も、引き続き持ち続けることだろう。
総評
28名のチーム全体のうち11名がスプリンター。ワールドツアーに上がったとはいえ、だからこそ最初はスプリントで稼ぐしかない。しかしその稼ぎ手は世界最強レベル。アシストも揃っていて、ドゥクーニンク時代と同じように勝利数を稼ぎ出してくれることをチームとしても期待したい。
逆にそれ以外の要素は、2020年は捨てるしかない、か・・・? チームTTもプロコンチネンタルチーム時代はお察しといったところだったが、今年の面子を見ても、その改善は難しそうだ。
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