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【全ステージレビュー】ジロ・デ・イタリア2020 第2週

 

波乱の幕開けとなったジロ・デ・イタリア第1週目。

最終的には今年ワールドツアーデビューで当然グランツールも初挑戦となったホアン・アルメイダがマリア・ローザを着て迎えたこの第2週は、マリア・チクラミーノを着るアルノー・デマールとグルパマFDJによるスプリントステージの完全支配やディエゴ・ウリッシによるジロ8勝目という展開を挟みつつ、ヴァルドッビアーデネの葡萄畑で繰り広げられる丘陵タイムトライアル、そしてピアンカヴァッロで繰り広げられる熾烈な総合争いとで締めくくられた。

 

連日入れ替わる総合順位。もはやセオリーを無視したチーム、選手たちの活躍とベテラン勢の失速の末に、どんな結末が待っているのか。

第2週の6ステージを振り返っていく。

 

  

↓コース詳細はこちらから↓

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↓第1週の全ステージレビューはこちらから↓

www.ringsride.work

 

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第10ステージ ランチャーノ~トルトレート 177㎞(丘陵)

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終盤に急勾配のアップダウンが連続し、最後の4級山岳トルトレート(登坂距離1.9㎞、平均勾配7.2%、最大勾配18%)の頂上からフィニッシュまでは11㎞。

ある意味で、ロンド・ファン・フラーンデレンのようなレイアウト。それを象徴するかのように、2016年ロンド覇者ペテル・サガンが、そのときの走りを彷彿とさせるかのような独走逃げ切り勝利を果たした。

実に1年3ヶ月ぶりの勝利。今年はツール・ド・フランスでも1勝もできず、初めて実力でマイヨ・ヴェールを取り損ねた。

常にその引退を予感させる不安を与えながらも、初参戦となるこのジロで笑顔を見せ続けていたペテル・サガンが、グランツールでは珍しい、しかし実に彼らしい勝ち方をしてみせてくれた。

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この日、逃げに乗ったのは以下の7名。

 

  • ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)
  • サイモン・クラーク(EFプロサイクリング)
  • ダヴィデ・ヴィレッラ(モビスター・チーム)
  • ダリオ・カタルド(イタリア、モビスター・チーム)
  • ベン・スウィフト(イネオス・グレナディアーズ)
  • フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)
  • ヨナタン・レストレポ(アンドローニジョカトリ・シデルメク)

 

この7名がバラバラになったのは、残り20㎞地点から登り始める最後から2番目の登り(カテゴリ無し)。

登坂距離2.5km、平均勾配7.1%、最大勾配17%というプロフィールをもったこの登りで、先頭はサガンとスウィフトの2人だけになった。

 

この時点でメイン集団とサガンたちとのタイム差はわずか40秒。

最後にもう1つ4級山岳トルトレート(登坂距離1.9㎞、平均勾配7.2%、最大勾配18%)が待ち構えていると思うと、心許ないタイム差であった。

 

 

だが、それこそ2016年ロンド・ファン・フラーンデレンのような展開だった。

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あのときは残り30㎞からクフィアトコフスキやセップ・ファンマルクと共に抜け出したサガン。

残り17㎞の3回目オウデクワレモントでクフィアトコフスキが脱落し、先頭はサガンとファンマルクの2人だけに。

後続からはファビアン・カンチェラーラがクフィアトコフスキもパスしながら迫りくるなか迎えた、残り13㎞のパテルベルク。

ここでサガンは、ファンマルクを切り離し、残り13㎞の独走に挑んだのである。

 

 

今回のジロも同様であった。

 

残り13㎞で迎えた4級山岳トルトレート。

ここでメイン集団から抜け出してきた総合3位ペリョ・ビルバオにわずか5秒差にまで迫られていたサガンとスウィフトだったが、ここでサガンがアクセルを踏んだ。

 

スウィフトを切り離し、追いつきかけていたビルバオに対してもみるみるうちにタイム差を広げていくサガン。

それは、2016年ロンドの最後のパテルベルクで抜け出したときのサガンをまざまざと思い起こさせるような力強さであった。

 

 

そしてメイン集団でも動きが巻き起こる。

総合首位ホアン・アルメイダのアタックを皮切りに、総合2位ウィルコ・ケルデルマン、総合4位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォなどが次々とアタック。

サガンがトルトレートの山頂を通過した時点でそのタイム差はわずか20秒程度に。

まだフィニッシュまでは11㎞以上も残っていた。

 

 

だが、あのロンドの走りをしてみせているサガンにとって、この最後の11㎞は決して不可能ではない距離だった。

雨に濡れた路面はむしろサガンに味方してくれて、タイム差は見る見るうちに開いていく。

 

残り3.7㎞で独走力のあるブランドン・マクナルティがアタックするも、その攻撃も、サガンに届くことはなかった。

そしてフィニッシュするサガン。

1年3ヶ月ぶりの勝利は、あのときのロンドのように、貫禄に満ち溢れたガッツポーズと共に添えられた。

 

 

総合勢ではここまで実に素晴らしい走りをしてみせてくれていたロット・スーダルのハーム・ファンフックが、残り20㎞地点の登りで脱落。

この日の最後には、総合7位から総合16位に転落した。

また、総合17位テイオ・ゲイガンハートと総合18位ブランドン・マクナルティはこの日の活躍でそれぞれ総合13位・14位に浮上。

逆に残り9㎞地点でパンクに見舞われてしまった総合6位ヤコブ・フルサンは、1分15秒を失って総合11位に転落した。

もしもロペスとウラソフがリタイアしていなければ先頭に残っていた可能性が高いだけに、実に悔しい出来事である。

 

平坦ステージではないものの総合争いが巻き起こるほどのステージではないという予想に反して、様々な混乱の巻き起こった1日であった。

 

 

 

第11ステージ ポルト・サンテルピーディオ~リミニ 182㎞(平坦)

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今大会最もフラットなステージ。総獲得標高は1,100m。

集団スプリント以外に可能性のないこのステージで、それでも2018年ブエルタの平坦ステージでまさかの逃げ切り勝利を果たしているサンデル・アルメが残り25㎞地点から独走を開始。

残り10㎞を前にしてなおも1分以上のタイム差を維持するアルメの好走にまさかと思わせた瞬間もあったが、残り10㎞を切ってからは急速にタイム差が減少。

残り6.4㎞でついにアルメが吸収。

集団はスプリントに向けて体制を整えていく。

 

 

最初に集団を支配していたのはUAEチーム・エミレーツとイスラエル・スタートアップネーションだった。

そして残り2.2㎞でグルパマFDJが先頭に躍り出てくる。完璧な戦略、と思われたが、残り1.4㎞でこれを再びUAEが奪い返す。

仕掛け人は、フアン・モラノとマキシミリアーノ・リケーゼ。この2人は今大会、もしかしたら「スプリントのアシスト」としては実は最強だったかもしれない。

 

だが、問題はエースのガビリアがそこにいないことだった。自分のすぐ後ろではなく、そのずっと後ろ、デマールの背後にガビリアがいることに気がついたリケーゼは残り1㎞で失速。

再び集団先頭はグルパマFDJの2人のアシスト、すなわちマイルス・スコットソンとジャコポ・グアルニエーリによって支配された。

 

 

そして、グアルニエーリによる完璧なリードアウトが残り200mまで敢行される。

なんとか仲間の尽力に報いようとガビリアが先に仕掛けるも、最適なタイミングでお膳立てされたデマールの加速力についていくことはできなかった。

前日の覇者ペテル・サガンもアルバロホセ・ホッジも追いすがるが、あらゆるライバルたちを横に並ばせることなく、文句なしで今大会最強スプリンターのアルノー・デマールが、今大会集団スプリント完全制覇となる4勝目を記録した。

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第12ステージ チェゼナティコ~チェゼナティコ 204㎞(丘陵)

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最古のグランフォンド「ノーヴェ・コッリ」が今年50回目を迎えることを記念して、そのコースをほぼそのまま使用。

総獲得標高は3,800m。難易度は難関山岳ステージに匹敵する星4つである。

スプリンター向けでは決してなく、かといって総合勢の中でタイム差がつくほどのレイアウトではないことから、逃げ切り向けと目されていた。

 

 

実際、序盤からアタック合戦が頻発し、結果として以下14名の逃げが生まれる。

 

  • フランソワ・ビダール(AG2Rラモンディアル)
  • マヌエーレ・ボアーロ(アスタナ・プロチーム)
  • シモン・ペロー(アンドローニジョカトリ・シデルメク)
  • マーク・パデュン(バーレーン・マクラーレン)
  • チェザーレ・ベネデッティ(ボーラ・ハンスグローエ)
  • ジョセフ・ロスコフ(CCCチーム)
  • ジェスパー・ハンセン(コフィディス・ソルシオンクレディ)
  • サイモン・クラーク(EFプロサイクリング)
  • ジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ)
  • エクトル・カレテロ(モビスター・チーム))
  • アルベルト・トレス(モビスター・チーム)
  • ヴィクトール・カンペナールツ(NTTプロサイクリング)
  • マキシミリアーノ・リケーゼ(UAEチームエミレーツ)
  • エティエンヌ・ファンエンペル(ヴィーニザブKTM)

 

動きが巻き起こったのは残り63.6㎞地点で山頂を迎える3級山岳マドンナ・ディ・プリアーノの下り。

雨天の山岳という条件の中、中継映像が全く届かずに詳細は不明だが、映像が復活した残り57㎞の時点で先頭はサイモン・クラークただ1人となっていた。

 

 

そして残り52㎞地点で、残った逃げメンバーの中からパデュンとナルバエスがアタック。

あっという間に先頭のクラークに追いついたかと思うと、次の瞬間にはこれを追い抜き、2人のタンデムエスケープが開始された。

 

 

一時は4分台にまで迫られていた逃げ集団だったが、2人だけの逃げになってからはそのタイム差は再び6分台にまで開く。

このまま2人による最終スプリントでの決着となるかーーと思われていた中、残り24㎞地点で突如、パデュンのフロントタイヤがパンク。

ナルバエスとのタイム差が30秒にまで開いた。

 

その後もパデュンは決して諦めることなく、残り11㎞地点ではそのタイム差を10秒近くにまで詰め寄った。

しかし、さすがに足を完全に使い果たしてしまったのか、そのあとはずるずると失速。

最後は雨の中見事な走りを見せたナルバエスがグランツール初勝利を成し遂げた。

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2年前のリチャル・カラパス、そして今年の第3ステージにおけるホナタン・カイセドに次ぐ、エクアドル人3人目のジロ勝者。

今年のツールではスロベニア人の台頭が光ったものの、このエクアドルという南米の小さな国もまた、新たな輝きを放ち始めている。

 

総合勢もNTTプロサイクリングの積極的なペースアップで集団の人数が絞り込まれる場面もあったが、総合上位勢に脱落者はなし。

ノーコンテストのまま、フィニッシュを迎えた。

 

 

 

第13ステージ チェルヴィア~モンセーリチェ 192㎞(丘陵)

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ポー平原を利用した極端なまでのフラットレイアウトに、最後に付け加えられた2つの丘。

その特徴的なプロフィールからミラノ〜サンレモを類比させる者も多いが、実際にはミラノ〜サンレモのチプレッサやポッジョ・ディ・サンレモと比べてももっとずっと厳しい勾配の登りとなっており、ミラノ〜サンレモ覇者アルノー・デマールが残れるかどうかは判断が難しいところである。

 

そしてそれは当然、ペテル・サガン率いるボーラ・ハンスグローエにとってはチャンスとなる。

残る平坦ステージはこの日を含めて2つ。

マリア・チクラミーノポイント首位のデマールに対し、サガンは36ポイント差でこれを追う。

この第13ステージでデマールを落とし、自らが上位でフィニッシュすることは、彼の初のジロで初のポイント賞を獲得するうえでの絶対条件であった。

 

よって、残り33.8㎞から登り始める最初の4級山岳ロッコーロ(登坂距離4.1km、平均勾配8.3%、最大勾配20%)で早速ボーラは攻撃を仕掛ける。

今大会登りでは常に存在感を示している25歳若手イタリア人マッテオ・ファッブロの牽引により、早くもデマールが脱落していく。

 

 

グルパマFDJはアシスト総出で全力牽引し、デマールをなんとか集団に引き戻すべく奮闘。

結果、残り19.7㎞。最後の4級山岳の登坂直前になんとかメイン集団に追い付くことには成功したが、そのときすでにアシストはクライマーのキリアン・フランキニーとルーラーのイグナタス・コノヴァロヴァスだけとなり、発射台不在の状況となった。

 

そして残り18㎞から始まる最後の4級山岳カラオーネ(登坂距離2.1km、平均勾配9.8%、最大勾配18%)。

登り始めと同時に攻撃を仕掛けたのはUAEチーム・エミレーツのヴァレリオ・コンティ。第2ステージでも優勝しているディエゴ・ウリッシのために、集団のペースを一気に引き上げる。

そしてこの動きに乗ってさらに自ら動いたのがウリッシ。スプリンター同士の対決を尻目に、自身のジロ8勝目に向けて勝負を動かしにかかった。

ここに食らいつくのが第2ステージでウリッシ、サガンに次ぐ3位を記録したドゥクーニンクの新鋭パンチャー、ミッケルフレーリック・ホノレ。

こちらは彼自身の勝利というよりは、チームのエース、ホアン・アルメイダのための重し役としてウリッシの後輪を重く捉える。

この一連の動きによって集団はペースアップ。逃げ残りを吸収した先頭集団は20名弱の小さな塊となり、デマールはもちろん脱落したものの、肝心のペテル・サガンまでもが、この先頭集団から切り離されてしまった。

 

 

総合上位勢はすべて先頭集団に残り、4級山岳の山頂は山岳賞ジャージを着るルーベン・ゲレイロが先頭通過。サガンは先頭から20秒以上遅れての山頂通過となってしまった。デマールはそこからさらに40秒ほど遅れての通過。

残り15㎞以上の下りと平坦。

決してサガンたちが追いつけないシチュエーションではない。

しかし、先頭集団も、アルメイダでのステージ優勝を狙うドゥクーニンク・クイックステップも積極的に牽引し、そのタイムギャップはなかなか縮まらない。

結局、先頭20名がサガングループに20秒のタイム差をキープしたままフィニッシュに。

最後は総合系のライダーたちを交えた小集団スプリント決着となった。

 

ドゥクーニンク・クイックステップとUAEチーム・エミレーツのアシストたちが彩る最終スプリント。

ブランドン・マクナルティとホノレが強烈なリードアウトで集団を縦に引き伸ばし、アルメイダとウリッシがほぼ同時にスプリントを開始。

マリア・ローザ着用者とは思えないスプリントを見せたホノレだったが、さすがに屈指のピュアパンチャー・ウリッシに真っ向勝負で勝てるほど甘くはなかった。

後方からはボーラ・ハンスグローエのパトリック・コンラッドやイネオスのゲイガンハートも迫る中、ディエゴ・ウリッシが8回目のジロ・デ・イタリア区間優勝を成し遂げた。

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結局、マリア・チクラミーノ争いは動かず。

サガンにとっての逆転のチャンスは、残すはほぼ第19ステージのみとなった。

 

 

 

第14ステージ コネリアーノ~ヴァルドッビアーデネ 34.1㎞(個人TT)

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プロセッコの産地ヴァルドッビアーデネを走るコースは当然葡萄畑に由来する丘陵レイアウト。

スタート直後には登坂距離1.1km、平均勾配12.3%・最大勾配19%の激坂が用意されている。

 

だが、「山岳TT」とまでは言えないプロフィールがゆえに、やはりこの重機関車を止めるには至らなかった。

元世界王者ローハン・デニスが復活を告げるような好走を見せ、それまで2位に50秒差をつけて暫定トップだったヨセフ・チェルニーをさらに50秒上回る記録を出してホットシートを占領し続けていたが、現世界王者フィリッポ・ガンナがさらにこれを30秒上回る激走。

これでガンナは今大会3勝目。アルカンシェルに相応しい完璧な走りをしてみせた。

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総合勢で最も素晴らしい走りをしてみせたのはブランドン・マクナルティ。

元々TT能力の高さは折り紙付きだった彼だが、グランツールデビューとなる今回、その実力とツール・ド・ラヴニールでイバン・ソーサ、タデイ・ポガチャルと競り合った登坂力とを発揮し、総合4位にまで浮上している。

 

そして同じくグランツールデビューのホアン・アルメイダも、第1ステージ同様に驚きのTT能力を見せ、区間6位。総合でのリードをさらに広げる形となった。

登れてスプリントもできてTTも速い。やはりエヴェネプールの右腕と目される男はこれくらいはできないといけないのか。

 

 

もう1人、総合で躍進したのがウィルコ・ケルデルマン。

元々TTは強い選手だったが、安定感に欠けることも多かったこの男が、今回はチームの助けも借りながら完璧なコンディションに至りつつある。

総合2位の地を固めつつ、アルメイダとのタイムロスを最小限に抑えた。

 

そして意外な好走を見せたのがラファウ・マイカ。

基本的にはTTが強くはない印象の彼が、ときおり見せる好コンディションによって区間16位。

 

一方、TTを得意とするはずのヴィンツェンツォ・ニバリ(区間23位)、ヤコブ・フルサン(区間29位)はタイムを失った。

 

総合勢のこの日のタイム差を、マクナルティを基準に表すと以下の形に。

 

  • ブランドン・マクナルティ
  • ホアン・アルメイダ(+22秒)
  • ウィルコ・ケルデルマン(+38秒)
  • テイオ・ゲイガンハート(+1分15秒)
  • ラファウ・マイカ(+1分28秒)
  • ペリョ・ビルバオ(+1分44秒)
  • ヴィンツェンツォ・ニバリ(+1分45秒)
  • ファウスト・マスナダ(+1分51秒)
  • ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(+1分52秒)
  • ヤコブ・フルサン(+2分4秒)
  • パトリック・コンラッド(+2分22秒)
  • ジェイ・ヒンドレー(+2分30秒)

 

今後の彼らのTT成績の参考になれば幸い。

 

 

 

第15ステージ リボルト空軍基地~ピアンカヴァッロ 185㎞(山岳)

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2017年ジロの第19ステージで使われ、ミケル・ランダが抜け出して勝利、トム・デュムランがマリア・ローザを失うこととなったピアンカヴァッロの登りを使用する山頂フィニッシュ。

第3週にまだまだ厳しいステージが複数残っているとはいえ、いよいよマリア・ローザのホアン・アルメイダの実力が本物なのかどうかを見極める日となった。

そして、総合優勝に相応しい選手は誰なのかを。

 

厳しい山岳が連続するステージではあるが、すべての重要な動きは最後の1級ピアンカヴァッロ(登坂距離14.5km、平均勾配7.8%)で巻き起こる。

フィニッシュまで残り10㎞を切るところまではマーティン・トゥスフェルトやサム・オーメンも含んだチーム・サンウェブアシスト4枚体制でペースアップ。

ここからさらに昨年のツアー・ダウンアンダー総合6位のクリス・ハミルトンが先頭に立つと、なんと総合12位のヤコブ・フルサン、総合9位のパトリック・コンラッド、総合7位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ、総合4位のブランドン・マクナルティ、そして総合3位ペリョ・ビルバオまでもが一気に脱落し始める。

さらには残り8.8㎞では過去2回のジロ覇者ヴィンツェンツォ・ニバリも脱落。

先頭はハミルトン、総合10位ジェイ・ヒンドレー、総合2位ウィルコ・ケルデルマン、総合4位テイオ・ゲイガンハート、総合1位ホアン・アルメイダ、総合8位ファウスト・マスナダ、総合6位ラファウ・マイカの7名だけに。

 

 

そして残り7.3㎞。

ハミルトンが仕事を終え、今年のヘラルドサン・ツアー総合優勝のジェイ・ヒンドレーが牽引を開始。

これに食らいつけていけたのはゲイガンハートとケルデルマンの2人だけであり、ここでついにマリア・ローザのホアン・アルメイダが脱落してしまう。

 

サンウェブ2名、そしてゲイガンハートの3名は団子のまま山頂のフィニッシュラインへ。

ここまで前を牽引し続けていたヒンドレーがラスト300mまで後方2名をリードアウトしていくが、そこからまずはケルデルマンが早駆け。

ただ、パンチャー的な脚質をもつゲイガンハートが落ち着いてこれに追随し、自らが最も仕掛けやすいタイミングでその背中から飛び出した。

 

イネオスの「次のイギリス人エース」と期待されながら、昨年は急遽エースに抜擢されたブエルタ・ア・エスパーニャで思うような走りができず苦しんでいた。

しかし今回のジロ・デ・イタリアの序盤のエース脱落を受けて再び唐突にめぐってきたチャンス。

これを連日のアグレッシブな走りでモノにして、今、グランツール初勝利と共に、マリア・ローザの可能性すら手繰り寄せる勝利を手に入れた。

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総合2位ケルデルマンたちに引き離されてしまったアルメイダだったが、それでもその後も単独で冷静にペースを維持し続けていた。

結果、先頭3名から30秒ちょっとのタイム差をキープしたまま4位でフィニッシュ。

なんとかマリア・ローザを守り切ることには成功した。

 

第2週終了時点での総合成績は以下の通り。

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ジロ開幕時点では誰も想像できなかったようなこの総合TOP10。

 

しかし、この先の第3週も果たしてどうなるか、全く想像がつかない。

いよいよ波乱のジロ・デ・イタリアは最終決戦の舞台へ。

 

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