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ジロ・デ・イタリア2020 コースプレビュー 第2週

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アドリア海沿いを北上しつつ、北イタリア、アルプスの麓まで。

ポー平原の中を突き抜けるフラットステージもあれば、イタリアの背骨アペニン山脈を横切る難関ステージもあり。

そして最後は、激動の第3週を予告するかのような1級山岳山頂フィニッシュ。

 

もちろん、今大会最も総合を左右する個人TTステージも見どころだ。

 

一筋縄ではいかないステージばかりが登場するこの第2週をチェックしていこう。 

 

 

参考リンク 

ジロ・デ・イタリア2020 コースプレビュー 第1週 - りんぐすらいど

ジロ・デ・イタリア2020 コースプレビュー 第3週 - りんぐすらいど

ジロ・デ・イタリア2020 注目選手プレビュー - りんぐすらいど

 

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第10ステージ ランチャーノ~トルトレート 177㎞(丘陵)

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この日も結局、スプリンターに出番はなく。ただ、大きな登りもないので、逃げ切りは厳しいかもしれない。

ラスト20㎞から登場する2つの激坂が勝負を左右する。1つ目は登坂距離2.5km・平均勾配7.1%・最大勾配17%。残り12㎞からは2つ目の登坂距離1.9km・平均勾配7.2%・最大勾配18%の4級山岳。

立て続けに現れるこの2つの激坂のあとは急勾配のテクニカルな下りと、7~8㎞程度の平坦区間。

要は、ミラノ~サンレモのような展開、あるいは今年のツール・ド・フランスの第2ステージのような展開が楽しめそう。休息日明けでフレッシュな足をもつアタッカーたちと集団との追いかけっこが繰り広げられるだろう。

 

 

第11ステージ ポルト・サンテルピーディオ~リミニ 182㎞(平坦)

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 アドリア海沿いを北上する第7ステージ以来の純粋な平坦ステージ。とはいえ、サンマリノ周辺を通過するコース後半にはそれなりのアップダウンが連続し、紛れが発生する可能性も。

とはいえ、やっぱり2週目の最初の方だし、ここまであまり活躍できる機会が多くないピュアスプリントチームが、ここは頑張るべきところ。

ヘタしたら大会2回目の集団スプリント。マリア・チクラミーノに最も近い選手は、誰?

 

 

第12ステージ チェゼナティコ~チェゼナティコ 204㎞(丘陵)

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最古のグランフォンドと言われる「ノーヴェ・コッリ」が今年50回目を迎えることを記念して、そのコースを使用して行われるのがこの第12ステージだ。ラストは平坦だが、そこに至るまでの登り下りがあまりにも激しく、総獲得標高は3,800mに達する。公式が与えた難易度は★4つ。これは山岳ステージ並みの難易度である。

よって、この日の勝者はスプリンターではもちろんなく、むしろメイン集団でもなく、険しい旅路を乗り越えたエスケーパーとなりそうだ。もちろん、十分な登坂力を兼ね揃えた。

なお、最も最近チェゼナティコでフィニッシュしたレースは昨年のメモリアル・マルコ・パンターニで、そのときはアレクセイ・ルツェンコがディエゴ・ローザとギヨーム・マルタンを打ち破った。

やはり逃げスペシャリストが制するコースのようだ。
  

 

第13ステージ チェルヴィア~モンセーリチェ 192㎞(丘陵)

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また極端なステージを・・・こんだけ平らになるのも、北イタリアの繁栄と文化を生んだポー平原に突入するから。しかし最終盤、残り40㎞を切ってから、2つの短くも急な登りを登らせることになる。

すなわち、残り29.5㎞地点の「ロッコロ(登坂距離4.1km、平均勾配8.3%、最大勾配20%)」と、残り15.9km地点の「カラオーネ(登坂距離2.1km、平均勾配9.8%、最大勾配18%)」の2つである。

最後の登りの頂上からフィニッシュまでは結構距離があるため、前半でそこまで足を使っていないスプリンターチームがしっかりと捕まえて集団スプリントとなる可能性も十分にある。

だが、アタッカーたちが逃げ切れない難易度と距離でもやはりなく、結局、非常に読みづらいステージであることは間違いない。

アタッカーと集団との「追いかけっこ」という、ワンデーレースの中ではとくに面白い展開を楽しめることだろう。

 

 

第14ステージ コネリアーノ~ヴァルドッビアーデネ 34.1㎞(個人TT)

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ワイン好きの人ならば、ヴァルドッビアーデネの名を見てすぐにプロセッコの産地であることに気が付くはずであろう。プロセッコとは正しくはプロセッコ・ディ・コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネと呼ばれる。

そして、ワイン畑・・・葡萄畑を舞台にするということは、それだけ丘陵が厳しいコースレイアウトであるということ。公式がこのステージにつけた難易度は★4つ。この星の数が総合に影響を及ぼす度合いを指し示すのであれば、この日は間違いなく総合争いに大きな影響を及ぼす1日となるだろう(なお、第1ステージの個人TTは★3つ。最終日の個人TTは★2つである)。

登りだけではない。特にフィニッシュ直前の3㎞は-5%の勾配で残り400mまで下りが続き、しかもラスト1㎞を切ってから直角コーナーが連続するテクニカルなレイアウト。さらにフィニッシュは5.5%の登り勾配。このあたりでの体力の残し具合の戦略、テクニック、力の使い方が勝敗に影響を及ぼしそうな、難易度の高いTTだ。

 

 

第15ステージ リボルト空軍基地~ピアンカヴァッロ 185㎞(山岳)

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フレッチェ・トリコローリ(イタリア空軍の曲技飛行隊)の創立60周年を記念して、その拠点となるリボルト空軍基地を出発するこの日は、第2週の締めくくりとなる本格山頂フィニッシュ。

舞台となるピアンカヴァッロの登りは2017年のジロ・デ・イタリア第19ステージの舞台となり、当時チーム・スカイ所属だったミケル・ランダが執念の(一度敗れた後での)逃げ切り勝利を果たし、そしてナイロ・キンタナがトム・デュムランからマリア・ローザを奪った日である(のちに個人TTでデュムランが逆転して総合優勝)。

この日も、このジロで誰が本当にマリア・ローザ候補になるのかが分かってくる1日となるだろう。もちろん、第3週の厳しすぎる山岳地帯で大きく入れ替わる余地を残してはいるものの、いくつもの伏線は貼られるはずだ。

 

フィニッシュ地点のプロフィールは以下の通り。長く、平均的に厳しい登りだが、序盤がより厳しい勾配が続き、とくに残り9.5kmから9kmの地点で最大勾配14%区間が登場する。

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ただ、残り9㎞は、決めにかかるにはやや遠すぎる距離。終盤が比較的緩やかなことを考えると、予想していた以上には大きな塊で総合勢はフィニッシュしてしまうかもしれない。

チーム力が鍵になるステージだろう。たとえばフルサンとロペス率いるアスタナ・プロチームや、ゲラント・トーマス率いるイネオス・グレナディアーズなどが、集団を支配することになるのだろうか。

 

そしていよいよ、凶悪なる第3週へと突入していく。 

 

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