りんぐすらいど

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2019年シーズンを振り返る⑤ UCI世界ランキング「女子」個人10位~1位全レビュー

 

前回に引き続き、UCI「女子」世界ランキングの上位勢を紹介していく。

今回は10位~1位。あまり女子レースを多くは見ない人たちにとっても、よく聞く選手たちの名前が並ぶことだろう。

1位はきっとあの選手・・・と思いきや?

 

↓20位~11位はこちら↓

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↓男子のランキングはこちら↓

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※以下の記載の年齢はすべて2019/12/31時点のものとなります。

 

 

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第10位 ソラヤ・パラディン(イタリア、26歳)

アレ・チッポリーニ所属、クライマー

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與那嶺 恵理が所属するアレ・チッポリーニのエースクライマー。バスクレース、ジロ・ローザ、アルデンヌ系ワンデーなど幅広く安定した成績を叩き出す。

ただ、勝利の数はまだまだ少ない。ワールドツアーでの勝利は1つもなし。実力が高いことは十分に証明されているため、さらなる一段階アップが期待される。

来年からはCCCリヴに。

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第9位 クリスティアン・マジェラス(ルクセンブルク、32歳)

ブールスドルマンス・サイクリングチーム所属、ルーラー

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 ルクセンブルク人は男子同様、数は少ないが強力。というかマジェラスの場合は国内でズバ抜けすぎており、タイムトライアルでは2007年から13年連続で国内王者。ロードレースでも2010年から10年間連続で国内王者である。ボブ・ユンゲルスもよく2冠達成してるが、比ではない。

もちろんルクセンブルク国内だけでなく、世界トップクラスである。そこそこのスプリント力と、安定して上位に入れるTT能力の高さが特徴。

その独走力は逃げの力にも生かされており、今年のブールスツアー総合優勝も、プロトンを40秒以上置き去りにした逃げの中に入れたことが功を奏した。

ブールスという強力なチームの中での、単独抜け出しという効果的な戦略の一端になれるという意味でも、ユンゲルスに近い役回りができる選手だ。

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第8位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、32歳)

ミッチェルトン・スコット所属、クライマー

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女子ロードレース界最強のオージー。オーストラリア籍チームのオーストラリア人エースとしての期待に応え、しっかりとツアー・ダウンアンダーを3年連続制覇している。

それ以外の山岳ステージレースやアルデンヌ・クラシックでは、チーム自体のエースであるファンフルーテンと双璧を成す実力で、互いにサポートしながら上位に入る。最終的には彼女から一歩引く立場になることも多いが、このスプラットがいてくれるからこそ、ファンフルーテンもあれだけの強さを発揮できているのは間違いない。

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第7位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、25歳)

キャニオンスラム・レーシング所属、クライマー

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世界最強クライマーの一角。毎年高い成績を出し続けているが、昨年はトロフェオ・アルフレッド・ビンダを、今年はアムステルゴールドレースを制した。

次なる目標は、2017年に共に3位になっているフレーシュ・ワロンヌとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ、あるいは今年6位のロンド・ファン・フラーンデレン。

2位、2位、2位、と続いて今年も3位と常に悔しい思いをし続けるストラーデ・ビアンケも、必ず狙っていきたい。

もちろん世界王者の座も。まだまだ若く、可能性は無限に開かれている。

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第6位 エイミー・ピータース(オランダ、28歳)

ブールスドルマンス・サイクリングチーム所属、パンチャー

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最強チーム・ブールスの、最強オランダ人の一角。ファンデルブレッヘンの懐刀。彼女と比較した際のピータースの武器はスプリント力。その高い決定力を活かし、今年はヨーロッパロード王者に輝いた。

登坂力をもう少し引き上げることが今後の課題か。今年の世界選手権はチャンスだったが、序盤の登りから仕掛けられた荒れた展開の中で勝機を失ってしまったか。

来年の世界選手権はコース次第だが彼女には少し厳しすぎるかも。しかし昨年のインスブルックでは8位だし、悪くはない?

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第5位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、29歳)

ブールスドルマンス・サイクリングチーム所属、オールラウンダー

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言わずと知れた世界最強の1人。2018年のロード世界王者であり、ジロ・ローザを2回制し、フレーシュ・ワロンヌは2015年から5連覇中。

最大のライバルであるファンフルーテン。ジロ・ローザも、世界選手権ロードも、いずれも彼女の独走力を前にして敗れ去ってしまった。

しかし、昨年・一昨年と彼女に敗れての2位で終わった世界選手権タイムトライアルで、今年はファンフルーテンを打ち破る。

ただし、今度はクロエ・ダイガートという新星によって再び優勝を逃すわけだが・・・。

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第4位 マルタ・バスティアネッリ(イタリア、32歳)

チーム・ヴィルトゥ・サイクリング所属、パンチャー

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実にイタリア的というか、登坂力もそこそこある上で、スプリント力も高い。今年のロンド・ファン・フラーンデレン覇者であり、イタリアロード王者でもあるが、個人的に最も印象的だったのは、ヴォーゴーダ・ウェストスウェーデンロードレースで、今年最強無比だったマリアンヌ・フォスの、彼女の必勝パターンというべき瞬間にこれを真正面から打ち倒した瞬間だった。このとき、この選手の強さを思い知った。

すでに世界王者にも輝いている彼女にとって、さらなる目標はオリンピックか。しかし東京の舞台はやや彼女には厳しすぎるかも。

あと、意外にも獲れていないストラーデ・ビアンケ。今年は史上最高位の4位。来年こそは。

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第3位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、37歳)

ミッチェルトン・スコット所属、オールラウンダー

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世界最強クラスのTT能力と登坂力とで、世界選手権とジロ・ローザという、女子ロードレース界の頂点に立つ2つのレースを共に制した。いずれも、彼女の得意な独走で。勝てなかったがロンド、アムステル、フレーシュもそれぞれ2位と、文句なしの最強ライダーと言えそうだ。

そんな彼女も、今のように劇的な成績を叩き出し続けたのはどうやら今から2年前からのようだ。あの衝撃的なリオ・オリンピックでの落車以降。

30代の後半からのこの大覚醒は、この競技の奥深さを感じさせる。この先、どこまで強くなるのか。

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第2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、32歳)

CCCリヴ所属、パンチャー

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今年、もっとも派手に目立った女子選手は誰かといえば、やはりこの選手だろう。とかく、強かった。ひたすら、勝つべきレース全てで勝った印象。ジロ・ローザ4勝はやりすぎである。そのくせ、登坂力ではファンフルーテンやファンデルブレッヘンには届かないので、総合優勝はしない。その謙虚さがまた憎たらしい。

この強さは今だけではない。13年前から始まった彼女のキャリアに積み重ねられた勝利は228。今年だけでも19勝している。ありえない。

これでいてまだ32歳と、むしろ全盛期に近い時期と言えるのだから、これほどの選手は男子を含めても比肩するものは皆無である。

女王の伝説はまだまだ終わりそうにない。来年も、最強の位置を守り続けるか。

 

しかし、現行のUCIルールのもとでは、彼女も世界ランキング1位にはなれない。

それでは、今年、最も強かったと認められた選手はーー。

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第1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、20歳)

パークホテル・ファルケンブルグ所属、スプリンター

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意外といえば意外。しかしステージレースの総合優勝に大きなウェイトが占められない現状の女子UCIポイントのルールの上では、今年数多くのワンデーでの勝利を積み重ねたこのウィーベスが世界ランキング首位に立つこととなった。

実際、間違いなく強かった。とくにライドロンドンやドリダーフス、ヘント〜ウェヴェルヘムなど、スプリンター向きのワンデーをしっかりと取りこぼしなく上位に入り続けたのは大きい。また、スプリンターのためのステージレース、チャンミン・アイランドにて3ステージ全勝は大きかった。ここだけで275ポイントを稼いでいる。

そして、配点が取り分け大きいヨーロピアンゲームスロードレースでの優勝。うまく稼いで、ファンフルーテンやフォスを振り切った。

 

この仕組みが「適正」かどうかは判断が分かれるところではあるが、真に驚くべきは、そんな彼女がまだわずか20歳であるということだ。今はスプリンターといった様相の彼女も、登りが全くダメというわけではなく、今後は世界選手権やロンドなどを狙うことも十分に可能だろう。

来年の東京はさすがに厳しいだろうが、そうでなくともあと3回はオリンピックにも出られそうで、今後彼女が、フォスに代わる「女王」になる素質は十分にあるのではないかと、素人立場では考えてしまう。

そんな彼女が、UCIランキングにおいてフォスを倒した今年は、大きな時代の変革点と言えるのだろうか。
 

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もちろん、それを判断する知識は自分にはまだない。

今後も、今年のこのランキングを多少は参考にしつつ、女子レースもきっちりと追っていきたい。

 

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