Class:ヨーロッパツアー HCクラス
Country:イタリア
Region:リグーリア州サヴォーナ県周辺
First edition:1964年
Editions:56回
Date:2/17(日)
イタリアのロードレースシーズン開幕を告げるのは、ジェノヴァを中心としたリグーリア州の伝統的レース。南フランスから続く「リヴィエラ」の一部であり、多くの有力選手が住むモナコからも近い、風光明媚な土地である。
ライグエーリアはそのリグーリア州の南西に位置しており、ミラノ~サンレモ終盤の舞台となる「アラッシオ」もコースの一部に組み込まれている。リグーリア湾を臨む切り立った崖を走る美しい風景も楽しめる、実にイタリアらしいワンデーレースとなる。
今回はこの「ライグエーリア」のコースと予想される展開、そして注目選手をプレビューしていく。
コース詳細・過去の展開
ライグエーリアの郊外にはアルプス山頂から続く丘陵地帯が広がっており、このレースはまず内陸のその地域を巡っていく。
やがてライグエーリア近郊に戻ってくると、登坂距離2.1km、平均勾配7.9%の「コッラ・ミケッレ」を含む周回コースを4周してゴールに到達する。
いわばパンチャー向けのアルデンヌ・クラシック風ワンデーレースである。
最後の山頂からゴールまではおよそ10km。そのあとも小さな登りが控えており、ここの下りも結構な急勾配のようだ。下り切ってからゴールまでは1km。
過去のレースを振り返ってみると、やはり最後の「コッラ・ミケッレ」で抜け出した選手の独走で決まることが多いようだ。
2017年はファビオ・フェリーネが、2018年はジャンルカ・ブランビッラにアシストされたモレノ・モゼールが、いずれも逃げ切りで勝利を掴んでいる。なお、いずれも本来のチームではなく、イタリアナショナルチームとして出場していた。
2017年はイタリアナショナルジャージに身を包んだファビオ・フェリーネが逃げ切りで勝利した。
2016年は最後の登りでも勝負は決まらず、最後の小さな起伏からの下りで、プロコンチネンタルチーム(ウィリエール・サウスイースト)のアンドレア・フェーディが抜け出して勝利。
2秒遅れでゴールに飛び込んできた小集団の先頭はソンニ・コルブレッリが獲った。
2015年も集団スプリントでダヴィデ・チモライ(現イスラエルサイクリングアカデミー)が制するなど、起伏に強いスプリンターにもチャンスのあるレースではある。
今大会もまずは最後の「コッラ・ミケッレ」で抜け出し、独走できるかどうかが勝利の鍵となる。その際にはチーム力も重要な指標となるだろう。
万が一これが決まらなかった場合は、起伏耐性をもつスプリンターたちが上位を占めることになるだろう。
上記の点を踏まえ、以下、今大会の注目すべき選手をプレビュウしていく。
注目選手
ニコラ・バジョーリ(イタリア、24歳)
昨年4位。ほかにはティレーノ~アドリアティコで積極的な逃げを見せ、山岳賞を獲得した。
チームメートには昨年優勝者のモレノ・モゼールが新加入している。当然、チームのリーダーも彼になるとは思うが、優勝者モゼールに対しては周囲の警戒も強くなっていることだろう。ライグエーリアのレイアウトは実力もさることながら、飛び出しのタイミングなども重要になる難易度のため、モゼールがチェックされている隙に抜け出したバジョーリがそのまま逃げ切る、というパターンは十分にありうると考えている。
ほかにもマルコ・カノラや、サンフアンで良い走りをしたらしいダミアーノ・チーマの存在もあり、チーム力に関しては十分なものがあると思われる。
ファビオ・フェリーネ(イタリア、29歳)
イタリアナショナルチーム
2015年から2017年にかけて、5位→4位→1位と安定して好成績を出し続けている。昨年は不参加。
イタリアナショナルチームのチームメートには、昨年のモゼールの勝利をアシストしたジャンルカ・ブランビッラの存在も。そもそも彼とは本来のチーム(トレック・セガフレード)でもチームメートであり、コンビネーションという点でも十分に期待ができるだろう。
また、同じくナショナルチームのメンバーであり、今年からトレック入りしたことでやはりこちらも本来のチームでも同輩となるジュリオ・チッコーネにも注目しておきたい。ジロを中心に山岳レースで良い成績を出しており、小集団スプリントでも結構強い。2016年には12位となっている。
フランチェスコ・ガヴァッジ(イタリア、35歳)
アンドローニジョカトリ・シデルメク
2015年から4年連続で出場。成績は2位→5位→6位→5位。今年のブエルタ・ア・サンフアンの第2ステージ(ゴール3km手前に急坂を擁するレイアウトでの集団スプリント)で9位なのも評価できる点だ。
チームメートにも昨年3位のマッテオ・ブザート、昨年10位で山岳逃げに強いクライマーのファスウト・マズナダ、そして今年AG2Rから移籍してきたマッテオ・モンタグーティ(2009年~2016年に毎年出場し、3位や4位などのシングルフィニッシュを複数回安定して獲得している)などもおり、チームとしても期待ができる。
ロマン・アルディ(フランス、31歳)
2017年のみ出場。そのときは2位。ファビオ・フェリーネを追いかけた集団の中で先頭を取った。そのときのスプリント力も評価して、正直、大穴だとは思うが期待の選手として挙げたい。
今回のチームメンバーは比較的若手が多く、ライグエーリアでの実績もほぼない選手が多いのが不安要素。ルダノワが2015年にパリ~カマンベールで4位を獲っているのが少しは救いといったところか。
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、36歳)
ネーリソットーリ・セッレイタリアKTM
まだまだワールドツアーでも十分に結果を出せそうな実力をもつパンチャー。ライグエーリアでの実績は少ないが、それは彼のせいというよりは、そもそも所属チーム(モビスター・チーム→バーレーン・メリダ)がレースに出場していなかったから。
昨年も同時期のパンチャー向けイタリアワンデーレースのGPインダストリア&アルティジアナートで6位、秋のイタリアクラシックのトレ・ヴァッレ・ヴァッレジーネで9位、さらにその前年はジロ・デッレミリアで優勝している。
さすがの年齢とチーム力を考慮して優勝とまでは言わないが、TOP5に入る実力は十分にあるだろう。
ブノワ・コズネフロワ(フランス、24歳)
昨年のパリ~ツール3位。それだけ見れば北のクラシックスペシャリストのようにも思えるが、実際にはコッパ・サバティーニ9位やブルターニュ・クラシック9位など、パンチャー向けレースでも成績を出している。
ピュアスプリンター不在の環境においては、スプリント力で一歩秀でる。コッラ・ミケッレで抜け出すのは難しいかもしれないが、抜け出した選手を捕まえた末の集団スプリントとなれば上位入賞候補にはなるだろう。今年のカデルレース11位もその評価の鍵となる。
ベン・ヘルマンス(ベルギー、33歳)
イスラエルサイクリングアカデミー
2017年のつアー・オブ・オマーンを制したクライマー/パンチャー。秋のイタリアクラシックとも相性が良く、このライグエーリアでも昨年9位。
チームメートには過去優勝者のダヴィデ・チモライ。捕まえられても彼がスプリントで勝てると思えば、ヘルマンスも思い切ったアタックができそうだ。チームワークで勝利を狙う。
以上 7名の顔ぶれを見れば分かるように、普段はなかなか目立たないプロコンチネンタルチームが活躍するチャンスの大きいレースである。
少しマニアックな楽しみを味わえるこのトロフェオ・ライグエーリアを、今年は注目していこう。