読み:アージェードゥーゼル・ラ・モンディアル
国籍:フランス
略号:ALM
創設年:1992年
GM:ヴァンサン・ラヴニュ(フランス)
使用機材:Eddy Merckx Bikes(ベルギー)
2018年UCIチームランキング:11位
(以下記事における年齢はすべて2019年12月31日時点のものとなります)
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2019年ロースター
※2018年獲得UCIポイント順に掲載。
2018年は不運の年だった。万全の態勢で挑んだはずのツールでは、序盤から有力アシストが落車に見舞われ、思うような力を発揮できなかった。ベルギーチャンピオンに輝いた北のクラシックエース・ナーセンも、ブルターニュクラシック勝利こそ手に入れるものの、その他のクラシックでは惜しいところまでいって勝利を得られずという昨年と同じパターンの繰り返しになってしまった。
クライマー向けと呼ばれる2019年のツールこそは、という思いは間違いなく持っているだろう。ラトゥール、ヴュイエルモ、ドモンといった、最強の山岳アシストたちは2019年も健在。あえて、新たな補強を入れなかったのは、この体制への強い信頼があるからだろう。
北のクラシックについても、2019年は新たな補強はなし。ナーセンを筆頭に、ヴァンデンベルフ、ヴァントゥリーニなど、ここ2年で補強したメンバーで十分戦えるという考えであり、それは実際そうなのだと思う。あとは、戦略の問題だ。
今年、パリ~ルーベ2位に入ったディリエ、パリ~ツール3位に入ったコズネフロワの両名は、その意味で来期の北のクラシックへの希望の光となりそうだ。グランツールだけじゃない、より総合的な強豪チームとしての台頭を、このチームはまだまだ目指していくことだろう。
注目選手
ロマン・バルデ(フランス、29歳)
脚質:クライマー
- 世界選手権ロードレース 2位
- ストラーデ・ビアンケ 2位
- リエージュ~バストーニュ~リエージュ 3位
- クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ 総合3位
- ツール・ド・フランス 総合6位
2015年から続いたツール・ド・フランス連続区間優勝記録も、2016年から2年続けて達成したツール・ド・フランス総合表彰台の記録も、2018年で途絶えてしまった。
彼とチームがツールに懸けた想いが薄まったわけではない。むしろ逆だ。本格的なパリ~ルーベ風ステージが用意された今年のツールに向けて、早くから石畳の練習に取り組んだり、3月のストラーデ・ビアンケで2位に入るなど、これまでにない準備の仕方をしてきていた。5月にはシエラネバダにて、最も信頼する山岳アシストであるラトゥール、ドモン、ヴュイエルモを引き連れて合宿に勤しんだ。チームとしてもかなり本気の体制でツールに臨んだはずだった。
しかし、本番では数多くの不運がチームを襲った。ドモンもヴュイエルモも、早々に落車リタイア。バルデも得意の下りでコースアウトしかけるなど、思うような走りができずに終わった。
その意味で、今年のバルデは不運だったものの、その実力が衰えたことを意味しているわけではない。クライマー向けと言われる来年のツールこそは、再び万全のチーム体勢でもってリベンジを挑んで見せようではないか。
ピエール・ラトゥール(フランス、26歳)
脚質:オールラウンダー
- 国内選手権個人タイムトライアル 優勝
- ツール・ド・フランス 新人賞(総合13位)
- クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ 新人賞(総合7位)
- ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ 新人賞(総合3位)
AG2Rの時期エース候補。2017年に引き続き2年連続となる国内タイムトライアル王者に輝き、その安定したTT能力の高さは、バルデにはない大きな武器となっている。
そんな彼の2018年の成績は比較的落ち着いたものに終わった。新人賞こそいくつか獲ったものの、他の若手総合系ライダー期待の星と比べても、抜きんでたものはなかったというのが正直なところだ。
2019年は新人賞の対象から外れることもあり、そろそろ各種ステージレースでの総合表彰台にはどんどん登ってほしいところ。
シルヴァン・ディリエ(スイス、29歳)
脚質:ルーラー
- パリ~ルーベ 2位
- 国内選手権個人タイムトライアル 2位
- ツアー・オブ・グアンシー 山岳賞
2018年から新加入。トゥールマレー越え、パンチャー向けステージの上位入賞、石畳クラシックへの適性、個人タイムトライアルなど、幅広い分野での成績を残していたオールラウンダー候補として期待していたが、今年はついに、パリ~ルーベにてペテル・サガンに唯一喰らいついての2位。しかも、最初から逃げていたのに、である。
ナーセン、ヴァントゥリーニとチームとしても北のクラシック強化の意欲を見せながらもなかなか成果を出せずにいた中で、このディリエの存在は来期以降も大きな期待をかけることができそうな材料だ。
もちろん、オールラウンダーとしての素質は健在。今年はグアンシーでの山岳賞も獲得。今後も、グランツールでの山岳逃げなどにも注目してもよさそうだ。
その他注目選手
アレクシー・ヴュイエルモ(フランス、31歳)
脚質:クライマー
2015年は「ブルターニュの壁」を制した激坂ハンターとして、2016年・2017年はバルデの総合表彰台を支えた山岳アシストとして活躍した「ピカチュウ」ことヴュイエルモ。2018年はパリ~ニースで総合エースとして働き、総合8位と健闘した。
2019年もバルデのアシストに最注力しつつ、小さなステージレースでの自らの成績も追い求めてほしい。もちろん、フレッシュ・ワロンヌなどで、再び激坂ハンターとしての実力を示してほしくもあるけれど。
オリバー・ナーセン(フランス、29歳)
脚質:ルーラー
元ベルギーチャンピオン。AG2R北のクラシック班隊長。今年はブルターニュ・クラシック勝利という大きな成果をもたらすものの、彼に懸けられた期待はもっと大きいものがあるだろう。
ルーベやロンドを勝てとまでは言わない。ヘント~ウェヴェルヘム辺りは狙って行きたい。いざというときのスプリント力がまだ不足している感があるので、その強化が果たされるか否か。また、北のクラシック要員も結構強化されてきているはずなので、クイックステップのようなチームとしての動きができるといいのだが。
小さなレースでも良いので、まずはコンスタントに勝利がほしい。
ブノワ・コズネフロワ(フランス、24歳)
脚質:ルーラー
2017年のU23ロード世界王者。今年はシーズン最終盤に、パリ~ツール3位という成績でもって存在感を示した。今年のパリ~ツールはコースも展開も完全に北のクラシックだった。そこで実力を示したこの男は、ディリエと並んでこのチームの新たなるクラシックエースとしての期待を背負うことになるだろう。
もちろん、まだ真の実力は未知数なところがある。石畳スペシャリストにしては軽量だし、2019年は意外と、山を登っていたりするかもしれない。
総評
来年のツールではリベンジ達成なるか? 少なくとも表彰台は狙って行きたい。またラトゥール、ヴュイエルモが、ツール以外のグランツールやステージレースでの総合上位をどこまで追い求められるか。
北のクラシック班はそろそろ他のチームと比較しても抜け出た成績を出していきたいところ。これだけ明確に強化を狙っているのだから。
アルデンヌに関しては、バルデ、ジェニエ、ヴュイエルモのほか、ディリエも十分可能性があるだろう。
ステージ優勝、とくにスプリントに関しては正直、まったく期待はできない。昨年期待していたバルビエも、成果を出せないまま移籍してしまうし。ヴァントゥリーニが今年、オクシタニーで1勝しているのが、わずかな希望か。
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