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ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2022 全チームスタートリスト&プレビュー

 

本日から開幕するスペインのステージレース、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ。

昨年はイネオスが総合表彰台を独占したこのレースで、今年もまた、イネオスがカラパスやリッチー・ポートを中心に支配してしまうのか? それともジャック・ヘイグ、ジョアン・アルメイダ、サイモン・イェーツ、そして今年引退を決めているアレハンドロ・バルベルデなどが、そこにどう食らいついていくか。

 

スプリンターにおいては絶好調のフィル・バウハウス&ソンニ・コルブレッリのバーレーン・ヴィクトリアスに対し、マイケル・マシューズ&カーデン・グローヴスのバイクエクスチェンジなどが対抗馬。

 

そんな、全24チーム165名のスタートリストを紹介&簡単なプレビューをお届けしていこう。

※表中の年齢表記はすべて2022/12/31時点のものとなります。

※各国ロード王者は国籍の部分を太字にしてあります。

※各チームの脚質別評価と各個人順位は、独自に集計したデータを基にしたものとなります。また、今大会出場している選手たちの中での評価となります。

 

コースプレビューはこちらから

www.ringsride.work

 

目次

 

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1~.イネオス・グレナディアーズ(IGD)

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登坂力:S 丘陵:C スプリント:D 逃げ:D

リチャル・カラパス:登坂力3位

リッチー・ポート:登坂力9位

 

昨年はアダム・イェーツ、リッチー・ポート、ゲラント・トーマスの3人で総合表彰台を独占したイネオス。今年もポートとリチャル・カラパスのダブルエース体制。

そこに、カルロス・ロドリゲスやパヴェル・シヴァコフ、さらにはルーク・プラップといった、場合によってはエースを担えるほどの才能をもった若手選手たちがアシストとしてこれを支える。

平坦はカストロビエホ、とは言ってもカストロビエホは山岳もかなり登れ、クフィアトコフスキは言うまでもない最強ベテランアシスト。全力で山岳に振り、総合成績だけを一点集中で求めるロースターである。

なお、カルロス・ロドリゲスやプラップの今年の活躍については下記を参考にしていただけると幸い。

www.ringsride.work

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note.com

 

ロドリゲスやプラップが今回のこのカタルーニャでどんな働きをしてみせてくれるのか、という点が個人的には最も注目している点である。

彼らの活躍が、今後のグランツールにおけるイネオスの存在感に直結してくると、確信している。

Embed from Getty Images

 

 

11~.クイックステップ・アルファヴィニル(QST)

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登坂力:C 丘陵:C スプリント:D 逃げ:C

アンドレア・バジョーリ:丘陵適性10位

 

クラシックシーズンにおける山岳ステージレースへのこのチームの意欲はそこまで高くはない。昨年はそれでもジョアン・アルメイダがいたが今年は移籍しており、昨年総合15位のファウスト・マスナダがエースナンバーをつけるも、今年はツアー・オブ・オマーンで大逃げをかまして総合リーダージャージを着ながら最終日山岳ステージでは早々に崩れて総合2位で終わる、UAEツアーでは総合エースだったが26位で終わるなど、正直、その役割を期待できる存在ではない。

かといって、あまりピュアスプリンターの活躍する機会の多くないこのレースに、トップスプリンターも連れてくることはないため、あとは若手有望ライダーたちに数少ないチャンスを掴めるよう頑張ってほしいといったところだ。2019年ピッコロ・ロンバルディア覇者アンドレア・バジョーリや、2021年ツール・ド・ラヴニール1勝のイーサン・ヴァーノンなど、期待できる存在は十分にいる。

とくに期待したいのは、イラン・ファンヴィルダー。昨年11月までチームDSMに所属していた彼は、2019年ツール・ド・ラヴニール総合3位、今年のツール・ド・ラ・プロヴァンスでも、最終日山岳ステージで区間5位に入り、総合でも6位。とくにTT能力は安定して高く、2020年のU23欧州選手権TT銅メダリストであり、昨年はツール・ド・ロマンディやクリテリウム・ドゥ・ドーフィネのTTステージで上位に入っている。

もちろん、今大会にTTはないものの、オールラウンダーとしての高い素質は、今後のグランツールライダーとしての可能性を強く感じさせる。着実に、少しずつ、経験を積んで成長していく様子を見守っていきたい。

 

 

21~.ユンボ・ヴィズマ(TJV)

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登坂力:D 丘陵:D スプリント:D 逃げ:D

ダヴィド・デッケル:スプリント力10位

 

UAEツアーで総合エースを務めたデュムランも、そのときまったく登れない姿を見せたため、今回はエースナンバーをもらえず。もちろん、ジロ・デ・イタリアに向けて、少しずつ調子を上げていきたいところだとは思うので、今回も本気では戦ってくれるはずだ。

そもそもエースナンバーをつけているデニスも、たしかに山岳アシストとしては一流だが、総合エースとしては2017年以来務めたことはないんじゃないか。むしろクライスヴァイクやオーメンの方が、実質的なエースとしては相応しいだろう。

このメンバーの中で最も成績を狙えるとしたらダヴィド・デッケル。昨年はカタルーニャには出ていないが、UAEツアーで区間2位を2回、ツール・ド・ポローニュで区間5位など。とはいえ、今年はまだ全然結果を出しておらず、今回出場メンバーの中でのスプリント力ランキングでは10位(独自集計)。

今回、何も成果を持ち帰れないということは十分に考えられるだろう。

 

 

31~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)

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登坂力:A 丘陵:A スプリント:B 逃げ:C

ジョアン・アルメイダ:登坂力2位&丘陵適性4位

フアン・モラノ:スプリント力4位

 

昨年総合7位のアルメイダがエース。今年の成績としてはUAEツアーで総合5位、パリ~ニースではなかなか調子が上がらず総合8位に終わる。ジロ・デ・イタリアの総合優勝候補であり、その意味でパリ~ニースのときの不調からの回復に注目が集まる。

脇を固める存在は非常に強力。最強山岳アシストのベネットに実力派コスタ、そしてソレル。このあたりは逃げでも活躍しそうだ。

そして、若手最有力候補のアユソー。昨年のベイビー・ジロで、次元の違う強さを発揮していた。ツール・ド・ラヴニール序盤で落車リタイアしていなければ、そちらを制覇していても全くおかしくはなかった存在。今年すでにドローメ・クラシック4位やトロフェオ・ライグエーリア2位など、主にパンチャー系レースで強さを見せている。

チームが意識的にか出るレースを抑えているからか、まだその実力の底は未知数なところがある。どこで覚醒するかわからないので、常に警戒していよう。

 

スプリントではモラノがエース。その実力は十分(今年の成績だけでも出場選手中4位)だが、直近のパリ~ニースではやや振るわず。今回、明確な発射台要因がいないことも不安材料ではある。

 

 

41~.バーレーン・ヴィクトリアス(TBV)

f:id:SuzuTamaki:20220321140916p:plain

登坂力:C 丘陵:S スプリント:S 逃げ:S

フィル・バウハウス:スプリント力1位

ソンニ・コルブレッリ:丘陵適性2位&逃げ力2位&スプリント力7位

ワウト・プールス:逃げ力6位

ジャック・ヘイグ:登坂力10位

 

総合力で言えば今大会最強チーム。唯一の弱点が登坂力=総合成績のようにも見えるが、何と言ってもヘイグは昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位。今年もブエルタ・ア・アンダルシア総合6位、パリ~ニース総合6位のため、全然悪くないだろう。

スプリントでは直近でもティレーノ~アドリアティコ最終ステージ優勝と絶好調のバウハウスがエース。昨年も通算7勝していたりと、地味だが普通にトップスプリンターである。

Embed from Getty Images

 

とはいえ、これはあくまでもピュアスプリントとしての実力。結構な山を越えてのスプリントになることの多いカタルーニャでは、コルブレッリがエースを担うことの方が多いかもしれない。

とはいえそのコルブレッリも直近のパリ~ニースでは体調不良?で早期離脱。その状態の回復がどれくらいになっているかに注目である。

 

このチームの強みは逃げでも強力ということ。昨年のツール山岳賞2位で今年のブエルタ・ア・アンダルシアでも総合優勝しているプールス、あるいは昨年のツールで区間優勝しているディラン・トゥーンスなどが、第6ステージや第7ステージで逃げ切り勝利を狙うパターンも十分にあるだろう。

 

 

51~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)

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登坂力:B 丘陵:C スプリント:D 逃げ:D

マーティン・ラース:スプリント力6位

セルヒオ・イギータ:登坂力8位

 

エースナンバーを付けるツヴィーホフはマウンテンバイク出身選手で、今年のチャレンジ・マヨルカの丘陵レースでもTOP10リザルトに入るなど力は見せているが、実質的な総合エースは現コロンビアチャンピオンのイギータと見てよいだろう。昨年はそこまででもなかったが、今年はヴォルタ・アン・アルガルヴェ区間優勝やストラーデ・ビアンケ10位など、復活の兆しを見せている。

同じく昨年は奮わなかった2020年ジロ・デ・イタリア総合2位ヒンドリーも、今年はUAEツアーの山岳ステージでアグレッシブに動き、ティレーノ~アドリアティコでは総合5位と、悪くない。今年の数字だけで言えば、ヒンドリーは登坂力ランキング9位につけている。

ラースは昨年のアークティックレース・オブ・ノルウェーでアレクサンデル・クリストフやダニー・ファンポッペルを退けて区間1勝。ほか、今年のサウジ・ツアーでも初日スプリントステージで区間2位など、そこそこの成績を出してはいる。

今回出場選手たちの中でのスプリントランキングでは6位だが、5位のオフステテールとは3倍近いポイント差がついており、上位5名(バウハウス、マシューズ、グローヴス、モラノ、オフステテール)との差は大きいため、勝つまでいくのは厳しいか。

 

 

61~.AG2Rシトロエン・チーム(ACT)

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登坂力:C 丘陵:C スプリント:D 逃げ:C

ドリアン・ゴドン:丘陵適性7位

ベン・オコーナー:逃げ力10位

 

昨年ツール総合4位のオコーナーがエースナンバーを着ける。今年はブエルタ・ア・アンダルシアでは総合7位と悪くないが、パリ~ニースではその実力を見る前にリタイアしてしまっている。果たして昨年の成績はフロックだったのか、それとも。全力で戦えることをまず願いたい。

ゴドンはフランスの低クラスのパンチャー向けワンデーレースにひたすら強いが、ワールドツアーレベルではなかなか結果が出せない男。一応今年のパリ~ニース第6ステージ、マチュー・ブルゴドーがギリギリ逃げ切ったステージのあの大混乱集団スプリントで集団内7位ではあったものの、今回の結果につながるものではないだろう。

むしろ、昨年全く振るわなかったが、2019年ジロ、2020年ツールと山岳逃げ切り勝利を連発したナン・ピータースが、今年こそ復活してほしいところ。

いずれにせよ、今季まだ1勝しかできていない、かなり苦しい戦いを強いられているAG2R。まずは1勝を、目指してほしい。

 

 

71~.グルパマFDJ(GFC)

f:id:SuzuTamaki:20220321143723p:plain

登坂力:D 丘陵:C スプリント:D 逃げ:A

マイケル・ストーラー:逃げ力1位

アッティラ・ヴァルテル:逃げ力9位

 

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで衝撃の区間2勝を遂げたストーラーがエースナンバーを着ける。果たしてその強みは結局山岳エスケーパーどまりになるのか、それとも総合ステージレーサーとして花開かせることができるのか。

総合系としてはヴァルテルの動向にも期待がかかる。昨年のジロ・デ・イタリアで大逃げを決めマリア・ローザを着用。その後も第8ステージなどで耐え抜いて3日間これを守り切った。

今年は母国開催のジロ・デ・イタリアで総合エースを担う可能性があるため、ここでしっかりと、可能性をチームにアピールしたい。ライヒェンバッハ、バディラッティ、モラール、アルミライルと、かなり有力なアシストたちも揃っている。

個人的にはずっと期待していて思い入れのあるパシェが、得意の山岳エスケープで活躍してくれることに期待。もちろん、その最終目標はツールでの勝利だが、その前に可能性を感じさせる一花火を打ち上げてもらいたいところ。

直近のミラノ~サンレモでも終盤までアルノー・デマールに付き従うなど、調子は良いはずだ。

 

 

81~.イスラエル・プレミアテック(IPT)

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登坂力:B 丘陵:A スプリント:D 逃げ:B

マイケル・ウッズ:登坂力5位&丘陵適性5位&逃げ力6位

サイモン・クラーク:丘陵適性6位

アレッサンドロ・デマルキ:逃げ力8位

 

ウッズで総合成績を狙いつつ、昨年ジロ・デ・イタリアでも区間勝利しているデマルキや、今年のマヨルカ・チャレンジで出場した3レースすべてでシングルリザルト&ブエルタ・ア・アンダルシアでも区間2位など、丘陵系レースでひたすら安定した成績を残しているクラークなどによる、ステージ勝利の機会を狙いまくるスタイル。

ダリル・インピーも昨年このチームに来てからまだあまり活躍できていないが、元々ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャとの相性は非常によく、2017年にステージ1勝しているほか、ステージ2位を2回、ステージ3位を4回経験している。昨年もステージ2位が1回あり、とにかくこの山岳で削られた集団内でのスプリントというシチュエーションは完全に彼向きである。

 

 

91~.モビスター・チーム(MOV)

f:id:SuzuTamaki:20220321153356p:plain

登坂力:A 丘陵:A スプリント:D 逃げ:C

アレハンドロ・バルベルデ:丘陵適性1位&登坂力6位

 

過去3回の総合優勝を経験しているアレハンドロ・バルベルデ。今年引退を決めている彼にとって、有終の美を飾りたいレースの1つではあるだろう。実際、まだまだ普通に総合優勝してもおかしくないと感じさせる好調ぶりを今年も発揮している。今年出走13日中10日間シングルリザルトってどういうこと?

今年イネオスから移籍してきたソーサも、チームのエース候補ではあるだろうが、ブエルタ・ア・アンダルシアでは最終日1日前の時点では総合5位にまで上がるものの、最終日で大きくタイムを失って総合10位。まだ、力不足感が否めない。

その意味で、よりエースとしての可能性を感じさせる走りを見せているのがカルロス・ベローナ。昨年もブエルタ・ア・エスパーニャで区間2位など、ところどころで強さを見せている彼だが、今年はUAEツアーで総合6位。普通にチームの総合エースとして十分な活躍を果たしていた。

基本はバルベルデのためのチーム編成だが、その中で彼らがどうその勝利に関わっていくか。層の薄さが課題のモビスターにとっては非常に重要なポイントとなるだろう。

 

 

101~.トレック・セガフレード(TFS)

f:id:SuzuTamaki:20220321155657p:plain

登坂力:A 丘陵:D スプリント:D 逃げ:D

ジュリオ・チッコーネ:登坂力4位

 

エースナンバーはツール・ド・ラ・プロヴァンス総合3位のマティアス・スケルモース。とはいえ、実績的にはもちろん、昨年のジロ・デ・イタリアなどでも今後のグランツール総合エースとしての可能性も十分見せつけてくれていたジュリオ・チッコーネがその立場に相応しい存在ではあるだろう。なかなかうまくいかないときもあるが、ここを安定させ、ぜひもう一段、ステップを上がってほしいところ。

アシストは悪くない。アスタナやモビスターで八面六臂の活躍を見せてくれていたベテランのカタルドに、フアン・ロペスもトレック時代のリッチー・ポートをツアー・ダウンアンダーなどで強力にアシストしていた姿が印象的だった。ここ最近は全く振るわないが、素質は十分にあるはずなので、再ブレイクしてほしいところ。

ゲブレイグザブハイアーなども含め、全体的に地味な面子が揃いそこまで本気じゃないイメージはあるが、活躍してくれたら嬉しい選手も多いので密かに応援している。

 

 

111~.アスタナ・カザフスタンチーム(AST)

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登坂力:D 丘陵:D スプリント:D 逃げ:A

シモーネ・ヴェラスコ:逃げ力3

ジョセフロイド・ドンブロウスキー:逃げ力4位

 

昨年ジロ・デ・イタリアで区間勝利しているドンブロウスキー、そして昨年までガスプロム・ルスヴェロに所属しており、ティレーノ~アドリアティコの逃げきり集団内で3位やツール・ド・リムザンでの逃げ切り勝利などの実績を残すヴェラスコが鍵。ヴェラスコは今年もブエルタ・ア・アンダルシア最終ステージで逃げに乗っていた。

あとは元スペイン国内選手権U23王者のロモあたりが、その才能を開花させるか否か。

いずれにせよ、総合やスプリントで戦える可能性が少ない面子のため、とにかく積極的な逃げからのチャンス獲得を目指すしかなさそうだ。

 

 

121~.アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ(IWG)

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登坂力:C 丘陵:D スプリント:D 逃げ:C

 

一応データ的にはあまり数字はないチームなのだが、ヤン・ヒルトは今年もかなり調子がよくツアー・オブ・オマーン総合優勝。UAEツアーもTTで大きくタイムを落としたのとジュベルハフィートで失速してしまったものの、第4ステージのジュベル・ジャイスなどではかなりトップクラスの登坂力を見せてはいた。

ルイス・メインチェスも、昨年はブエルタ・ア・エスパーニャで総合TOP10も見えていた中で残念なリタイア。そのとき彼を助けていたのがヒルトではあるので、この2人で、とにかく今大会の総合TOP10を狙っていきたい。

逆に言うと狙えるのはそれくらいか。後は逃げで・・。このメンバーで一番逃げに実績があるのはヤン・バーケランツ。2013年のあのツール・ド・フランスのギリギリ逃げ切り勝利の印象が強い男だ。

 

 

131~.コフィディス(COF)

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登坂力:D 丘陵:C スプリント:D 逃げ:B

ヘスス・エラダ:逃げ力7

 

2019年に総合8位になっているマルタン。今年もツール・ド・ヴァール総合3位とパリ~ニース総合9位。・・・微妙ではあるが、今年も最大の目標であるツール・ド・フランスに向けて、少しずつ調子を上げていきたいところ。

あとはひたすら逃げ。とくに、2017年ブエルタでも区間優勝しているサンデル・アルメ、いつもギリギリの契約問題を早々に片付けるためにも、大きな勝利をもぎとっておきたいところ。

 

 

141~.EFエデュケーション・イージーポスト(EFE)

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登坂力:B 丘陵:C スプリント:D 逃げ:D

 

何と言っても昨年区間優勝しているチャベス、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで7日間マイヨ・ロホを着て最終的にも総合11位だったエイキング、クラシカ・サンセバスティアン勝者のパウレス、そしてここ最近はややうまくいかないものの、2年前のブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位は伊達じゃないはずのカーシーと、かなり魅力的なメンバーが揃っている。

ではそれらがうまく有機的に絡み合うか、というよりは、それぞれ調子の良い選手がそれぞれで結果を目指して走るような印象もあるが、それはそれでまたよし。

とりあえずはカーシーが本来の彼の実力を取り戻し、この先のジロ・デ・イタリアなどグランツールシーズンに向けて好調な滑り出しを見せてくれることに期待したい。

 

 

151~.チーム・アルケア・サムシック(ARK)

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登坂力:B 丘陵:C スプリント:B 逃げ:D

ナイロ・キンタナ:登坂力7位&丘陵適性9

ユーゴ・オフステテール:スプリント力5位

 

今年出場した3つのステージレース、すなわちツール・ド・ラ・プロヴァンスとツール・ド・オー・ヴァル、そしてパリ~ニースでそれぞれ総合優勝・総合優勝・総合5位と絶好調なナイロ・キンタナ。今年だけで言えば登坂力ランキング3位につけており、ここ数年の中でもとくに絶好調なシーズンといえる。2020年も似たような状況だったが、その後新型コロナウィルスによる長期中断期間が挟まってからはガタっと崩れてしまった。今年はその勢いを継続していけるか。カタルーニャは6年前に総合優勝しており、2018年にも総合2位。相性は良いはずだ。

スプリントでは、こちらも今年の成績だけで言えばスプリント力ランキング3位の絶好調オフステテールに期待したい。ベルギー、オランダのクラシック系レースではあるものの、直近6レースすべてでシングルリザルト(というよりもうち5レースでTOP3入り)という調子の良さもかなり心強い。

ただ、この男、上位入賞率の高さに反して、勝率が非常に悪いという、いわばアモリー・カピオタイプ。今回も、TOP5には入っても、勝ちはしない、かも・・・?

あと個人的にはアンドローニジョカトリ出身のコロンビア人ミゲル・フローレスをずっと注目しているからそろそろ花開いてほしい。ジェスベールも期待していたけど、最近はもう何か落ち着くところに落ち着いた感が(いや、強いけどね)。

 

 

161~.ロット・スーダル(LTS)

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登坂力:D 丘陵:D スプリント:D 逃げ:B

トーマス・デヘント:逃げ力5位

 

絶賛ワールドツアー残留危機に瀕し中のロット・スーダル。今年のスタートダッシュは良かったが、そこからまた失速中である。

もちろん今大会はデヘントに期待。カタルーニャでは過去5回のステージ優勝を果たし、直近3大会は毎大会逃げ切り勝利しているという、まさにキング・オブ・カタルーニャ。

あとは、本来は力があるはずなのになかなか抜け出し切れないファンフックやホームズがまた爆発してくれるかどうか。下記記事の通り今年の序盤ブレイクのキーワードでもあったロット・スーダルU23出身選手という意味ではヴェルシュハーフェもそろそろ覚醒してもいい頃だぞ。

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171~.チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ(BEX)

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登坂力:A 丘陵:B スプリント:S 逃げ:C

サイモン・イェーツ:登坂力1位

マイケル・マシューズ:スプリント力2位&丘陵適性3位

カーデン・グローヴス:スプリント力3位

 

今大会、実績だけで言えば最強のクライマーはサイモン・イェーツ。直近のパリ~ニースでも、最終日にプリモシュ・ログリッチとナイロ・キンタナを突き放す登坂力を見せており、昨年のジロ・デ・イタリアで見せたあの強さは健在だ。今年の総合優勝候補最右翼と言ってよいだろう。

しかも、スプリンター勢も強力。マシューズは2019年にカタルーニャで区間2勝しており、相性の良いレース。グローヴスも今年、そのマシューズにアシストされながらパリ~ニースで区間3位が2回。ツアー・オブ・オマーンでも区間2位が2回とかなり絶好調だ。ただ、グローヴスが得意とするピュアスプリントのシチュエーションは比較的少ないだろうから、その意味では最終的にはマシューズの方が活躍する可能性はある。

 

今大会、チームとしての総合力ではバーレーン・ヴィクトリアスに並ぶほどに期待のできるチーム。それゆえに、ホーゾンやユールイェンセンなどのアシストたちの活躍が重要になりそうだ。

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181~.チームDSM(DSM)

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登坂力:D 丘陵:D スプリント:D 逃げ:D

 

ワールドツアーチームで唯一、1勝すらできていないチーム。それどころか上位入賞することすら少なく、近年の移籍関連のゴタゴタを含め、かなり危機的な状況に陥っているチームなのは間違いない。数年前まではデュムランやヒルシなど、輝いていたというのに・・・。

ただ、メンバー自体は結構興味深い。マイヤーホーファー(19歳のときに国内選手権エリートロードで5位)、ヴィーデベルグ(2020年欧州選手権U23ロード王者)、ブレンナー(今なお19歳の超若手)など、若手の才能の原石がまだ目覚めない状態で眠っている。実際、多くの有力若手選手を輩出してきたチームでもあり、彼らの活躍には十分注目していきたい。

とはいえ、それがここで開花するかというと、微妙。あくまでも経験を積んでいくレースで終わりそうではある。

 

 

191~.エキッポ・ケルンファルマ(EKP)

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登坂力:D 丘陵:D スプリント:D 逃げ:D

今年初のブエルタ・ア・エスパーニャ出場を決めたスペインチーム。昨年からプロチーム化しているまだ若いチーム。

勝負できるのは元モビスターのカレテロくらいか。昨年のブエルタ・アストゥリアスで区間優勝ほか、ブエルタ・アンダルシアで区間6位、2020年のティレーノ~アドリアティコで山岳賞など。

生え抜きのフランシスコ・ガルパンが昨年のグランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ4位、今年も3位といったところなので、カタルーニャのような登りの後のスプリントというシチュエーションでは上位に入ってくる可能性はある。

 

 

201~.Uno-Xプロサイクリング(UXT)

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登坂力:D 丘陵:C スプリント:D 逃げ:D

ワールドツアーチーム入りを目指している元ノルウェー人育成専門チーム。昨年ラヴニール覇者ヨハンネセンはエトワール・ド・ベセージュでその才能を見せつけ、昨年のツアー・オブ・ターキー総合6位&アークティックレース・オブ・ノルウェー山岳賞のアントン・チャーマは、今年のツアー・オブ・オマーン山頂フィニッシュで区間勝利するなど、ワールドツアーチームとも十分渡り合えるタレントが揃っている。

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元々、トビアス・フォスやアンドレアス・レクネスンド、マーカス・フールゴーなど、ワールドツアーチームでも活躍している才能を輩出している良質な育成チーム。上記選手たち以外にも、突然活躍し始める才能も十分にいそうなので、気を付けてみていこう。

 

 

211~.カハルラル・セグロスRGA(CJR)

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登坂力:D 丘陵:D スプリント:D 逃げ:D

 

ミハウ・クフィアトコフスキやペリョ・ビルバオ、ヒュー・カーシーなど、世界トップクラスの実力者たちを輩出する歴史ある名門チームだが、今年はまさかのブエルタ・ア・エスパーニャの出場権を失うことに。なぜ!

メンバーは非常に良い。元スカイで昨年までバイクエクスチェンジに籍を置いていたニエベや、モビスターにも在籍していて2018年~2019年頃はHCクラスのステージレースの総合優勝や区間優勝なども数多く重ねていた実力者プラデス、元コフィディスでブエルタ・ア・エスパーニャ区間3位経験もあるバルセロなど・・・だがまあ、確かにいずれもここ最近の成績はそこまででもないのは確か。

とにかく逃げて、少しでも目立って、選ばなかったブエルタ主催者を見返してやるしかない。

 

 

221~.エウスカルテル・エウスカディ(EUS)

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登坂力:D 丘陵:D スプリント:D 逃げ:D

 

ビスカラは昨年のカタルーニャのケムナが逃げ切り勝利したステージで区間3位。ほか、ブエルタ・ア・アンダルシアでも区間5位、ブエルタ・ア・エスパーニャでもシャンプッサンが衝撃の終盤アタックで勝利したあの第20ステージで区間7位など、サバイバルな展開にも強い山岳逃げスペシャリスト。今回も、彼がチームを引っ張っていくことになるだろう。

スプリントでは昨年ブエルタで3回のシングルリザルトを記録したソトがエース。長年コフィディスで走ってきたマテも、マテ・マルドネスという名前で憶えている人もいるかもしれないが、ブエルタ・ア・エスパーニャの山岳エスケープの代名詞ともなった男である。

 

 

231~.ブルゴスBH(BBH)

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登坂力:D 丘陵:D スプリント:D 逃げ:D

マヌエル・ペニャルベール:スプリント力7位

 

まだ若いペニャルベールは、今年のボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナでアレクサンデル・クリストフやエリア・ヴィヴィアーニを退けて区間2位に入り込んでいる有望なスプリンター。勝利はほとんどないが、上位入賞は数多くあり、ポイントゲッターとなっている。

今回の活躍次第ではワールドツアーチーム入りも夢ではない。それこそ、勝利なんか手に入れてしまった日には・・・高いモチベーションで臨んでほしい。

逃げではオカミカがブエルタ・アンダルシア初日に区間3位、ボルもブエルタ・ア・エスパーニャの逃げではお馴染みのベテランである。

 

 

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