りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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ジロ・デ・イタリア2022 全チームスタートリスト&プレビュー

 

すでに開幕してしまったが、今回も全22チーム176名のスタートリストと簡単なプレビューを掲載していく。

独断と偏見で判定した脚質や、独自のアルゴリズムで集計した各パラメータ毎のチーム比較グラフなど、参考になれば幸い。

※各チームのグラフは出場各メンバーの昨年及び今年の実績をもとに独自のアルゴリズム*1で集計したポイントとなります。

※表中の年齢はすべて2022/12/31時点のものとなります。

※ナショナルロード王者は表中の国籍を太字にしております。

 

第1週のコースプレビューはこちらから

www.ringsride.work

 

目次

 

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1~.イネオス・グレナディアーズ(IGD)

 

エースは当然、2019年覇者のリチャル・カラパス。グランツールの勝利はそれだけだが、一昨年のブエルタで総合2位、昨年のツール・ド・フランスで総合3位と、チーム随一のグランツールエースであることは間違いない。

今回も総合優勝候補筆頭だが、しかし、2019年ジロ以外勝ててないこともまた、事実。そして2019年も、総合優勝候補たちの間隙をつくようなアタックの末に掴み取った勝利であったことも、また事実。

彼をもってしても、ログリッチやポガチャルのような「絶対的総合優勝候補」でないこともまた、今大会の面白さである。

 

ほか、今シーズン限りで引退を決めているリッチー・ポートのラスト・グランツールであることも重要。2010年代前半のスカイでエースを支え続けた神アシストぶりが発揮されるのか、それとも一昨年のツール総合3位で見せたエースとしての力をもしかしたら発揮するのか。

カストロビエホも言うまでもなく、昨年ジロでベルナルの総合優勝を支えた最強アシストの1人であり、「イネオスのジロと言えばこの人」サルヴァトーレ・プッチョは2018年ジロでクリス・フルームの大逆転を演出した男の一人だ。

元々はトム・ピドコックやエリア・ヴィヴィアーニを連れてきて「モア・レーシング・スタイル」を体現するようなチーム構成が予想されていた中で、蓋を開けてみればガチガチの総合狙いメンバーでやってきたイネオス。

総合優勝は、必達目標となるはずだ。

(その中でトゥレットやナルバエスなどのクラシック系選手が、総合狙いのこの体制の中でどんな役割を果たしていくかも、楽しみである)

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11~.AG2Rシトロエン・チーム(ACT)


ここ最近はすっかり(というかかつての姿に戻ったというか)総合は全く狙わずにひたすらステージ優勝を狙うアタッカー軍団という印象のAG2R。そしてそれが結構成功しているのが凄い。

今回も昨年ジロ区間優勝のヴェンドラーメ、3年前のジロと2年前のツールで区間優勝しているピータース、そしてかつてツールとブエルタで区間優勝しているカルメジャーヌなど、山岳逃げスペシャリストたちが揃っている。ほかにも若手ニコラ・プロドムについては、昨年のブエルタのロマン・バルデが逃げ切ったステージで、いいところまで逃げていた姿が印象的。近いうちにグランツールでの勝利はありそうで、それが今回になっても何もおかしくはない。

個人的に最も期待しているのはフェリックス・ガール。2015年世界選手権ジュニアロード王者であり期待していたがその後はまったく芽が出ず・・・が、先日の前哨戦ツアー・オブ・ジ・アルプスでは区間5位が2回に区間4位が1回と安定した成績を出していた。

いよいよ、世界にその名を轟かせてくれるのか、頑張れ!

 

 

21~.アルペシン・フェニックス(AFC)


マチュー・ファンデルプール、ついにジロ初出場。そしてお誂え向きに初日ステージが登りスプリントということで・・・いきなりマリア・ローザの着用もありうるかも?

昨年も初日スプリントステージでいきなり勝利したティム・メルリールが今年は残念ながら怪我で欠場となったが、代わりにヤクブ・マレツコがおそらくエーススプリンターとして参戦。過去ジロでも3位などを記録している男で、ブエルタでも好成績を出しているオルダーニや名発射台のクリーガー、そしてときにファンデルプールの助けを借りることで、ついに栄光のジロ勝利を掴み取れるか?

もちろん、ファンデルプールがスプリントに本気で参戦し、マリア・チクラミーノを狙うというパターンもありうるが・・・割と彼はピュアスプリンターに譲るタイプなのでどうなるか。そもそもツールに向けて途中離脱も可能性としてはありうる。

デボント、リースベークら逃げスペシャリストたちの活躍にも注目だ。

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31~.アスタナ・カザフスタンチーム(AST)

 

過去2回ジロを制し、クリス・フルームと並び3大グランツールを制している現役選手であるニバリも、今はさすがにグランツールの総合を狙うには厳しいか? 一応デラクルスとロペスとのトリプルエース体制ではあり、テハダやフェリーネなどアシスト陣も揃ってはいるが・・・ロペスも含め、今回どこまで期待できるかはやや不安が大きい。

もちろんその中ではロペスは十分に総合表彰台を狙える存在。そのうえで、ニバリ、デラクルス、そして昨年もステージ優勝しているドンブロウスキ―などが、山岳逃げでステージ優勝や山岳賞などを狙っていくパターンが一番期待できる成果かもしれない。

財政的にも苦しいこのチーム。欲張らず、できる限りの達成を目指していきたい。

 

 

41~.バーレーン・ヴィクトリアス(TBV)

 

今最も「総合力の高い」チームかもしれないこのバーレーン。今回もビルバオやランダなどの総合上位候補を並べつつ、スプリントでも複数勝利も可能性としてありうるバウハウス、逃げきり勝利の狙えるプールスやトラトニク、そして若手でも期待の星ブイトラゴなど、あらゆる勝ち方を狙え、しかもそれが中途半端に終わらない信頼感がある。

とはいえ、総合優勝まで行けるかというと、正直微妙だとは思う。ビルバオも直前のツアー・オブ・ジ・アルプスで非常に調子が良かったが、最後の最後で逆転されてしまったのは痛い。

その中で個人的には・・・本当に個人的には、ランダに頑張ってほしいとは思っている。2015年ジロでファビオ・アルを献身的にアシストし、2017年のツールではクリス・フルームの最強のアシストとなり、2019年には本来のエースだったはずの中で、終盤に総合リーダージャージを着たリチャル・カラパスのための走りに徹した、人の好いこの男が、報われる時を・・・

もちろん、今年もここまで絶好調というわけではない。ティレーノ~アドリアティコ総合3位はいいが、ジ・アルプスではビルバオが調子よかったからとはいえ、総合11位。それでも、エースナンバーを与えられた彼が、今度こそ、その実力を十分に発揮し、頂点を掴み取ったとしたら、きっと感動することだろう。

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51~.バルディアーニCSF・ファイザネ(BCF)


過去にはジュリオ・チッコーネがこのチーム所属時代にジロ区間勝利を果たしていたり、今年からガスプロム・ルスヴェロに移籍したジョヴァンニ・カルボーニが新人賞ジャージを着用していた時期があったりと、決してプロチーム上位常連ではないものの、それなりに存在感を示してきているこのチーム。

今回も、飛び抜けた実力をもつ選手がいるわけではないものの、その中でもフィリッポ・フィオレッリのスプリントには期待できそう。昨年もジロで区間3位など。

とはいえ、勝つとなれば逃げ切りしかなく、その点では今年のUAEツアー区間4位のトネッリなどか?

 

 

61~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)


2020年ジロ総合2位・3位のケルデルマン&ヒンドリー、2019年ツール総合4位のブッフマン。ケルデルマンは昨年ツールでも総合5位など、十分な実績を携えた男たちが集う。

が、それがうまく有機的に連携して結果を出すイメージが、このチームに関してはあまり湧かない・・・。期待はしたいが、果たしてどこまでいけるか。

それ以上に可能性を感じるのが、今大会出場メンバーで「逃げ」実績No.1の男ケムナ。直近の前哨戦ツアー・オブ・ジ・アルプスでもしっかりと逃げ切り勝利を果たしているこの男が、今大会も果敢にチャレンジしてくれる姿を期待したい。

たとえ総合のアシストはできなくとも。

 

 

71~.コフィディス(COF)

 

毎年少しずつ成長しているギヨーム・マルタンがついにジロ初出場。昨年もツール総合8位・ブエルタ総合9位。今年も出場している3つのステージレース全てで総合TOP10に入っているだけに、今回のジロでも好成績を期待できそう。

とはいえ、彼ももういい年。総合TOP10程度で満足せず、表彰台に手をかけてほしいところ。あるいは、ステージ優勝 or 山岳賞。ペリション、ロシャス、ヴィレッラと、アシストもかなり充実している中、しかもTTも多くはない今回のジロは、彼にとってチャンスであり、失敗の許されない戦いでもある。

スプリントではチモライ&コンソンニ&クレーダーの3人衆が控えているが、とくにチモライとコンソンニどっちがエースでいくか微妙なところである。どちらもいいスプリントはするが勝ちきれないタイプなので・・・。

 

 

81~.ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ(DRA)


過去にもベルナル、ソーサ、マスナダ、カッタネオ、バッレリーニなどひたすら有力選手を輩出し続けてきている有力プロチーム。昨年はその実績にも関わらず危うくジロ出場権を失いかけGMのジャンニ・サヴィオが怒り心頭だったが、出場予定チームのドーピング問題でなんとか出場が叶った。

今年はただ出るだけでなく勝利も掴みたい。それができるだけの才能を揃えており、その筆頭が昨年ツアー・オブ・ジ・アルプス総合4位、今年のジロ・デ・シチリア総合2位の、アンドローニ南米の次の才能、セペダ。およびビニヤム・ギルマイと同じエリトリアの才能の1人で昨年ジロ区間8位も経験しているテスファション。あるいは今年も昨年に続き最年少で昨年は逃げで目立っていたウクライナ王者のポノマーなど。

ベテランの元モビスター、セプルベダもツアー・オブ・ターキー総合3位と調子は悪くない。タリアーニもスプリントでいい成績は出してくれる可能性はある。

 

 

91~.EFエデュケーション・イージーポスト(EFE)

 

もちろんエースは2020年ブエルタ総合3位のカーシー。ただそれ以来そこまで期待に応えられる走りはできておらず、今年もジ・アルプス総合9位以外はTOP10にも入れず。今回もよほど調子が上向きにならない限り総合で勝負するのは難しそうだ。

と、なれば、逃げ切りで勝利を掴みたい。そしてこのチームはその強さが十分にある。昨年もベッティオル、一昨年もカイセドとゲレイロと、安定して勝利を重ねてきている。

今年もカイセドはもちろんめきめきと実力を伸ばしているサイモン・カー、これもまたエリトリアの才能クドゥス、若手カマルゴもどこで覚醒するかわからない楽しみがある。

もちろん、その筆頭はコルトである。激坂ヨシ、スプリント良し、逃げもとても良し、TTですら可能性のある、何でもありのこの男。昨年のブエルタでは3勝した(しかも危うく4勝しかけた)。果たして、今回は?

 

 

101~.エオーロ・コメタ(EOK)

 

昨年はゾンコランを制しオーナーのアルベルト・コンタドールを狂喜乱舞させたフォルトゥナートにかかる期待は今年も大きい。今年も直近のブエルタ・アストゥリアスでソーサに次ぐ総合2位と、かなり好調。

ほかにもそのアストゥリアスで区間2位を2回、ジロ・デ・シチリアでも連日上位に入り最終的にも総合7位のアルバネーゼは、昨年ジロでも勝っているAG2Rのヴェンドラーメのように、スプリントも丘陵も下手したらある程度の山岳逃げまでもできる万能タイプで、ステージ勝利を狙うにはかなり向いている選手なのである意味でフォルトゥナート以上に期待できそう。

ガヴァッツィや元スカイ&アスタナのローザなどベテラン勢もいい選手が揃っており、今年もプロチームで最も注目すべきチームかもしれない。

もちろん、地元ハンガリー人のフェッターの活躍にも期待。序盤ステージでまずは逃げに乗りたい。

 

 

111~.グルパマFDJ(GFC)

 

極端なまでにデマール体制。グアルニエーリ&コノヴァロヴァスの盟友2名に第2発射台役としてのスコットソンまではまだわかるが、そこにさらにシンケルダムやルドヴィグソンまで入れてくるのはやりすぎ感がある。おかげで昨年一時マリア・ローザも着ており今年も母国開催ということもあって期待されているヴァルテルが全くといっていいほどアシストがいないかわいそうな状態に。

まあ、ヴァルテルもさすがに総合TOP10に入れれば大成功というレベルではあるので、逆にプレッシャーなく伸び伸びと走れるのかもしれないけれど。

逆にデマールは何としてでも結果を出さないといけない。昨年はツール初日からのコノヴァロヴァス脱落やデマール自身の落車などもありツール、ブエルタともにうまくいかなかったデマール。2020年4勝&チクラミーノのあの栄光を再び掴めるか?

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121~.アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ(IWG)

 

昨年のこの時点ではまだ勝利がなくワールドツアーにはまだ早すぎたんじゃないかと散々言われていたこのチーム。一方で、このジロでファンデルホールンによる鮮烈なる逃げ切り勝利を決めた後に一気に花開き、ブエルタではターラマエとオドクリスティアン・エイキングの大活躍、そして今年に入ってからもギルマイのヘント~ウェヴェルヘム勝利を筆頭に、ワールドツアーチームとして十分すぎる成績を出し続けている。

今回もギルマイはもちろん、ターラマエとヒルトのペアがツアー・オブ・オマーン総合優勝やUAEツアー総合9位など確かな実績を残しており、そこにジロ・デ・シチリアでも良い走りをしていたポッツォヴィーヴォが加わって、ブエルタ以上の活躍を見せても不思議ではない。総合TOP10にヒルト、っていうのは十分あり得るだろう。

もちろん、逃げ切り勝利も。その点ではデヘントやヴリーヘンなどクラシックでも活躍する逃げスペシャリストや、昨年クラシカ・サンセバスティアンや今年トロフェオ・ライグエーリアで4位と好成績を出している急成長を見せているロータが、大きな勝利を掴んでしまうことも、あり得そうだ。

あとはギルマイvsファンデルプールのガチ勝負は、ぜひ見てみたいかも・・。

 

 

131~.イスラエル・プレミアテック(IPT)

 

ここも地味ながらきっちりと存在感を見せ続けている。2年前のドーセットのブランドルとのコンビネーション勝利は個人的にかなり好きだったし、昨年もデマルキが区間2位&マリア・ローザ着用。

そして今年はやはりニッツォーロに期待したいところ。過去2回のポイント賞受賞者であり、キュベカ所属の昨年も区間1勝&2位が2回と絶好調だった。今年の相棒はリック・ツァベルだが、彼もUAEツアーなどでは結構良い足を見せており、エースは勝ちはしなかったが、その前段階で他のチームのトレインを凌駕するリードアウトなどを見せてはいた。

その勢いがうまく合致すれば、強力なライバルたちを蹴散らして勝利をもぎ取り、最終的にポイント賞ジャージを掴み取ることも十分あり得る。

 

 

141~.ユンボ・ヴィズマ(TJV)

 

昨年すわ引退かというところまで追い込まれていたデュムランが、ついにエースナンバーを着てグランツールに乗り込むことに。

とはいえ、今年は正直、お世辞でも良い走りはできていない。それは彼自身も分かってはいるだろうから、いつでもトビアス・フォスやサム・オーメンに総合エースを切り替えられるようにはしているはずだ。とくにフォスはアルメイダに次ぐマリア・ビアンカ候補でもあり、注目度は高いだろう。

ほかにも、昨年ツール・ド・ラヴニール総合4位のレームライズも、アシストとしてどこまで走れるか。TTでもフォス、デュムランのほか、過去勝利経験のあるファンエムデンやアッフィニなど、区間勝利を期待できる選手は多く揃えている。

決して総合表彰台候補の陣容ではないが、ボウマンやアッフィニなど含め、不意のアタックからの逃げ切り勝利など「誰が何をしでかすかわからない」楽しみな部分はある。

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151~.ロット・スーダル(LTS)

 

昨年は「1年の間に3大グランツールすべてで勝利する」という壮大な目標を立て、その緒戦となるジロ・デ・イタリアでは2勝して幸先良いスタートを切っていた現役最強スプリンターの一人、カレブ・ユアン。

しかし昨年のツールでは序盤でまさかの悲劇に見舞われて・・・そこからの復活。今年もここまで4勝と調子が良い中でここまで乗り込んできた。

とはいえ、今年はそこまで大きなレースに積極的に参戦していないのもまた事実。相変わらず日によってトレインの調子がいいときと悪い時が激しいこともあり、ワールドツアーではUAEツアーでの1勝のみだ。

チームメートは盟友ロジャー・クルーゲはいるものの、もう1人の盟友でありユアンの最強の発射台であるジャスパー・デブイストがいないのは不安要素。もちろん、元ボーラのこれも有能なリードアウターであるルディガー・ゼーリッヒやミヒャエル・シュヴァルツマンもいるものの、新チームでどこまでユアンとフィットできるかは未知数だ。

そして、おそらくはツールに向けて今回も途中でリタイアしそうなユアン。その後を担い、残った選手でステージ優勝を狙っていけるか? デヘントはもちろん十分期待できるだろうが、いまだ「ウィランガ・ヒル覇者」以上の名声を掴めずにいるホームズや、グランツールの1週目はいいけれど・・・なファンフック、頑張れ!

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161~.モビスター・チーム(MOV)

 

38歳にして驚きの世界王者を掴み取りつつ、その後はフレーシュ・ワロンヌでも勝てなくなってきたりと、さすがに寄る年波が・・・と思ったら今年も41歳で総合優勝含む3勝&フレーシュ・ワロンヌ2位とか、本当にいつも驚かせてくれる怪物バルベルデ。しかしそんな彼も、いよいよラスト・イヤーである。

そんな今回のジロ、ソーサはいるものの基本的にはバルベルデのシングルエースか。普通に総合表彰台に登ってもおかしくないと思ってしまうほどのポテンシャルをまだまだ秘めている。

もちろん、登りスプリントを中心としたステージ優勝も。とはいえ、最後の最後までバルベルデに頼り切りというのも情けない。ソーサはもちろん、昨年のルート・ドクシタニーで大逃げで総合優勝を果たしているペドレロや、今年のツアー・オブ・ジ・アルプスのレナード・ケムナが勝ったステージで5位に入っているバルタなどが逃げで結果を狙ってほしいところ。山岳アシストは、あまり期待できなさそうなので・・・。

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171~.クイックステップ・アルファヴィニル(QST)

 

直前までミケル・モルコフもおらず、ややカヴェンディッシュ厳しいか、と思っていたが、イラン・ファンヴィルダーが怪我?で欠場が決まり、急遽モルコフの参戦が決定。結果、モルコフ、バッレリーニ、ファンレルベルヘと実に完璧なトレイン要員が揃い、マーク・カヴェンディッシュの4勝あたりも狙っていけそうな勢いだ。

一方、総合はさすがに厳しい。ファンセヴェナントもノックスも十分才能豊かな選手であり、ノックスは2020年に総合14位の実績はあれど、基本は逃げてステージ優勝を狙っていくことがメインとなるだろう。

シュミットも昨年このジロでネオプロながら驚きの勝利を遂げた男。このクイックステップで伸びそうなタイプの選手であり、引き続きの覚醒に期待したい。

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181~.チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ(BEX)

 

昨年はその強烈なアタックの鋭さに、クリス・フルームとバチバチにやりあっていた頃の(そしてジロ・デ・イタリアを制していた頃の)ナイロ・キンタナの姿を重ねてみていたサイモン・イェーツ。今年もパリ~ニースではプリモシュ・ログリッチとワウト・ファンアールトを突き放すなど鮮烈な走りを見せていたものの、その後のカタルーニャではそのパリ~ニースで無理しすぎたのか体調を崩してリタイアしたり、ブエルタ・アストゥリアスでは区間2勝するものの第2ステージで大きく遅れ総合は落とすなど、相変わらず不安定なところも多いこの選手。

とはいえ、それゆえに逆に、直近の好不調はあまり気にせず、言ってしまえば第1週の不調とかがあってもそこまで気にせずに、どっしり構えて見守る所存である。

一応、TTがない分、相対的には彼に有利な今年のジロ。もちろんTTも突然強いことはあって、特に今回みたいに少し登りが入ってくるTTは、彼向きとも言えるだろう。

またアシストも、ハミルトン、ホーゾン、ソブレロなど、このチームが用意できる限りの最高の山岳アシストを揃えてはおり、イェーツの「4年目のリベンジ」に向けた本気の度合いの大きさを感じさせる。スプリントへの興味のなさっぷりはモビスターに匹敵する。

それゆえに、報われてほしい、という思いはある。さすがにそろそろ・・・。

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191~.チームDSM(DSM)

 

昨年まさかのチーム移籍を経験し、ジロ・デ・イタリアにも初挑戦したロマン・バルデ。その後ブエルタ・ア・ブルゴスで3年ぶりの勝利を達成したかと思えば、ブエルタ・ア・エスパーニャでも2017年以来のグランツール区間勝利。

そして今年、ツアー・オブ・ジ・アルプスでは逆転総合優勝。かつてツール・ド・フランスで総合2位・3位を記録したフランスの期待の星は、一時はワンデーレースに集中すべきかと言われたときもあったが、ここにきて再び楽しみな存在になりつつある。

今年表彰台候補の1人であることは間違いない。あるいは、それが難しくなれば、ステージ優勝と山岳賞候補としては贅沢な存在でもある。

その右腕となる存在が同じジ・アルプスでバルデの総合優勝を助けながら自らも総合3位となっていたアレンスマン。2018年のツール・ド・ラヴニールでタデイ・ポガチャルに続く総合2位に輝いてもいる男は、今大会の新人賞候補の1人でもある。

スプリントでは2020年ツールで「2位」のボルに、昨年のブエルタで「2位」のダイネーゼ。・・・まだ勝ちきれない男たちが、今回どこまで食い下がれるか。

近年、多くの有力選手が自らチームを去る事態が連続し、今年、4月までワールドツアーで唯一の勝利なしチームであり続けていたという、何かとケチがついていたチームだが、やはり顔ぶれは魅力的で、とても楽しみなチームであることは、間違いない。

 

 

201~.トレック・セガフレード(TFS)

 

モレマもいるが、さすがに彼はもう総合は狙うことはなさそうで、山岳エスケープで昨年のツールに続く勝利を期待したいところ。

総合エースとしては、昨年も良い走りをしながらも落車によって悔しい途中リタイアとなってしまったチッコーネが、今年こそ可能性を掴んでほしい。

どうしても山岳賞最有力候補などと言われたりもする彼だが、その殻を破れるか。名実共に、ヴィンツェンツォ・ニバリを継ぐ男となってほしいところだ。

その山岳アシストとしては2019年に区間勝利もしているカタルド、そして2020年ツアー・ダウンアンダーのパラコームの登りでリッチー・ポートを強力にアシストしていたフアン・ロペスが、そろそろ覚醒する姿を見せたいところ。

スプリントではトゥーンスが参加してくるだろう。シュヘルデプライスでは5位、エシュボルン・フランクフルトでは6位と、実は最近、調子を取り戻しつつある。

今回も上位には普通に入ってきそう。だが、勝てるかというと・・・ただ、レイトアタッカーとして頑張るときもあるので、アップダウンが激しくラスト1㎞に180度カーブがある第8ステージなどではチャンスがありそう。

 

 

211~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)

 

2020年にレムコ・エヴェネプールの代わりにエースとして参戦し、まさかの14日間マリア・ローザ着用を果たし衆目を驚かせた男アルメイダ。昨年は第1週で調子を落としエヴェネプールにエース交代したために第2週でそのアシストのためにタイムを失ってはいたが、第3週にかけて強さを発揮。サイモン・イェーツの鋭いアタックに突き放されてはペース走行で舞い戻り、最後はイェーツを平坦区間で突き放すような執念の走りも見せていた。サイモン・イェーツが全盛期キンタナを彷彿とさせるとすれば、このアルメイダは最盛期デュムランを彷彿とさせる男である。

もちろん、今年の彼が調子がいいとは決して言えない。UAEツアー総合5位、パリ~ニース総合8位、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ総合3位は決して悪くないようにも見えるが、ジロ総合優勝候補としては納得できるリザルトでないのは確かだ。

だが、昨年の走りを再び見られることを期待したい。あとは、厳しい今年の山岳ステージでどこまで耐え抜けるか。

そして、グラフを見てもわかるように、アルメイダ以外もとにかく滅茶苦茶強い今回のUAEメンバー。そもそも今年は、ポガチャル1強ではなくチームとしてひたすら強く、勝利数ランキングではクイックステップも打ち破り現在堂々の1位。

まずはジロ8勝のキング・オブ・ジロ、ディエゴ・ウリッシは初日からマリア・ローザ候補と言えるし、昨年は惜しくもシュミットに敗れつつも、今年ブレイクしつつあるコーヴィのリベンジ勝利も十分に期待できる。

フォルモロはまずはアルメイダの強力な山岳アシストとして機能するが、そもそものアルデンヌ・クラシックへの高い適性を活かした、たとえば第7ステージのような強烈なアップダウンステージでの勝利なんかも期待してもよさそう。

そしてスプリントでは、2018年ツールでガビリアに2勝をもたらした右腕リケーゼのファイナルラン。ガビリアは長いトンネルを抜ける勝利を掴むことができるか。

とにかくいろんなことができるメンバーではあるものの、それゆえにアルメイダのアシストがあまりがっちりしていないのが不安要素。やっぱり最後には、アルメイダの勝利を見てみたいのだが・・・。

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*1:昨年及び今年のすべての1クラスレースの結果に基づき算出。ただし昨年の成績は半分にして集計しており、より直近の成績が重視されるようになっております。

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