りんぐすらいど

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ジロ・デ・イタリア2022 コースプレビュー第2週

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2015年以来の訪問となるジェノヴァ。美しいリグーリアの海岸線が楽しみだ。

 

イタリア中部からポー平原を経由してイタリア北西部のアルプスへ。いつもの「移動」ウィークとなり、スプリントと逃げ切り向きのステージが連続する、比較的イージーな第2週である。

第2週最終日も山頂フィニッシュで3つも大きな山岳が続くが、その難易度は決して厳しすぎるものでもなく、もしかしたら一度も本格的な総合争いが繰り広げられることなくこの週は終わってしまうかもしれない。

むしろトリノで繰り広げられる激坂周回ステージの方が、総合が動く可能性があるかもしれない。この日は結構楽しみだ。

 

もちろん、そんな予想が大きく裏切られ、波乱とスペクタルに満ちた1週間になる可能性がいくらでもあるのが自転車ロードレースの面白いところ。

 

また、白熱のマリア・チクラミーノ争いもおおよそここで決着がつくといっても良いだろうから、その点も目が離せない。このままアルノー・デマールが独走するのか、それともマチュー・ファンデルプールやカヴェンディッシュなどが反撃に出てくるのか。

 

全22チーム176名のスタートリストと簡単なプレビューはこちらから

www.ringsride.work

 

目次

 

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第10ステージ ペスカーラ~イエジ 196㎞(丘陵)

第1週の週末にアペニン山脈を越えてきたプロトンは、半島の反対側、アドリア海沿いへと至る。

アブルッツォ州のペスカーラから北上してマルケ州のイエジまで。海沿いを走る前半はフラットだが、内陸を突き進む後半戦は小刻みなアップダウンの続く丘陵コースに。

3年前のティレーノ〜アドリアティコの第6ステージのフィニッシュに同じイエジの街が使われたときは、後半戦がフラットではあったもののラストはわずかに登るレイアウト。ジュリアン・アラフィリップがダヴィデ・チモライやエリア・ヴィヴィアーニといったピュアスプリンターたちを蹴散らして勝利した。

 

今回もラスト1.5㎞から約2%の緩やかな登り勾配。

また、フィニッシュ前8.5㎞地点には登坂距離4.2㎞、平均勾配4.2%の4級山岳が用意されているほか、カテゴリのついていない登りが延々と続いている。

ピュアスプリンターたちが覇を競い合うにはやや難易度が高いか? マチュー・ファンデルプールやビニヤム・ギルマイなど、第1ステージで活躍した選手たちがこの日も勝利を競う可能性がある。

 

 

第11ステージ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャ 〜 レッジョ・エミリア 203㎞(平坦)

エミリア=ロマーニャ州のポー平原を駆け抜ける、これもある意味ジロ・デ・イタリアらしい極端なオールフラットステージ。203㎞という今大会最長クラスの距離を誇るが、その大半はゆったりとした展開に終始することだろう。下手したら第6ステージの再来か。

 

5年前も同じフィニッシュ地点で集団スプリントが繰り広げられ、フェルナンド・ガビリアがその年に記録した4回の勝利のうちの1つを達成した。

あの頃の彼は絶頂期であった。同年のツール・ド・フランス5勝のマルセル・キッテル、ブエルタ・ア・エスパーニャ4勝のマッテオ・トレンティンと、クイックステップが全グランツールのスプリントを完全支配した年であった。

今年はガビリアはどうか。チームとしても彼のためのアシストが決して多くない中、良いところまではいくものの苦しんでいる姿が目立つ。第5ステージのフィニッシュではハンドルを強く殴りつけ機材への不満を口にしたとか。第6ステージでもDSMの選手と接触し怒りを露にしながらも降格処分を受けている。

彼自身の調子はここ数年と比べても決して悪くないだけに、あと一歩が遠い。果たして、報われる瞬間は来るのか。

 

そして、第3ステージでは1勝しているクイックステップ・アルファヴィニルも、頼みの綱のミケル・モルコフが体調不良でリタイア。ダヴィデ・バッレリーニもベルト・ファンレルベルヘも強いのだが、第3ステージや第6ステージの様子を見るに、グルパマFDJの調子の良さと比べるとあまり「万全」ではなさそうな様子も見られる。

このままグルパマFDJの天下で終わるのか? それとも?

 

 

第12ステージ パルマ 〜 ジェノヴァ 204㎞(丘陵)

前日に引き続き204㎞というロングコース。その全体図はどことなくミラノ〜サンレモに似ており、ルートもある意味似ている、北イタリアの中央部パルマからイタリア北西部の海沿いジェノヴァまで。

ただし、後半のレイアウトはミラノ~サンレモよりもずっと厳しい。残り52.3㎞地点に登坂距離9㎞・平均勾配4.3%の3級山岳が用意され、そこから下ると平坦を経ずにすぐに3級山岳トレンサスコ峠を登らせる。

このトレンサスコ峠は登坂距離4.3㎞、平均勾配8%とかなり厳しい。その山頂からフィニッシュまでは31.5㎞残っているため、スプリンターたちが復帰することも不可能ではないだろうが、第4ステージのような例もあるため、仕掛ける気があるチームがあればいかなる展開もありえてしまうだろう。

もちろん、混乱を避けたい総合勢の思惑により、最初に生まれた逃げ集団が逃げ切るというパターンも。

なお、ラストもわずかに登るが、500mで12~3m程度。すなわち2%程度の登りでしかないので大きな影響はないだろう。

 

 

第13ステージ サンレモ 〜 クーネオ 150㎞(平坦)

サンレモから北上し、イタリア北西端、アルプスの麓の街クーネオへ。序盤で一気に標高を上げるが、そこからは大きく下ることも登ることもなく、最終的には平坦スプリントフィニッシュとなる。

フィニッシュ自体はやや登っているが、平均勾配は2.5%程度。そして800mにわたりひたすら真っ直ぐである。直前のラウンドアバウトに注意。

 

カレブ・ユアンを筆頭に、この日でジロを去るスプリンターもいるかもしれない。

 

 

第14ステージ サンテナ 〜 トリノ 147㎞(丘陵)

 

ひたすらギザギザ! コースの中間地点、残り70㎞からは、スペルガ大聖堂へと至る登りとマッダレーナ峠の2つの登りを含む1周36.4㎞の周回コースを2周してトリノの街中でフィニッシュする。

スペルガの登りは登坂距離5㎞・平均勾配8.6%・最大勾配14%。そして、マッダレーナ峠については、実質的な登りとしては登坂距離2㎞・平均勾配11.6%・最大勾配20%という超凶悪な激坂。

最後のマッダレーナの激坂を終えてからフィニッシュまでは13.3㎞。下り基調になるため、距離以上に短く感じる13㎞となるだろう。

イメージとしては、リエージュ~バストーニュ~リエージュのコート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォー・コン、あるいはストラーデビアンケのレ・トルフェのような位置関係。

マチュー・ファンデルプールやアレハンドロ・バルベルデなどの類稀なるワンデーレーサーが輝くステージ。もちろん、レイアウト的に、その戦いを繰り広げるのは逃げ集団かもしれない。まだ見ぬニューヒーローの登場にも立ち会えるかも。

 

 

第15ステージ リヴァローロ カヴァネーゼ 〜 コーニュ 177㎞(山岳)

 

比較的平穏に過ぎてきた第2週のフィナーレを締めくくるのは、イタリア北西部、スイス・フランスとの国境沿いに位置するアルプス山中のヴァッレ・ダオスタ州を舞台に繰り広げられる「1級・1級・2級山頂フィニッシュ」。

そしてこの日の本命は最後の「2級山岳」コーニュではなく、その前の2つの1級山岳。すなわち、1級ピラ・レ・フルール(登坂距離12.3㎞・平均勾配6.9%・最大勾配15%)および1級ヴェロンニュ(登坂距離13.8㎞・平均勾配7.1%・最大勾配14%)の2連続登坂である。いずれも激しいヘアピンカーブの連続が特徴的である。


それらと比べると最後の2級コーニュ(登坂距離22.4㎞・平均勾配4.3%・最大勾配11%)はとくに後半部分は緩やかで、総合勢による激しいバトルの舞台としてはやや物足りない。


1級ヴェロンニュの山頂からフィニッシュまでは40㎞。コーニュ序盤の比較的厳しいポイントからフィニッシュまでも10数キロ残っているため、「第2週の最終日」にしては、大人しい1日に終わる可能性はある。

となれば、戦いは逃げ集団の中で繰り広げられるかも。残り40㎞や残り10数キロでの一撃から独走勝利を目指すか、絞り込まれた小集団の中でスプリント決着となるか。

 

体力は削られるステージなので、第4ステージのエトナ同様、「誰が勝つか」よりは「誰が脱落するか」を見るステージとなるだろう。

なお、渓流に沿って走るシーンが多くなるため、ビジュアル的な満足度はかなり期待してよさそうだ。天気がいいといいなぁ。

 

ただ、週明けの第16ステージは今大会の総合を左右しうるハードステージ。

いよいよ、今年のジロ・デ・イタリアもクライマックスを迎えることとなる。

 

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