りんぐすらいど

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ブエルタ・ア・サンフアン2020 コースプレビュー

 

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Class:UCIプロシリーズ

Country:アルゼンチン

Region:サンフアン州

First edition:1982年

Editions:38回

Date:1/26(日)~2/2(日)

 

ツアー・ダウンアンダーと並ぶシーズンの開幕戦ステージレースが南米アルゼンチンの地で開幕する。

平坦あり、TTあり、本格的な山岳ステージありのバランスの取れた7日間(休息日1日を含む)は、どちらかというとパンチャー向けのツアー・ダウンアンダーと比べ、よりオールラウンダーな総合系選手たちを惹きつける。

 

今年も昨年同様ジュリアン・アラフィリップやレムコ・エヴェネプール、ペテル・サガンやフェルナンド・ガビリアなどのスター選手たちが集結するこのレースについて、徹底的にプレビューしていこう。

 

 

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ブエルタ・ア・サンフアンについて

アルゼンチン西部、アンデス山脈沿いに位置するサンフアン州を舞台に行われる1週間のステージレース。

かつてアルゼンチンを舞台にしたレースとしては「ツール・ド・サンルイス」が知られていたが、資金難を理由に2016年を最後に開催されなくなった。

代わって、それまで非UCIレースとして開催されていたこのサンフアンが、2017年よりUCI公式レースとして昇格。新たに、シーズン開幕を告げるレースとして、サンルイスの伝統を引き継いで注目されることとなった。

 

今年は新設された「UCIプロシリーズ」に位置づけられ、これが実質的には昨年までのHCクラスと同格であることを考えると、事実上の「昇格」を果たしたレースとなる。

www.ringsride.work

 

それもそのはず、1クラスにしておくのが勿体ないくらいに、出場選手が豪華なのだ。

まずは昨年の世界ランキング2位ジュリアン・アラフィリップ。そしてわずか19歳にしてクラシカ・サンセバスティアン優勝、欧州選手権TT優勝、世界選手権TT2位、そしてベルギー最高の選手の称号を獲得するに至ったレムコ・エヴェネプール。ここに、昨年ワールドツアーのクラシックを2勝したゼネク・スティバルも加わるため、チームとしても昨年よりさらにパワーアップして挑んでくることになったドゥクーニンク・クイックステップ。

さらに、今年はツアー・ダウンアンダーを蹴ってこちらに参戦することに決めたペテル・サガンや、サンルイス時代から数えて8勝しているフェルナンド・ガビリアなど、スプリンター勢も豪華。ガビリアは2年ぶりに盟友マキシミリアーノ・リケーゼとの合流となり、リケーゼ自身も4勝している、好相性なアルゼンチン人である。もちろん、昨年末の大落車からの復帰戦となるアルバロホセ・ホッジも、彼らに簡単に勝たせるつもりはない。

 

その他、UAEのブランドン・マクナルティやコフィディスのギヨーム・マルタンのワールドツアーチームでのデビュー戦となり、TTではアラフィリップやエヴェネプールへの対抗軸として、イタリアナショナルチームで参戦するフィリッポ・ガンナも出場する。

また、ワールドツアーチーム以外にも、地元アルゼンチンを始めとする南米のコンチネンタルチーム所属選手たちの活躍も、十分に見込まれるレースでもある。

その筆頭は、コロンビア籍のチーム・メデジンに所属し、2017年総合2位、2018年総合優勝、2019年総合3位のオスカル・セビリャ(スペイン)。今年44歳のスーパーマンは、果たして今年も活躍するのか。

 

なお、昨年はDAZNによる日本語実況・解説が行われたこのレース。今年も期待していたが、残念ながら今年はDAZN自体がサイクルロードレースから撤退することとなってしまった。

 

代わりに、Youtubeの「GCN Racing」チャンネルが、ライブ放送を予定中。


Vuelta a San Juan 2020 Stage 1 LIVE | San Juan City

 

日本時間の早朝となるためライブで見るのはほぼ不可能ではあるものの、見逃し配信もできるはず。

全編英語実況ではあるものの、このブログやTwitterでもフォローしていく予定なので、ぜひこの大注目レース、見逃さずにいこう。

 

 

コースについて

全体的にパンチャー向けであったツアー・ダウンアンダーと比べ、ブエルタ・ア・サンフアンは、非常にバランスの取れたコースを設定している。

一番多いのはやはりこの時期なので、平坦中心のスプリントステージではあるが、15.2kmと決して短くはない個人タイムトライアルが設定されていたり(第3ステージ)、本格的な山頂フィニッシュが存在していたり(第5ステージ)と、あらゆるタイプの選手たちが活躍し、バリエーション豊かな足慣らしができる作りになっている。総合系の選手たちが開幕戦として利用したくなる気持ちもよくわかる。

 

また、さすが南米アンデス山脈を利用したステージレースだけに、平坦ステージであっても600m前後の標高で行われ、第5ステージの山頂フィニッシュに至っては、2624mという、グランツールでもほとんどお目にかかれないような標高での戦いが繰り広げられることとなる。

それがゆえにやはり高地に慣れている南米勢が活躍しやすいほか、レース中に高地トレーニングと同じ効果が得られるという点も、開幕レースとして選ぶ選手が多い理由なのかもしれない。

 

以下、簡単に、各ステージの特徴を見ていこう。

 

↓参考:昨年の全ステージレビュー↓

www.ringsride.work

 

 

第1ステージ サンフアン~サンフアン 163.5㎞(平坦)

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3つの3級山岳が用意されてはいるものの、これが今大会に出場する強力なピュアスプリンターたちの足を止める役割は果たされないことだろう。最後は集団スプリントがほぼ約束されている。

なお、このツール・ド・サンルイス/ブエルタ・ア・サンフアンは、2015年の初出場以来、フェルナンド・ガビリアが常に開幕戦を制し続けている(2016年は初日がチームタイムトライアルだったため、第2ステージをこの「開幕戦」とみなしておく)。

つまり、現在、5連勝中。

昨年はジロでの落車以来ずっと不調が続いていたものの、シーズン終盤のツアー・オブ・グアンシー区間2勝を成し遂げるなど復活傾向を見せている彼が、鮮烈なる6連勝目を果たせるか。

 

 

第2ステージ ポシート~ポシート 168.7㎞(平坦)

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第1ステージ以上にド平坦なピュアスプリントステージ。ここ2年はパンチャー向けのプンタネグラ・ダムフィニッシュで昨年はジュリアン・アラフィリップが勝利を掴んだが、今年は例年の第1ステージでも使われることの多いポシートで発着。第1ステージに続き、ピュアスプリンターたちによる集団スプリントが演出されることだろう。

ガビリアが連勝するか? サガンも強力なライバルだがここで本気を出してくるイメージはあまりない。ホッジも落車からの復活が期待されるし、コフィディスのセカンドエーススプリンター、クリストフ・ラポルトも負けてはいられない。

なお、プロコンチネンタルチームもといUCIプロチームのバルディアーニCSFファイザネのマルコ・ベンファットにも注目しておきたい。昨年もアジアを中心に8勝。2クラスではあるものの、昨年同時期のコロンビアで開催されたブエルタ・アル・タヒラでも区間1勝している実力者で、こういう「意外な勝者」が現れるのも、サンフアンの魅力の1つだ。昨年の第1ステージも、ガビリアに次ぐ2位はカハルラルのマッテオ・マルチェッリだったりするので、油断ならない。

 

 

第3ステージ ウリュム~プンタネグラ 15.2㎞(個人TT)

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この日から総合争いが本格化する。昨年よりもさらに長い15.2㎞。しかも、ポシートの平坦レイアウトで争われた昨年と違い、今年はパンチャー向けのフィニッシュを提供してきたプンタネグラ・ダムでの登りがラストに待ち構える。クライマー向けとまでは言わないが、純粋なTTスペシャリストよりかはオールラウンダータイプのクロノマンに向いているレイアウトであることは間違いないだろう。

ということは、昨年に引き続き、ジュリアン・アラフィリップが最大の優勝候補か? もちろん、昨年3位のレムコ・エヴェネプールもかなりの可能性を持つだろう。昨年のそのときよりも、さらに成長し世界選手権銀メダリストにすらなった彼ならば、今回は先輩アラフィリップを打ち負かしたとしてもおかしくはないだろう。

その他、TTスペシャリストとしては、フィリッポ・ガンナやネルソン・オリヴェイラ、あるいはマチェイ・ボドナールなどに注目が集まることだろう。

コフィディスのスプリンターであるラポルトも、意外と短めのTTに強い器用さを持つので、それなりに期待できるかもしれない。ブランドン・マクナルティも、 2017年のU23世界選手権TT銀メダリストであり、ここでタイムを稼いで総合でも上位につける可能性を持つ男だ。

 

 

第4ステージ サン・ホセ・デ・ハチャル~ビージャ・サン・アグスティン 185.8㎞(平坦)

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コース途中に3級・1級・1級の3連続山岳ポイント・・・というかもはや一体の登りといってよい区間を挟み、標高は一気に500m近く登るのだが、その先は長い長い下り基調。

過去2年、同じコースを使用しているが、いずれもマキシミリアーノ・リケーゼ、フェルナンド・ガビリアと、スプリンターが制する格好となっている。

今年もおそらくは、集団スプリント。昨年同様、ここでガビリアが2勝目を飾るか? それとも。

 

 

~休息日~

 

 

第5ステージ サン・マルティン~アルト・コロラド 169.5km

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毎年恒例、標高2565mの1級山岳アルト・コロラド山頂フィニッシュ。

昨年も、区間2勝で圧勝を予想されていたジュリアン・アラフィリップが、ナイロ・キンタナを隠れ蓑に先行したウィネル・アナコナに逆転されてしまうというかなり熱い展開が繰り広げられた。今年もここで、ドラマが巻き起こるかもしれない。

今年はキンタナもアナコナもいない。モビスター・チームは今年もベタンクールやセプルベダなど強力な南米人を連れてきてはいるものの、昨年と比べパワーダウンしていることは否めない。

そしてドゥクーニンク・クイックステップは、アラフィリップに昨年以上に進化しているエヴェネプール、さらには昨年ジロ山岳ステージ5位など登坂力も向上してきているピーター・セリーなども加え、今年こそは確実に総合優勝を掴み取りたい。

その他、この南米レースで常に強さを見せているチーム・メデジンのオスカル・セビリャ、ワールドツアーデビューを果たすギヨーム・マルタンとブランドン・マクナルティ、そしてモビスターももちろん、勝負を諦めているわけではない。

むしろ、昨年は以外と好成績を残していたコロンビア人のカルロス・ベタンクールや、地元アルゼンチンのエドゥアルド・セプルベダなど・・・結局今年も、彼らがこのステージで存在感を示す可能性はある。

今大会、最注目ステージだ。

 

第6ステージ ビリカン・サーキット~ビリカン・サーキット 174.5km

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昨年に続き、一昨年の10月に竣工された新サーキットで発着する。

基本的にはスプリンター向きのステージ。ただ、サーキットに入るタイミングでそれなりに登るため、前日の山岳ステージで大きくタイムを失った選手たちによる逃げ切りチャンス、あるいは、終盤でアタックしたジュリアン・アラフィリップがタイムを稼ぎやすい日とも言えるかもしれない。

アラフィリップを重しにしながら、今年初出場のゼネク・スティバルが得意のレイトアタックで勝負を仕掛ける可能性もある。

 

 

第7ステージ サンフアン~サンフアン 141.3km

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第1ステージに引き続きサンフアン州の中心地サンフアンを舞台にした周回コース。

レイアウトは昨年の最終ステージと全く同じ。サンフアン市街地の環状道路「シクルパラシオン通り」(1周16km)を9周する完全なスプリンター向けレイアウトである。

2017年はマキシミリアーノ・リケーゼ、2018年はジャコモ・ニッツォーロ、2019年はサム・ベネットが制したこの日、今年のサンフアン最強スプリンターであることを示すのは果たして誰だ?
 

 

次回は注目選手をプレビュー(予定)。

 

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